募集要領では、ネットワークの教育利用について以下のように説明した。
「全国100箇所程度の小中高校、特殊教育諸学校等において、ネットワーク を活用した教育・学習や交流を可能とする技術的環境を提供します。つまり、小 中高校、特殊教育諸学校等にハイエンドパソコンを設置して、それらとセンター とをネットワークで結び、センターのデータベース等へのアクセスを可能としま す。また、それとともに国内外の学校などとの写真や絵などの画像も交えた手紙 のやりとりや情報受発信、世界各地の情報資源(データベースなど)へのアクセ ス、遠隔地の学校と共通のテーマで行う調査や研究の相互比較が可能となります。」
募集の内容は、Aグループ(30校)、Bグループ(70校)に分けて募集し た。
応募の内訳は以下のとおりであった。
・Aグループへの応募総数: | 708校 |
・Bグループへの応募総数: | 835校 |
IPAとCECで行った第1次選定結果を、文部省、通商産業省で審議し、主 催者案を作成し、先の「教育ソフト開発・利用促進センター推進協力者会議」の 審議を経て111箇所の対象校などを決定した。
対象校は各都道府県に1校以上を配置し、校種は小学校、中学校、高等学校、 盲学校、聾学校、養護学校、インターナショナルスクールの他に、病院内で長期 療養している子供たちのいる院内学級も対象とした。また、先進的な取組みが期 待される3カ所の視聴覚センター、教育情報センター、教育総合センターも対象 とした。
選定の結果は、平成6年12月に各都道府県の教育長などを通じて各学校など に通知した。対象校などの内訳は以下の通りである。
○小学校 | 18校(7校) |
○小・中学校 | 1校(0校) |
○中学校 | 29校(7校) |
○中・高等学校 | 10校(5校) |
○高等学校 | 40校(16校) |
○特殊教育諸学校 | 8校(2校) |
○インターナショナルスクール | 2校(1校) |
○視聴覚センターなど | 3ヵ所(3ヵ所) |
実験環境は、IPAの情報基盤センターに大容量サーバを配し、対象校と地域 ネットを専用線で接続するという自立システムとした。
この間、平成7年3月には対象校の担当教師、並びに地域ネット関係者に対し て「100校プロジェクト説明会」を開催した。
ネットワークの構成を図1に示す。
図1 100校プロジェクトネットワーク構成
基本的なハードウェア構成は、サーバマシン1台及びクライアントPC(学校 側の希望により、WindowsまたはMacintosh)1台である。(シ ステム導入後、学校独自の拡張によりクライアントPCを追加している例が多 い。)
サーバマシンにはUNIXを搭載し、ドメインネームサーバ(DNS)、メー ルサーバ、POPサーバ、FTPサーバ、WWWサーバ等を動作させた。 クライアントPCは、メールリーダ、WWWブラウザ等のインターネット用ア プリケーションを動作させた。また、この他に情報発信用のソフトとして、HT MLエディタ、画像・図形編集用ソフトウェアを導入した。
なお、システムの調達にあたっては、全国を6つのブロックに分け、各ブロッ ク毎に一般競争入札による調達を行い、システムの納入が並行して速やかに行わ れるよう配慮した。各ブロック毎の納入担当企業を、表1に、対象校に導入され たシステムの共通的な仕様を表2に示す。
ブロック | 納入担当企業 | サーバ機種 |
北海道・東北 | 日本電気株式会社 | NEC PC−9821Xn/C9W |
関東 | 日本電気株式会社 | NEC PC−9821Xn/C9W |
北陸・東海 | 株式会社内田洋行 | FUJITSU S−4/5 |
近畿 | 株式会社河合楽器製作所 | IBM 6860−J |
中国・四国 | 日本電気株式会社 | NEC PC−9821Xn/C9W |
九州 | 富士通株式会社 | FUJITSU S−4/5 |
ハードウェア/ソフトウェア | 主な仕様 |
通信機器 | |
(1)CSU Aグループ校(デジタル接続) | 広域側:Iインターフェース、64K 端末側:V.35またはRS449 |
モデム Bグループ校(アナログ接続) | 専用線・一般線に接続可能 V.35 V.42Bis またはMNS Class5 |
(2)ルータ | IEEE802.3、SNMPエージェント機能 |
(3)HUB | IEEE802.3、10BASE/T4ポート以上 |
サーバ機 | |
