2.4 100校プロジェクトの実践
2.4.1 教育におけるネットワークの活用
2.4.1.1 対象校の自主的な活動(自主企画)
100校プロジェクトでは、ネットワーク環境を自由に利用して、対象校の自
主的に計画し、実施する自主企画が各校で運営されている。
各校の自主企画は、多種多様であり、次のような類型が見られる。
- WWWを利用した情報の発信、学習成果の発表
- ネットワークを利用した情報の収集や意見交換
- 特定の相手校と共同で行ういろいろな事象の共同観察
- ネットワークを利用した海外の学校との国際交流
1.対象校のホームページの公開状況
平成9年2月現在の100校プロジェクト対象校のWWWサーバホームページ
の公開状況は以下の通りである。
○学校独自のデータを公開しているサーバ | 111校
|
○内英語で情報が公開されているもの(英語のみ含) | 63校
|
全ての学校で何らかの情報が発信されている。
2.自主的な活動の一例
対象校では、それぞれに特徴のある自主企画を運営しているが、その一例を紹
介する。
(1) 千葉県の東金女子高校では、アメリカのビル・アーネット氏の手によるThe
nine Planetsを翻訳ボランティアを募って邦訳し、日本語版のミラーサイトを運
営している。
(2) 広島県の広島大学附属福山中・高等学校では広島大学と共同で酸性雨の調査
を企画し、観測機器の提供と調査結果の分析、公開を行っている。この企画は事
務局で共同利用企画として取り上げて、資金的な援助を行っている。
(3) 佐賀県の武雄北中学校では、みさと天文台の土星の輪の観測情報を佐賀大学
のリフレクタを経由して、武雄市のケーブルTVで放映し、中学生に土星の輪が消
える現象をリアルタイムで観測させた。
この他にも海外の姉妹校などとの電子メールの交換や、物語の共同製作、Cu-S
eeMeを使った生徒同士の交流などの、自主企画が運営されている。
対象校が電子メールやCu-SeeMe等を使って交流を行っている国々は、アメリカ、
カナダ、韓国、中国、中華民国、シンガポール、マレーシア、香港、インドネシ
ア、ネパール、ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、アイスランド、デンマ
ーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、ロシア、エストニア、南アフ
リカ、オーストラリア、ニュージーランド、ミクロネシア等(55か国:平成9年
8月現在)に及んでいる。
3.活用環境の自主的な拡張状況
100校プロジェクトで提供した機器(サーバ1台、クライアント1台)に学
校の既存の機器などを接続して利用環境を独自に拡張していく活動も進行してい
る。平成8年7月時点での各校のクライアント台数の分布は以下の通りである。
半数以上の学校で利用環境の拡張が行われている。
○51台以上 | 13校
|
○41台以上 | 13校
|
○31台以上 | 4校
|
○21台以上 | 10校
|
○11台以上 | 9校
|
○10台以下 | 52校
|
○未回答 | 10校
|
2.4.1.2 ネットワーク利用企画
企画を以下の5つのカテゴリーに分類し、それぞれの企画を実施した。それぞ
れの実施内容は各ネットワーク利用企画のホームページに掲載されている。
平成7年度に実施したネットワーク利用企画は以下の通りである。
2.4.1.2.1 平成7年度のネットワーク利用企画
1.情報交換型利用企画
ネットワークを使って情報交換を行う際、教育的効果を高めるにはどのような
作業が必要か、またどのような問題が存在するかを幾つかのプロジェクトを運営
することにより明かにすることを目的に実施した。
(1) 高校生による自主的な情報交換
高校生同志が自主的に意見・情報を交換し、自律的なコミュニケーションを行
うことにより、生徒のコミュニケーション能力や自主性の育成などの教育的効果
