4.1 システム環境の問題点

 あるコンピュータをインターネットに接続するには、そのコンピュータを既に インターネットに接続しているネットワークに接続すればよい。このネットワー クは更に上位にある広域のネットワークに接続している。つまり、現実のインタ ーネットワークは、階層的な構造をもっている。

100校プロジェクトのネットワークシステムの機能と構成について説明す るため、ここでは、まず、100校プロジェクトのネットワークシステムを示す のに、ボトムアップ的に、すなわち各対象校からみた、校内のコンピュータと地 域ネットワークとの接続の面から説明し、次いで地域ネットワークから見た10 0校プロジェクト対象校の接続の受け入れ形態について説明する。

4.1.1 学校システム

 本プロジェクトでは、対象校として選ばれた各学校に対して提供された機器及 び通信回線利用環境は次のようである。すなわち、各学校に対して、サーバ用コ ンピュータ1セット、クライアントコンピュータ1セット、これらを接続するた めのハブ1台、これを地域ネットワークに接続するための通信機器として、IP ルータ2台、TA(ターミナルアダプタ)2台又はモデム(28.8kbps用) 2台、各学校と地域ネットワークのNOC(Network Operatio n Center)との間を接続するための通信回線として、64kbpsのデ ジタル(専用)回線、又は3.4kHz帯のアナログ(専用)回線の利用環境で ある。ルータ、TA及びモデムの台数が2台というのは通信回線の両端側に各1 台が設置されるためである。すなわち、1台は学校側に、他の1台は地域ネット ワークのNOCに設置される。また、上述の通信機器に、通信回線がディジタル 通信用とアナログ通信用の2種類が含まれるのは、全対象校をディジタル回線で 接続するAグループの学校と、アナログ専用線回線で接続するBグループの学校 の二群の分類が行われてためである。 この分類は、通信接続に必要な経費、特に専用回線の利用料金の上で差があり、 将来、更に多くの学校をインターネットに接続する場合を考えると、それに必 要な予算規模からみて、ある時点までは、廉価な方のアナログ専用回線による 接続の運用が行われる可能性を考慮した上での選択であった。実際にAグルー プに属するのは35校、Bグループに属するのは76校であった。図4−1は、 上に述べた100校プロジェクト対象校のインターネット利用環境、すなわち 「学校システム」を図示したもりである。
Network System
図4.1 100校プロジェクト対象校のネットワークシステム (A、Bの二種類がある)
 各学校に対しては、クラスCのインターネットアドレスの完備的な組が1組 づつ割り当てられ、これにより各校では254台のコンピュータにそれぞれ異 なるインターネットアドレスを割り当てることができるようになっている。こ のことから、本プロジェクトの対象校では、上記の提供コンピュータを核にし て、従来から校内に設置されていたコンピュータや、本プロジェクト以外の予 算により今後増設されるコンピュータを校内で接続し、いわゆる校内LANの 形でインターネット利用環境を拡大する可能性も考慮されていた。

 校内に設置されたサーバコンピュータは、一部の地方ではEWSが採用され、 他の地方ではパソコンが採用された。これは、調達が地域ブロック(北海道・東 北、関東、北陸・東海、近畿、中国・四国、九州の6ブロック)ごとに分けて行 われたためである。すべてのサーバーコンピュータで、OSとしてUNIXが採 用され、本プロジェクトの全システムにわたり、ネットワーク通信機能としては TCP/IP群が採用され、各サーバーシステムでは、DNS(ネームサーバ機 能)、電子メールサーバ、WWWサーバ等の機能が設備され、それぞれの学校の ネットワークシステムは、例え小規模であっても、ネットワーク機能の上では独 立したシステム、すなわち自立システムとした形成されていた。したがって、各 学校システムが上述のような校内LANになった場合、既に先行して整備された 大学のLANと何ら変わりないことになり、規模から見ると、小規模な大学や短 期大学のLANに匹敵し得る。

