平成12年度 「全国発芽マップ実践企画」
実施報告書


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5 参加校の実践事例

5.1 実践事例 1

    小規模校における「全国発芽マップ」の取り組み

    北海道勇払郡鵡川町立花岡小学校 宮脇 公治

    http://www2.ocn.ne.jp/~hanaoka/

    mukawa1h@olive.ocn.ne.jp

    5.1.1 昨年度の取り組み

       本校は平成11年度に初めて「全国発芽マップ」に参加した。昨年度の取り組みは主に,ケナフに関する“情報交換の場”的な要素が強かったように思う。私が3・4年生2名の担任だったこともあって,定期的な交流や協同のプロジェクトに発展させることはできなかった。

       1年間取り組んだ成果としては,全校児童で「発芽マップ」で知り合った全国の何校かの学校とメールを通じて交流することができた。閉鎖的になりがちな環境だった僻地の学校が,インターネットに接続されることによって,少なからず,物理的な要因を打開するに等しい環境を手に入れることができた。しかも「発芽マップ」は,同一の植物(作物)を栽培することにより,児童も容易に相手校との接点を見出せていたようである。つまり交流する相手校との共通の話題がすでに提供されていたため,取り掛かりやすかったように思える。その上,昨年度の作物は「ケナフ」ということもあり,本校では取り組み始めてまだ2年目であったし,ケナフという作物自身が,発展途上の「素材」ということもあり,本来の発芽マップの視点でもある植物の地域差における生長の違いという視点の他にも話題にことかかなかったようである。

    5.1.2 本年度の取り組み

       はじめに,本年度6月よりインターネット接続がISDN回線になった。そのことにより他の学校のWebページへのアクセスがダイヤルアップ時よりもかなり快適になり,児童のストレスが減った。また,ホームページのアップロードの作業も格段楽になった。その他のPC環境は昨年と同様である。

      本校のPC環境は次のとおりである。

      (1) 使用機器

      COMPAQ PRESARIO サザンクロスPC-4302 1台
      富士通 FM V-TOWNS 4台

      (2) 周辺機器

      デジタルカメラ SANYO DSC-SX1Z(K)
      スキャナ EPSON GT-8500

      (3) 稼動環境

      ノート型パソコン1台のみインターネットに接続可能(ISDN接続)

      (4) その他使用ソフト ブラウザ Microsoft Internet Explorer
      メールソフト Microsoft Outlook Express
      ホームページ作成ソフト IBM ホームページビルダー2000

       児童のリテラシーではWeb作成をすべて任せるというわけにはいかないので,ほとんどは教師が作成したが,原案は児童のアイディアを十分に生かした。そうすることにより,自分の作ったものが全国に発信されているという喜びを持つことができた。

      今年は昨年と違い北海道の参加校も3校に増えたことも,積極的な活動を行なう要因の一つとなった。

    5.1.3 「クリッカブルマップ」の作成の意図

       平成12年度は5・6年生3名が中心となって発芽マップに参加した。5・6年生ともなると自分達だけでメールの送受信が可能である。昨年度はどうしても教師主導型になってしまっていた反省をいかし,今年度は児童が活動の中心になれるように提案されたのが,「クリッカブルマップ」である。より親しみやすいWebの作成ということで,児童といっしょに思案し,ペイントなどを使って地図を描くことから始まったまったくの手作業となったが,苦労してでも最終的に完成できたことは,本校の高学年の児童のコンピュータスキルもそれなりに上達してきたことを意味しているのではないだろうか。

       「クリッカブルマップ」を作成したことにより,一時的ではあるが,MLの中で花岡小学校のWebページが注目を浴びた時期があった。そのことは児童にとって大きな自信を得た。今までどちらかというと内向的で,積極的に活動することが苦手の傾向にあった児童に積極的に発芽マップに参加する姿勢がみられた。また,全国からの問い合わせのメールが相次ぎ,自分達の活動に自信を持つことができたようだ。