の実現を図ることを目的に、
- ネットワークを補助的手段として高校生がコミュニケーションを持とうとす
るとき、生徒たちの内面や行動にどんな変化が生じるか。
- 高校生がメーリングリストの運営などに係わり、生徒たちがどの様にして自
主的・自律的な運営を行っていくのか。
- 学年制度による従来の横割りの交流から、新たに人間性を主軸においた人間
関係の形成が期待できるか。
- 周囲の教師などからの支援が必要としたら、どの様な場面でどの程度の働き
かけが適当か。
の視点を持ち、インターネットが「インターラクティブなコミュニケーションを
支援する環境」であるという立場から、その総合的な活用方法を探り実践し、効
果を検証する。
- 参加校:
- 北海道旭川凌雲高等学校、埼玉県立越谷総合技術高等学校、
川崎市立川崎総合科学高等学校、川崎市立商業高等学校、
滝高等学校、京都府立工業高等学校、
熊本県立小川工業高等学校、 以上7校
(2) 地域情報の交換:
児童・生徒が自分の目でとらえたニュースや地域の文化などに関する情報を交
換することで、様々な情報をより身近により多角的にとらえる効果を期待し、ま
た、情報を発信する能力を育成する。
月ごとにテーマを決め、異なった地域の特色、ローカルなニュース、生徒の考
え形の違い等の情報交換を行う。
〔実施したテーマ〕
- 地域のプロフィール
参加校が感じている地域に対するプロフィールをアンケートにより調査し
て、各々の地域、生徒が抱いている意識を調査した。
- 「知」情報
ローカルニュース、国内外のトップニュース5を参加校がリストアップし
て比較する。
- 「夢」
初夢と将来の夢の二つのテーマに分けて意見交換。
- 「平和」とインターネット
インターネットが世界平和に貢献できるか、できるとすればどのように貢
献できるかをテーマに意見交換。
- face to face交流会
参加校生徒による学校、地域の紹介と本プロジェクトについての取り組み
広告。
- 参加校:
- 歌志内高等学校、大阪信愛女学院高校、
大阪府立四條畷高等学校、沖縄県立美里高等学校、
兵庫県立神戸商業高等学校、韓国正義女子高等学校、
帝塚山学院泉ケ丘中高等学校、同志社国際中高等学校、
名古屋市立西陵商業高等学校、奈良県立高取高等学校、
Maryknoll High School、Punahou School 以上12校
(3) 教育素材、教材の交換:
全国の学校の間で、共通のテーマに従って作成した教育素材・教材をネットワ
ークを通じて交換し活用することにより、より発展的な学習の実施とそれによる
教育効果の実現を図る。
各種マルチメディアデータを集約して、教師が教材作成等に利用し易い仕組を
作成する。
〔実施したテーマ〕
- 「日本のお正月」
- 正月の風習:門松、しめ飾り、初詣、あそび
- 正月の料理:おせち料理、雑煮、餅のできるまで
- 正月の行事:小山田の鬼火たき(鹿児島)、
伝統的行事「マキマキ」(長野)、箱根駅伝
- 正月の気候:冬のくらし
- 参加校:
- 港区立神応小学校、輪之内町立大薮小学校、
北九州市立小森江西小学校、美麻村立美麻小・中学校、
清水国際学園中学・高等学校、鹿児島県鷹巣中学校、
鹿児島大学教育学部附属小学校 以上7校
2.共同学習型利用企画
インターネットの広域性を活かし教室や学校の枠を越えた学習の企画を通じ、
ネットワーク上で教師・児童生徒が協調しながら問題解決を進めていく実践過程
で有効な知見を得る。
(1) 全国市場調査:
ネットワークの広域性を利用し、地域性の違いの認識、情報の整理・活用の仕
方を身につけることを狙いとして、各地で品物の種類や価格調査を行い、物価や
季節・地域による商品の違いをまとめる。
- 〔調査した品目〕:
- イカ、いちご、ピーマン、キャベツ、カセットテープ、フィルム
産地から消費地までの流通に対する様々な疑問や産物などに対して、専門家や
詳しい立場の人からコメントを受けられたことは大きな成果であった。
