7.プロジェクトの評価について




7.1 評価観点・評価の方法について

  (1) 本実証実験におけるハードウエア・ソフトウエア評価
    デジタルテレビチューナを利用したインターネット閲覧では、リモコンを使用する操作性や、画面比、文字の大きさなどPCとは異なる操作環境となる。これらについて授業実施の先生よりヒアリング、また児童生徒にアンケートを実施し、教育利用における評価点、課題点、要望を抽出する。また教材(開発サイト)について、普通教室でデジタルチューナを使用することが適合するかを先生にヒアリングするとともに児童生徒に理解・興味についてアンケートを実施する。
  (2) 本実証実験におけるデジタルチューナを活用した学習利用環境の評価
    デジタルチューナーを利用した学習環境の全体像について、以下の観点にて評価を行う。
入門層の教員にとっての支援性、児童生徒にとっての効果
今回実証実験においては、「PC研修を受講しなくても直感的に操作できる」レベルをリテラシーの目標として位置づけ、準備のしやすさ、操作性(PC研修を受講しなくても準備、操作できるレベルを満たすか、デジタルテレビチューナを利用する事によるPC利用へのモチベーション(PCインターネット閲覧に対する抵抗感の低減、文字入力など次ステップへの意欲など)
について、授業実施教員に対し、アンケート・ヒアリングを通じ評価を行う。
  (3) デジタルチューナーの全体的な利用における各サービス形態と可能性
    の観点に基づいて調査検討を行い、評価点、課題点、要望などを抽出する。またEスクエアプロジェクトが開催する報告会にてご意見を頂き、検討・要望事項をまとめながら推進するものとする。

7.2 検討会の内容

検討会は各授業終了後実施し、授業実施先生方にヒアリングを行った。(同一内容をヒアリングしている内容も多いため、内容を下記にまとめて記す。)

(1) 先生ヒアリング及びアンケート内容

    ご自身がお使いになって
  • 画面の見易さ:
    プロジェクタで画面が大きく見やすかった。
    色も鮮明でマークもわかりやすかった
  • リモコン操作について
    リモコン操作はしやすい。(1回押したつもりが2アクションになってしまうときがあった※)※後にリモコンの接触不良と判明
  普通教室に一台という環境について
    子供たちが役割分担しながら進めており、グループ活動によいと思った。PCだと個別作業になってしまう。
  • TVは起動が早い。ちょっと使うという面についてはPCより使いやすいと思う。
  • これから実際に学校に取り入れて活用するとなれば学習のまとめ段階で多く活用されるのではないかと思います。まとめはグループで行うことが多いので、大きな画面のほうが入力しやすいと思います。発表も学級全体やそれ以上の人数で見るのでスクリーンが適していると思います。(普通のTVの画面では少し小さいかと思います。ただ発表のまとめかたによっては画面を切り替えながらTV画面でも可能かと思います。)
  • 使うなら校内に無線LANの環境が欲しい。
  子供たちの様子について
    操作面
  • 全体的にスムーズに入力作業は済んだ。操作的に問題なし。(想像していたよりずっと早く入力してしまった。)ブロック(メッシュ)表示にしたことがよかった。
  • わからない生徒はほとんどいなかったのが良かった。ゲーム感覚で操作している面があり。マークは1人2個程度貼る事にしたがもっと貼りたがっている子供もいた。
  • リモコンの矢印と決定キーだけなので、子供たちも操作しやすかったと思います。
興味面、理解面
  • 子供たちはコンピュータ関係のものにとても興味があり、パソコンの授業などもとても喜びます。今回のリモコン操作も楽しみながらできたと思います。
  • 今回は地図だったので、自分の校区はお互いに見てある程度理解できたと思いますが、他校の地図は実際と一致しないのではと思いました。しかしそうであったとしても自分の校区と比べて見たりすることが学びあいになるのではないかと思いました。自分たちのを作り終えた後、「須崎小のを見たい!」と言っていたので興味があるんだなあと思いました。
  保護者がご家庭で使えると思いますか
   
  • 使えると思うが、プライバシーなどに配慮しないといけないと思う。
  • PCなどが苦手な人にはやはりとっつきにくいのではと思います。
  模造紙で地図作成との違い
   
  • リモコンが一台なので、操作できない子供ができないように工夫が必要かと思う。
  追加したり改善したりするといいと思う機能
   
  • 画面に触れることで操作ができると大人も子供ももっと簡単だと思う。
  • 1マス1箇所のマークという制限だったが2個以上貼りたいという要望はあったかもしれない。
  • 調査した時のデジカメ画像と連携などについては子供たちからは特に意見はなかった。
  初任者の先生などがTVである程度できたら次にPCも使いたいと思うと思いますか
   
  • 思います。
  • PCはPC、TVはTVでそれぞれの使い方があるかもしれない。
  • PCに慣れている人はリモコンはまどろっこしい印象がありますが、全く初めての人にはリモコンのほうが使いやすいと思う。

下記に先生(3名)のソフト・ハードなどについてのアンケートを聴取した結果を示す。

ソフトウエアの利用頻度(図7.2-1)

図 7.2-1 ソフトウエア利用頻度

ハードウエアの利用頻度(図 7.2-2)

図 7.2-2 ハードウエアの利用頻度

ソフトウエアについて、PCに向くと思うもの。TVに向くと思うもの(図 7.2-3)

図 7.2-3 PCに向くソフト、TVに向くソフト

7.3 児童生徒アンケート結果

(1) アンケートの内容

 アンケートは2回、地図作成授業終了時および発表会終了時に実施した。作成においては子供たちはPCで地図を作成するような授業は体験していないので、PCとの比較はできなかったため、紙で地図を作ることと比較してアンケート調査した。
  発表会においては、代表グループが発表したため、発表した児童生徒と聞いていた児童生徒とアンケートを多少変えた。
  以下、アンケート内容を記す。

  地図作成時アンケート内容
1.テレビのリモコンを使って地図をつくることについて
    1-1.テレビのリモコンは使いやすかったですか? (○をつけてください。)
      1. 使いやすかった
2. どちらでもない。
3. 使いにくかった。
「使いにくかった」と答えた人に聞きます。どんなところが使いにくかったですか。(○をつけてください)
1. いちどに一人しかつくれないから
2. 動きがおそいから
3. 使いかたがよくわからなかったから
4. そのほか
    1-2. 紙でつくるのとくらべて地図は作りやすかったですか?
      1. 紙のほうが作りやすいと思う
2. リモコンのほうが作りやすいと思う (どうしてですか)
    2. 作った地図を見て→町のあぶないところなどがわかりやすいと思いますか?
      1. わかりやすいと思う。
2. 紙の地図のほうがわかりやすいと思う。
(1か2を答えた人はどういうところがわかりやすいと思いますか?)
3.わかりにくい
(3と答えた人はどういうところがわかりにくいと思いますか?)
    3. テレビのリモコンで地図を作る授業について感想を聞かせてください。
       
  発表時アンケート内容
授業についておたずねします。(発表した人用)
1. 発表について
    1-1発表はしやすかったですか? (○をつけてください。)
      1. 発表しやすかった
2. どちらでもない
3. 発表しにくかった
    1-2 画面を使う発表は、発表しやすかったですか?
      1. 紙のほうが発表しやすいと思う(どうしてですか)
2. 画面のほうが発表しやすいと思う。(どうしてですか)
    1-3 ほかの班の人の発表はよくわかりましたか?
      1. よくわかった
2. どちらでもない
3. よくわからなかった。
  2. 発表した感想を聞かせてください。
       
  授業についておたずねします。(聞いていた人用)
1. 発表について
       
    1-1. ほかの班の人の発表はよくわかりましたか?(○をつけてください。)
      1. よくわかった
2. どちらでもない
3. よくわからなかった。
    1-2. ほかの班の人の発表を聞いてあたらしくわかったことや気づいたことがありますか?
      どういうことに気がつきましたか。
       
  2. 画面をつかった発表について
画面は見やすかったですか?(○をつけてください)
    1. 見やすかった
      どういうところが見やすかったですか?
1.画面が大きいから
2. 地図がわかりやすい
    2. どちらでもない
    3. 見にくかった。
      どういうところが見にくかったですか?
1.画面が薄くてよく見えない。
2.地図がわかりにくい
  3.今日の授業の感想を聞かせてください。


(2) アンケート結果

 児童生徒の回答結果を下記に示す。回答児童数は須崎小4年1組27名須崎小4年2組29名新荘小4年1組20名であった。児童生徒はPC授業の経験はなし。(一部パソコンクラブなどで放課後操作している児童は存在する。)

 リモコンの使いやすさ(図 7.3-1)

図 7.3-1 リモコンの使いやすさ

紙と比べた作りやすさ(図 7.3-2)

図 7.3-2 紙と比べた作りやすさ

自由筆記欄
紙とリモコンどちらがつくりやすいか
<リモコンのほうがつくりやすい>
須崎小4年1組
・手も疲れる心配も無いしリモコンのほうが操作しやすいから
・手は疲れるし操作も慣れると手早くできるから
・いちいち書かないでいいから
・すぐ写せてはやくできるから
・かんたんでした
・平べったくないから持ちやすい
・リモコンのほうが動きやすいから
・リモコンのほうが作りやすかったし使いやすかった
・紙はいちいち手書きだけどリモコンならすっとわかるし手で書かなくてもいいから
・紙は書いたりせないかんからリモコンは操作するだけだから
・リモコンのほうがみんなとできるから
・リモコンのをがつかいやすいから
・いっかいこんながをやったことがあるから
・すぐ動いたから
・リモコンとかのほうが紙よりいいと思うから
・紙のほうは考えたり話し合ったりしないといけないから。リモコンは紙にやったとうりだから作りやすかった
・リモコンは使いやすかったし紙よりはやくできる
・地図は///の線も見にくかったけどリモコンは大きくてはっきりして見やすかった
・印を考えずに選んで決定をするだけでいいからです。
・ゆびでボタンを押したらすぐ入力されてるから早くできる
・紙のほうは鉛筆で書かなければいけないから
・紙のほうはシールとかはらないといけないから
・リモコンのほうが見やすくてやりやすいから
・リモコンでつくったら矢印とかいろいろなものがあるからわかりやすいと思う
・紙は鉛筆でかかないかんけどリモコンやったらボタンを押すとすぐにできるから
・リモコンのほうが押しやすかった
・紙は場所を見つけたりはったりして大変だけどリモコンは決定とうえしたよこの操作だけでできるから

須崎小4年2組
・リモコンのほうが使いやすかった
・ボタンを押すだけだから
・ボタンを押すだけだから
・リモコンのほうが作りやすい
・こっちのほうが早いから
・押すだけでできるから
・はやい
・すぐにできてわかりやすいから
・楽にできるから
・ボタンを押すだけだから
・リモコンは指で押すとすぐできて簡単だから
・早くできるし楽しく出来るから
・リモコンのほうが作りやすいと思います。
・紙でやったら時間もかかるから
・リモコンで使ったら5分くらい出来たから使いやすかった
・指1本でスイッチを押すとすぐ動いてくれるからです
・やりやすかったから
・リモコンのほうがやりやすかった
・シールをはらなくていいから。書き直しをしてもやりなおしのところをおしたらやり直せるから
・動かしやすいから
・リモコンだとボタンを押すだけでいいから
・紙は書いたり消したりしなきゃいけないけどリモコンはボタンひとつで何でもできるから
・すらすらとできるから
・テレビみたいだから
・紙は時間がかかってテレビのほうが早かったから
・リモコンだと先に紙でやってたからその紙を見ながらやったからやりやすかったです。
・すらすらとできるし疲れないから

