「親水公園」過去・現在・未来
牛久市立岡田小学校 第5学年の実践
(1)目標
- 身近な地域の公園とふれあう体験を通して,疑問に思ったり,興味をもったりした課題を友達と協力して計画的に追究して解決することができる。
(問題解決の能力)- 各自の課題に対して,どのようにして,どんな方法で追究していけば解決できるかを考えて調査し,必要な情報を選択したり,比較検討したりして自分の考えを深めていくことができる。
(学び方・ものの考え方)- 課題を解決するための調べ方や,他に分かりやすく伝えるためのまとめ方・発表の仕方をグループで相談しながら工夫して学習を進めることができる。
(主体的・創造的な態度)- 地域の自然や人々との関わりを通してそのよさに気づき,地域への愛着を深め,自分は親水公園とどのように関わっていくかを考え,自分の考えを実践することができる。
(自己の生き方)
(2)単元について
親水公園は,小学校のすぐ近くにあり,2年生の生活科でも遊びに行ったり,普段でもザリガニ採りに行ったりと身近な存在である。しかし,児童に話を聞くと親水公園は,「きれい」とか「よく遊びに行きたい」「楽しい」のようなよいイメージはあまり持っていないようである。親水公園について様々な角度から調べていくことによって,親水公園のよさ,親水公園を作った人々の願いや想いを知ることにより愛着を 持ち,他の地域の人にも誇りを持って話ができるようにしたいと考える。
4年生では「ハートフルタウン牛久」という単元名で牛久市の環境,福祉について学習してきた。地域のゴミ問題や小野川を通しての水の問題,体の不自由な人やお年寄りについて体験を通して学習した。そして,「もっとゴミを減らしたい」「川をきれいにしたい」「お年寄りを大切にしよう」「体の不自由な人のための施設や設備がまだ不十分だ」などの児童の考えが出された。しかし,自分はこれからどのようにしていきたいという自己の生き方について話す児童は少なかった。
そこで5年生の総合的な学習の時間では,題材を親水公園にすることによって調べる対象を狭め,4年生で学習した経験を生かして,自分たちはこれからどのようにしていきたいかという自己の生き方を考えるまで深めていきたい。
(3)単元の活動計画
過程 | 時 | 活 動 内 容 |
ふれる 5・6月 |
1〜5 |
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つかむ 6〜 7月 |
6〜25 |
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調べる 9〜 11月 |
26〜50 |
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まとめる 11月 |
51〜55 |
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ひろめる 11月 |
56〜60 |
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ふかめる 12月 |
61〜70 |
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(1)「牛久自然観察の森」の榎本さんとの交流
子ども達が親水公園を調べて行くにつれて新たな疑問が起こり,本で調べたり,インターネットで調べたりしたが,なかなか解決がつかなかった。子ども達の疑問に直接答えられるようにするため,牛久自然観察の森の専門家であるレンジャーの協力を得ようと考えた。レンジャーである榎本さんと事前に打ち合わせ,子ども達が親水公園で調べて疑問に思ったことをその場で教えてもらうようにした。モバイル機器を使えばそれが可能であるが,機械を通してだけの交流であるより,その向こうにいる榎本さんを子ども達が意識して交流できるように,榎本さんにモバイル機器を使う前に小学校に来校してもらい,自然についての話をしてもらった。
子ども達は,自然について榎本さんから「人の手が加わっていないものを自然というのか,人の手が加わっていても木や池があれば自然と考えるのか。」という質問から,もう一度簡単に使っている自然について考えを深めたようである。単純に草花を植えればよいとか,魚を増やせばよいというところから,どんな草花や魚を親水公園に増やせばよいのかと考えていった。
親水公園に行き,現在の草花や水草などについてモバイル機器を使って榎本さんに送信し,答えを教えてもらった。しかし,榎本さんからの答えは,すぐに教えるのではなく,もっと詳しく見つめるために調べ方や,新しい見方を教えてもらうアドバイスであったため,子ども達はまた対象物を詳しく見つめ直して考えることができた。
〔榎本さんとの交流〕
(1) 成果
- 事前に自然について話してもらったので,子ども達が意識して対象物を見つめることができた。
- 「教えてもらう」という意識を持って対象物を見つめることで,これまでより細かい点まで見つめようとする姿勢が見られた。
- 「これは何ですか」だけでなく,「この植物は水をきれいにしているのですか」という自分たちで知りたいことを明確にしてメールを送ることにより,専門家の方に直接答えてもらえるため,意欲的に取り組めた。
- 榎本さんの返信の内容がすぐに答を教えるのではなく,対象物の調べ方や調べる視点を教えてくださるものであるため,もう一度よく見つめてみようという気持ちを持つことができた。また,学校に戻ってから詳しく調べてみようとする意欲を持つことができた。
- メールで送るため,教えてもらいたいことを簡潔に文で表さなければならないため,ポイントをしっかりと考えることができた。
(2)課題
- モバイル機器の使い方に慣れていないため,すぐに対応できないことがあった。
- 「メモリー不足」のため,登録できずに送れないことがあった。
- エッジとザウルスの番号を合わせたが,通信できないものがあった。
- 子どもたちがザウルスのペンで文を書くのに手間取ったり,書いたものを認識できない場合に修正に時間がかかったりと,操作に不慣れなために時間が思った以上にかかってしまった。
- カメラで小さいもの(5ミリメートル)を撮影する際に,マクロ機能がよくわからずによい画像が送れなかった。
- 文字化けしているものがあった。
- 調査活動の時間設定でもう少し長く時間が取れればよかった。本校では,1回の調査活動に1単位時間しか取ることができなかったため,教えてもらいたいものを見つけるまでに時間がかかり,後半の短い中でメールを送ることになってしまった。榎本さんには前半は何もせずに待機してもらい,後半に返事を急いで書くという形になり大変迷惑をかけてしまった。もう少し調査活動に時間をゆっくり設定できればよかった。