6.実施内容



6.5 授業実践事例

事例1(教育支援センター)

実施日:平成17年2月14日 午前
実施場所:松原市教育支援センター(チャレンジルーム) パソコン室
対象:松原市内の小中学校に在籍する児童生徒(小5〜中3)8名

 教育相談の取り組みの一環として実施されている教育支援センター(チャレンジルーム)において、複数の児童生徒が利用した。Windows Meを基本ソフトウェアとしたノートパソコンと、一般の光ファイバー通信を利用したネットワーク環境で実践を行った。対象者はチャレンジルームで活動を行っている児童生徒であるが、現在は小学校5年生から中学校3年生までの男女が8名参加している。チャレンジルームにであれば基本的に毎日参加できる不登校児童生徒たちであるが、長期間チャレンジルームで活動をしている子どもや、一時的に参加している子どもなど、実態は様々である。
 実践は、チャレンジルームのパソコン室で行った。チャレンジルーム担当指導員から集合の声かけがあり、対象となる子どもたちがパソコン室に集まった。写真は、実践の様子である。

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長机を向かい合わせ、3人ずつ座っている。使用しているパソコンは、学校のパソコンよりも古く、動画の再生中に突然停止してしまうこともあった。   親しい指導者とコミュニケーションを取りながら、授業ビデオの例題を解いている様子。コンテンツ利用の時期について「ほとんど学校に行っていないので、何年生のどの時期に学習する内容なのか私には関係ない」とこの後コメントをしていた。

事例2(別室指導)

実施日:平成17年2月18日 放課後
実施場所:松原市内の中学校 パソコン室
対象:中学1年生の女子生徒1名

 本事例の対象者は、小学6年生から別室指導登校を始めた。今年度中学校へ上がり、1学期の初めは毎日普通に登校をしていたが、途中から休みがちになる。中学に入ってからはスクールカウンセラーや学生ボランティアの支援活動を受けるようになった。相談会など学校や教員からの支援もあり、最近は欠席減少傾向にある。2学期以降は時には学級活動にも参加しながら、時間不定で別室指導を中心に登校している。本実践時も、別室に自分の意思で登校をしてきた。放課後にパソコン室を1人で使用している。対応している教師も1名。

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はじめに教師と一緒に授業ビデオを見て、その後練習問題を画面を見ながら解き、教師がその場で解答をするという形式で進行した。   感想「ちょうど不登校になり始めた時期の単元で、受けた授業と受けられなかった授業があった部分。いちからできて分かりやすかった」

事例3(家庭学習)

実施日:平成17年2月19日 午後
実施場所:松原市内の不登校生徒の自宅
対象:中学1年生の男子生徒1名

 本事例の対象者は、小学6年生の2学期に市外の小学校から転入をしてきた。中学校に上がり、4月は休まずに出席していたが、5月に入ってから休みがちになった。今回開発した授業ビデオの内容(正の数と負の数)はこの時期の学習単元であるため、約半分は未学習の状態である。家族のホームページを作成するなど、パソコンをさわることが好きで、今回のコンテンツの利用については、本人が前向きであった。
 実践では中学校の教員が家庭に訪問し、一緒に授業ビデオを見た。利用環境は、基本ソフトウェアにLinuxをインスールしたリサイクルノートパソコンとADSL回線であった。しかし、実践当日はネットワーク接続がうまくいかず、急遽家庭にあったwindows機を利用した。(注1)実践の記録ビデオや写真の撮影は不可能であった。開発コンテンツを利用した感想は、コンテンツのインターフェースについてや、使用している言葉遣いに対するコメントが中心となり、内容の理解については、今後利用を重ねる中での行動観察や発言を拾いながらアクセスログと併せて分析を行っていくことが必要である。
 (注1)後日再度動作確認を行ったところ問題なく動作した。

事例4(少人数指導)

実施日:平成17年2月10日 2時間目
実施場所:松原市内の中学校 パソコン室
対象:中学3年生の女子生徒1名

 今回作成したデジタルコンテンツの内容は、中学1年の一番最初の学習単元であるが、この実践では受験を控えた中学3年生が利用者であった。入学試験前の弱点克服のための少人数指導の時間に、パソコン室で様々なデジタルコンテンツを利用して少数の生徒が自習をしている。その中で、数学の苦手な生徒が基本からの復習のために利用をした。
 中学校での利用環境はすべて同じで、Windows XPを基本ソフトウェアとしたパソコンと、松原市の地域イントラネットの高速ネットワーク回線を利用した。

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3年生の授業(少人数指導)で、6〜7名の生徒がパソコン室で個別学習。パソコン上で動作するドリル教材を各自必要な教科単元で自習。複数の教員がそれぞれに必要なタイミングで指導をしている。   利用したのは、公立高校を受験予定の3年生の女子生徒1名。
     
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授業ビデオを見ながら教員の指導の下例題を解いている様子。
右隣の空いているパソコンも利用し、ドリル教材の対応箇所の問題を解いている様子。ドリルで分からない部分があれば、再度授業ビデオで説明を聞く、ということを繰り返していた。

事例5(補充学習)

実施日:平成17年2月18日 放課後
実施場所:松原市内の中学校 パソコン室
対象:中学1年生の男子生徒3名

 今回開発したコンテンツについて、利用価値があるとの教員意見が多かった。利用場面に関しては、「わかりやすい教材なのでぜひ教室での授業でも利用したいが、年度始めの時期でなければ一斉授業では利用しにくい単元を扱っているので、来年度早速使いたい」という意見が多かった。今回の実践時期は3学期となったため、新年度に向けて弱点を克服するという意味で、一部の生徒を対象とした放課後の補充学習での利用に適しているとの判断のもと、利用を希望するいくつかの中学校で実践を行った。
 ここでは中学1年生を中心に、パソコン室で行った。対象者は数学を苦手科目としている生徒で、補充学習に対する教師の誘いに応じてきた希望者に対する放課後学習の形で実施された。今学期は今後毎週、月曜放課後にはパソコン室でこのような補充学習をするということであった

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3名とも数学への苦手意識を持っている。マイペースで人よりゆっくりだが、まじめに学習に取り組む生徒が2名。授業中学習活動への集中力に欠く傾向のある生徒が1名。「やんちゃな子(授業への集中力を欠く子)をどうやって学習に取り組ませるかが今回の補充学習のひとつの鍵」と、今回の補充学習を担当した教頭からコメントがあった。
授業ビデオを一緒に見ながら「今言ってたこと分かるか?」など、教員が時折質問をはさみながら、分からなければ繰り返し見させたり、教員自身の言葉で説明を追加するなどしていた。
 
 
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授業ビデオの例題解説に合わせて、自分でも同じようにアイテム(デジタルコンテンツ)をマウスで操作しながら確認をしている様子。
授業ビデオで解説される例題を、聞くだけではなく紙と鉛筆でメモを取りながら、自分でも解いてみている様子。

 


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