新荘小4年1組
・ボタンを押して操作して決定するだけだから
・紙にシールをはっていたら時間もかかるしはったらはがしにくくなるからです。
・リモコンの操作が簡単だからです。
・手ではらなくていいしわかりやすいから
・紙はシールをはるとはがせないから
・リモコンだとボタンを押すだけでいいから
・使いやすいから
・紙にシールを貼るとまちがったらはがせないから
・リモコンはボタンをおすだけだから
・ボタンを押すだけで楽しいから
・紙はシールをはらなければいけないからリモコンのほうがよかった
・紙にシールを貼るのよりリモコンで作るほうが操作も簡単でやりやすかった
・リモコンをつかったほうが早いから
・リモコンは押すだけで終わるからやりやすいと思う
・紙だったら字で自分で書かないといけないけどリモコンだったらそのマークを押したらいだけだから
・早く完成するから
・鉛筆で地図を書くと間違えたら消しゴムで消さないといけないけどリモコンだったら戻すをしたらもどるから使いやすい
・ボタンを押してコントロールしてくれるから
<紙のほうが作りやすい>

須崎小4年2組
・紙のほうがやりやすかったです。シールを貼るだけだからです。リモコンで作るのが難しかった。
・紙のほうが作りやすいと思う。

新荘小4年1組
・使いやすいから
・早く完成するから
・間違ったらひとつしかもどせないから
・リモコンだと遅いから

作った地図はわかりやすいですか(図 7.3-3)

図 7.3-3 紙と比べたわかりやすさ

自由筆記 わかりやすい理由
<わかりやすい>

須崎小4年1組
・マークで表わしているのでわかりやすいし見やすい
・マークで表わしているので一目見ただけでよくわかる
・いろいろ貼り付けてすぐにあぶないところとかがわかる
・マークでやっていたのがわかりやすかった
・いろいろわからないところもあります
・あまりいけないところに行ったのでここが危ないとわかった
・ちゃんとマークなどがついていたからちゃんとできてよかったです。
・いろんなところに動かせてわかりやすかったです
・絵で表現しているしわからない字とかもでてこないから
・紙の地図は真っ黒でわかりにくいけど操作するやつは色がついててすごくわかりやすい
・いろいろなあぶないところとかがわかった
・知ってる町なのでとてもわかりやすい
・マークとかがあるからです。
・絵があってすごく見やすいと思います。
・紙は絵で多分わからないけど絵を使ったほうが判りやすいと思った。
・絵は重なったところもあるけど絵より見やすいと思う。
・色じゃなくて車や段のシルエットを使っているからです。
・絵文字を使っているから見やすい
・見えやすいし判りやすいと思う。
・テレビはリモコンで操作するのでわかりやすい
・紙だと何を書いているのかえわからなくなりそう
・リモコンで押したので押しながら見てもとてもわかりやすかった
・画面にうつるマークがわかりやすい
・字で「あ」と書くと意味がわかりにくいけどマークでやるとすごくわかりやすい

須崎小4年2組
・あやしい人とか色がついているのがわかりやすかった
・ただシールを貼って色がかわっていた?
・マークだったからよくわかった
・地図のマーク
・場所の名前がかいてあってわかりやすかった
・つけたところを見直してゆくとわかりやすい
・わかりやすいと思う
・わかりやすいと思う
・絵なのでいろいろな絵があり判りやすかった
・桝目があるから
・桝目があってわかりやすかったから
・ますがあってわかりやすい
・マークがあるからここに何があるかと判った
・地図をひらいて「あやしい人」とか選ぶのがわかりやすい
・紙でやるとなくなりやすいし破れやすい
・町がどこにあるか絵で表示しているから
・マークとかがあるからです
・しるしができるから
・デジタルで作ったほうは絵だからわかりやすかった
・絵とかがあってわかりやすかった、見やすかった
・見やすかった
・操作しやすかった
・絵を見たらわかるから小さな文字の見えない人や小さな子供でもわかると思う。
・シールがあるからわかりやすい
・絵をみただけで意味がわかるから
・紙はシールだったから絵のほうがわかりやすい

新荘小4年1組
・紙の地図は小さかったのでテレビで作ったほうは大きくて見やすかった
・紙の地図はシールだからどれも同じシールだからわかりにくい
・絵がでているからわかりやすかった
・シールは青や赤とかいろいろな色でやらなきゃいけないけど作った地図はシールじゃないのでいいと思いました。
・どこらへんに段差や車に注意があるかわかりやすい
・視覚障害や車椅子に乗っている人が大きな穴にはまったらあぶない
・あぶないところがわかりやすいと思った
・地図のほうがわかりやすい
・視覚障害者や車椅子の人は地図があったらわかりやすいから
・地図がわかりやすい
・どこにどういうあぶない障害物があるかがとてもわかりやすい
・絵がでていて危険だと思う絵がでているから判りやすい
・シールだったら青とか赤だけれど地図は絵がでてくるから
・段差があるとかがすぐに判ってわかりやすい
・絵がはっきりしているから
・リモコンでやるとわかりやすい
・絵で表わしているのがわかりやすかった
・しるしがあるからわかりやすい

<わかりにくい>

須崎小4年1組
・のってないところがあるから

須崎小4年2組
・テレビよりは紙のほうがわかりやすい
・しるしができるから
・ほんとに見てないところもあるからわかりにくかったです

新荘小4年1組
・マークがどんな意味があるか判らない人は見ても意味がわからないから

※注)子供たちは、本授業の前に紙の地図に色シール(無地)を貼って、それを見ながらリモコンで入力した。この設問に対しては、「紙の地図にシールを貼ること」という具体的作業内容と比較したものと思われる回答が多かった。

テレビのリモコンで地図をつくる授業の感想

須崎小4年1組
・最初先生が紙でリモコンを作ってくれてたのにさわらなかった、でもリモコンを実際にやってみるとすぐにやり方がわかったので面白かった。
・あれみたなのは一度も使ったことがないしさわったこともありませんでした、最初は少し難しかったけれどとても使いやすかったです。
・結構簡単でいい体験でした。
・少し難しかったけど結構おもしろかったです。二回くらい画面が消えたけど何もなくてよかったです。
・最初は難しそうだったけどやってみたら簡単でした。
・自分で動かしたりしてみたりしてどう操作をしていいのかをわかりました。
・ぼくはふたつしかできなかったけどたのしかったです。ゲームみたいなものでした。
・楽しかったです。
・最初は絶対出来ないと思っていたけどやってみると楽しかった。
・最初はぜんぜんわからなかったけどだんだんやってきたらおもしろくなってきた。
・みんな真剣にやっていた。
・やりやすいし早く作れる。
・テレビのリモコンをするときすごく緊張したけどやりやすかったしとても楽しい授業でした。
・最初は「むずかしそー」とか「できるろうかー」と思い、心配だったけどやってみると
・最初はぜんぜんどこをさわっていいかわからなかったけど人のやっているところを見てわかった。おもしろかった。
・面白くてすごく動かすのが楽しかったです。
・テレビのリモコンで作ると手で書くより何十倍も早くできると思う。
・私はもっと細かくて見にくいリモコンかと思ったけどやってみればかんたんで見やすかったです。
・テレビのリモコンで地図を使っていくことができるようになったのはとても便利でした。リモコンを動かしてゲーム感覚でできたのはとても楽しかったです。
・ちょっと緊張したけどうまくできたからよかった。またこれをやる機会があれば是非やってみたい。
・テレビゲームをしているようでやりやすかった。
・難しかったけど紙よりはリモコンのほうがやりやすかった。
・むずかしくてちょっと間違えそうになった時もあったけど楽しかった。
・リモコンでやるのは初めてだからどきどきしながらやったら意外と面白かったです。
・初めて使って少し操作が心配だったけど最後まできれいに出来てよかったです。
・最初はやるのがむずかしかったけれどだんだん使いやすくなりました。
・リモコンはゲームみたいで面白かったしそうやって地図が見てもらって役にたてるなんてとってもうれしいです。
・4字ボタンを動かすのが面白かった。

須崎小4年2組
・最初手がふるえるところでしたけど押しやすくておもしろかった。
・楽しかったです。またやりたいなと思いました。
・リモコンを押したりするのが面白かった。
・ぼくたちが一番最初に使うからどきどきしました。
・押すだけでわかるなら簡単だと思っています。知らない人たちが後ろに集まっていました。見に来たと思った。
・目が痛かった。(※注:プロジェクタとスクリーンの間に悪戯で入ったと思われる)
・リモコンむずかしかったです。紙よりリモコンがむずかしかったです。
・今日はまだ発売されてないやつをやらせてとても凄いしあんなものが私たちはやらせてもらったのでとても感謝しています。
・テレビゲームみたいで簡単に操作ができてやりやすかったです。
・かんたんにできてやりやすかった。
・初めてだったけれど使うのがリモコンだったので使いやすかった。使いやすかった分テレビのリモコンはいつも使っていて使いやすかった。
・初めてだったので緊張しました。
・すごく使いやすかったし画面がきれいで良かった。いい新発明だと思う。
・リモコンで押すところがとても面白かったです。そしてわかりやすかったです。
・いつもの勉強よりやりやすかったし楽しかった。勉強じゃなくて楽しかった。
・今日のリモコンでパソコンをできるまでできると思えませんでしたので家に一台ほしいです。
・スイッチを押すのがおもしろかったです。家にも欲しいなと思いました。
・楽しかった。
・おもしろかった。いつも使っているけど大丈夫かなと思っていても結構できました。
・紙に書くよりリモコンでやるほうが簡単だった。
・おもしろかった。
・とても簡単でやりやすいし大人の人がいなくてもできそうだ。
・ゲームをやっているみたいで楽しかった。家にある身近なものでこんなことができるのはすごいと思った。
・ぴぴぴっと操作ができて楽しかった。
・このテレビを家で使ってみたいです。
・すごくリモコンが大きかったそれにすごくわかりやすかった。
・リモコンを使って地図を作るのが初めてだったので「どこに印をしたらよいか」と友達に聞いたりしてとまどいました。

新荘小4年1組
・テレビのリモコンを使って地図を作るのは初めてだったので楽しかったです。
・テレビのリモコンで地図を作るのが楽しかったしやりやすかったです。リモコンでやると楽しかったです。
・私はリモコンで作ったほうが簡単でした。
・おもしろかったです。
・地図を作る時リモコンでぴぴっと動かして地図を作って楽しかったです。
・リモコンを押す時面白かった。もっとやりたかった。
・はじめて使ったけどいつも家でDVDレコーダーを使っていたからやりやすかった。
・とっても勉強になりました。それで一番リモコンを使うのより体験のほうがよくわかり、これからも視覚障害の人や車椅子の人を助けてあげたいです。
・リモコンでやったほうが紙でやるよりもやりやすかった。作るのは楽しかったです。また作りたいです。
・リモコンを操作するのは難しいかと思ったけどやってみれば簡単で楽しかったです。
・すごくおもしろかったしリモコンの操作をするのが難しかった。
・私はリモコンでやるのがやったことないのでビックリしました。
・テレビのリモコンで地図を作って面白かったです。シールではわかりにくかったけど絵をかいたのならわかりやすくてよかった。
・操作がかんたんだった。
・かんたんだった。
・リモコンが使いにくかった。
・リモコンで操作するのが楽しかったです。
・ゲームみたいで楽しかった。

合同発表会
発表はしやすかったですか(発表者へアンケート)(図 7.3-4)

図 7.3-4 発表しやすさ(発表者)

画面を使う発表は、発表しやすかったですか(発表者)(図 7.3-5)

図 7.3-5 画面を使う発表しやすさ(発表者)