 実際には、本プロジェクトの提供システムの規模から校内LANへの拡張は、 さ程容易なものではなかった。何故なら、本プロジェクト開始以前に校内に導入 されていたコンピュータの大多数は、TCP/IP群を運用する機能を搭載する ことができない旧式のものであったからである。それにもかかわらず、現時点で は既に全体の半数近い学校で、校内LANへの拡張が行われている。その多く は、図4−2に示すような、クライアントコンピュータの台数の増加であるが、 一部の、特にインターネットの活用が活発に行われている学校でのサーバコン ピュータの増設の報告もある。

Extension Example
図4-2 100校プロジェクト対象校における校内LANへの拡張例

4.1.2 事務局システム

 この他に本プロジェクトの全対象校に対する共同利用に供する情報サーバシス テムとして事務局システムが設置された。これらのサーバシステムでは、ハイパ ーテキストサービスの面では、本プロジェクトのPRや各学校の参照用に提供さ れる情報や共通企画用の情報提供用のWWWサーバや参照価値の高い学校のWW Wサーバのミラーサーバの役割を果たしている。また、対象校の教員に開放され るメーリングリストや共同企画等で利用されるメーリングリスト等のサーバ機能 の運用も行われている。

4.1.3 地域ネットワークシステム

 100校プロジェクトの接続の支援を行った地域ネットワークは11ネットワ ークに及ぶ。これらの多くは大学や他に一部の研究機関が、地域ごとに自らのイ ンターネットを利用環境を相互協力によって確保する目的で組織された、学術・ 研究利用を目的とする地域ネットワークである。これらが設立された時期は、 わが国でのインターネット利用が開始された時期であり、それぞれのネットワー クでは、規模の拡大はネットワークの利用効果の拡大につながり、同時に、各 組織当たりのネットワーク運用の経済的負担の軽減につながる効果が期待され る時期でもあった。また、この時期では、研究対象としてのインターネットの 運用技術も、多くの大学のネットワークボランティアの関心を集めていた。 ‘94年夏頃、このような状況の中で、通産省やIPAの本プロジェクト関係 者からの依頼や、これを仲介した地域ネットワーク関係者の呼びかけに応じる 形で、これらの地域ネットワークが、それぞれの地域内にある本プロジェクト 対象校の接続という支援活動に取り組むことになった。

 実際の接続作業が行われたのは‘96年5〜7月であった。地理的に広範囲に 拡がった活動領域をもつ地域ネットワークでは、加入組織との接続点となるNO Cが複数地点に配置されているため、本プロジェクトの対象校との接続回線の接 続点となったNOCは39個所に及んでいる。多くの地域ネットワークのNOC では、地域内の本プロジェクト対象校との接続回線をこれら地域ネットワークの 加入組織との接続の場合と区別せず、同じ接続セグメント上に接続した。100 校プロジェクトの対象校専用の接続セグメントを設置し、このセグメントをNO C内ネットワークの他の部分とIPルータが隔離する接続方式を採用したのは、 TRAIN(東京地域アカデミックネットワーク)の東京NOC(東京大学大型 計算機センター内)と同じTRAINの山梨NOC(山梨大学内)の二カ所であ る。接続セグメントの分散化は、そのための設備費用の負担がかかるが、ネット ワーク障害の影響の拡大防止の効果があり、本プロジェクト対象校群のみの運用 状況や障害の情報の把握、通信トラフィック情報の収集等が容易になり、運用状 況の定量的な分析に役立つ。

TRAIN Yamanashi NOC
図4-3 地域ネットワークのNOCの例(TRAIN山梨のNOC)

4.2 ネットワークの運用の問題点

100校プロジェクトにおけるシステム運用について、その特徴的な面を以下 に挙げておく。

 各学校での通信機器やコンピュータシステムの導入・設置、OSをはじめとす る各種ソフトウェアのインストレーションは、システムを納入した企業の技術者 によって行われたが、システム立ち上げ以後の日常的な運用は各学校で担当され ており、本プロジェクトでのシステム運用は、各学校による自主的な運用が基本 である。実際のシステム運用の場面では、UNIXのシステム運用の経験をもつ 教員はほとんどいないし、今回初めてUNIXを体験する教員にとっては、機器 の増強や構成の変更、ソフトウェアの追加や発生した障害の対策は荷が重く、シ ステムの日常的な運用には、適時に適切な助言が得られるような仕組みが必要に なる。 例えば筑波地区の地域ネットワーク(RIC−Tsukaba)等で は、このことを予測して、システム導入直前に、同地区の対象校の教員を対象 として、システム運用技術の講習会を開催して、実地訓練を行っているし、他 の地区では技術的な質問に答える仕組みを運用したりしている。

