6.実践授業等の実施内容




6.1 実践授業の内容

6.1.1 全体概要

(1) 実施学校名、学年、クラス、参加生徒数
  高知県須崎市立須崎小学校4年1組(27名)4年2組(29名)
  高知県須崎市立新荘小学校4年1組(20名)

(2) 実施日(デジタルチューナを使用した授業実施日)

(3) 学習上のねらい
  須崎小学校及び新荘小学校では4年生総合学習の2学期に車椅子体験などをしながら町づくり提案をする総合学習を予定していた。今回これに松下電器産業(株)の安全面からの調査提案も組み込み、学校周辺の安全や暮らしやすい街づくりについての地域マップを作成し、地域について福祉面(弱者にも優しいまちづくり)や防犯面(安全な行動への意識付け)の理解とモチベーションを向上させる事をねらいとした。

(4) 学習の流れ

  事前準備: 地域の安全に関する教育用映像コンテンツをDVDにて放映、安全への意識を高めた。
デジタルテレビチューナーの操作練習として、紙(ダンボール紙)で作成したリモコン模型を使って操作の練習を実施した。
  調査実施: グループ別に(須崎小4年1組4年2組各6グループ 新荘小4年1組5グループ)に、車椅子体験やアイマスク体験をしながら町の調査を実施。(※地域ボランティアや父兄なども支援)調査の観点は、(福祉面)車椅子にとって不便な点、お年寄りにとって不便な点、(安全面)不審者出没の話を聞いた、街頭が無く夜暗い、交通量が多く危険、工事中の観点について調査を実施した。
調査実施後、先ず紙の地図(A4サイズ用紙地図に今回サイトと同様のメッシュを描画したもの)に、調査地点で発見した観点につき、色別の紙シールを貼り、デジタルチューナ入力の準備を行った。
  デジタルテレビチューナ活用授業
    上記の結果をデジタルテレビチューナを使用して地域マップを作成し、発表を行った。実施日程及び詳細内容は次項6.1.2の通り。

6.1.2 デジタルテレビチューナーを使用した授業

6.1.2.1 実施場所および実施環境

(1) 須崎小学校

  入力環境
    須崎小学校においては、3FにPC教室、2Fが4学年のフロアになっており、4学年フロアに「4年予備室」(普通教室の空き教室)があり、この4年予備室にPC教室よりLAN回線を引き回し、デジタルテレビチューナー2台(うち1台は新荘小学校から借用)構成した。各グループが交代で予備室に入り入力を行い、入力しないグループは自教室で他発表資料の作成などの作業を行った。予備室には椅子を設置せず、チューナーをフリーに囲む環境である。教室の模様を図 6.1-1図 6.1-2図 6.1-3に示す。

図 6.1-1 須崎小学校チューナ1

図 6.1-2須崎小学校チューナ2

図 6.1-3 PC教室よりケーブルを引き回す

  発表環境
    合同発表会を実施した、多目的ホールは須崎小学校2Fに存在する。3FPC教室よりLAN回線を約80m程度引き回し、デジタルテレビチューナ1台を設置した。教室の模様を図 6.1-4に示す。また、引き回したケーブルを図 6.1-5に示す。

図 6.1-4 須崎小学校多目的ホールチューナ

図 6.1-5 引き回しケーブル

(2) 新荘小学校

  入力環境
    新荘小学校はPC教室が1F、4学年教室は2Fにあり、PC教室から4年教室にLAN回線を引き回し、デジタルテレビチューナー2台(うち1台は須崎小学校から借用)構成した。新荘小学校は予備室ではなく、自教室をそのまま使用し、デジタルテレビチューナで作業するグループとその他の作業をするグループが一緒に作業した。またデジタルテレビチューナの周りに椅子を設置して作業した。教室の模様を図 6.1-6図 6.1-7に示す。