発表しやすかった理由(発表者)
<画面のほうが発表しやすい>

須崎小4年1組
・紙のほうだったらもし小さな字で書いたら自分が見えても他の人は見えないから
・地図だからいちいち手で見せないかんけど画面だったら見やすいです。
・交通に注意などは車のマークがはってあるからです。
・大きいからさしやすい
・良く見えてはっきりしているから
・みんなが見やすいから
・画面のほうが大きくてわかりやすく紙に書くよりもいい。

須崎小4年2組
・画面のほうが大きいから
・画面が大きく棒でさしやすかった
・字が大きいとマークがわかりやすかった
・画面が大きくて地図がわかりやすかったです。
・棒でさすときにすぐにわかってよくできたと思う。
・良く見えるから
・色もついているし、画面があかるいから
・絵がついているから
・自分が伝えたいところをちゃんとさせるから

新荘小4年1組
・絵は小さくて画面のほうが大きいから画面のほうがしやすかった
・大きくうつっているから
・絵は発表する時さしたとき音がでるけど画面だったら音がしない(がさがさ言う?)
・大きくてわかりやすいから
・紙は小さいから画面のほうが発表しやすいと思う。
・紙だったら大きくないけど画面だったら紙より大きいから
・画面のほうが紙より大きいしわかりやすい
・画面のほうが大きいし絵がはっきりしているから

<紙のほうが発表しやすい>

須崎小4年1組
・画面のほうが発表しやすいと思ったけど、指すときにかげになって見えなかった。
・紙のほうがいろいろなところの名前が書いてあるから

須崎小4年2組
・紙だとぜんぶ通ったところの店や場所を書けるけど、画面だと店や場所を書いていないところがたくさんあるのでやりにくい

他の班の人の発表はわかりやすかったですか?(発表者)(図 7.3-6)

図 7.3-6 他の班のわかりやすさ(発表者)

他の班の発表はわかりやすかったですか(聞いていた人)(図 7.3-7)

図 7.3-7 他の班のわかりやすさ(聞いていた人)

他の班の人の発表を聞いてあたらしくわかった事や気づいたことがありましたか

(聞いていた人)

須崎小4年1組
・よく大きな声で発表ができてきちんと危ないところがよくわかった。
・いつも通っている道には危険なところがいっぱいあると思った。
・身近にいっぱい段があること
・街灯がひとつもないことなど
・あまり行かないところの事を知っているのでこんな場所はこんなだとわかりました。
・僕たちの身の回りで目の見えない人などがすごくがんばっていること
・いろいろなところがあぶないとわかった。
・ダイワの裏の道がとても暗いこと
・2組の3グループの発表で、段差が多いことがわかった。
・いつも通っている道なのに段差があることがわかった。
・私たちの町には怪しい人がいるのがわかった。お年寄りは苦労しているのがわかった。
・自分たちの住んでいる町なのにこんなに段差とか怪しい人がいるなんて全然知りませんでした。
・マークを差す棒を持っていて指すところがわからない人がいたけど、ほとんどの人が大きな声で言っていて凄く判りやすかったです。
・歩道が無いところがいっぱいあると判りました。
・須崎病院のところに街灯がないことがわかりました。
・町でいろいろなことがわかって良かったです。
・いろいろなところがあぶないことがわかった。
・町がこんなふうになっていることがわかった。

須崎小4年2組
・どのグループも歩道がなかったり段差があった(特に新荘小)
・新荘小の人たちは中学校のほうでそこにも歩道がない所がたくさんあったことがわかった。
・新荘小の発表が短かった。
・新荘小の段差がある所やあぶない所もわかりました。
・新荘のことがよくわかった。
・須崎市にたくさん歩道が無いことがわかった。
・段差が多いということがわかった。
・みんな発表がとてもすごかった。
・新荘小の周りには段差。夜暗い、そのほかのものがいっぱいあるんだなと思いました。
・学校や学校の近くが暗いのがよくわかりました。
・信号機が無い横断歩道があることがわかった。
・どのグループも危ないところがいっぱいありました。
・郵便局のあたりに怪しい人がいることがわかった。
・新荘小の周りの歩道や道に危ない場所がたくさんあることがわかりました。
・街灯がプールの前についていないことがわかった。
・いつも普通に歩いたりしているけど車椅子やアイマスクをつけると小さなデコボコがすごく怖いことや夜暗いことなどがわかった。
・新荘小の最初の班が言ったこと。
・学校のプールの前が暗いこと。
・怪しい人がどこにいるのかわかった(夜に一人で行かないようにする)

新荘小4年1組
・いろいろなところに行ってちゃんとメモしてるなと思いました。
・1班はゴミとか多くて車もよく来るのがわかった。
・いろいろなところへ行って調べたこと。
・1班はゴミやいろいろなところを見つけてどこにゴミが落ちているところに気がつきました。
・ていねいに言えていたことと大きな声で言えていたこと。
・大きな声で言っていたこと。
・須崎小学校の発表を聞いて、町なのに街灯が無いとか横断歩道が無いんだなと思いました。
・工事中のところがあったりデコボコ道があったりして大変そうでした。
・行ったことの無い道でも危険なところや夜暗そうな事が聞いて新しく判ったことです。
・段差や歩道などどこにあるかがわかりました。車椅子の人は大変なことがわかりました。
・わからなかったところ(がわかった)

画面は見やすかったですか(聞いていた人)(図 7.3-8)

図 7.3-8 画面のみやすさ(聞いていた人)

見やすかった理由(図 7.3-9)

図 7.3-9 見やすい理由(聞いていた人)

今日の授業の感想を聞かせてください(発表者、聞いていた人)

須崎小4年1組(発表者)
・最初はどきどきしていたけれどでもだんだん落ち着いてきたのでやりやすかったです。自分の言葉が読む時少しつまって残念でした。
・ちょっと緊張したけれどなんとかいれることができました。楽しかったです。
・緊張してちょっと順番をまちがえて大変どきどきして大きな声で発表できなかったのでもっとしっかりした声で発表したかったです。
・凄くどきどきした。それに一回練習してなかったから失敗したらどうしようと思ったけど上手にできたらうれしかった。
・はずかしかったけどできた。でもさすところがわからなくてあてずっぽうで指しまくった。
・緊張してそわそわしていたけど発表はできました。感想のとき結構のひとが手をあげてくれてよかったです。東京からきてくれてありがとうございました。
・みんなの前で発表をして恥ずかしかったけどだんだんなれてきました。
・やる時に少し緊張しました。少し場所をさすのがむずかしかったです。終わった時に感想で、わかってもらえたのがうれしかったです。
・ちょっと恥ずかしくても自分でよくできたなあと思いました。
須崎小4年1組(聞いていた人)
・新荘小もみんな須崎小学校もよく言えてあぶないところが良く判った。
・新荘の小学校のことも聞けていろいろな事がわかった。
・新荘のことや他のグループのことがわかり面白かったです。
・今日は新荘との合同発表会でした。新荘や4-2の発表もききやすかった。知らないことなどよくわかりました。
・新荘のやつは夏は沢山行くけど、新荘のことがよくわかった。
・いろんな場所に目に見えない人や車椅子の人が危険なところがあることが判り、頑張って生きていることがわかった。
・障害者の人やいろいろな人が困っているのがわかっていやだと思いました。
・今日の授業で新荘の方に行く時に気をつけたらいいことが良く判った。
・私たちのしらない怖い場所、段のある場所、怖い場所とかがわかって行ってはいけない場所とかがわかって安全になりました。
・みんなの発表がとてもわかりやすかったので段差のあるとか夜暗いとかがよくわかった。自分もみんなの前でやってみたくなりました。
・新荘のほうはあまり行ったことがないので新荘のどこらへんに段差やあぶないところがあるのかがわかりました。
・今日は新荘と2、3時間を使って勉強をして楽しかったです。画面とかも見やすかったし発表をしてくれた人とかの声もよく聞こえました。
・今日の授業はグループの発表はわかりやすくて大きな声で棒もちゃんとそのマークのところにおいていて良かったです。
・今日の新荘の人の発表がよくわかりました。いろんな歩道がないところがいっぱいあるのがよくわかりました。
・あたらしいことがわかって気のついたところがたくさんあって自分がわからなかったところがわかった。聞こえなかったところがあったけど質問とかしてよく判った。
・今日は須小と新荘小で福祉体験のことを一緒に勉強をして楽しかったです。
・新荘小と須小は合流回は2回目だけどすごく緊張した。新荘小が言ったあとに手を上げて発表したかったけどどういう風に言ったらいいか迷ってしまっていえなかったのが少し残念だった。
・今日は二つの学校で発表しあいこしたしとても楽しい勉強でした。

須崎小4年2組(発表した人)
・最初どきどきしていましたが発表したらうまくゆきました。
・ものすごく緊張しました。初めての画面を使った発表だったので上手に発表できるかそうか不安だったけどうまく発表できたのでよかったです。
・最初は緊張してちょっとつまづいたけど後からちゃんとできた。場所を示す時はやりやすかった。ちょっとだけ覚えていたので良かった。姿勢がよくみんな聞いていたので良かったです。今度又新荘と一緒に何かをするときは一緒に遊びたいです。
・あんな大きな画面で発表したので緊張しました。でもわかりやすく棒でさすのもいいと思います。次は全部一人でやってみたいです。
・前にでたときにみんなの目先がこっちを向いていたので結構緊張しました。
・発表する前に練習をしていたから安心して発表ができました。地図の場所が良く見えてやりやすかったです。
・少し緊張して練習どおりに上手にできるだろうかと思ったけど練習どおりにできました。少しつまったけどとなりのクラスの友達が口パクで「がんばれ」と言ってくれました。
・すごく緊張してあまり大きな声をだせなかったので残念でした。でも上手く出来たと思いました。とても緊張しました。
・発表のときには緊張したけど自分の言うところをちゃんといえたのでよかった。
・今日は初めての新荘小と須小の合同発表会をしました。そして4−1の何グループかが終ったら司会者の人が「6グループさんは準備をしてください」といわれたので発表をし始めて2番目に私たちが言う時緊張して声があまりでなかったのでもう少し声を出していたらよかったと思いました。