 システムに関するトラブルの大部分は、システム導入期に発生している。導入 されたシステムのハードウェア障害は往々にある初期不良の例であり、 このよ うな場合は納入企業によって迅速に対処されていた。当初に導入されたモデムを 数個重ねて置いて使用していたら、発熱によってモデムの箱の形が変形してしま った、どちらかと言えば、珍しい例(中国・四国地区)もあった。このため、同 種のモデムが納入された各所でモデムの入れ替えが行われた。

 本プロジェクトの場合には、納入企業の立ち上げ作業の終了が告げられた直後 に、学校から地域ネットワーク側へ、システムが正常に動作しないと告げられた 例があり、この対応も、多くの場合、機器納入企業によって対処されているが、 東北地区(TiA)、TRAINの学習院大NOCのように、地域ネットワーク 側で対処する等の支援が行われた例もある。このようなトラブルは、当時はイン ターネットの利用が拡がっていなかったため、システム機器の取り扱い企業でも 導入時の技術的な経験が乏しかったために生じたものと考えられる。システムが 立ち上がり、正常な運用が開始された以後のシステムの運用は順調な場合が多 く、トラブルは、停電の後やシステムの構成の変更や増強直後等、システムの 運用状態が何らかの原因で変ってしまった場合に発生している。停電があった ためのトラブルの多くの場合は、通電以後のモデムの電源スイッチのリセット 等で簡単に修復するも経験的に分かっているため、現状では、回復の難しいト ラブルの種はかなり少なくなっている。

 全般的には、機器納入企業の派遣技術者による障害対処のケースが多く、地域 ネットワーク側での対処も少数の例がある。一般的なシステム機能等の技術情報 は、CECによって提供される資料、メイリングリストや研修会に頼る場合の 他、地域ネットワークで提供するメイリングリスト(例えば東海地区)や研修 会(例えば、中国・四国地区他)が活用されている例もある。全般的には、障 害が発生した後の緊急回復は難しく、一旦ネットワークシステムがダウンする と回復までにかかる時間・日数が長い例も少なくないが、それにしても、現場 の教員の努力で、システムは回復し、システム運用が見捨てられた例は聞かな い。学校におけるインターネットの利用の経験が深まるにつれ、システムの技 術を理解した教員も出てきて、現状では、教員同士の間の電子メールによる技 術情報の伝達も行われるようになってきていて、この面でのネットワーク技術 の普及効果は大いに期待されるものの、現状では、システムの運用を担当する 教員にかかる負担は大きく、このような面での努力や貢献が、学校内で評価さ れていないようである。

 本プロジェクトでのネットワーク利用は、各学校内では比較的少ない台数のコ ンピュータによる利用であり、利用内容では、WWWサーバーによる情報提供や 参照・収集が多く、次いで、電子メールの利用であり、全般的には、Cu−Se eMeのような画像を含む情報のリアルタイム伝送の利用は少ないため、100 校プロジェクトによる通信トラフィックの回線に対する負荷は、あまり大きくな い。TRAINの東京大学NOCにおける100校プロジェクト専用セグメント の外部側に設置されているルータの対外ポートで採取したトラフィックデータで は、このセグメントに接続する16校分のトラフィック量の平均値は約75MB/ 日であり、これはTRAIN全体の平均トラフィックの0.5%に当たり、1校 当たりのトラフィック量は約3MB/日であり、TRAINの加入組織である大 学等の1組織当たりの平均のトラフィック量の約500MB/日と比較すると1 %以下である。トラフィック量の日による違いは大きく、日によっては平均値の 5倍以上の大きさを示している。Cu−SeeMeの利用が行われた時に対応す るのではないかと推測される。TRAINの山梨大NOCにおいて採取されたト ラフィックのデータでも、1校当たりのトラフィック量はほぼ同程度であり、たっ た1校でも学園祭でCu−SeeMeを使った日はトラフィック量の日次推移を 示す曲線に大きなピークが現れる。このように、100校プロジェクトによる通 信トラフィック実績は、大学の利用に比べると著しく少ないが、もしも各学校に おいて100台以上のコンピュータがネットワークに接続する事態になれば、ほ ぼ大学並みに近いトラフィック量になると考えられる。

