2.プロジェクトの概要




2.1 プロジェクトの全体像

  今後デジタルテレビチューナには大きく二つの双方向コンテンツ閲覧機能を備えたものが普及型となってくる。ひとつはインターネット回線を介しWWWサーバに接続する所謂インターネットコンテンツ(HTMLコンテンツ)閲覧機能、もう一つは地上、BS、CSデジタル放送で運用されているような放送波を使う方式である。本プロジェクトでは、大きく下記2点について調査検証を行う。
実機による普通教室における利用環境や操作性の評価検証
  普通教室におけるデジタルテレビの設置環境、また授業でリモコンを使う事等の利用環境や操作性について、のインターネット接続機能を用いた教材開発を行い実際の授業の中で評価検証を行う。
デジタルテレビの教育活用の可能性の検討
 上記両方の機能全体を踏まえたデジタルテレビの教育利用の可能性について討議検討する。

2.1.1 実験授業の概要

 テーマ:デジタルテレビインターネットで地域マップを作る。
 本実験は、デジタルテレビチューナーのインターネット接続機能を利用して、テレビチューナーで閲覧できるWWWサイトを構築し、実施する。
 本プロジェクトでは、高知県須崎市教育委員会殿ご協力の下、須崎市立新荘小学校および須崎小学校の2校(新荘小学校4学年1クラス20名、須崎小学校4学年2クラス57名)において実施する。須崎小学校及び新荘小学校では4年生総合学習の2学期に車椅子体験などをしながら町づくり提案をする総合学習を予定していた。今回これに松下電器産業(株)の安全面からの調査提案も組み込み、学校周辺の安全や暮らしやすい街づくりについての地域マップを作成するサイトとした。

2.1.1.1 実験概要

 普通教室に設置したデジタルテレビチューナーより実験WWWサイト(今回開発)に接続し、学校および通学路周辺地図を全員で閲覧・討議しながら、交通に注意などの安全面、また車椅子の人に不便と思われる構造のあった区域などをマークしてゆき地域マップを作ること、また作成した地域マップをサーバー上に蓄積、実験校相互で閲覧できるようにし、自己の地域と比較することで、児童生徒の防犯意識や地域への関心を向上させる。
 実験にあたっての基本ポリシー
 上記を遂行するにあたって、以下の事項を基本ポリシーとする。

2.1.1.2 授業内容の概要案

授業内容案を表 2.1-1 に示す。(3クラス全6コマ以上) が本プロジェクト内

表 2.1-1 授業内容の概要

項目 内容 ねらい
調査(グループワーク) グループに分かれ、車椅子体験などを通じて、学校周辺にて危ない、弱者に対して改善したほうが良いと思われる箇所を挙げてゆく 個人の地域への関心を上げ、課題発見を行う。
結果の書き込みと討議(全員) デジタルチューナで地図を提示し、全員で結果を発表しながらマークを書き込む。 他の人の意見を聞くことで、知らなかった危険についても意識向上を図る。
対策案などについての討議(全員) 書き込んだマップ、また他クラス他校の結果を参考にしながら、安全な街づくりのために働いている機関や人の存在や、自分たちで気をつける事、出来ることなどについて討議する。 町づくりという観点から、弱者に対する配慮また、自分にとって危険を回避するために気をつける事などを意識付ける。

2.1.2. デジタルテレビの教育活用の可能性の検討

 上記2.1項はデジタルテレビチューナーのインターネット接続機能を用いた実験であり、主に普通教室におけるテレビの利用環境や操作性などを検証するものである。一方テレビの教育利用において、特に地上デジタル放送(特にデータ放送(サーバ型放送))の活用が期待されている。本プロジェクトにおいては2.1項の実験内容に加え地上デジタル放送の利用も含めた全体的なデジタルテレビの教育利用について検討する。検討においてはインターネット接続機能、地上デジタル放送(特にデータ放送(サーバ型放送))の動向調査、また他関連事例などのヒアリング等による調査、またその結果を検討会により検討し本報告書にまとめるものとする。

2.2 教育的効果および活用案

 本プロジェクトにおける実験授業は、小学校、総合的な学習の時間/社会、第3学年4学年(社会科学習指導要領目標:地域における社会的事象を観察,調査し,地図や各種の具体的資料を効果的に活用し,調べたことを表現するとともに,地域社会の社会的事象の特色や相互の関連などについて考える力を育てるようにする。および内容:地域社会における災害及び事故から人々の安全を守る工夫について,次のことを見学したり調査したりして調べ,人々の安全を守るための関係機関の働きとそこに従事している人々の工夫や努力を考えるようにする。)に合致するものであり、自己の防犯意識を向上させるとともに、地域における福祉や安全に対する意識付けを行う効果が得られる。活用案としては社会科と総合的な学習の時間における調べ学習とを組み合わせた学習に活用できる。
その他将来的な普及環境においては、デジタルテレビは情報家電として、漸次一般家庭にも必然的に普及するものであり、発展的に学校−家庭間においての情報連絡/情報共有の手段としても利用が可能なものであり、地域広範をつなぐメディアとなる可能性を持っていると考える。

2.3 有効性の検証

 調査においては以下表 2.3-1の観点について下記の手法にて実施する。

表 2.3-1 有効性の検証

観点   対象 検証方法
ハードウエア 操作・設置環境(起動、再起動等) 授業実施教員 アンケート/ヒアリング
画面の見易さ 授業実施教員
児童生徒
アンケート/ヒアリング
アンケート(児童生徒)
リモコン操作性 授業実施教員
児童生徒
アンケート/ヒアリング
アンケート(児童生徒)
ソフトウエア教材
(サイト)の有効性
GUI、提示速度等
開発コンテンツの普通教室、デジタルチューナ利用の妥当性理解、興味を促進するか
授業実施教員
児童生徒オブザーバ
アンケート/ヒアリング
アンケート(児童生徒)/
ヒアリング(オブザーバ)
デジタルチューナを活用した学習環境の可能性 入門層の教員に対する支援性
デジタルチューナーの全体的な利用における各サービス形態と可能性。その他運用上の課題点
授業実施教員オブザーバ ヒアリング(ディスカッション)
機能・利用環境・活用法への要望
留意点、課題点などの抽出またそれに対する改善点、モデル活用法、普及に向けた効果的な利用法の検討
(Eスクエア検討委員会) ※Eスクエア検討委員会


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