須崎小4年2組(聞いていた人)
・発表のしかたもよかったし司会者の声もはっきり聞こえたのでよかったです。わたしもやりたかったです。
・とても目の不自由な人と車椅子に乗っている人たちの怖さがわかった。新荘小の説明もわかった。私もあの棒みないなのでみんなに説明してあげたいけど3、6班もすごかった。
・5年でもこんなことがあってリモコンを一人で動かしたいです。
・須崎や新荘の発表を聞いて目が悪い人たちや障害者たちが住みにくいところあぶない人がいるところがよくわかりました。
・今日の発表が一番わかりやすいところは4−1と新荘で4−2はちょっと声がでてなかった。
・新荘小学校あたりのこともよくわかったし須崎小も気づかなかったこともたくさんわかった。今度は須崎市全体の地図を作りさらにくわしく書いてみたいと思いました。
・いろんなとこに「暗い」「工事中」「怪しい」いろいろな場所に気をつけないといけないと思った。私は」怪しい人を気をつけることにしました。夜帰り道が暗いところが多いので遊ぶときは5時までにしました。先生も遅くても早く帰るといいですよ。
・今日はデジタルカメラを須崎小新荘小全員させてくれたしリモコンがとてもおもしろかったです。私はリモコンがとてもよく出来てるしお金がとてもいりそうでした。今度は自分ですらすらできるようになりたいです。今度は私たちが選んでほしいなと思いました。でも練習が難しいと思う。
・今日は新荘小と授業をして楽しかったです。でも新荘小学校の画面は怪しい人がいませんでした。わたしが発表したらあんまり声がでないと思います。新荘小学校と授業できて楽しかったです。
・新荘小学校が発表している時問いを開いて言っているのがいいと思いました。それと地図をあてて指すぼうをするときふちに寄ってみやすかったです。次は発表したいと思いました。
・新荘小の人も違うコースだったから怖いところとかあるところを教えてくれて楽しかった。見るほうも楽しかったしデジタルテレビインターネットで勉強できたから今度は自分で全部操作したり発表をしたい。
・3、6グループは緊張しても上手に発表していました。新荘小はどんな地図をつくっているのかわかりませんでした。見たらわかりやすいように地図ができていたのですごいと思いました。
・ぼくがしらないところまで怪しい人がいたり段差があったり工事中のことがわかりました。また歩道がないところはお年寄りにたいへんというのもデジタルテレビパソコンでどのあたりを知りました。とても便利と思いました。
・どのグループもわかりやすく発表してくれたのでよかったです。発表したグループも超えも大きいグループもあったけれど声が小さい人とかいたから少し聞こえませんでした。でも良かったです。
・となりの何グループかわからんけどつまっていた。
・新荘小と交流出来てよかった。新荘小のまわりのことがよくわかった。須小の別の4年と発表でしらなかったことがいっぱいありました。夜暗いところなどこれから夜気をつけようと思いました。
・須小の人は練習のときよりよく言えていたしはきはきと言えていた。新荘小も上手くいえていて内容がちょっとだけわかった。
・新荘の町はしらないけど新荘小学校の発表を聞いて少しわかるようになった。
いろいろなことが良く判った。普通の画面より大きくてみやすかった。マークだから字より見やすい。

新荘小4年1組(発表者)
・須崎小学校の人はいろんなところを見て話してくれてわかりやすかったです。新荘小学校の発表のときに1班からだったのでどきどきしました。でもやりはじめるとドキドキが少なくなってふつうにできました。3班の発表はよくわかりました。休み時間はおにごっこをして楽しかったです。
・はじめはとでもどきどきしました。でもたくさんの人がいっしょうけんめいこっちをみてくれていたので嬉しかったです。またこういうことをやってみたいです。
・須崎小学校で発表するときどきどきしていました。息がとまりそうでした。
・はじめて須崎小学校にいって想像していたのより小さかったです。発表の時あまり緊張しませんでしたでも他の班が発表したときに感想を言わなければいけなきから感想を言うのは少し難しかったです。
・大勢の前で発表したので緊張しました。
・あんまり緊張しなかったしいつもと同じだった。おもしろかった。
・発表する時に人がいっぱいいたのではずかしかったです。発表が終わるとほっとしました。
・少し緊張したけど一回言うとあとは言いやすかった。

(聞いていた人)
・いろいろなところに目をつけてよくメモっていたのがよかったし、いろいろなことがわかってよかったなーと思いました。
・須崎小と発表をしたので楽しかったです。
・今日の授業は須崎小の人たちと見て調べたことを見ていてその6つの人たちがちゃんと見ているということがわかりました。
・須崎小学校も新荘小学校も緊張しているのにわかりやすかったです。
・今日は須崎小に行って須崎小のみんなと新荘小のみんなの前であいさつをするのはとても緊張したし恥ずかしかったけそ無事に言えてよかったです。
・ほかのコースのこともよくわかって須崎小のほうのコースは危ないところが多いとよくわかった。他の班の発表も聞けて良かった。
・聞くのは大変だったけど須小のいっていることがわかりました。
・須崎にことがいろいろわかった。須崎小学校の身の回りにいろんなところがあるんだなと思いました。
・今日は私があいさつを3人で言ったのではじめどきどきしました。いろいろな人のことが聞けてよかったと思います。
・いろんなところのあぶないところや怖いところが良く聞けてよかったです。高齢者の方や視覚障害者の方には段差があったりして危険なところはまだまだあることがわかり勉強になりました。
・須小にいったことはなかったのでよかったです。須小の4年も発表のしかたがよかったと思います。またやりたいです。
・歩道がないところや危険なところがわかった。

7.4 授業評価/ツール評価

7.4.1 本実証実験におけるハードウエア・ソフトウエア評価

(1) リモコン操作について

授業における入力に要した時間などからの評価
3クラスマーク貼り付け入力に要した単位時間を概算で算出した。結果を表 7.4-1に記す。
今回授業ではチューナを2台使用していたので、実時間は2倍として計算している。
操作練習も紙リモコンで実施し、実機は今回初めてさわった状態で1グループが入力するのに約10〜15分、マーク1個あたりの貼り付け時間で約1分であった。PC操作で同等の作業を実施していないため比較にならないが、操作方法とコツを取得するまでのリード時間を含めて考慮すると、テレビリモコンの操作性はかなり良いのではないかと考えられる。また、児童生徒たちはPC授業の経験は基本的に無いことからも、「PC研修を受けなくても使える」という仮説は実証できると考える。

表 7.4-1 マークあたり入力のはやさ

  グループ数 入力マーク数 地図を直した
グループ数
入力総時間(分)※ 1班あたり
入力時間(分) ※
マーク1個あたり
平均※
須崎小4-1
75 約45(×2) 約15分 1.2分
須崎小4-2
82 約35(×2) 約12分 0.8分
新荘小4-1
58 約35(×2) 約14分 1.2分
       ※入力チューナ2台のため実際は約2倍と想定して入力単価時間を計算

先生へのヒアリング結果からの評価
先生のヒアリングからも、自分で使った場合、児童生徒が使った場合も使いやすいとの評価を得ることができた。特に児童生徒については想像していたよりもずっと早く作業完了した事が印象的だった。またリモコン操作には児童生徒間の操作の格差が出ない(皆同じ位のレベルで進む)ため、ペースが掴みやすい、皆で共有しながらできるなどの利点が見られた。
 保護者が家庭で使えると思うかという質問には、使えるという意見と、PCが苦手な人にはとっつきが悪い(先入観でハードルがある)という意見とがあった。
 特に開発側としては、地図作成の場面で、リモコンが順次操作(クリッカブルマップのように非連続の箇所をポイントできない)事に不安があったが、メッシュ仕様にしたことで操作性も心理的なマイナス点(煩雑な印象)も解消できたと考える。

児童生徒のアンケート結果からの評価
3クラス計の結果を図 7.4-1図 7.4-2に記す。

リモコンの使いやすさ

図 7.4-1 リモコン使いやすさ

紙と比べた作りやすさ

図 7.4-2 紙と比べた作りやすさ

 大多数の児童生徒が「使いやすい」と回答した。これは授業時の様子と合致する。「最初難しかったけれど、やってみたら簡単だった」「人のやっているのを見て出来た。」などという意見も多く、直感的に操作できる事が伺える。また「テレビゲームのようで楽しかった」という意見が多く、実際リモコンを両手で持ち、親指で十字カーソルを連打していた児童生徒が複数人いた。リモコンが使いにくいと回答した児童生徒は6名、紙のほうが簡単(4名)間違えるとアンドウが1回だけだからというGUIに関するもの1名、リモコンが遅いというハードの問題1名であった。メッシュを順次コマ送りしてゆく操作を問題視した児童生徒はいなかった。
 紙と比較した場合もリモコンが作りやすいとの回答が多かった。但し「手が疲れない」「シールは考えて貼って(それを見ながら入力したので画面の作成は)楽だった」等の意見は余り好ましくなく、やはり今回授業のように下書きワークシートに手作業で一旦まとめさせるなど、手はかかるが考えるという工程はどこかに入れて実施すべきと考える。

(2) 画面の見易さ
  先生へのヒアリング結果からの評価
 先生のヒアリングからは、見やすかったとの評価を得た。
・プロジェクタに関するハード的なもの
 画面が大きく見やすい(教室では70インチ相当、発表時は100インチ相当)やはり大きな画面であると、皆が情報を共有しながら作業できる、PC教室だと全く個別作業になってしまうので、このようなスタイルも良いとの評価であった。
・ソフトウエアのデザイン
 当初設計よりマークの色彩を変えるなどして、判りやすいものになった。但し、他校の校区については余りイメージできなかったかもしれないとの意見も頂いた。可能であれば取材箇所のデジタルカメラ写真などをリンクできれば更に理想的であったかもしれない。(但し子供たちから、写真も一緒に貼りたいという意見はなかったとの事)
 また地図をメッシュ仕様にしたことへの評価を頂いた。

 児童生徒アンケート結果からの評価
 3クラス総計したアンケート結果を図 7.4-3図 7.4-4図 7.4-5に示す。

地図のわかりやすさ

図 7.4-3 地図のわかりやすさ

発表画面のみやすさ

図 7.4-4 発表画面のみやすさ

見やすい理由

図 7.4-5 見やすい理由

 グラフ図 7.4-3は地図を作成した時のアンケート、グラフ図 7.4-4は発表時の画面の見易さについてのアンケートである。
 作成時の判りやすさについては、86%が紙より判りやすいと回答した。自由筆記欄でみると、ソフトウエアのマークアイコンがわかりやすかったという意見が非常に多く、これは事前に紙の地図にシール(無地)を貼った具体的作業内容と比較したと思われ、紙とデジタル画面の属性を概念的に比較したものとは多少意味合いが違うが、子供たちが、色や絵に非常に興味を持つことを示している。事前に先生方との打ち合わせでマークの色やデザインを変更しながら作成したが、それが評価されたものと思われる。他には枠(メッシュ)があるのでわかりやすい等の意見があり、ここでもメッシュにした効果があらわれた。一方わかりにくいという回答では、実際に行ってないところ(調査コースから外れた街路区域)があるから、また発表時のアンケートになるが、施設名などが詳細にかかれていないのでポイントしにくかった。(紙地図のほうが詳細に出ている)とあり、先生ヒアリングの「知らない地区はイメージしにくいかもしれない」との意見と重なるところがある。本サイトを開発する時、数種類の地図データを選択したが、地図そのものを子供たちの書いたイラスト地図をベースに作りこむという案もあったが、地図そのものも子供たちに作成させることでより地域への知識があがったかも知れない。(但しその場合メッシュ等がかけにくい難点がある。)またメッシュの大きさは操作性と地図指定の詳細さとのトレードオフであったが、子供たちのなかには、同一地点にアイコンを複数貼りたいという意見もあったそうである。
 グラフ図 7.4?5は発表会時のもので、「地図がわかりやすい」が半数、「画面が大きく明るい」が40%になっている。自由筆記欄には「画面が大きく明るい」等プロジェクタの性能によるコメントが多い。
 文字については今回開発サイトでは、殆ど文字を読まなくても利用できる画面設計であったためか、文字が読めない等の意見は無かった。文字が多く出現する画面は登録時の確認画面(図 7.4-6)であり、この場面では「登録ボタン」を押すだけなので、特に文字が小さい等の意見がでなかった。「ネットTVガイドライン」では文字は16ポイント以上が推奨であるが、教室の場合家庭より更に広い空間で見るので、極力文字を読まなければ操作できないデザインは避けるか使用しても大きな文字を使用することが望ましいと考える。