       また,高知県小才角小学校と交流するきっかけを得たのも,「クリッカブルマップ」を作成したのと同時期である。この小学校は全校児童4名ということで,自分達より小規模の学校に「発芽マップ」を紹介することができた。幸い,小才角小学校も「発芽マップ2000」に参加してくれることになり,仲間が増えたことによる児童の喜びは,想像以上に大きかった。今でも,小才角小学校とは直接,ケナフの様子などを交流している。

    5.1.4 小規模校の実践

       小規模校のメリットは,時間にとらわれず活動が柔軟に行なえるということが一番大きい。その日に得た全国の最新情報をすぐにまとめ(必要によっては全文プリントアウトし配布する。),専用の掲示板に張り出す。児童は朝登校してくるとすぐに,掲示板を見て,関係ある学校や興味のある学校にはすぐにメールを書いたり,Webページにアクセスする。とくに活動の時間を設定する必要ない。休み時間や放課後の時間などに自主的に活動することができる。ちょっとした時間ができるとメールチェックすることが可能であるし,ハードの面でも数的に問題はない。このような点でいうと,少人数ならではの取り組みがなされているといえよう。

       また,個に応じた対応ができるということも可能である。ある児童は,北と南のケナフの生長の違いを調べたり,またある児童は,ケナフを活用した活動にはどんなものがあるのか調べたりしている。ケナフも発芽マップでは4年目となった訳だが全国各地で様々な実践がなされており,児童は他校のWebをさがして自分達の活動の参考にしている。

    5.1.5 発芽マップの成果と課題

       協同的学習実践から本校の児童の得たものは大きい。物理的にも閉鎖的であった環境にあった児童達が,インターネットを通じて,全国に目を向けるようになったことは大きな成果といえよう。

       ただ,最終的にはやはり直接出会って話をしたり,TV会議にまで発展させることにより,協同のプロジェクトなどに取り組むことが,できるシステムの導入が求められるのではないだろうか。

       例としては,参加校の増大にともない,交流が散漫化しつつあるので,同じようなクラスサイズ(学校規模)による協同プロジェクトを立ち上げることもできる。さらには,全国をいくつかのブロックに分け,より緻密に活動を報告しあったり,栽培する植物を事前に児童・生徒がネット上で話し合って決定したり,数種類栽培するなどの多様性を持たせたりする。児童が中心となり,活動できるような掲示板(BBS)を作成し,教師は児童からの提案を支援していける態勢をつくる。(教師のMLと児童のMLの融合)また,小・中・高がいっしょになって協同のプロジェクトを進めるなど,より発展した多様性に満ちた「次世代の発芽マップ」の方向性を検討していく必要がある。「全国発芽マップ」はまだまだ可能性に満ち溢れたプロジェクトであるといえよう。

    5.1.6 ワンポイントアドバイス

       インターネットに接続した当初は,簡単に遠距離の学校や人と交流ができるため,関心が遠くへ向けがちになってしまう。いったん遠方へ向けた目をフィードバックさせ,地元へ向けさせることが大事である。教育・行政・地域住民が一体となった情報ネットワークをつくっていく必要がある。

       最後に,電子メールやペイントソフトを使った絵葉書などの交換のみで終わるのではなく,直筆の手紙や児童の作品を含めた交流へと発展することにより,お互いの児童たちに機械(パソコン)ではなく,人と人が交流しているという実感を与えることが大切である。

      参加・協力校

      高知県小才角小学校

      http://www.edu.net-kochi.gr.jp/home/kosaik-e/kosaituno/index.htm

      参考文献

      インターネットがひらく総合的な学習 中山迅 奥村高明 根井誠 編著 明治図書

      学習で利用したURL

      ケナフの会(広島ケナフの会) 

       http://www.kenaf.gr.jp/

      全国発芽マップ

       http://www.fes.miyazaki-u.ac.jp/HomePage/kyoudoupuro/hatuga.html

      教育現場のインターネット利用 平成10年度「新100校プロジェクト」実施報告集   http://www.cec.or.jp/es/E

       