4.3 教育利用に求められるネットワークシステム

 インターネットの急速な広がりとともに、学校教育で有効に利用できる教材を 発信する活動が盛んになるとともに、ネットワーク上に提供される情報の総量が 益々膨大になる中で、氾濫する情報の中から、役に立つ情報だけを迅速に選び出 すことが重要になる。このような状況に応えられるネットワークシステムとして は、有効な情報をより迅速に取り出せるようなシステムであり、そのためには、 有効な情報が、ネットワーク上でより近い位置にあるか、または、より広い道筋 でつながるようにするかであろう。一方、インターネット上での情報の氾濫は、 児童や未成年の生徒達にとって有害な、ポルノグラフィや残酷・暴力的なシーン 等の情報の増加ももたらしている。何らかの対策を講じない限り、それらへのア クセスの機会も増加するため、学校のネットワークとしては、このような情報が アクセス対象から排除されるような仕組みが望まれる。このような機能を果たす システムとしては、多数の学校のネットワークが接続するNOCにおいて、有害 情報の発信元を検知して該当するパケットを排除する方法、そのようなNOCが ない場合には、学校のネットワーク上に設けられるサーバ上でこれを行う方法、 又は、各コンピュータ上で、該当するパケットを排除するソフトウェアを動作さ れる方法が考えられる。

 上述の二つの側面、すなわち、教育利用のために、必要な情報をできるだけ迅 速に取り出すことができ、そのような身近なネットワークの内部が有害な情報で 汚されないように外部からの有害情報の侵入を防御するような機能をもつシステ ムの実現である。

 更に別の観点としては、学校におけるインターネットの利用では、他の学校と の間での情報交流はかなり頻繁に行われるであろう。このためには、他の学校が ネットワーク上で近距離であることが望ましい。

Regional Network (1)
図4-4 地域ネットワークの例(各校ごとに自律システムを構成する場合)
 上記のようなネットワークを実現するには、教育利用の専用のネットワークが 望ましいが、全国的な範囲で他のネットワークと独立してこのようなネットワー クを実現することは難しい。しかし、地域的な規模では、学校間がNOCを中心 にして互いに近い距離にありようなネットワークを作ることの方はより容易であ ろう。より広い地域では、このようなネットワークを単一のものとして作ること は難しいかもしれないし、その場合にはNOCが複数になり、NOCを中心とす るクラスタが複数になるが、クラスタ間の直接接続や他の目的のネットワークと 混在する部分をもつ場合はIX接続により、結果的に上記のようなネットワーク 環境を手にいれることが可能になる。

 一方、IP−v6のような新しいIPプロトコルが広い範囲で採用されるよう になるまでの当分の間は、各学校単位に他と重複しないようなインターネットア ドレスの組を割り当てることは難しくなる。したがって、100校プロジェクト の対象校のように、一つの学校のネットワークだけで自立システムが構成される ような形ではなく、複数の学校を束ねたネットワークで自立システムを構成する 方法を採用することになろう。この場合、ネットワーク内部ではプライベートア ドレスを採用することが可能であり、そのためには、このようなネットワークは ファイヤーウォールを介して外部と接続するような、当世流行のイントラネット に相当するシステムになる。このようなアプローチからは、上述の教育ネットワ ークのクラスタの構築は、かなり現実的なものとなりうる。

Reginal Network (2)
図4-5 地域ネットワークの例(複数の学校がまとまって一つの自律 システムを構成する場合)
 このようなネットワークは、地域ごとのまとまりの中で実現されるものであり、 地方自治体の施策の中で実現されるべきものである。この点から、今後の学校の ネットワークの拡大では、地域での取り組みが重要になる。

 次に、本プロジェクトの影響によるインターネットの教育利用の横への広がり、 すなわち、本プロジェクト対象校以外の学校への広がりについて報告する.