図 7.4-6 文字の入った画面例

7.4.2 本実証実験におけるデジタルチューナを活用した学習利用環境の評価

(1) 児童生徒に対する効果

 先生へのヒアリングの中では、「画面を囲み、皆が役割分担しながら共同作業していた」PC教室で個別で作業するのとは又違うグループワークの形に使えるのではという評価があがった。また子供たちはコンピュータ関係のものにはとても興味があり、今回のリモコン操作も楽しみながらやっていたと思うという意見、また児童生徒のアンケートにも「楽しかった」というコメントは非常に多かった。また「地図を見てもらって役にたてるなんてとってもうれしいです」等のコメントもあった。
 また地図作成の授業の中で3クラスとも他のクラスの地図には大きな興味を示していた(自分たちのを作り終えた後、「須崎小のを見たい!」と言っていたので興味があるのだなと思いました。新荘小先生談)のように、合同プロジェクトを実施してその結果を相互に閲覧できる事は子供たちの興味を非常に引くことが判った。またこれを家のテレビで見たいという意見も複数あり、実際に学校での授業結果を家族に家のテレビで見せることができれば、子供たちにとっても嬉しいことなのではないかと考える。
 合同発表会では、他の班の発表が良く判ったという意見は75%を超えた。(図 7.4-7図 7.4-8)これに関しては、テレビのみでなく発表のしかたや実地調査の体験を通してなど複合した要因があると思われるが、コメントなどを見ると、障害者や高齢者に対する配慮や危険に対して気をつけようと思ったなど、授業を通して、町に対する関心が向上したことが伺える。

他の班のわかりやすさ(発表者)

図 7.4-7 他の班のわかりやすさ(発表者)

他の班のわかりやすさ(聞いていた人)

図 7.4-8 他の班のわかりやすさ(聞いていた人)

(2) 普通教室にデジタルテレビを1台設置する環境について

 先生のヒアリングから、上記のように、画面を囲んで共同作業をするのに良いという意見を得た。またテレビは起動が早いので、授業の中で一部ちょっと調べるという用途においてはテレビのほうが便利であるとの意見を頂き、PC教室とは違う利用法の可能性があることが検証された。一方、入力作業時の環境としては、操作しているグループとそれ以外のグループのバランス(何も作業が無い児童が出ないように)という授業計画に配慮が要るという課題が抽出された。今回のような一斉入力にはPCを使い、皆で見たりちょっと質疑応答をしながら進めるなどの場合にテレビを使うなど、PCとテレビを複合しながら利用する方法も有効と感じられた。ただ操作自体はリモコンの項であったように、3〜4年生のようにPCに不慣れな学年にとっては、リモコンのほうが導入性親和性は高いかもしれない。また先生のヒアリングの中で、MicrosoftPowerPoint(R)のようなものはテレビに向くという意見があったように、教材をページめくりしながら提示するようなもの、またそれにQ&Aなど簡単なインタラクティブ性が付加された教材であれば、普通教室で授業を進めながら皆で見る、考えるという授業方法に活用できると考えられる。
 また今回はPC教室からケーブルを引き回して使ったが、実運用するには、普通教室に無線LANの環境が欲しいとの先生の意見があった。

(3) 入門層の先生に対する支援性

 操作性に関しては、「PCに慣れた人にはリモコンはまどろっこしい印象がありますが、全く初めての人にはリモコンのほうが使いやすい」(先生ヒアリング)のように、PC研修を受けなくても、MicrosoftPowerPoint(R)スライドショー提示相当の事を実現できる事で普通教室における授業支援性はかなりあると考えられる。
 初任者の先生がテレビである程度できたら、次にPCも使いたいと思うかという問いには、そう思うという意見と、PCはPC、TVはTV(それぞれ別のもの)という見方で見るかもしれないので、必ずしもTV→PCという順序ではないかもしれないという意見があった。「実際はPCを使っているのかもしれないが、そう思わず使える」(後述、東京都神應小学校先生)とあるように導入時の支援性はあり、それがPC動作と同様という認識にあれば、PCに対する敬遠感はかなり解消されると思われる。

7.4.3 標準化にむけてのツールの改善検討点

 今回サイトは本実験のために開発したため、実験協力校の先生が操作する事を想定してデザインされているが。授業実施して意見聴取した結果やeスクエアアドバンスでの評価を加味して、普及モデルにした場合の改善点を以下にまとめる。
主な改善検討点は以下の通り。
 作る、見る、直す、消すの全てのメニューが集まっているが、ユーザーによって閲覧できるものを変える。
 今回教員が操作することを想定して全てのメニューが操作できるが、今後児童生徒や保護者や一般者がテレビで閲覧することを考慮すると、「見る」は独立させ、ログイン無しで閲覧可能にする。
 他学校対応及び設定作業のPCメニュー化
 汎用化し、他学校も利用できるために、地区の指定などを学校側で可能にする。この作業はテレビリモコンでは煩雑なため、PCで設定するメニューとする。先ずサイト利用は会員登録制とする。地区の指定には現在2通りの手法が考えられる。
 1)市販地図パッケージソフトを使用する方法
 学校側で指定の地図パッケージソフトウエアを購入頂き(地図利用ライセンス契約がされる)使用したい区域を指定矩形で切り出し、サイトにアップロードして使用する。
 2)自作地図を使用する方法
 地区によっては、市販の地図パッケージソフトに適切な縮尺版がリリースされていない場合がある。またグループが調査したい区域と地図の縮尺が合わない場合もある。このような場合、地図そのものをイラストマップのような形で作成してもらい、指定サイズの矩形にしてサイトにアップロードして利用する方法が考えられる。
 「地図を作る」のPC対応化
 今回実験でもあったように、チューナが1台の場合グループで順次交代で地図マーク入力作業をすると時間がかかる欠点がある。入力作業はPCからもできるようにPCサイトも作成し、データをテレビサイトに合流する方法も考えられる。
 地図のバリエーション化
 今回は福祉や防犯のマップであったが、子供たちのアイデアにもあったように、地域の歴史スポットや名人マップなど他の目的にも流用できる。ボタンアイコンも数種類用意して用途に応じてボタンを選べるようにすることも考えられる。

8 デジタルテレビ全般の利用可能性等調査

8.1 デジタルテレビの動向等

 デジタル放送は、従来のアナログ放送に比べ高品質、多チャンネル、双方向サービス等が特徴であり、既にBS、CSなど衛星放送が本格稼動しているが、今後地上放送も漸次デジタル化され、2011年には完全にデジタル移行となる。現在テレビの世帯普及率は99%(内閣府平成16年度消費動向調査より)と圧倒的な普及率を占め、その台数は約1億台とも想定されており、地上デジタル放送が社会や生活に与えるインパクトは非常に大きいと考えられる。本稿ではデジタル放送の中でも地上デジタル放送を取り上げ、前項インターネット接続機能とあわせて、デジタルテレビチューナーの教育利用の可能性や課題について考察するものとする。

8.1.1 地上デジタル放送

(1) 地上デジタル放送の概要

 2003年12月に関東、中京、近畿圏で運用開始になった地上デジタル放送は、順次運用エリアを拡大し、2006年には全国で運用開始となり、2011年には現行アナログ放送が終了し、全面的にデジタル移行となるスケジュールとなっている。
地上デジタル放送の主な特徴を下記に述べる。

   高品位な画像、音声
    デジタルハイビジョン(HDTV)1125本走査線16:9画面(又は標準画質(SDTV)走査線525本)の高画質映像、また音声はMPEG2AAC5.1chドルビーサラウンドシステムにより高精細で臨場感のある映像コンテンツを配信できる。
   多チャンネル化(マルチ編成)
    標準画質放送の場合、1チャンネルの帯域を最大3分割して3番組まで同時並列放送することができる。同一番組内で異なるカメラアングルでの放映や、放送時間延長などによる時間変更が発生した場合に、2番組を同時並行放映するなどが可能である。2004年アテネオリンピックに際し、NHKが複数会場の同時放映を実施した例等が挙げられる。
   データ放送(及びデータ放送を利用した双方向サービス)
    従来アナログ放送においても文字多重放送などのデータ放送は存在したが、デジタル化により、使用できる帯域が大幅に拡大され、より多彩な情報を提供できるようになった。データ放送は、広義には予約時に利用される電子番組ガイド(EPG)機能、字幕スーパー機能、各テレビチューナに搭載されたブラウザなどの一斉アップデート等に利用されるダウンロード機能なども含むが、地上デジタル放送のデータ放送として代表的なのはBMLで記述されたマルチメディアデータコンテンツによる情報提供が挙げられる。(詳細項に記す。)
   サーバ型放送
    オンエア放送のみでなく目的の番組を予約しサーバーに蓄積し、オンデマンドで任意に呼び出し視聴できるもの。(詳細項に記す)
学校教育においては、授業時間等の関係もあり、オンエア放送を授業においてリアルタイムで視聴するというケースは発生しにくく、上記の双方向のプラットホームを活用したのサーバ型放送の活用が期待されている。以下次項にの詳細事項を特記する。

(2) データ放送
 地上デジタル放送では、マルチメディアによる付加情報提供が可能である。本線番組に連動して、その番組に関連のある付帯情報を提供(例スポーツ番組でその選手の情報を提供する、旅行番組で紹介された店舗や観光スポットの詳細情報を提供するなど)の番組連動型や、本線番組とは関係なく天気や交通情報などを独立して流す形も可能である。画面のイメージを図 8.1-1に示す。

図 8.1-1データ放送のイメージ

 BML記述
 データ放送コンテンツは、BSデジタルやCSデジタルにおけるデータ放送と同様、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses(電波産業会))の規格に基づきBML(Broadcast Markup Language。XMLをベースにARIBが放送用に規格化(ARIB STD-B24)したマークアップランゲージ)で記述されている。BMLの詳細については本稿では省略するが、HTMLとの違いで特徴的な部分は、時間軸の概念を持っていることで、イベントメッセージの指定(即時にアクションする、指定時間にアクションするなど)番組の終了通知、タイマー設定時刻の通知などの機能を持っている。例えばHTMLでは、サーバー側のコンテンツを更新した場合、ユーザがリロードをするまで更新が反映されないが、BMLでは更新情報を強制的にユーザ側のブラウザに反映させることができる。この他BMLでは映像、音声、アニメーションなどの再生位置指定や状態通知などの機能も持っている。
  データ放送の伝送
 作成されたマルチメディアコンテンツは、映像はMPEG2Video音声はMPEG2AudioAACにそれぞれ圧縮され、PES(Packetized Elementary Stream)という可変長パケットにエンコードされる。またその他BML記述データ、画像、チャンネル情報などのデータは「セクション」と呼ばれる可変長パケット形式にエンコードされる。更にPES及びセクションを多重化し、4バイトヘッダ付の188バイト固定長パケットに分割したものがTS(TransportStream)である。データ放送の伝送はこのTSの形で伝送され、受信機側でデコードされてブラウザ上で表示される。
  BMLコンテンツの双方向機能
 BMLコンテンツはマルチメディアコンテンツであるので、受信再生しているコンテンツをリモコンで操作しながらインタラクティブに閲覧することが可能である。またプログラム内の参照URLに従い、外部サーバーの参照を行ったりする事が可能である。テレビショッピングの申し込み等がそれにあたる。イメージを図 8.1-2に示す。

図 8.1-2 データ放送イメージ

(3) サーバー型放送

 地上デジタル放送の教育利用において最も期待されているのがサーバ型放送といえる。
配信される番組やデータ放送等を一旦サーバーに蓄積し、任意の時間にオンデマンドで閲覧するもので、ARIB STD-B38にて2003年に規格化が開始され、サービス開始にむけて整備中である。配信されるコンテンツに「メタデータ」が付与されること、また蓄積して利用するため、コンテンツの権利保護に関して配慮がされる事が特徴的な点である。