       

5.2 実践事例 2 

     ケナフから環境を考える子供たち 

    〜アースケナフプロジェクトの取り組みから〜

    富山市立水橋中部小学校

     深井美和

    http://www.ed.pref.toyama.jp/sc96/kenahu/kenatop/index.html

    fukai@mbk.sphere.ne.jp

     

    5.2.1 ケナフとの出合い

        初めてケナフを知ったのは、宮崎大学教育学部附属小学校の研究会に参加したときである。中西級の子供たちから「おみやげ」として、ケナフの種入りの袋をもらい、教室に持ち帰って紹介したのが平成11年の2月。調べれば調べるほど、驚くことばかりだったが、とにかくみんなで育ててみようということになった。4月には発芽マップの方にも参加させていただき、総合的な学習の時間の取り組みとして、直接体験とメディアをうまく組み合わせながら、子供たちが柔軟に発想できる年間カリキュラムを考えた。

    5.2.2 アースケナフプロジェクトの取り組み

       「地球にやさしいケナフを育てよう」をテーマに、ケナフについて調べていく中で生まれてきた「空気や水をきれいにしたい」「森林を守りたい」「ケナフを紙や杖、食べ物等に活用したい」という個々の願いを大切にし、それぞれの興味関心にもとづいた活動を展開しようとアースケナフプロジェクトを発足した。

       (詳細については*1を参照)

       

       例えば、「大気プロジェクト」の子供たちは、ケナフを育て、地球環境問題を考える中で、空気をきれいにしたいという思いから、人通りや交通量の多いところにケナフのプランターを置かせてもらえるよう地域に働きかけた。ケナフについてのポスターを手にコンビニやガソリンスタンドに協力を依頼してまわった。夏休みも様子を見に出かけてくる子供たちに温かい言葉をかけたり、熱心に世話をしてくださったりする方も現れるなど、地域の方々との心の交流が生まれた。子供たちもお礼にケナフの葉を使って作ったクッキーを届けたり、刈り取ったケナフで作った紙を感謝状として手渡したりして、積極的に関わっていった。また、数カ所においたケナフの中でもガソリンスタンドのケナフが1番成長していることから、試薬を使って空気の汚れ調査も行い、ケナフから身近な環境問題に関心は高まっていった。空気をきれいにしたいと願うなら、ケナフを植えるだけでなく、まずは自分たちの生活を見直し、空気を汚さないように努めること(ごみを減らす・近いところは自転車で行き排気ガスを減らすなど)大人も子供も自分たちができることから始めようと考え、家族によびかけたり、ホームページでも訴えたりすることにした。「ごみプロジェクト」の子供たちは、具体的なリサイクル活動として、ペットボトルのリサイクルボックスを作り、校内に設置するとともに、ちらしを配って全校によびかけた。小さな事からではあるが、それぞれに自分たちの足元の生活を見直すきっかけとなり、子供たちの活動を紹介したアースケナフだよりを通じて、保護者との連携も深めることができた。

    5.2.3 活動を支えたメディアの活用

      (1) 多岐にわたる交流にテレビ電話を活用(共同学習)  

         発芽マップに参加したことをきっかけに、子供たちは気候による生育の違いだけでなく、育てる過程で感じたり、考えたりしたことをネット上で意見交換することができるようになってきた。成長記録をデジタルカメラで撮り続け、ホームページに発信したり、グラフにまとめたり表現方法を工夫しながら伝える子供も出てきた。また、マルチメディア係を中心として、デジタルカメラの画像をコンピュータに取りこむことからメールのチェック、ホームページの入力に至るまで、子供たち同士で自主的に行い、時には子供が小さな先生となり、教え合うようになった。コンピュータは、情報収集から始まり、子供たちの実体験を伝える表現メディアとしても位置付いた。ここで、様々なメディアの中でも特に有効であったテレビ会議システム(テレビ電話)の活用事例をあげてみる。