- 参加校:
- 歌志内市立歌志内中学校、茨城県立岩井高等学校、
栃木県立小山北桜高等学校、清水国際中学校・高等学校、
京都府立商業高等学校、兵庫県立神戸商業高等学校、
三重県立菰野高等学校、墨田区立墨田中学校 以上8校
(2) データベースの共同作成:
特定のテーマを決め、データベースを作成する企画で、学習者(特に小学生高
学年)がデータベースの共同作成活動と共同作業時の他者とのコミュニケーショ
ンを通して、データの構造化の必要性や良さに気付いていく過程を記録し、その
ために必要な条件を明かにする。
- 〔実施したテーマ〕:
- 全国各地のゴミの収集や処理の仕方の違いをデータベース化。
データベースは、小学校高学年における社会科、環境教育等で利用できるよう
に配慮しながらデータ収集・入力を行った。
各参加校のある地方自治体ごとの、ごみ収集・処理方法などを学習者が調査し、
研究グループおよび事務局が作成したWWWホームページに入力した。 調査項目の
詳細は、参加希望校の登録するメーリングリストで協議して決定した。
- 参加校:
- 北九州市立小森江西小学校、千葉大学教育学部附属中学校、
埼玉県立越谷総合技術高等学校、歌志内市立歌志内中学校、
山形県立庄内農業高等学校、葛尾村立葛尾中学校、
茨城県立岩井高等学校、美麻村立美麻小・中学校、
松山東雲中高等学校、広島大学附属福山中・高等学校 以上10校
(3) 酸性雨の調査:
全国40ヵ所の降雨のPH値を測定し、データをWWWにより共有し、学習に
活用する。
小・中・高等学校の児童・生徒が、全国で一体となって環境問題としての酸性
雨調査を環境学習の一環として行う。
調査は調査方法、調査機具、調査手法を統一して実施した。各地で調査した酸
性雨のデータは統一しデータベース化してホームページに掲載し、日本のみなら
ず世界に公表する。
- 参加校:
- 北海道旭川凌雲高等学校、歌志内市立歌志内中学校、宮城教育大学附属小学校、
東北学院中学高等学校、山梨県立谷村工業高等学校、葛尾村立葛尾中学校、
栃木県立小山北桜高等学校、大宮市立大成中学校、浦和市立高等学校、
笠間市立笠間中学校、茨城県立岩井高等学校、東京都立大田ろう学校高等部、
多摩大学目黒中・高等学校、横浜市立本町小学校、石川県立小松工業高等学校、
福井大学教育学部附属小学校、清水国際中学校・高等学校、
南山国際高等学校・南山国際中学校、輪之内町立大薮小学校、
京都府立工業高等学校、大阪市立聾学校、土庄町立土庄中学校、
坂出市立白峰中学校、愛媛県立新居浜工業高等学校、徳島市徳島中学校、
岡山大学教育学部附属中学校、広島大学附属福山中・高等学校、
大分県立日田林工業高等学校、北九州市立小森江西小学校、
熊本県立小川工業高等学校、熊本国府高等学校、宮崎県立延岡商業高等学校、
沖縄県立美里高等学校、広島大学附属三原中学校、広島大学附属東雲中学校、
広島大学附属中・高等学校、広島県立伊川谷北高等学校、
広島市立矢野中学校、仙台西高等学校、酒田市立酒田中央高等学校 以上40校
(4) 一本の樹:
各地の生物の生態の違いを調べる企画で、定点観測の共有化を目的に1本の樹
を継続的に観察・記録し、WWWにまとめる。
1本の木を選び、紅葉から落葉の様子、また、芽生えから開花の様子を葉、枝、
木をデジタルカメラで記録し、その日の気温も測定して報告しあう。これらの映
像・データを参加校ごとに並べ、時系列で変化を見ることにより地域による紅葉
具合の違いなどを知るとともに、植物の変化に気付き、その変化が気温などの条
件によって起こるという自然界の必然にまで、観察の目が広がることを目指して
いる。
- 参加校:
- 港区立神応小学校、福井大学教育学部附属小学校、
広島大学附属福山中・高等学校 以上3校
3.ネットワークカンファレンス型利用企画
学級活動や課外活動の一環として、ネットワークを通じて学校・地域・分野な
どの壁をこえて自由に意見を交換したり、討議することができる特性を活かした