4.3.1 地域メーリングリスト

 100校プロジェクトの実施状況や評価が伝わるにつれ、このプロジェクトの 対象校に入らなかった学校でも、インターネットの利用環境を手に入れ、教育へ の活用の活動を独自に始めたり、地域において100校プロジェクトの対象校の 教員だけでなく、その他の学校の教員も含むメーリングリストやWWWページの相 互リンク等のネットワーキング活動が開始されている。東海地方のスクールネッ トの活動も、その一例であるが、その他の地域にも、同種のネットワークによる 情報交流が日常的に行われている。

4.3.2 教育活用研究会  上述のメーリングリストの活動が、インターネット上の電子メールによる、比 較的個人同士の間で行われる情報交換であるのに対して、ネットワークの活用を 実際に行っている教員同士が会場に集まって、研究会を開き、お互いの顔が直接 見えるところで、報告をし合い、情報を交換し合う活動が、多くの地域で行われ ている。このような会合の主催者として比較的多いのは、CECとIPA、地域ネット ワークや大学内の関係機関(例えば学内のコンピュータセンター)である。このよ うな会の例は相当多く、枚挙にいとまがない。このような活動には、ネットワー ク利用に関心をもつ多くの教員が参加するほか、これらの人々に、新しい知識と 技術を説明するネットワーク分野の識者、ボランティア及び技術者も参加し、そ れぞれの地域でのインターネットの教育利用を推進する役割を果たしている。

4.3.3 自治体による利用環境設備と独自プロジェクト

 また、地方自治体が、対象地区内の学校にインターネットを利用できる環境を 整備する動きも出てきている。京都府田辺町では、同町教育委員会内にインター ネットの接続拠点となるNOCを設け,町内にある3中学校と9小学校の全てをISDN 回線によって、このNOCと接続して、ここから商用ISPのネットワークに接続する ことにより、町内の全校がインターネットを利用できる計画を作り、その計画は 既に実行段階に入っている。山梨県では、米国のアイオワ州との間で教育交流プ ロジェクトを進めることを決め、県総合教育センターにNOCを設備し、5校(3高 校、2中学)とNOCの間をISDN等の回線で接続し、NOCからはTRAINを経由して、ア イオワ州側で選ばれた5校との間で情報交換を行っている。その他、自治体によ る学校のインターネット利用環境の提供や整備は、京都市、大阪市、神戸市、横 浜市、等々で進められている。

4.3.4 その他の教育プロジェクト

 本プロジェクトの開始以後、様々な組織の後押しによって、インターネットの 教育利用のプロジェクトが進められるようになっている。国際大学グロコムセン ターによって組織された「メディア・キッヅ」のネットワークは、ネットワーク 利用に活発な学校を参加校に選び、独自の転送システムを運用して、子供たちの 間だけでなく、子供と先生、子供と父兄の間でも、絵入りの手紙のようなマルチ メディア情報の交換のネットワークの運用を続けている。最近、参加校の数を大 幅に増やしてつつある。これと似たネットワークとしては、兵庫県の教育センタ ーを中心に県内のいくつかの小学校の間でマルチメディア情報の交流が行われて いる「コロンプロジェクト」がある。大規模なプロジェクトとしては、昨年から NTT社の支援により、全国で1000校規模の学校に情報ネットワーク接続環境 の整備を支援する「こねっと・プラン」による学校間のマルチメディア情報交換 の活動がある。

 本プロジェクトの対象校をはじめ、上述の様々な形によってインターネット利 用環境を持つことができた学校を、それぞれの地域内で相互に接続して教育ネッ トワークを形成してゆくことが、次の段階で望まれる。このようなネットワーク は、前に述べた、教育ネットワークのクラスタに該当する。


次(第5章 ネットワークの教育利用における課題と提 言)