清泉女学院中学高等学校 Page2/2
100校プロジェクト 平成8年度実施状況

○プロジェクトに参加して
・インターネット利用の基本方針
 本校では、従来から情報教育の基本方針として、コンピュータを「自己表現の一手
段」、「情報獲得の一手段」として捉えて、教育実践を積み重ねてきた。
 従って、インターネット導入にあたっても、「さりげなく生徒の傍らに置く」こと
を基本方針としたため、大がかりなプロジェクトや派手な実験はむしろ意図的にさけ
てきた。そして、普通の授業の一部としてインターネットを利用し指導した。
(また、それもあって「共同プロジェクト」への参加ができなかったことが、残念な
事柄のひとつである。)
 現状としては、生徒は自由に放課後等に自由にインターネット(WWW、
newsgroup)を利用しており、少しずつ着実に利用者が増えており、所期の目的の第
一段階は達成したと思える。
 なお、適宜「newsletter」を発行して、インターネット導入・実験の進捗状況を紹
介するとともに、ブラウザーの使い方やe-mailの利用の仕方などを解説し、「これを
読めば、インターネットが分かる」ように心がけた。

・ホームページの作成・公開
 本校はBグループであり、また専門に「情報処理」等を専攻してきた教員がいな
かったため、「情報発信」の面では制約があると考えていたが、平成7年夏にボラン
ティア(卒業生、近隣大学の大学院生)の協力を仰ぎつつ、「素人」だけでホーム
ページをたちあげた。
 ホームページ公開後、さまざまな雑誌等の取材をうけ、本校を広く紹介できたこと
は、予想しなかったことであった。それは恐らく、単なる「学校紹介」ではなく、未
だに校内で議論が続いてはいるが、ありのままの日常の様子の紹介、女子中学高校生
の感性に基づく情報発信という発想が良かったのではないかと思われる。
 画面そのものは、むしろ地味であり「素朴」であるので、おそらくは内容面から評
価されて取り上げられているのだろうと、「自画自賛」している。

・コンピュータ「言語」としてのHTML
 中2の情報基礎の一環として、コンピュータ「言語」の働きを理解させるため、厳
密にいえば、「コンピュータ言語」ではないが、HTMLを取り上げ、全員に自分の
ホームページを作成させ、最低3枚の画面を相互にリンクをはらせた。
 その後、だいぶ自動的にHTMLを作成するソフトが出始めたが、仕組みを分から
せるためには、「手書き」が有効な作業であると思われるので、しばらくこの単元は
続けたいと考えている。(ホームページ作成そのものを目的とするグループには、作
成ソフトを利用させる。)

・スクール・アイデンティティの再確認
 予想できなかった事柄として、インターネットの利用が、学校のアイディンティ
ティの再確認にも若干の寄与をしたことである。
 すなわち、上記のような雑誌の取材や来校者の増加は、生徒にとっても自分たちの
学校の特色やあり方を見直す機会になったし、また、実際にインターネットに作品を
公開した学年は、「何を紹介するか」「何が自分の学校の特色か」などを考えること
を通して、学校生活の再発見を行えた。
 巷には、漠然と「世界に向けて情報発信」などと無責任な発言をする風潮がある
が、中身がなければ無意味であるし、「インターネットで学校が変わる」のではな
く、その学校のありようがそのまま「情報発信」されてしまうのだということを、改
めて痛感した。

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