図 6.1-6 新荘小学校チューナ1

図 6.1-7 新荘小学校チューナ2

6.1.2.2 地図の作成〜須崎小学校4年1組

 実施日:2004年11月29日(月)2限目、3限目(9:35〜11:20)2コマ
  実施内容を表 6.1-1に示す。

表 6.1-1 須崎小学校4年1組地図作成授業

授業内容 授業の様子
1コマ目
操作イメージ
チューナの操作方法を先生から教授した。子供たちは、紙のリモコンで操作イメージは練習していたが、画面を見るのは初めてなので、興味深そうに聞いていた。
グループに分かれて入力 グループ別に入力操作を行った。特に混乱も無く、わからないという子供も出ず、スムーズに入力操作を行っていた。全グループ入力するのに2コマ見ていたが、予想よりスムーズに終わり、2コマ目に グループが入力して全員入力終了した。1グループ約10分〜15分程度で入力し終わっていた。もっと入れたかったという生徒もいた。
2コマ目
入力続き
画面を囲んで、入力する者、位置を確認するもの、画面位置を指定するものと自然に役割分担しながら進めていたのが特徴的であった。
まとめ 全グループ入力したところで、全員集合して、作成した地図を確認した。各グループの代表が、リモコンを操作し、「地図を見る」を選んで各地区の状況を確認した。新荘小の地図も見ることができる事に皆興味を示していたが、須崎小4年1組が入力授業が一番早く、新荘はまだ未入力だったため残念そうであった。
作成結果(地図)

全体通して 授業計画では、入力に2時間見て足りるかという想定でいたが、予想外にスムーズに入力が終了した。操作がわからず滞るということも無く、操作間違いで「地図を直す」を選んだグループも6グループ中1グループであった。「地図を直す」は少しフローが煩雑なため、フォローが必要であった。作業中は、子供たちが画面を囲んでわいわいと自然に役割分担していたのが特筆される事であった。
また児童生徒の中にはリモコンを両手で持ち、十字カーソルを親指で連打するテレビゲームの様な方法で入力していた児童が数名いた。
また、最終まとめ時に先生から「このテレビが家にあれば、このように見ることができる」とのコメントに皆感慨深げであった。家にこのテレビがあればいいとアンケートに記述した子供も数名あった。4年生の場合、帰宅してPCを起動して見るという習慣はあまり無いことが考えられ、自宅テレビに自分の作ったものが投影されるということにある種感激するのではないかという印象を受けた。

6.1.2.3 地図の作成〜須崎小学校4年2組

 実施日:2004年11月29日(月)5限目、6限目(13:55〜15:35)2コマ
 実施内容を表 6.1-2に示す。

表 6.1-2 須崎小学校4年2組地図作成授業

授業内容 授業の様子
1コマ目
操作イメージの紹介
1時限目に続き、先生が先ず操作のデモンストレーションを実施した。
入力開始 4年1組と同様、グループ毎に入力を開始した。4年2組も1組と同様のペースで入力作業を進めていた。
4年2組においても、入力する人、位置を読み上げる人、画面位置を指定する人と自然に役割分担ができていた。4年1組と同様のペースで作業は進み、2コマ目には2グループが入力して作業終了した。
全員入力終了したところで集合し、作成した地図を確認した。先生が最初にデモンストレーションした後、グループ代表がリモコンを操作し、「地図を見る」を操作しながら担当区域を確認した。先に1組が入力していたので、見たいか聞くと、皆非常に興味を示し、1班の入力状況が(2組1班と)全く異なっているのを見て教室がどっと沸いた。
作成地図例


全体通して 2組も1組同様のペースで進み、1コマ目で全グループが入力終了してしまった。(約35分)「地図を直す」を選んだのは6グループ中、1グループであった。1組同様自然に役割分担ができており、まとめ役のいるグループは12月1日の発表も整然としていたように見受けられた。
新荘小の状況、また4年1組の状況にも非常に興味を持って「見たい!」と言っていたのが印象的であった。

