II.「障害児向けWWWブラウザ
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以下の知的障害養護学校2校3事例・肢体不自由養護学校7校10事例について、評価を行った。
知的障害、視野狭窄:タッチパネル使用
自閉性障害、:マウス(タッチパネル)
中度知的障害:キーボード
脳性麻痺(右片麻痺)、知的障害:マウス及びキーボード
脳性麻痺(四肢体幹機能障害・下肢麻痺)、知的障害(小学校低学年程度):マウス及びキーボード
下肢麻痺及び片(左)麻痺・小学校低学年程度:キーボード及びマウス
脳性麻痺・小学校低学年程度:マウス
下肢不自由・体幹支持機能障害・脊柱測湾・上肢可動制限あり:マウス及びタッチスクリーン
脳性麻痺:キーボード及びマウス(2事例)
脳性麻痺(可動域は首から上のみ):口に割り箸をくわえ、らくらくマウスのボタンを操作
筋ジストロフィー(長時間の座位保持は困難):マウスとトラックボールを姿勢により使い分けている・短時間であればキーボードによる入力も可能
ベッドに寝たきり(首から下を動かすことが困難):WiVikのスクリーンキーボードを使用。トラックボールを使用し、唇でボールを操作し、顎で外付けのスイッチを押す。
教科指導の時間、自立活動の時間、クラブ、昼休み等の時間に、1対1、または、複数の生徒に対し複数の教師で指導した。
修学旅行の目的地、県庁所在地、クリスマスの調査、好きな電車、興味あるホームページの検索・閲覧等をした。
1回につき20分から1時間程度。
「見やすい!」と言って、いつものように画面のすぐそばに顔を近づけることがなかった。[a]
自分の気に入ったページを「好きなページ」にたくさん入れることができた。[b]
12月7日(木)「トイ・ストーリーのホームページをさがそう」、12月19日(水)「ポケモンのホームページをさがそう」。キッズブラウザに検索ボタンがなかったのでIE5.5を併用しIEでHP検索サイト(ヤフー)のURLをコピーし、それをキッズブラウザの「開く」に入れて表示させ、「すきなページ」に入れた。キッズブラウザで検索サイトから「トイストーリー」(カタカナ変換は教師が行った)を検索し、ホームページを見ては「すきなページ」に入れた。同じパソコンで生徒はキッズブラウザ、教師はIE5.5を使用しURLのコピーと貼り付けを行った。[c]
表示がわかりやすく使いやすかった。[d]
はじめは一般のブラウザを使っていたが、理解しづらかったので授業途中からキッズブラウザを使用した。表示がわかりやすく使いやすかった。[e]
操作は問題なくできたが、目的のページまではたどり着かなかった。[f]
操作がしやすく、子どもが主体性を持って操作できるた。結果、次回学習への動機付けが強くなった。[g]
1回目:ソフトの概要を知らずに、進めたために「すきなHP」に行けなくて多少戸惑った。とりあえず、学校契約のプロバイダのHPから検索しながら、目的の「西武ライオンズ」のHPにたどり着く。タッチスクリーンで利用しようとしたが、手が届かないのでマウスを利用した。 2回目:あらかじめ「西武ライオンズ」のHPを「すきなページ」に登録しておき、「キッズブラウザ」起動後、「すきなページ」に移動して見る。他には移動しないでじっくりとそのHP内での移動に止まる。[H]
普段使っているYahoo!検索と大差ない検索方法だったので、どう使っていいのかわからないところがあった。[i]
今のところスキャン入力ができないので評価しにくい。今後に期待したい。「すきなページ」が絵入りで表示されるのが気に入ってきた。[j]
通常のキーボードでは、長時間の入力ができないこの生徒の場合、ソフトウェアキーボードはかなり有効であった。[k]
「ひらく」、「いんさつ」等のツールアイコンが分かり易くて良かった。前々から、WiViKを使用している生徒なので、ソフトウエアキーボードは便利であった。[l]
好きなページは「しまう」より「入れる」が良い。検索があればよい。好きなページの画面コピーが小さいけど、文字よりましかな。[a]
IEにあるような検索ボタンがあるとHP検索に便利です。「すきなページをみる」の「しまう」「みる」にイラストがあると操作がわかりやすくなると思います。私のやり方が間違っていたのかもしれませんが「もどる」ボタンを押すと、表示しているサイト内の前ページにはいけても、その前に見ていたサイトに戻れませんでした。URLをマウスで入力できる画面がありましたが、検索語をひらがなでマウス入力できる画面があると便利だと思いました。アドレスバーがあるとURLのコピーと貼り付けに便利だと思いました。[c]