         空き教室を利用して、テレビ電話を常設し、いつでも気軽に使えるような場「ふれあい教室」を作った。毎週金曜日の朝活動の時間に行ってきた宮崎の本郷小学校とのケナフ報告会では、親近感を深めるともに機器の操作にも慣れ、必要に応じて情報手段を選択する力にもつながった。また、テレビ電話を利用すれば、学校間だけでなく、専門家ともあたかも同じ教室で学習しているかのごとく直接アドバイスを受けることができる。「育てたケナフから紙を作ろう」という場面で、薬品を使う・使わないの対立が生まれ、白熱した議論が展開された。教師も模擬実験(水酸化ナトリウムでアルミニウムを溶かす実験)の提示をし、子供たちの思考に揺さぶりをかけた。薬品を使わないもっとよい方法はないものか、子供たちの意識が高まったとき、「テレビ電話で早水先生(ケナフの会会長)に聞いてみよう!」とある子が叫んだ。これまでもテレビ電話を使って、農業高校の先生やケナフの会の方々に防虫対策などを教えてもらった経験から出た言葉である。本やインターネットからは得られなかった最新の詳しい情報を得ることができた。自分たちの疑問を解決するだけでなく、子供たちの作成したホームページの感想も含めて、環境に対する考えについても話をしてもらったことで、普段ふれることのできない専門家の様々な思いにもふれることができた。子供たちは、これまでの学習以上に視野を広げることができた。

      (2)交流を深め、広めた電子掲示板

         子供たちは「ケナフ掲示板」(宮崎:本郷小HP参照)上で、ケナフについての情報交換を始め、同じ学年の子供だけでなく、他の学校さらには一般の人の書き込みも参考にしながら、より関心を深めていった。ある日、同じ本郷小HP内に設置された「環境掲示板」に興味をもった子が地球温暖化の問題に関して投稿したことをきっかけに、異学年交流が生まれた。ケナフを育てながら考えたり実践したりしてきたことを学年の枠をこえて「環境」をテーマに話し合う場も持つことができた。地元テレビ局の取材に対して、子供たちは「ケナフってすごい!」と語った。この一言に込められた思いは大きい。ケナフの生命力やその活用のすごさもさることながら、「ケナフを通して友達がたくさんできた」ことに大きな喜びを見いだしている。

         昨年度の経験を生かして、今年度は大学の協力を得て「交流掲示板」を設置し、情報を交換し合っている。(子供たちの自由な意見交換の場として保障するためにパスワード規制をしている。)

    5.2.4 多方面から環境を考えるようになったアースケナフPartU

       昨年「地球にやさしいケナフを伝えよう・広めよう」としてホームページで発信したり、子供たちの活動がテレビなどで紹介されたりしたことから、ケナフに対して批判的な見方をしている方々からのメールや手紙も届いた。自分たちがよいと思って育ててきたケナフに対しても、いろいろな考えをもっている人がいることを知り、初めはショックを受けた子供たちも「環境」について各自がどう考えてケナフに接していくかを真剣に考えるようになった。

       今年度は「地球にやさしいくらしをつくろう」というテーマのもとアースケナフPartUとして、「ケナフ」と「稲」を育てながら「食」に関して考えている。自分たちの口に入るまでの過程を実際に育てながら考えることで、これまでとは別の面から環境問題をとらえ始めている。また、ケナフの栽培についても、自分たちの手で最後まで丸ごと活用できる分を育てることにした。1年生と一緒に楽しみながら活動する中で、他の学年の人達にも少しでも環境に関心をもってもらいたいと願っている。「人の輪を広げよう」というサブテーマを掲げ、子供たちの活動はどんどん広がりを見せている。

      *1 http://www.ed.pref.toyama.jp/sc96/kenahu/kenatop/index.html(昨年度のHP)

       

5.3 実践事例 3

   