(1)CPU | Pentium(90Mhz)またはMicroSPRC2(70Mhz) |
(2)メインメモリ | 32Mbyte |
(3)ハードディスク | 1Gbyte |
(4)ディスプレイ | 15インチカラー(1023×768ドット) |
(5)補助装置 | 光ディスク装置、CDーROM装置 |
(6)OS | 日本語UNIX、Xウィンドウ(R5) |
(7)インターネットサーバ | DNS、メールサーバ、POPサーバ、FTpサーバ、WWWサーバ、 Delegateサーバ |
クライアント機(パソコン) | |
(1)CPU | 80486(66Mhz)または68040(33Mhz) |
(2)メモリ | 32Mbyte |
(3)ハードディスク | 200Mbyte |
(4)ディスプレイ | 15インチカラー(800×600ドット) |
(5)音声・画像 | PCM録音再生機能、ビデオキャプチャボード |
(6)OS | Windows3.1またはMacOS |
(7)インターネットアプリケーション | telnet、メールリーダ、ニュースリーダ、Mosaic、FTP |
(8)情報発信用ハードウェア | デジタルカメラ、イメージスキャナ |
(9)情報発信用ソフトウェア | HTMLエディタ(WordToWeb)、画像編集ソフト(PhotoShop)、 描画ソフト(FintArtist/SuperPaint)、図形ソフト(Canvas)、 表計算ソフト(Exel) |
平成8年7月時点での各校のクライアントPCの台数分布は以下の通りである。 ほぼ8割の対象校が利用環境の拡張を行っている。
○ 51台以上 | 13校 |
○ 41台以上 | 13校 |
○ 31台以上 | 4校 |
○ 21台以上 | 10校 |
○ 11台以上 | 9校 |
○ 10台以上 | 52校 |
○ 未回答 | 10校 |
1つの形態は、既にネットワークに接続されている組織のLANに直接接続、 または専用線によりLAN間接続をした。大学の附属学校など4校がこの形態を 採っている。
上記以外の対象校は、2つの広域的なネットワーク(WIDE、SINET)および1 3の地域ネットワーク(NORTH、TiA、RIC-Tsukuba、FITnet、FAIRnet、 TRAIN、WIDE、HINT、TIC、NCA5、ORIONS、CSI、KARRN)のご協力を得て、それぞ れのNOC(ネットワークオペレーションセンター)と専用線で接続した。
各NOCには、その地域の対象校と接続するために必要な数の通信回線(64 kbpsまたは3.4kHz専用線)、通信機器(CSUまたはモデム)およびルータの設 置を行った。設置したルータについては、各NOCが希望するメーカのルータを 導入することにより、それまでの運用経験を生かせるよう配慮し、モデムについ ては各学校と同じものを導入して対向の通信の確保を図った。
各地域ネットワーク毎の接続状況を表3に示す。
ブロック | 地域ネットワーク協議会等 | NOC※1 | Aグループ校 | Bグループ校 | LAN接続 |
北海道・東北 | 北海道地域ネットワーク協議会(NORTH) | 1 | 1 | 2 | |
東北インターネット協議会(TiA) | 1 | 3 | 7 | ||
関東 | つくば相互接続ネットワーク(RIC-Tsukuba) | 1 | 1 | 2 | |
東京地域アカデミックネットワーク(TRAIN) | 6 | 10 | 17 | 2 | |
WIDEプロジェクト(WIDE) | 3 | 1 | 6 | ||
国立小児病院 | 0 | 0 | 0 | 1 | |
北陸・東海 | 北陸地域情報ネットワーク協議会(FITnet) | 5 | 1 | 5 | |
福井地域学術情報ネットワーク協議会(FAIRnet) | 1 | 1 | 0 | 1 | |
浜松テクノポリス推進機構(HINT) | 1 | 1 | 2 | ||
東海インターネット協議会(TIC) | 1 | 2 | 4 | ||
近畿 | 第5地区ネットワークコミュニテイ(NCA5) | 1 | 3 | 1 | |
大阪地域大学間ネットワーク等連絡協議会(ORIONS) | 5 | 5 | 7 | ||
中国・四国 | 中国・四国インターネット協議会(CSI) | 2 | 3 | 8 | |
九州 | KARRN協会 | 11 | 5 | 9 |