5.実践授業等の実施内容




5.4 牛久市岡田小学校の実践

「親水公園」過去・現在・未来
牛久市立岡田小学校 第5学年の実践

1 指導案

(1)目標


(2)単元について

 親水公園は,小学校のすぐ近くにあり,2年生の生活科でも遊びに行ったり,普段でもザリガニ採りに行ったりと身近な存在である。しかし,児童に話を聞くと親水公園は,「きれい」とか「よく遊びに行きたい」「楽しい」のようなよいイメージはあまり持っていないようである。親水公園について様々な角度から調べていくことによって,親水公園のよさ,親水公園を作った人々の願いや想いを知ることにより愛着を 持ち,他の地域の人にも誇りを持って話ができるようにしたいと考える。
 4年生では「ハートフルタウン牛久」という単元名で牛久市の環境,福祉について学習してきた。地域のゴミ問題や小野川を通しての水の問題,体の不自由な人やお年寄りについて体験を通して学習した。そして,「もっとゴミを減らしたい」「川をきれいにしたい」「お年寄りを大切にしよう」「体の不自由な人のための施設や設備がまだ不十分だ」などの児童の考えが出された。しかし,自分はこれからどのようにしていきたいという自己の生き方について話す児童は少なかった。
 そこで5年生の総合的な学習の時間では,題材を親水公園にすることによって調べる対象を狭め,4年生で学習した経験を生かして,自分たちはこれからどのようにしていきたいかという自己の生き方を考えるまで深めていきたい。


(3)単元の活動計画

過程 活 動 内 容
ふれる
5・6月
1〜5
  • ふれあい探検
  • イメージマップ作り
  • 保護者に親水公園についてのイメージを調査する。
つかむ
6〜
7月
6〜25
  • 親水公園を作った人々の話を聞く。
  • 話し合いと各自の課題決め
     (できた頃の親水公園,現在の親水公園)
  • 各自の課題について追究する計画を作る。
  • グループ作り(各自の興味・関心から)と計画についての話し合い
調べる
9〜
11月
26〜50
  • 各グループの計画によって調べる。
     ・取材 ・図書の利用 ・パンフレットの活用
     ・インターネットの利用
  • コンピュータを使って情報交換
     (データベース・電子掲示板の利用)
  • 中間報告会で他のグループとの意見交換
  • 計画の修正と新たな調査(モバイル機器の活用)
まとめる
11月
51〜55
  • 学年報告会
  • 親水公園についての自分たちの思いや願いをまとめる。
  • 学年で一つにまとめる。
ひろめる
11月
56〜60
  • 未来の親水公園のあり方を話し合う。 どのような公園だったらよいか,公園をより多くの人たちに活用してもらうためにどのようにしていったらよいかをまとめる。
ふかめる
12月
61〜70
  • 自分たちの考えを他の学年へ提案する。
  • 自分たちの考えを牛久市へ提言する。
  • 自分たちでできることを考え,実行する。


2 実践の様子

(1)「牛久自然観察の森」の榎本さんとの交流

 子ども達が親水公園を調べて行くにつれて新たな疑問が起こり,本で調べたり,インターネットで調べたりしたが,なかなか解決がつかなかった。子ども達の疑問に直接答えられるようにするため,牛久自然観察の森の専門家であるレンジャーの協力を得ようと考えた。レンジャーである榎本さんと事前に打ち合わせ,子ども達が親水公園で調べて疑問に思ったことをその場で教えてもらうようにした。モバイル機器を使えばそれが可能であるが,機械を通してだけの交流であるより,その向こうにいる榎本さんを子ども達が意識して交流できるように,榎本さんにモバイル機器を使う前に小学校に来校してもらい,自然についての話をしてもらった。
 子ども達は,自然について榎本さんから「人の手が加わっていないものを自然というのか,人の手が加わっていても木や池があれば自然と考えるのか。」という質問から,もう一度簡単に使っている自然について考えを深めたようである。単純に草花を植えればよいとか,魚を増やせばよいというところから,どんな草花や魚を親水公園に増やせばよいのかと考えていった。
 親水公園に行き,現在の草花や水草などについてモバイル機器を使って榎本さんに送信し,答えを教えてもらった。しかし,榎本さんからの答えは,すぐに教えるのではなく,もっと詳しく見つめるために調べ方や,新しい見方を教えてもらうアドバイスであったため,子ども達はまた対象物を詳しく見つめ直して考えることができた。


〔榎本さんとの交流〕

1. 水草について調べた児童
「この水草の名前と科を教えてください。」
「大きさがよく分からないけど,自然のものではないみたい。キンギョモとかの水草を誰かが捨てて,野生化したものじゃないかな?『オオフサモ』っていう水草に近い気がするので,調べてみて」
「この植物は何ですか。水をきれいにすることはできますか。」
「スイレンの仲間のようですね。基本的に,スイレンの仲間は栄養分の多い泥の所でよく育ちます。泥の中の栄養分を吸収すれば多少水はきれいになるはず。でも,スイレンが枯れて,水の中で腐ってしまうと,また,栄養分(汚れ)は水の中に戻ってしまいます。」
2. 植物について
「この花の名前は何ですか。さいばい方法は何ですか。」
「できたら,大きさが分かるように誰かの手や顔などをいっしょに写して下さい。」
「う〜ん,はじめて見る花ですね。自然(野生)のものではないようなきがします。どんな場所にありましたか?(キク科のイヌキクイモににていますが・・・・)できれば,葉っぱの写真なども取っておいて下さい。」
「この実は何ですか。」
「この植物はどこにありましたか?これも自然のものではなく,人が植えたものだと思います。アオイとか芙蓉の仲間の植物のように見えますが,葉っぱの形とか,大きさ(手のひらと比較するとわかりやすいよ)がわかる写真を送ってほしいな。」
3. カマキリについて
「このカマキリは,どんなところにせいそくしていますか。」
「写真がないよ!コカマキリなら草原の地上,ハラビロカマキリなら木の上,挑戦カマキリなら草原やアシ原,オオカマキリなら林のへりややぶなどになどによくいるのが見られます。」(写真を入れて再送信する。)
「小さいカマキリですね。カマのつけねの内側を見て,黒と白の線がはいっていたらコカマキリです。コカマキリは主に地上性で,たけの低い草原の地面の上を歩いて獲物を探して暮らしています。どんなところで見つけましたか?」

3 実践を終えて

(1) 成果


(2)課題




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