    夢、全国発芽マップから世界発芽マップへ

    子どもたちのための地域活動「地球クラブ」

    井柳 強

    diyanagi@mail.chabashira.co.jp

    http://www.iceberg.org/~iyanagi/salad/fl/fl1/earth2.html

     

    5.3.1 この研究発表のアウトライン

       同じ植物の種を同じ日の同じ時間に全国でまき、インターネットで成長レポートを交換し合う、全国発芽マップはすばらしい試みの場だった。交流はインターネットと言う仮想空間であるが子どもたちの実体験にもとづいたコミュニケーションだからとても生き生きとしていた。私はこの全国発芽マップの国際化ができたら面白いだろうと夢に描いてきた。世界発芽マップ実現の可能性を探るために短期間の「サラダプロジェクト」という小さな試行をした。残念ながらこれは失敗の連続だった。このプロジェクトで学んだものをこれからの実践に生かしてほしいと願いレポートする。将来、全国発芽マップの国際化をはかろうとするとき参考になればうれしい。これは日本教育をどのように国際化するかの問題でもあるかもしれない。

    5.3.2 地球クラブって?

       地球クラブというのは、「通信メディアを利用して世界中の友だちと仲よしになろう!」をテーマに在職中の学校で20年前に作ったクラブである。郵便からスタート、スライド、録音テープ、ファックス、VTR、パソコン通信そしてインターネットへと進んだ。これまでの体験や100校プロジェクトで学んだものをすこしでも役立てたいと考え、学校を退職した昨年、近くの公民館にパソコン1台を持ち込み隔週土曜休日の午前中を利用して「地球クラブ」の活動を再開した。市内の12校、小2-6年、20名が参加、本年度の募集テーマは、「植物栽培を通して世界のみんなと友だちになろうね!」であった。

    5.3.3 「地球クラブ」のインターネットを利用したこれまでの植物栽培

       1992年、清水とロシア・モスクワ近郊をインターネットで結び、子どもたちがコップの中でカイワレダイコンを共同栽培する試みがあった。当時はまだ、画像を送受信する機材がなく、メールアートと呼ばれる方法で成長の様子を伝え合った。言葉はお互いに通じなかったが「発芽した!」という感動は文字絵でも大きく伝わった。ここで、インターネットを利用した植物の国際協同栽培のおもしろさを体験した。それから、タイと米のバケツでの栽培、アメリカとの綿の栽培、ベルギーとの花の協同栽培などを展開してきた。

    5.3.4 日本発の国際プロジェクト「Salad Project」

       全国発芽マップのような活動を外国のともだちと一緒にできたらと考え、子どもたちとプロジェクトの企画をした。国外の日本人学校との案もあったが、日本人学校といえども種の移動に問題があり断念した。「サラダにする野菜を一緒に育て、収穫できたら、それを使ってサラダを作り Virtual Salad Party をしようね」というプロジェクトを作った。そのアウトラインは、期間は9月から11月、サラダ野菜の栽培場所は鉢・プランタ・菜園、室内、室外どこでも可とした。収穫が Party(感謝祭)に間に合えば蒔く時期、種類、栽培方法も自由に選択できるようにした。メール、手書き絵やデジカメ写真による成長、収穫後のサラダ調理レポート交換。できあがったサラダの国際比較、サラダ画像の共同ページへのリンクによるVirtual Salad Party。 Home Page の共同編集などを通して国際理解を図ることを目的に掲げた。50通近いメールを送ったが、交流相手が容易にはみつからず落胆した。

    5.3.5 海外からこのプロジェクトへの参加が難しい理由

       理由はいろいろあったが「このようなプロジェクトをカリキュラムに取り入れることが困難だ。」「画像データを共有するプロジェクトで子どもたちの顔写真の掲載ができない。」「休日の水やりが困難だ。」「Home Page を編集できる先生がいない」なども書かれていた。カリキュラムに関わる問題がいちばん多かった。