メタデータ
 メタデータに関しては大きく
・記述言語型メタデータ(コンテンツの内容に係るもの)
・番組配列情報(伝送時の識別等に係るもの)
に分類される。記述言語型メタデータに関しては、番組タイトルやジャンルに関するもの、コンテンツの利用規則などに関するもの、コンテンツ内の各シーンの開始時間や保持時間などに関するもの、ユーザーの利用履歴などに関するもの等の種類が策定されている。番組配列情報メタデータに関しては、配信時のEPGとして表示する時の情報を制御するための情報として用いられる。
メタデータを利用した活用イメージとして、録画したいコンテンツをキーワードで予約蓄積したり、コンテンツを構成する内容にもメタデータが付与され、任意のシーンを呼び出して視聴したりすることが可能になる。(例、贔屓の野球チームをキーワードとして全ゲームを録画予約し、その中から任意の選手のヒットした打席だけをダイジェスト視聴するなど。イメージを図 8.1-3に示す。)

図 8.1-3 シーン検索のイメージ

権利保護(DRM)
 コンテンツにの権利保護については、コンテンツの複製回数をコンテンツに付加して配信する、伝送時に暗号化を行い、正当な受信条件に合致する受信機に対して暗号鍵を付与する、受信機からDVDレコーダなどコンテンツの2次複製に関してはその2次複製機器に関してもコンテンツ利用条件に合致した機器にのみ許可されるような信号を付与する事等でコンテンツ毎、利用者条件毎などの利用権利をフレキシブルに保護できるよう配慮されている。また、有料コンテンツのスクランブル解除などには現在B-CASカードが用いられているが、今後ユーザー個人の属性まで識別でき、視聴した時点で課金するS-CASカード等の導入が予定されている。
コンテンツの伝送
 コンテンツの伝送には、蓄積と同時に視聴も可能な方式(ストリーム型サービス)と、蓄積が完了しないと視聴できない方式(ファイル型サービス)の2方式が策定されている。ストリーム型サービスについては、現行のデータ放送等の運用方式と互換性がとれるよう策定されている。
放送と通信の複合サービス
 蓄積されたコンテンツ中に記載された参照URLなどによりインターネットを介し外部サーバの情報をアクセスするなど、放送・通信を複合させたサービスが可能になる。また上記の権利許諾また著作権処理の範囲下において、サーバに蓄積されたコンテンツを通信回線によって二次視聴するなどの利用法が新たに生まれる事が想定されている。

 サーバー型放送は、著作権保護や課金制度も整備された巨大なビデオオンデマンドのサービスが全国規模で可能になるイメージであり、学校教育にとっても期待値が高い。イメージを図 8.1-4に示す。

図 8.1-4 サーバ型放送イメージ

8.1.2 インターネット接続機能

(1) ネットTVガイドライン(デジタルテレビ情報化研究会)
 前項地上デジタル放送のBMLサービスのため、デジタルテレビにインターネット接続機能が標準装備されるようになった。また家庭におけるブロードバンド導入率が上がっており、デジタル放送サービスに加えてインターネットのサービスを簡単かつ便利に楽しむという環境が整備されてきた。これらの動向の中、デジタルテレビ情報化研究会は上記趣旨によりデジタルテレビのインターネット(HTMLコンテンツ)接続機能に関する運用を検討し、その標準ガイドラインを策定するため2003年設立された研究会である。2004年12月現在82社の参画があり、国内電機メーカでは三洋電機(株)、シャープ(株)、ソニー(株)、東芝(株)、日本ビクター(株)、(株)日立製作所、パイオニア(株)、三菱電機(株)、松下電器産業(株)等がメンバーとして参画している。
 同研究会では、異なるメーカーの搭載するブラウザでも共通したコンテンツの閲覧性や機能を提供できるよう、ネットTVガイドライン及びネットTV端末仕様書を策定した。(※2005年2月現在、Ver1.0がリリースされており、http://nw-dtv.jp/documents/index.htmlよりダウンロードできる)
 ネットTVガイドラインでは、端末実装にかかるもの(表示領域、フォーカス制御など)コンテンツ制作にかかるもの(ドキュメントタイプや文字、リンクなど)のガイドラインを示したものであり、ネットTV端末仕様書はその細目仕様を示したものである。
本実験で開発したコンテンツは本仕様に基づくものであり、5.5.1PC用HTMLコンテンツとの相違(留意)点等に示した仕様(HTML4.0、CSS1/CSS2対応、SSL2.0、SSL3.0対応、・使用できる画像オブジェクトとしてGIF/Jpeg/PNG、Flash及び動画音声は非対応など)がそれにあたる。
 またネットTVガイドラインの中では、運用サービスのためのポータル機能の提供を推奨している。ポータルサイトとはリモコンのインターネット接続ボタン(※注:本機能を装備したチューナの場合)を押下した時最初にアクセスされるサイトで、ユーザー認証、コミュニケーション機能、課金機能などを装備することを推奨しているが、ポータルの具体的なサービス内容については、各運営主体(コンテンツプロバイダ)のポリシーに任されている。
(2) 「Tナビ」(TM)サービス
 「Tナビ」(TM)は上記ネットTVガイドラインに基づき、松下電器産業がコンテンツプロバイダーとして運営するテレビのインターネットサービスである。2003年5月にサービスを開始し、松下電器産業の地上デジタルチューナ全機種および日本ビクター(株)、三菱電機(株)、パイオニア(株)、シャープ(株)、三洋電機(株)、富士通ゼネラル(株)、マスプロ電工(株)日本アンテナ(株)の一部機種でサポートしている。(※2004年11月現在)尚、今回授業で使用したTU-MHD500はBML/HTMLコンパチブルのブラウザを搭載している。
 リモコン上のインターネット接続ボタン(「Tナビ」ボタン図 8.1-5)を押下することで、「Tナビ・ポータル」に接続される。

図 8.1-5 「Tナビ」ボタン

以下に「Tナビ・ポータル」メニューのイメージを記す。
ポータルに接続されるとトップページが表示される。(図 8.1-6)

図 8.1-6 「Tナビ・ポータル」トップページイメージ

メニューリストを選択すると、各カテゴリ毎のメニューが表示される。
更にカテゴリメニューを選択すると、コンテンツ一覧が表示される。


図 8.1-7 メニューリスト

図 8.1-8 カテゴリスト

図 8.1-9 コンテンツの例

2005年2月現在、参画サービスコンテンツ数約120種以上をサポートする。
各カテゴリと主なコンテンツを表 8.1-1に記す。

表 8.1-1 各カテゴリと主なコンテンツの例

カテゴリ
主なコンテンツ
ニュース/天気
asahi.com 朝日新聞社 他
映画/チケット
電子チケットぴあ ぴあ(株)ぴあデジタルコミュニケーションズ(株)他
テレビ
WOWOW  (株)WOWOW 他
旅行
JTB (株)ジェィティービー 他
地図/交通
ATIS交通情報 交通情報サービス(株) 他
美容/ファッション
@cosme (株)アイスタイル
レシピ
味の素レシピ大百科 味の素(株) 他
グルメ
グルメぴあ ぴあ(株) ぴあデジタルコミュニケーションズ(株) 他
タウン
iタウンページ NTT番号情報(株) 他
コミュニケーション
いまドキ!ランキング (株)日経リサーチ 他
学び
テレビで百科 (株)日立システムアンドサービス
はじめての漢字 (財)日本漢字能力検定協会
まいにちのえいご (株)ECCラーニング
STEPUPぴあ (株エアービジネスコンサルタンツ
辞書ON TV イースト(株)
探検キッズ 松下電器産業(株)
健康/医療/福祉
健康・体力づくり (財)健康・体力づくり事業財団 他
出前/宅配
クロネコヤマト宅急便 ヤマト運輸(株) 他
くらし
ペット大好き! (株)ペットオフィス 他
ショッピング
紀伊國屋書店BookWeb (株)紀伊國屋書店 他
ゲーム/趣味/占い
IQチャンネル (株)サミーネットワークス 他
スポーツ/レジャー
つり天国 (株)廣済堂 他

「Tナビ」利用ユーザの動向等
 2004年「Tナビ」利用ユーザに対し利用に関するアンケート調査を行った結果を参考までに記す。
・日常のどんな時に利用しますか?
 ニュースや天気などの情報を知りたい時
 目的地の地図を調べたい時
 宿や交通チケットをとりたい時
が上位3位の回答であり、簡単な調べごとをしたい時に利用していることがわかる。

・アクセス上位20位の内訳
 調べ物系コンテンツ(天気、地図、交通等):8タイトル
  娯楽系コンテンツ(ゲーム占いカラオケ):5タイトル
 レジャー系コンテンツ(旅行・宿・ツアー):3タイトル
 ニュース系コンテンツ(ニュース速報):2タイトル
 レシピ系コンテンツ:1タイトル
 デリバリー系コンテンツ(出前宅配):1タイトル
という結果であった。ここでもちょっと調べるというニーズが高いことが判る。

 尚、テレビのユーザーは未就学児から高齢者までを含むため、誤って悪意あるサイトに誘導されるなどの事からユーザを保護する観点等から、「Tナビ」サービスでは、コンテンツを掲載する場合は、ポータルに登録申請することを基本事項としている。

8.2 デジタルテレビ活用の事例等

(1) (教育分野事例)港区神應小学校におけるサーバー型放送想定実証実験(日本放送協会)
 本実験は、日本放送協会が2004年東京都港区の神應小学校において、来るべきサーバー型放送運用開始にむけてその環境を想定し、メタデータによるコンテンツの授業活用の可能性を普通教室にて実験実証した事例である。(本事例は「デジタルテレビとT-learning〜海外事例とNHKデジタル教材を中心に」第11回日本教育メディア学会年次大会。およびNHK教育放送(2004年11月6日放映)により実験のその経過が紹介された。)
 港区立神應小学校の一連の教科の授業において、メタデータを付与した教育用ビデオクリップが蓄積されたサーバーより、適宜児童生徒の理解や興味に適合したビデオクリップコンテンツをテレビリモコンの簡便な操作で呼び出しながら授業を進行させてゆく事により、より深い理解や興味を引き出す効果を実証したものである。
 コンテンツの予約は、学年、教科別に検索し、コンテンツのタイトルを選択、1年予約や任意の放送回を指定できるようになっている。蓄積されたコンテンツはそのメインタイトルのほか、コンテンツの内容が更に小さなクリップで構成され、それぞれにその内容の概要がわかるメタデータが付与されている。これらを授業において臨機応変に生徒に提示しながら授業を進行する。また授業シナリオと、そこで使用するクリップを予めサーバーに登録しておき順次使用できる「マイ黒板」機能も有している他、教師や児童生徒が撮影した動画や静止画もサーバーに登録できるようになっている。
 上記11月6日の事例紹介番組では、児童生徒の反応を見ながら授業の進行を誘導してゆく手法に、活き活きしてゆく生徒たちの姿が紹介されており、ビデオ教材をタイムリーに活用してゆく授業法の効果が感じ取れた。また別途当該授業を実施された先生に機会を頂きヒアリングを実施することが出来たが、ビデオクリップ教材を使う効果(リアリティの実感、理解のしやすさ)ハイビジョン映像の臨場感、テレビの操作の簡便さ(実質はPCを使うのと同等の行為であろうが、そう感じず使える、すぐ使える)幅広い教科で活用でき、他の先生方でも使おうという機運がある等のご意見を伺うことが出来た。

(2) (自治体公共分野事例)岐阜県岐阜市における自治体公共サービス実証実験(総務省)
 本実験は2004年2月から3月にかけ、中京テレビ放送のデータ放送を利用して、岐阜市内約150世帯を対象に行政情報などを提供する実証実験を実施した。(本実験内容は総務省HP(http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040519_1_1.html#n1)に詳細紹介されている。
 全体概念図を図 8.2-1に示す。

図 8.2-1 岐阜市における自治体公共サービス実証実験概念図
(http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn031120-2/jn031120-2.htmlより参照)

