6.授業実践等の事例




6−7−1 学校名および担当教諭
M市M養護学校 M.S.教諭

6−7−2 授業実践に参加するに至った経緯
 対象の生徒は書字に対する苦手意識は少なく、学習には意欲的に取り組むことができるが、文字の形や筆順を意識しにくいケースである。本生徒は普段ゲームをよくしていることから、機器を使った活動全般について意欲的である。そのため、本プロジェクトで使用したタブレットPCや書字ソフトに対しても意欲的に取組みたいと思った。

6−7−3 児童のプロフィール
氏名:Y.S. 学年:中学部1年生(13.2歳)性別:男児 診断名:自閉症

6−7−4 指導計画
 国語の時間のうち、20分間をタブレットPCを使う時間に決めて学習に取り組んだ。ソフト上の小学1年生が習う漢字は、本生徒にとっては小学校ですでに習っている。しかし、学習を進めながら、読み方を忘れてしまっていたり、筆順が不確かなものがあることがわかった。そこで、次のような順序で学習を進めることにした。

6−7−5 指導記録
 タブレットPCを使い、正しい筆順で書けることが確かめられた漢字をノートに書く課題を行った。以前には筆順を間違えていた漢字を筆順を意識しながら書くことができている。
 また、文字の形や筆順がわからないときにはタブレットPCを使い確かめることで、正しく書けるようになっていた。各時間10分程度の取り組みであり、多くの漢字を書くことはできなかったが、タブレットPC導入以前に比べてノートに書くことに対する意欲は増している。 

6−7−6 評価
 本生徒のように、本人が好きな活動に学習を結びつけて学習効果を期待することは、大変有効な方法であるといえる。また、機器を使った学習でも使い方にある一定のルールを決めることで、学習のねらいを明確化することができ、効果を高めることにつながったといえる。さらには、機器を使って学習したことを、機器を使わない学習方法と関連づけることにより、これまであまり好まなかった学習への意欲を高め、学習の効果をあげることがきたといえる。
 指導を通して感じたことを以下に述べる。本生徒のようにある程度わかっていることをPC上で学習することになると、教師は課題を提示し、その課題を生徒が黙々とこなしていくという学習形態になる可能性がある。本生徒についても一時そのようになっていた。その方法は生徒が落ち着いて取り組むことができるが、その半面で、自分の世界に入り込んでしまってなかなか抜け出せないような状態になる可能性もある。そのようにならないためにも、教師は課題を提示するだけではなく、生徒と教師がPCを使ってともに学習を進めるようにすることも大切であると感じた。

 



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