企画を実施し、広域ネットワークの教育利用に関する効果、教育面での課題、技
術面での課題、そして今後の展望などの調査研究を行う。また、教育におけるネ
ットワークの普及促進への効果も期待した。
(1) 身の回りで起きている問題について
現在、身の回りで起きている出来事を取り上げ、地域や時間を越えてメーリン
グリストを使用した意見交換を行う。時間、空間にとらわれないインターネット
のオープンな場を討議の場として提供することにより、参加者相互の考えを深め
る機会とする。
メーリングリストなどの活用により、いろいろな立場の人の意見に触れること
を通して、同じ問題について様々な角度から捉える視点を育成する。立場の異な
る多くの人の意見を理解し、それらの相違点を捉える力や自分の考えを整理して
表現する能力を育成する。
メーリングリストのやり取りを通して、他の人の意見の内容を的確に捉えるな
ど情報の処理能力を育成する。
- 小学校の部:
- テーマ「うちらのじまん」
- 参加校:
- 宮崎大学教育学部附属小学校、北区赤羽台西小学校
大津市立長等小学校、福井大学教育学部附属小学校 以上4校
- 中学校の部:
- テーマ「方言のおもしろさ」
- 参加校:
- 前橋市立第四中学校、大社町立大社中学校、
福岡教育大学附属福岡中学校、長野市立篠ノ井西中学校、
千葉県山武郡芝山中学校、北区立十條中学校、
輪之内町立大薮小学校 以上7校
- 高等学校の部:
- テーマ「インターネットの未来像」
- 参加校:
- 愛媛県立新居浜工業高校、富山県立大門高等学校、
名古屋市立西陵商業高等学校、石川県立小松工業高校 以上4校
(2) 有識者との意見交換:
ゴミ問題について専門家との意見交換、Cu-SeeMeによるリアルタイム会議。
ゴミ問題を中心とした環境問題についてのリアルタイム会議を行う準備問題に
対する認識を深める。短い時間の集中した会議のなかで、相手にどのように自分
の意図を伝えるかを工夫する力をつける。また、他の発信者の意見を理解し、そ
れに対する自分の考えを表現する場とすることにより、コミュニケーション能力
を高める。事前準備の中でテーマの問題を調べていくことを通じて、調査能力も
身につける。
企画実施の中で、メール・ニュースなどを使った会議からビデオ会議まで、い
ろいろな形態のネットワーク会議の教育における効果および課題を探る。
- 参加校:
- 北海道旭川凌雲高等学校、札幌市立新川高等学校、
東金女子高等学校、東京都立新宿山吹高等学校
石川県立小松工業高等学校、愛媛県立新居浜工業高校、
名古屋市立西陵商業高等学校、松山東雲中・高等学校、
奈良県立高取高等学校、三重大学教育学部附属中学校、
神戸市立摩耶兵庫高等学校、広島大学附属福山中・高等学校、
大社町立大社中学校、熊本県立小川工業高等学校、
宮崎大学教育学部附属小学校 以上15校
(3) ネットワーク講演会:
専門家、有識者の発言をきっかけにその問題の本質をつかむための専門的知識
と理解力を養う。専門家には可能な限り具体的な事実(テーマ)を提供してもら
い、その分析の方法や、ものの捉え方、見方などのモデルを示してもらうことで、
情報活用の基礎となる分析力を養う。また、講演者に対して質問、意見を言う場
に臨むことでその問題により深く関心を持たせ調べる意欲を高める。質問、発信
のための準備として関連事項を調べる活動でもインターネットを利用するなど、
物事を追及する手段としてのインターネット利用方法も身につける。
- 参加校:
- 熊本県立小川工業高等学校、前橋市立第四中学校、
熊本国府高等学校、奈良県立高取高等学校、
埼玉県立越谷総合技術高等学校 以上5校
4.特殊教育共同利用企画
(1) 特殊教育での有効活用:
特殊教育諸学校を対象に、障害を持った子どもがインターネットを有効に利用
し、障害を乗り越えた学習活動ができるように、広域ネットワークの特殊教育利
用に関する教育的効果と課題、技術的課題等の調査研究を行った。