配信したコンテンツは以下の通り
・行政情報提供サービス(地上デジタル放送による片方向サービス)
 地方公共団体がインターネット等を通じて提供している行政情報をはじめとする地方公共団体の提供ニーズや住民の利用ニーズの高い行政情報等
・詳細情報提供サービス(インターネット等通信回線を利用した詳細情報提供)
 情報量の多い行政情報等について、地上デジタル放送を通じてそのポータル画面を送出し、モニタ世帯の受信端末からインターネット又は電話回線・モデムを利用した通信による要求に応じて、実証システムのサーバからより詳細な情報
・施設予約等サービス (簡易な認証を含む双方向サービス)
 サービス 地方公共団体の公共施設情報等を地上デジタル放送を通じてモニタ世帯に送信し、公共施設の利用等を希望する者が、モニタ世帯の受信端末からインターネット又は電話回線・モデムを利用した通信及びあらかじめ登録したID/パスワード等
 サービスの具体的内容については以下のような内容を放映した。
-催事・レジャー情報のお知らせ
-福祉・保健関連のお知らせ
-公共施設の案内・空き情報照会および予約・申込み
-TVによるアンケート調査 等
 モニタ150世帯のうち6割以上が、テレビによる情報アクセスをPCより便利と回答し、その理由として、起動に利便(わざわざ起動しなくても良い)テレビ視聴時についでに見ることが出来るなど、気軽に、迅速にアクセスできる点に評価が集まった。
 尚、本実験は2005年2月中旬より約1ヶ月間2年目の実験として岐阜県及び岐阜市及び各務原市において複数自治体連携サービス、放送連動のデータ放送サービス、個人認証サービス等を実施予定である。
 実験イメージを図 8.2-2に示す。

図 8.2-2 岐阜市他における行政サービス実証実験(2年次)概念図
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn041217-2/jn041217-2.htmlより

(3) (防災分野事例)兵庫県緊急防災情報提供システム(情報通信研究機構)
 本システムは、兵庫県が2004年5月に設置した「地上デジタル放送活用研究会」(協力神戸市外語大学、(株)サンテレビジョン、KDDI(株)、(株)ウエザーニュース、待つしたっ電機産業(株))における調査に基づき、(株)サンテレビジョンと松下電器産業が開発を行ったものである。
 データ放送の仕組みを利用し、緊急事象が発生した場合、視聴者が通常の放送を視聴中であっても、強制的に緊急時用のデータ放送に画面を切り替える仕組みを持っている。
 システムのイメージを図 8.2-3に示す。

図 8.2-3 兵庫県における緊急防災情報提供システムイメージ
http://panasonic.co.jp/pss/news/jn2005/050114/index.htmlより

  本システムはデータ放送の強制割り込み機能を活かし、本放送時にも、緊急情報を詳細に伝達することを実現するものである。

(4) (防災分野事例)新潟地震災害安否情報提供(日本放送協会)
 本事例は、2004年10月に発生した新潟地震において、日本放送協会(NHK)が実施したものである。被災者の中に家族知人が含まれるかどうかの情報確認をシステムをインターネットホームページに有していたが、アクセス集中のため情報伝達が滞った。このときインターネットの他、携帯電話、およびNHKの放映するデータ放送により、上記機能を提供した。本ケースの場合、下り情報(被災者の安否情報)は放送波を使い伝送しているためアクセス集中による障害を受けにくい。データ放送は本線映像(ニュースなど)に連動でき、PC、携帯電話を保有しないユーザーでも利用できるため、今後地上デジタルが各世帯に普及した場合非常に有効な情報伝達手段となると考えられる。

(5) 「サーバ型放送実証」〜CASプラットフォームを用いたサービスモデルの提案〜(全国独立UHF放送協議会他)
 本実験は、全国独立UHF放送協議会、KDDI(株)、三菱商事(株)、(株)デジタル・インタラクティブ・ダイナミクス、近畿総合通信局の共同により、(株)サンテレビジョンの放送波を使い、CASを利用した蓄積型コンテンツの実証をが実施されたものであり、(株)KDDIホームページ(http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/0906/index.html)に詳細が記載されているものである。
 CASカードにより、映画などのコンテンツを視聴時課金(視聴してから一定期間視聴可能など)や定額課金などの実証を行ったものである。

8.3 デジタルテレビ教育活用における今後の可能性等

8.3.1 テレビチューナ活用の特徴および利用法

(1) 特徴
以上これまでの内容からPCと比べ、テレビチューナによるIT活用には大きく以下の特色が挙げられる。
簡便な操作性、汎用性
 PCと比べてリモコンで簡便な操作が多く、複雑なタスク処理には向いていないが、簡便な操作性で万人に対するユーザアクセスビリティが高い。ユーザ(児童生徒や先生)の操作リテラシーに対しそれほど差が出ず、ペースの揃った授業が出来る。
圧倒的な普及率、ユーザの多さ
 テレビの市場台数は2011年想定で1億台とも言われ、ほぼ全世帯に普及している。操作できる人口数も非常に高く、この特徴を活かせば学校と家庭、学校と地域ぐるみの情報交換などが可能になると考えられる。
大量の下り情報に向く
 特に放送の場合は下り情報の帯域が大きく、大容量の情報を広域のエリアで受け取れる。汎用的な情報を一斉受信することなどに向いている。また受信した情報を皆で共有し、討議すること即ち普通教室の授業スタイルに向いていると考えられる。

(2) テレビでカバーできると想定できるIT活用
 下記図 8.3-1に、PCの操作リテラシーと対応するアプリケーションおよびそれに相当する部分をテレビでカバーできると想定できる部分を表としたものを示す。
 PCの場合、操作経験の無いユーザーが、研修を受講せず、PCハードウエアを目の前に置かれた場合、マウスでリンクをたどる程度以外は恐らく操作することは困難と思われる。(マウスの操作自体も、最低1回以上は練習が必要と思われる。)テレビでのリモコン操作の場合、研修を受けなくとも直感的に、下記図で表わしたビデオコンテンツの提示、CD-ROMコンテンツ(ドリルなど)の固定されたプログラムコンテンツ、既に作成されたコンテンツ画面(インターネットのページ表示等)相当は操作が出来ると考えられる。普通教室での授業の場合、これらの操作が可能になるだけでも相当数の授業支援が可能であると考えられる。従来はこれら提示するコンテンツを探す準備に手間がかかる(あるいは所在不明で入手不能)であったが、双方向機能が可能になったことにより、欲しいコンテンツを検索リクエストして入手することが可能になる。これらによりIT活用の裾野は大幅に広がる可能性を有していると考える。

図 8.3-1 PCリテラシーとTVでカバーできると想定できる範囲

8.3.2 教育分野における想定活用モデル

(1) サーバ型放送によるコンテンツ配信モデル
 サーバ型におけるモデルとしては、(教育分野事例)港区神應小学校におけるサーバー型放送想定実証実験(日本放送協会)のケースがモデルパターンとして想定される。
 8.1.1(3)の項で記載したように、サーバ型放送は、著作権管理、課金管理のプラットフォームを含む、巨大なビデオオンデマンドシステムが全国で可能になるイメージである。
 視聴覚教材を利用する効果は従前より認められているが、従来は提示するビデオ教材の所在、内容の確認、使用許諾の準備が大変であり、利用できる教材の数にも限りがあった。また教室内で利用する環境にしても、提示する事前にビデオの頭出し等を準備しておく必要があり、複数の教材があった場合など準備が煩雑になるきらいがあった。サーバー型放送のモデルにより、希望する番組を予約利用でき、詳細内容の確認も要約ををみながら簡単に出来ることから利用環境の利便性が遥かに向上する。またリモコンによる簡便な操作で多くの先生にすぐ利用してもらえること、特定教科に偏らず、教科全般的に適用できる(放送されるコンテンツが充実する必要があるが、学校・また地域で個々に作成するより多くのコンテンツが利用可能になることが想定される)また、8.1.1(3)の実験モデルでは、ある先生の授業計画(マイ黒板)を登録し、それを他の教員が参考にできるなど、活用の裾野は広い。活用モデルのイメージを図 8.3-2に記す。

図 8.3-2 サーバ型放送によるコンテンツ配信モデルイメージ

 各学校が直接授業で求めるコンテンツを予約録画して利用、若しくは、教育センターなどに設置された集中サーバーに、学年別、科目別などで一括年間予約し蓄積したものを各学校で二次利用する。各学校はメタデータを利用して求めるコンテンツを検索できるほか、二次利用を許諾されたコンテンツ及び受信機をシステム側で判別して著作権に配慮し、課金も含めた運用が出来る。

(2) インターネット接続による地域連携モデル
 インターネット接続機能利用の場合は、テレビの持つ圧倒的な普及率とアクセスビリティの高さを活かし、学校内のみならず、学校と家庭、学校と地域との情報交換をより身近に、密にできる可能性を持っていると考えられる。
HTMLコンテンツの利点は、
既存の莫大なコンテンツが存在し、若干の手直しにてテレビに利用できるものが多く存在する事
比較的省コストでコンテンツを制作発信管理できる事
であり、に関しては比較的プレーンな構造のページであれば、既存のWWWサーバからゲートウェイ機能(※図 8.3-3)処理をかける事によって、PC用の既存ページと併用してテレビ向けのコンテンツが半自動的に作成できる。

図 8.3-3 ゲートウェイサーバによるHTML変換イメージ

 特に学校紹介のページなどは児童生徒が自ら作成したテキストと画像で構成されたプレーンなものも数多く、画面レイアウトを変えるだけでテレビ用コンテンツとする事が可能と思われる。また学校・家庭向けに配布される各種パンフレットなどもテレビを介して広く広報できるものと考えられる。(新規作成においてもテキストと画像のみで構成されるページであれば、画面の縦横比と配色等に留意すれば市販のホームページ作成ツールを使って児童生徒にもコンテンツが作成できる。)これを各家庭で閲覧できることだけでも、学校−家庭間の日常的な学校通信として利用できる。PCの場合は情報を見るために意図をもって起動しなければならないため、特筆されるイベントの無い限りおいてちょっと見る、ついでに見るなどのアクセスは少ないと思われるが、テレビに情報を掲載することによって情報普及度は非常に高くなると思われる。本実験で制作した地域マップなども、今回は学校内で適用したが、デジタルテレビチューナが普及するに従って、地域ぐるみで利用する事により、更に利用効果が上がると考えられる。
 については、特に地域限定のローカル情報などを扱うなど、サーバ型放送では大規模になりすぎる部分を補完しフォローする場合に向いていると思われる。
 既存HTMLコンテンツのテキストや画像部分をゲートウェイによりテレビ用にデザインされたフォーマットに流し込み再成型することは、BMLコンテンツでも可能であるが、BML化は、データ放送、(またはサーバ型放送)に連動する補足情報などとして動作する場合非常に有効であるが、ページ単独で閲覧する目的が主であり且つ時刻制御や強制閲覧の必要が無い場合は、製作維持にかかるコストはHTMLのほうが比較的安価である。また新規にページを作成するにあたって制作できる環境や人員などもHTMLのほうが裾野が広い。限られた特定人数のみに必要なコンテンツは放送型のコンテンツにするのは制作、放映コスト的にも負担が多くなると考えられ、このような場合、テレビで閲覧可能なHTMLプラットフォームを利用することも有効な手段であると考えられる。
 また、「Tナビ」サービスではポータル画面(リモコンのインターネット接続ボタンを押下して最初に表示される画面)は全国共通になっており、ローカルコンテンツをここに直接登録するのには若干違和感を感じるが、この下にサブポータルとして「地域別ポータルサイト」を運用する等などで、地域別のカテゴリでコンテンツを運用できるようになる。また課金プラットフォームなどもASP形態で利用できるよう整備が進行中である。
 モデルイメージを図 8.3-4に示す。