6.1.2.4 地図の作成〜新荘小学校4年1組

 実施日:2004年11月29日(月) 3限目(10:35〜11:20)1コマ新荘小学校4年1組
 実施内容を表 6.1-3に示す。

表 6.1-3 新荘小学校4年1組地図作成授業

授業内容 授業の様子
1コマ目
操作イメージの紹介
先ず先生から操作説明を行った。須崎小と異なり、通常使っている教室にて入力するグループ(2グループ)、その他のグループは発表用資料を作成する作業を同時に行った。
新荘小では画面の周囲に椅子を置いて作業した。このため、リモコン操作と元データ(紙シート)を1人が持ち、画面の位置確認を他の児童生徒が指示する傾向が見られたが、須崎小同様、整然と作業が進み大きな混乱もなかった。
新荘小は生徒数が20名と須崎小より少ないためもあり、1コマで全グループが入力終了した。その後先生の操作で、作成した地図を確認し、各区域の特徴などを再確認した。ここでも、須崎小の作成データに皆興味をもっていた。
作成した地図

全体通して 新荘小は須崎小より人数も少なく、ペースも速かったため、1コマで入力終了した。新荘小は画面の周りに椅子を設置したせいか、順番に入力し、リモコンを次の人に回すというやり方で整然と入力していたが、画面位置確認のため、立ち上がって画面周りに集まりわいわいと入力していたグループもあった。須崎小の地図にはやはり「見たい」と声があがっていた。

6.1.2.5 合同発表会

  実施日:2004年12月1日(水) 1コマ目(10:00〜10:45)2コマ目(10:55〜11:45頃)
  実施場所:須崎小学校多目的ホール(表 6.1-4)

表 6.1-4 合同発表会授業

授業内容 授業の様子
ホールの様子 多目的ホールには、発表用のデジタルテレビチューナとスクリーンのほかに、調査した事柄をまとめた模造紙資料も貼った。デジカメ写真による資料等もあった。
1コマ目
開会挨拶
新荘小学校から代表2グループ、須崎小学校から4グループで発表を行った。開会宣言や司会も子供たちが担当して行った。
新荘小発表 新荘小学校から発表開始。初回のためか緊張しているが、無事に発表
両校から非常に活発に感想の手が挙がる。発表内容の具体内容が判ったという意見が多く挙がる。
須崎小発表 須崎小4年1組の発表交代で地図を指示棒で指し示しながら説明。
10分休憩    
2コマ目 須崎小4年2組発表発表の声が大きくわかりやすい発表に感想も多数挙がる。
校長先生の講話 須崎小学校校長先生の講話。
テレビで地図を作るのは簡単だったか?という問いに全員が挙手。また地図を使ってこの他にどんなことがしたいかという問いに、「地域のお店マップ」や「歴史などのスポット」などの意見が挙がった。校長先生からは、地域の名人マップを作成すると良いかもしれないなどの話が進んだ。
全体通して 須崎小学校多目的ホールに約80名の児童生徒が集まり、発表会を実施した。当日は須崎ケーブルテレビや高知新聞などの取材も集まり大規模な発表会となった。代表グループは発表の練習をした事もあり、それぞれの区域調査内容に対し、時間内で非常にわかりやすい発表ができていた。この授業では「地図を見る」を使用し、リモコン操作は殆ど発生しなかったため、地図のわかりやすさや画面の見易さ等を中心にアンケートを実施した。ホール後部には、町の実地調査時のデジタルカメラ写真を添付しているグループなどもあり、サイト開発側としては、アイコンマークに更にデジタル写真をリンクし、拡大して発表等ができれば更に臨場感がでたであろう等も感じたが、多数の写真貼り付け作業ををテレビリモコン1台で実施してゆくのは余り現実的な手法ではないと思われるため(後述)PCとの機能複合などで実現できれば良いと感じられた。


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