- 参加校:
- 福島県立盲学校、兵庫県立神戸聾学校、大阪市立聾学校、
東京都立光明養護学校、東京都立大田聾学校 以上5校
5.ネットワークコンテスト
ネットワークの教育利用において、一つの利用形態としてネットワーク上に構
築する仮想展示空間を使ったコンテストを全国的規模で開催した。
ネットワーク利用に適した作品コンテストの新しい開催方法を探り、教育的な
効果及び課題を検証する。また、ネットワークコンテストを開催することで、教
育におけるネットワーク利用の普及促進を図る。
ネットワークコンテストの実施では、
- 広域ネットワークを利用したコンテストの教育効果
- 広域ネットワークを利用したコンテストの課題
- 広域ネットワークを利用したコンテストの技術的課題
に重点的に着目してネットワークの教育利用に関する調査研究を行った。
コンテストへの応募作品
- 小学校の部:20作品
- 中学校の部:14作品
- 高等学校の部:17作品
コンテストホームページ
URL:http://www.cec.or.jp/es/kyouiku/100/project/prjlist/contest/
2.4.1.2.2 8年度のネットワーク利用企画
8年度は、以下の10テーマを選定し実施した。それぞれの実施内容は各ネッ
トワーク利用企画のホームページに掲載されている。
(1) 理科実験・観察教材データベース作成:
理科の実験・観察実施例を収集し、データベース化のための整理方法について
の検討を進め、その結果に基づき実施例の登録、検索可能なWWWを作成した。感
想や疑問点等を電子メールで問い合わせ可能としている。また、実施例を公開す
るためのガイドラインの検討を進めた。
- 参加校:
- 岡山県立岡山芳泉高等学校、
大和市立林間小学校、札幌市立発寒中学校、
京都府立大塔高等学校、福島県立須賀川養護学校郡山分校
下山村立大沼小学校、岡山県立倉敷商業高等学校
美川村立美川中学校、岡山県立朝日高等学校
愛知県立西尾高等学校 以上10校
(2) 海を越え、言葉と心のキャチボール:
APEC諸国の高校生がインターネットを介し、相互理解を深めるとともに、
各種インターネット機能を使うことを通じて、新しいメディアの違いや特徴を体
験学習した。また、国際交流では英語の壁が問題となるが、ハワイでは日本語を
利用できる環境にあり、日本語を利用した交流と英語の交流との違いも探った。
さらに、韓国との交流では韓国語の扱いについても考えている。
- 参加校:
- 帝塚山学院泉ヶ丘中高等学校
大阪信愛女学院メディアセンタ、大阪府立四条畷北高等学校
沖縄県立美里高等学校、兵庫県立神戸商業高等学校
名古屋市立西陵商業高等学校、奈良県立高取高等学校
プナホウ・スクール(ハワイ)、ワイパフ・ハイスクール(ハワイ)
正義女子高等学校(ソウル)、
セント・マーガレット・インターナショナルスクール(ビクトリア) 以上11校
(3) Me and Media:
ドイツ、オランダ、スウェーデン、エストニアの4ヵ国の生徒と日本の同志社
国際中高等学校の生徒が電子メールやビデオ等の各種のメディアを使って意見交
換を実施し、それによりメディアの特徴とメディアを利用する能力を養った。
- 参加校:
- 同志社国際中高等学校 以上1校
(4) 高等学校における生徒の自律的意見交換:
高校生の広域ネットワークにおけるコミュニケーションが、自律的に段階的発
展を遂げるように教員が援助し、最終的には学習支援環境として機能するように、
その枠組みの構築を進めている。基本的には、メーリングリストという仮想的な
環境でのコミュニケーションを中心として活動を進めた。その他、適宜ビデオ会
議などのシステムの利用も行い、仮想的環境と現実の間のギャップを埋める実践
も行った。
- 参加校:
- 北海道旭川凌雲高等学校、熊本県立小川工業高等学校、
川崎市立川崎総合科学高等学校、川崎市立商業高校、愛知県滝高等学校、
京都府立工業高等学校、松山東雲中・高等学校、