文字だけでなく音声でのガイドがあると使いやすい。[d、e]
「好きなページ」の削除を可能にする。「好きなページ」のプレビューを画面だけでなく、任意の画像に変更可能にする。「好きなページ」を間違ってしまった時、「戻る」で選択画面に戻れるようにする。ホームページ上でもう一つ、別のウィンドウが開いてしまうと、IEの画面が出てしまう。検索サイトで語句を入力して、リターンキーを押すと、選択されたアイコンの動作が働いてしまう。[f]
「すきなページ」のサムネイルが見づらい。[h]
生徒の個人的な意見であるが「何となく子どもっぽいデザインなので、ちょっと使うのが恥ずかしい」といっていた。[j]
「すきなページ」にタイトルをつけるのがうまくいかない。また、ここでもソフトウェアキーボードが使えると便利。「すきなページ」に登録する場合、縦長のページだと見ていたところが登録されてしまう。登録するページのトップが登録された方が使いやすいようだ。「すきなページ」の編集ができないことが不満だそうだ(削除や順番の入れ替えが簡単にできるとよい)。[k]
本校では、標準のキーボードやマウス等が使用困難な子どもたちに対して、入力制御装置(Wing-USB)を用いてインターネットを利用している。このような子どもたちも使用できるよう、キーボード・ナビゲーション機能に対応しているとさらによいと思う。「先生用」の各機能に工事中が多く試用できなくて残念であった。[l]
教師が設定しないと使えないと思った。いつもはマウスを使っている子がわかりやすさからタッチパネルを使った。次々に操作ができた。[a、b]
知的障害を持つ子どもたちに試用してみたが、画面にイラストがあり、とても見やすいものだった。しかし、追加・改良点にも書いたが、いくつか改善して欲しいところもあった。「すきなページ」(いわゆる「お気に入り」)を言葉でなく画面のイメージで保存できること、URLを画面上でマウス入力できるところが便利だと思った。[c]
ブックマーク(お気に入り)への登録がURLを入力しなければならない。おすすめの情報を前もって入れておいてもらえると使いやすい。ブックマークのページ表示もインターネットの画面をそのまま縮小しているので、生徒には区別しにくい。何か、シンボルとなる画像で置き換えるか、タイトル画像だけを簡単に取り込めるようにするとわかりやすくなるのではないか。名前がキッズブラウザであるが、大人用にもこのようなものがあってもよいのではないか。[d、e]
実際に試用できた時間が短かった。追加・改良点が気になってしまい、生徒が上手く操作できなかった。生徒用検索サイトがあればと感じた(ヤフーキッズ等でも漢字が多い)。生徒に操作させてネットサーフィンをするのであれば、あらかじめ生徒の興味関心のあるサイトを事前に調べなければいけないので、検索がもっと容易にできればと感じた。[f]
今までは、教師の指示のとおりに動かしているという気持ちが強かったようだが、操作性が簡単であることから、主体的に学習に取り組んでくれた。以前と比べて、画面がすっきりしているので、教師の指示もつたわりやすい。[g]
本児はこだわりのある生徒で、「西武ライオンズ」のHPしか見ようとしないが、お気に入りボタンですぐにそのHPに跳ぶことが出来るのは都合がいい。言葉数の少ない生徒ではあるが、表情は明るかった。利用に慣れていけば楽しめるソフトだと感じた。[h]
ボタンが大きく、絵で表示してあるところはよかった。[i]
生徒が思ったように操作できるかどうかは、ブラウザの仕様よりも閲覧しているホームページの作り方によるところが大きいということを実感した。学校で使う場合、○○君専用というわけにいかないので、「すきなページ」は「○○くんのすきなページ」という形で分類できると良いと思った。その際に、デジカメの画像等、生徒の顔写真で選べるようにすると楽しいと思う。今回はすばらしいソフトを試用させていただきありがとうございました。製品化を期待して待っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。[j、k]
肢体不自由養護学校である本校は、児童生徒の障害の程度は様々である。知的な障害がほとんどなく、一般的なブラウザソフトがそのまま使える子はそれらのソフトを利用すればよいと思うが、知的に、あるいは、機能的に一般的なブラウザソフトは利用しにくいという子ども達のために、是非、キーボード・ナビゲーション機能への対応を望む。[l]