      *OK, you need to offer them some ideas about how to use the project in the curriculum,  *You should include: Educational goals for students ( What are the main things that students will learn when doing this project? )  This is true. We cannot come to the school building when there are holidays. We would have to move the plants to someone's house. *Our only difficulty is that our school principal does not want a web page where children's faces are used.  *Every schools have a teacher who can edit HTML?  No, not at all. The number of teachers who can do this is growing but, no, not every school has someone

    5.3.6 アメリカからぜひ、参加したいので「このように修正してもらえませんか?」とメールが

       最終的なこのプロジェクトへの参加グループはこれまで交流のあった学校だった。アメリカの子どもたちの修正提案は、サラダ野菜を育てる過程に地元の農産物・落花生の殻を堆肥としてどのように利用するか共同研究したい。」さらに、「野菜とハーブを無農薬栽培で、どんな蝶がやってくるか共同観察しようね。」という提案だった。サラダを調理するという最終目的は同じであるがその過程で「科学的な観察をしてみませんか。」という逆提案であった。「日本発のこのプロジェクトのままでは、Scienceの授業に取り組めない。」と言うことであった。

    5.3.7 サラダプロジェクトをScience教材にするという実践例

       この要望にれに応えるアイデアを子どもたちと練った。結構おもしろい試みが提案された。例えば「落花生の殻は、野菜の成長に役立つか」という研究課題があった。(1)天日乾燥落花生を食べた後の殻をそのまま土に混合、(2)殻をミキサーで粉にしたものを混合、(3)発砲スチロールを手でちぎってこまくしたものを混合。この3種類の鉢でサラダ野菜の成長を比較する方法を子どもたちは考え出した。3つの鉢の中でどの野菜がいちばん良い成長と収穫を示すか事前に答え、その簡単な理由、(仮説)を記入、予想があたっていたか観察(検証)し、討論する国際共同研究が誕生した。

      1)野菜がいちばん大きくなるのは、  (生徒記入欄  はっぽうスチロール)

      2)その理由はなんですか? (生徒記入欄  発砲スチロールはくさらないけれど、落花生の殻や粉は鉢のなかでくさって野菜の根をいためる。)

    5.3.8 インターネットはすばらしい

       交流相手が決まらず、こまっている「地球クラブ」のこどもたちを思いやり、日本発のサラダプロジェクトの面白さを認めると同時に、自分たちが研究したいことをその中に上手に組み込み、プロジェクトをまとめていくアメリカの先生と子どもたち。自分たちのしたいことと相手のしたいことが違っていて、一緒にできないようなものであっても、相手の中にあるよいものを認めつつ自己主張する「地球クラブ」の子どもたち。まだ、英語の学習を始めていないが、アシスタントの支援でこのような国際理解が生まれていくことを微笑ましく感じた。全国発芽マップでケナフの花が咲いたときの感動メッセージと同じように 「We discovered we have two carrot sprouts. How exciting! 」 2本のニンジンがはじめて、発芽たという1行メッセージと画像がアメリカの子どものハートが「地球クラブ」の子どもたちに伝わった。

    5.3.9 最後に

       全国発芽マップの国際化は、気候、種子の移動に関する法律、カリキュラム、学期制度などの違いがあり容易には実現できないだろう。しかし、忘れてならないのは、上で紹介した3種類の鉢のサラダ野菜がどのように育ったかということは言葉で説明する必要がないということである。今日のインターネット技術は1枚の鮮明なカラー画像にその様子を載せ、正確に世界中に配達することを可能にしているからである。時間はかかるが、私の夢がいつか、皆さんの手で実現できると確信している。交流相手を探すことの困難は他のプロジェクトでも同じである。「ここを見れば、日本発の国際プロジェクトがわかる。」と言うデータベースの構築が望まれる。国内からの参加は宮崎大学付属小学校の6年生だけであったが協力ありがとうございました。最後に、私たちのように学校外で活動するグループでも、MLに加えていただくと同時に、今回の発表の場を与えていただきましたことに厚くお礼申しあげます。

      実施企業・団体名:富士通株式会社 宮崎支店



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