大分県立津久見高等学校 以上8校
(5) 全国おたずねメール:
小中学生の疑問に答える「メ−ルボランティア」を全国から募り、ボランティ
アは「住んでいるところ」や「得意な分野」を登録し、質問する子供たちは「得
意な分野」を知って誰に質問すればよいかを探して直接、電子メールで質問する
活動を実施した。万一質問する子供たちにエチケット違反のようなことがあれば、
ボランティアが直接指導することにした。メールボランティアには医師やエンジ
ニア、大学の教師、銀行員、ホテルマンなど様々な職業の人が登録しており、子
供たちは直接社会の現場から生の声を聞くことができるようになっている。
- 参加校:
- 大津市立平野小学校 以上1校
(6)酸性雨調査プロジェクト:
平成7年度からの継続テーマでる。平成8年度からは参加校が5校増え、45
校で観測が行われた。平成8年度は観測精度向上させるために、新たに45校の
内9校に導電率計を設置した。また、広島大学総合科学部の協力を得て、観測デ
ータのイオンクロマトグラフによる分析を実施しその結果をWWWで公開した。生
徒が行った酸性雨データを利用した研究を、WWWで発表する活動もあった。
- 参加校:
- 平成7年度からの参加校(上述参照)、
宮崎大学教育学部附属小学校、江東区立亀戸中学校、
愛知県立豊橋西高等学校、いわき市立盤崎中学校、
美麻村立美麻小中学校 以上45校
(7) 一本の樹:
平成7年度からの継続テーマである。平成8年度は、「一本の樹から『自然の
社会』と出会ってみよう」と「一本の樹と人とのかかわりを見直そう」の2つの
テーマをもうけて活動を進めた。「一本の樹から『自然の社会』と出会ってみよ
う」では、葉、根、枝等に分かれた掲示板を用意し、マクロ、ミクロ的な観測を
進めている。「一本の樹と人とのかかわりを見直そう」では、人と木のかかわり、
木と木のかかわり等の掲示板を用意し、人と植物の関係を見直す活動を進めてい
る。
- 参加校:
- 港区立神応小学校、福井大学教育学部附属小学校、
広島大学附属福山中・高等学校 以上3校
(8) 特殊教育:
平成7年度の活動を発展させ、肢体不自由養護学校ではアクセシビリティ機器
を利用したWWWの利用を試みた。さらに、盲学校では、WWW内容をテキストに変換
し音声読み上げ機器により、音声でWWWから情報を入手することを試みた。また、
特殊教育におけるネットワーク利用の教育的効果・課題と技術的課題について調
査研究を進めた。
- 参加校:
- 東京都立光明養護学校、福島県立盲学校、
佐賀県立金立養護学校、福井大学教育学部附属養護学校、
神戸市立青陽西養護学校、東京都立八王子盲学校 以上6校
(9) アジアー日本高校生インターネット交流プロジェクト:
ネパール、タイ、韓国と日本高校生との電子メール、Cu-SeeMeによる交流を英
語を共通言語として実施し、関係国高校生の英語の定着度を考えた。また、交流
の中から、アジアから見た日本社会および経済の問題点を知る事で、日本高校生
は、インターネットによる交流の中から自ら情報を入手する事を学んだ。
- 参加校:
- 名古屋市立西陵商業高等学校、
大阪信愛女学院メディアセンタ、帝塚山学院泉ヶ丘中高等学校、
名古屋市緑高等学校、北海道旭川凌雲高等学校、
愛知県立中村高等学校、愛知県立小牧高等学校、滝高等学校、
南山国際高等学校・南山国際中学校、淑徳高等学校、岡崎西高等学校、
光が丘女子高等学校、三重県立菰野高等学校 以上13校
(10) 数学における多解問題:
解法が多くある問題を参加校の生徒や個人の解答とともにWWWで公開し、その
解答についての意見交換をする中で、考えることや人との関わりを学習する事を
狙いとして実施した。
- 参加校:
- 慶応義塾普通部、山梨大学教育学部附属中学校、
岡山大学教育学部附属中学校、北海道旭川凌雲高等学校、
大矢野町立湯島中学校 以上5校
次(第3章 教育におけるネットワーク活用の教育的
側面)