東京都港区立神応小学校 Page2/2
3.共同利用企画への参加
「一本の樹プロジェクト」の企画提案を次のようなねらいを持って行った。
「一本の樹プロジェクト」は、「一本の樹から『自然の社会』と出会ってみよう。」 と「一本の樹と人とのかかわりを見直そう。」というふたつのテーマを持って、子ども たちが一本の樹を通して、植物の生きる力や植物と人間の文化的な関係を知り、自分た ちの生活を見直すきっかけになることを期待して取り組んでいきたい。
○平成8年度の成果と課題
1.活用方法
インターネットに対しての理解や操作の熟達度が増した8年度は、各クラスでインターネットを活用できるように、コンピュータを設置した。このことにより、各クラスでの利用は、飛躍的に向上した。
2年間を通して、子ども同士のメールのやりとりができたり、メーリングリストに教材の関する資料の収集を協力していただいたり、ホームページに学習の記録を載せることができた。また、「定点観測の共有化」という視点でも同じような定点観測をしている学校とデータの交換をしていくことで、子どもたちに
他の地域と比較することや自分たちの周りの自然だけを観測していたことに広がりを持た
せた授業を進めていくことができた。
2.教育効果
ア、ネットワークが生み出していく子どもたちの意識として、次の2点があげられる。
・ネットワークを通して関わった人たちと交流することで、子どもたちが自分で考えた
ことや感じたことを相手にわかりやすく伝えていくために、自己理解を深めることが
できた。
・共同学習に参加している学校と自校との比較をしていくことで、自分の住んでいる地
域と日本というような、異なった視点を持って、学習に取り組むことができた。
イ、ネットワークを通した学習が作り出す特徴的な状況として、次の3点があげられ る。
・教科という枠では、まとめきれない内容のものが多くなっていくという状況。
ネットワーク上の情報は、教科という意識では存在していない。
・学年という意識が少なくなっていくという状況。
不思議だなあと思う気持ちは共通である。
・教師の役割が変容していくことが求められていく状況。
指導者としての教師、支援者としての教師、媒介者としての教師の立場を使い分けて
いくことが必要になってきている。
○プロジェクトに参加して
この2年間のプロジェクトを通して、学校に起こった大きな変容を三つ紹介する。
初めに挙げられるのは、教師が自分の実践をホームページ上に紹介していくことやイ ンターネットを通しての交流を計っていくことなどを通して、教師自身が自分の実践を 見直していくきっかけになったということ。二つ目は、子どもたちは、他の学校に自分 の地域のことを紹介する機会を多く得ることができたので、地域をもう一度振り返るこ とができた。最後に、ネットワークを通しての教師同士や保護者などとのつながりがで き、ともすれば、自分の世界に閉じこもりがちの教師が新しい風に触れることができ た。
このようにインターネットは、新しい学習環境として、教師や子どもたちに大きな刺 激を与えてきた。このように「道具」としてのネットワークと教師のかかわりの重要性 を再確認できたことは、この2年間の大きな成果といえる。