1.1 プロジェクトの背景・目的




1.1 課題と背景

 ミレニアムプロジェクトに始まった教育の情報化の効果により、学校へのコンピュータ教室の整備率は100%に近くなり、コンピュータを操作できる教員割合も90%に近くなった。今後のIT活用の普及・定着化にむけては、日常的に情報活用が可能な環境を整備し、IT活用スキルの全体の裾野を広げてゆくことが課題である。
 一方、普通教室での新たなインターネット機器環境として、デジタルテレビチューナーのインターネット接続機能の活用の可能性が存在する。昨年12月に地上デジタル放送が開始され、2011年アナログ→デジタル放送への完全移行に伴い、学校に設置されたテレビ環境も切り替わっていく事になるが、今般のデジタルテレビチューナには、インターネット接続機能が標準搭載されたものが普及してきており、普通教室のテレビを介し、インターネット活用授業を行う環境が日常的に普及してくると予想され、このようなPC以外の情報機器を活用法を検討する必要性があると考える。

1.2 有効性・先進性

(1) 有効性

 コンピュータ活用初心者層の教員層に対し、インターネットに対する苦手意識をなくし、情報機器活用更にコンピュータ活用教育への意欲・関心の向上。
 コンピュータの操作は出来るが、授業実施に至らないという背景には、PC活用指導案の立案能力や授業実施環境の不足などが挙げられるが、それ以前の要因として、IT初級者にとって授業本番においてコンピュータが予測外の動きをした時の対処に対する不安感が大きなハードルとなっている事が考えられる。デジタルテレビチューナを使用することにより、入門層の先生にとって、可変する環境設定やキーボード操作を排除しテレビを使う感覚で操作でき、(=電源を入れれば教材が出てくるイメージ)困った場合電源断と再起動で復帰する環境を提供することで、先ずインターネットに慣れ、情報活用授業のイメージを持って頂く事で、漸次本格的なPCを使った情報教育への足がかりを作ることができる事に情報教育普及の有効性があると考える。
 普通教室にて日常的且つ簡便にインターネット活用できる環境の実現。
 今後デジタルテレビの普及は、地上デジタル放送また地域CATVにおいても地上再送信等によるデジタルチューナ化が全国規模で進み、普通教室にて簡便に利用するという用途において、PC教室とは違う利用法が生まれてくると考えられる。初期段階からデジタルテレビチューナの教育分野活用の検討を行い、可能性や課題を抽出し今後の学習環境整備や機器機能改善等へつなげてゆくことは非常に有効と考える。

(2) 先進性

 デジタルテレビチューナーは昨年12月に運用が開始されたばかりの新規性の高い機器・システムであり、今後全国規模で汎用的に普及が想定される。

から活用法を現段階から検討実証してゆくことの先進性および今後の有効性が非常に高いと考えられる。

1.3 成果目標

本プロジェクトにあたって、以下の事を目標とする。(表 1.3-1)

表 1.3-1 成果目標

成果・目標
評価方法
基準
IT初心者の先生にとって、普通教室にて使いやすいIT活用環境を実現する。 授業実施教諭に対し、事前のIT環境やリテラシーに対するヒアリング、また授業後実施環境についてヒアリングを行う。また評価委員会にてヒアリングを行い評価する。 操作性、授業実施に対する機能等
児童生徒にとって、上記を活用することによって学習への理解や興味を深める。 児童生徒に対し、理解度、興味度についてアンケートを実施、授業実施教諭に対し、授業効果度をヒアリングする。 理解、興味の度合授業に対する効果度等
デジタルテレビチューナの授業活用(地上デジタル放送及びインターネット接続機能を含む)についての可能性、課題を抽出し、効果的な活用法などを検討、まとめその内容を公開する。 評価検討会でのディスカッションでの意見聴取(Eスクエア検討会における識者からの意見聴取) デジタルテレビチューナ活用に対する可能性、課題点、モデル活用案の抽出

また、プロジェクト実施過程において、以上3点の目標に関した評価結果を報告書の形にまとめ、その内容を広く公開するものとする。



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