図 8.3-4 インターネット接続機能による地域連携モデルイメージ

(3) 他ITツールとの複合活用
 本実験において、テレビは簡単な操作で教師児童生徒にもすぐ使えるという利点があることを確認した。一方操作性については下記のような課題も抽出された。
・画面あたりの情報量が少ない。(一画面に多くの情報は掲載できない)
・フレームなどを多用した複雑な画面処理は向いていない。
・画面の連続しない任意の箇所を頻繁に指定する事には向いていない。
・ドラッグ&ドロップはサポートしていない。
・文字入力に不向き。
・デジタル写真画像などをチューナからアップロードすることは現在サポートしていない。(※「Tナビ」サービスの場合。著作権の許可されたものをダウンロードすることは可)
 特に文字入力については、今回は意図的に使用しなかったが、過去CSチューナなどには専用キーボードなど補助ハードウエアが品揃えされるなどの事例があった。また、全てをテレビチューナの機能でカバーするのではなく、PCや携帯電話など、他ITツールを複合させ、サーバー側でそれらの情報を合成して利用するという方法が考えられる。Tナビサービスのコンテンツの中には文字入力を携帯電話から打ち込みサーバー側で合成するコンテンツが存在する。本実験で開発した地図ツールについても、環境設定や関連デジタル写真の登録をPCから、教室や家庭での閲覧をテレビから行うなど他ITツールを複合して使うことでよりスムーズな活用が考えられる。
 また、サーバ型放送とインターネット接続機能の2つのモデルも複合して使うことで、質の良い汎用コンテンツをサーバ型放送で閲覧し、詳細地域学習をインターネット接続機能で復習し、より学習効果を高めるなどの活用が考えられる。イメージを図 8.3-5に示す。

図 8.3-5 複合モデルのイメージ

8.3.3 留意点、課題等

 以上のように、デジタルテレビチューナによりサーバ型放送コンテンツやインターネット接続、また他のIT機器を活用して、学校においてより簡便・日常的にITを活用する場面が増えると考えられるが、留意点・課題点も存在する。実用化にあたってはそれらを念頭に入れ推進を行う必要性がある。
(1) コスト面
 8.2(2)(自治体公共分野事例)岐阜県岐阜市における自治体公共サービス実証実験(総務省)の中で47都道府県にアンケート(有効回答数39)を実施した中で、特にデジタルデバイドの解消の面で、デジタルテレビを活用したいという回答が9割を超えた。但しその条件として低コストであることを挙げた回答が9割以上あったと報告されている。運用にあたっては、放送局が放映するなかで二次利用可能なコンテンツと現場が作成するローカルコンテンツをバランスよく利活用してゆく、また既存HTMLデータなどをゲートウェイサーバにてテレビコンテンツとして併用利用し制作。運用コストを低減するなどの検討工夫が必要である。
(2) 運用面
コンテンツの量・質
 コンテンツ配信モデルを運用維持してゆくには、ある程度コンテンツが豊富でありユーザが選択できることおよび適宜更新され現場のニーズにあったコンテンツが充実してゆくことが鍵である。
 放送波で放映されるレベルのコンテンツは、撮影技術や制作技術などのクオリティまた内容の信頼性についても一定以上のレベルを満たしたものであり、教育分野で活用するには最適である。但しそれなりに制作や放映コストがかかることが想定され、特に地域サイドで運営する場合などは、継続定期更新してゆくためにも膨大な種類および量を制作するには制約がある事が予測されるため、制作・運営計画を策定し、どのようなコンテンツを充実させてゆくか計画立て推進する必要があると思われる。放送局が一般向けに制作したコンテンツの二次利用を低コストで実現できる運用のしくみ作りなども必要と考えられる。
 HTML等のコンテンツは比較的低コストで制作運用が可能であり、児童生徒の作成によるものや教員同士の情報交換、地域コンテンツなど現場からのボトムアップのコンテンツを拡充してゆくことが比較的容易に実現可能であると思われる。但しPCインターネットコンテンツと同様、その内容については玉石混交となる可能性があるため、制作、運用(配信)、利用側の各サイドでチェックをするなどの仕組みが必要と思われる。また前項のようにPC用既存コンテンツを成型しなおして併用利用するなどの運用も考慮して推進する必要がある。
セキュリティ
 セキュリティの面は特にインターネット接続機能を利用する場合に配慮が必要である。7.5.1.2(2)項で述べたとおり、Tナビサービスでは、ポータルサイト制度をとって、情報初心者が不用意に悪意のあるサイトへ誘導されてしまう事を回避するなどの配慮をとっているが、今後利用者増に伴いポータルサイトにフィルタリングサービス等を付加し、機器IDによってホワイトリストを適用するなどの運用が必要とされると考える。またテレビに限らず、家電一般がネットに接続するようになってきており、機器認証、ユーザ特定などの機能を機能強化する動向にある。いづれにせよオープンなネットワークを活用する限り、十二分な配慮が必須である。
メタデータ
 特に学校教育分野においては、サーバ放送で利用するメタデータの付与の体系に関して、ARIBで指定する枠組みとNICERデータベースで適用されている管理項目の整合性がとれる事が望ましい。またその場合、メタデータ付与作業に関しても、LOMで規定する項目×検索させたいシーン数×コンテンツ数で相当数になることが予測されるため、最低限必須管理項目などを全国標準ガイドラインとして共通させておく等の必要性があると思われる。また放送ルートで制作されるコンテンツに関してはメタデータの付与、管理に関して放送局又はライセンス委託された制作会社などにより品質・精度が保たれるが、現場自主制作で(放送波を介さず)直接サーバにアップされるコンテンツなどが発生する場合、上記と整合性を取り、正しく動作するよう配慮が必要と考えられる。
著作権
 従来個別に教室に教材を持ちこんで利用していた形態から、サーバで共同利用する形になってゆく場合、運用に際し著作隣接権や公衆送信権などにも配慮が必要になってくる。
 サーバ型放送で適用されるDRMなどにより、正当な使用権利環境を仕組み側が自動判別するなど運用管理はスムーズになることが予測される。またある程度まとまった数での利用に関しては、ボリュームライセンス等の適用なども考えられる。いずれにせよ現場に負担をかけず、適正な利用が促進されるよう配慮が必要である。
機器やシステムを取り巻く文化の相違
 放送と通信が融合し、両方を享受できるようになってくる。新しい可能性や用途が開発されるに従って、その利用法も漸次変化してゆくものと思われる。「インターネットを見ることが出来るテレビ」もあれば「テレビを見ることができるパソコン」も存在し、両者の間はますます近くなってゆくものと思われる。しかし放送と通信には適用される法制度の違いや、機器やシステムに対しユーザーが臨む文化の差異というものが自ずから存在する。例えばPCの世界では、搭載するブラウザによって動作しないコンテンツが存在したり、またユーザーが悪意のあるサイトを閲覧してしまう事などに対しては、ユーザー側が選択すべきものとしてある程度容認される文化が存在するが、放送においては各チューナーの搭載するブラウザ機能の差異により放映された内容に差異が生ずることは基本的にない、また放映されるコンテンツの内容に関しても、情報倫理が守られユーザは安心して視聴できる文化がある。
 テレビに通信の世界が入ってくる事により、これらは少しずつ変化を見せるものとも思われるが、大多数のユーザーは現在閲覧しているものが放送か通信かの意識はせず利用するものと思われ、また基本的には放送の文化でテレビという機器(システム)を利用すると考えられる。このため今後の技術革新によりテレビがよりPCに近づいたとしても、ユーザー保護の観点や、万人に等しく使える簡易性、均質性、汎用性などはテレビに求められる特性として保持されるものと考える。この点で「インターネットを見ることが出来るテレビ」と「テレビを見ることができるパソコン」では使われ方に自ずから差異が生ずると考えられる。

8.3.4 PC、放送波利用、インターネット接続機能各特性の違い

 以下にそれぞれの特性をまとめたものを示す。本稿では、どれがベストかという事ではなく、夫々の特性を挙げ、利用する環境に応じて選択する時の目安にして頂ければ幸いである。
操作面について表 8.3-1に記す。

表 8.3-1 操作面の特性

  PC TV
1画面あたりの情報量 制限あり(大きな文字)
数字入力
文字入力
操作性 複雑になる場合がある 均質
閲覧
作成

利用環境について表 8.3-2に記す。

表 8.3-2 利用環境面での特性

  PC(PC教室) TV
形態 個別学習 集合学習
準備
起動

表 8.3-3 その他特性の比較

  PC TV
放送波利用 テレビインターネット(Tナビ)
配信モデル
放送/通信 通信 放送/通信 通信
アプリの数 膨大 比較的限定 比較的限定されるが作成することは比較的容易
アプリの提供(情報発信)の容易さ 簡単 コンテンツの質の精査や配信コスト、配信までの関与者等は比較的多い。 コンテンツの質は要求されるが、設備投資的には比較的容易
アプリの質※内容の信頼性も含む 玉石混合 非常に高い 中〜高い
セキュリティ
※ウィルスや悪質サイトなど
低い(ユーザー側で防御要) 高い 中〜高(ポータル運営など配慮しているが、オープンなインフラを使う以上、配慮して運用することが必要。コンテンツ作成時も不用意なリンクなどをチェックするなど配慮要)
適する想定ユーザ層 基本的PCリテラシのあるユーザ 子供・高齢者も含むIT初心者層 子供・高齢者も含むIT初心者層
適する想定利用環境 あらゆる環境にフレキシブルに適応 質の高い番組コンテンツの視聴
提供される情報を手軽に見る。
皆で見る
ちょっと調べる
提供される情報を手軽に見る。
皆で見る
ちょっと調べる
広報性 (TV保有者数に比較するとPC保有者は少ない) 非常に高い(本線映像などから誘導可能) 高い
  PULL型 PUSH型 多少PULL寄りのPUSH型
利用者限定 可能 可能 可能
コンテンツ制作・流通コスト 比較的低 比較的高いが、一般放送されたコンテンツの二次許諾をとって運用する場合、制作するより遥かに低コストで運用できる。 比較的低
特徴
(適する利用形態など)
幅広いレンジで複雑な内容までカバーできる。 ・質の高いコンテンツ(学術的に信頼性の高い内容、クオリティの高いデザインなどある程度精査されたもの)を簡単に検索して使う。
・動画番組などで興味を引き出し、それに関連する付帯情報を更に学ぶなど(英会話、歴史、自然など)
・セキュリティ的にも安全性が確保されている。
・Webのコンテンツの閲覧など。既存サイトの移植性が高いので、比較的低コストでTVインターネット用に作り変え、普通教室で手軽に利用することができる。

図 8.3-6 PC、サーバ型放送、インターネット接続機能の適すると想定される範囲

 繰り返しになるが、テレビ利用は、その操作性の簡便さと圧倒的な普及率による広報性を活かし、教員、児童生徒、また保護者を含む地域住民の方々など誰でも使えるコンテンツ、また普通教室で情報を共有しながら使う、授業の中で必要に応じて簡単に提示し、興味や理解促進を図りながら使うなどの場合に有効性を発揮するものと考えられる。一方PCは情報量の多さ、処理の多様さなどフレキシブルに使える、特にPC教室にての利用は児童生徒が詳細個別に理解を深堀する場合に向いているといえる。またフレキシビリティが高いが故に、その運用には創意工夫やある程度のリテラシースキルが必要である。今後デジタルテレビの普及により、PCに加えテレビの特性を活かした授業も可能になり、それぞれに適した選択肢が広がると思われる。



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