2.平成10年度の成果と課題

 活用法、教育的な効果などは前年度に引き続き、継続して研究している。平成9年度の実施状況を参照にしていただきたい。
 技術的課題について今年の状況とこれからの方向性について述べる。

前年度の課題より:
・誰にでも使えるネットワーク環境を整える。
 具体的な対策がなされないまま、今年度も過ぎようとしている。ネットワーク構築の専門家(SE)の定期的な派遣、教職員の ネットワーク専門研修の実施、各教育委員会のネットワークにおける理解と援助など、具体的な行動が求められている。

・生徒が自由に使えるクライアントの数を増やす。
 本校ではこの4年間の間に生徒用のパソコンが一台も増設されていない。14台のMsdosのパソコンを何とか活用しながら、 インターネットの研究をせざるを得ない状況ある。行政としては教育の平等性でなかなか一つの学校に投資することは困難 である。新しいプロジェクトの実験校としての条件は十分なハードを整備する必要がある。そうでないと教育現場の人たちが 現実的に活用することは困難であろう。

・インターネットの即時性を生かすある程度の回線速度が必要である。
 ネットワークの活用を模索していく中で実感してきたことである。しかし次年度以降ディジタル専用回線から、アナログのダイアルアップの回線に移行せざるのを得ないのは維持経費の削減とはいえ、あまりにもかなしい現実である。

・まず教員の側からコンピュータやネットワークの研修をしていく必要がある。
 この課題に関しては毎年毎年、パソコンの基本的な使い方や、インターネットのネットサーフィンの仕方、検索のやり方、メーリングリストの活用など、使える教員が増えていることはうれしいことである。

・システム管理は専門のSEに任せる方向が望ましい。
 離島でのネットワーク構築における課題はSEや専門家が気楽に訪問する事ができないことと、距離が遠くて、回線利用形態や 予算の面で複雑になったり、高くなったりすることである。一例を挙げるとアナログ回線の場合は離島特例があり、3分20円で済むが、INSネット64などのデジタル回線を利用するとなると3分90円になる。国際電話をかけるようなお金のかかる状況である。 このような中で、情報検索、授業での活用を考えてみると、ますます現実的な利用がしにくくなっていくと思う。専用回線のありがたさ や学校での使い易さを今更ながら、実感している。

・地方自治体や国による予算的な援助が必要である。
 やはり、最後はこの課題になる。文部省が指揮をとり、情報教育の発展を推進している中で、その考え方が、地方自治体や 学校の教職員に浸透し、受け継がれ、実践していくことの重要性がますます高まってきている。

3.新100校プロジェクトに参加して

 平成6年度からの5年間の実践研究に多大な時間とエネルギーが使われ、多くの成果をあげてきた。そして特筆すべきことは、このプロジェクトをいろいろなところでバックアップしているネットワークの専門家の方々がおり、地方自治体・教育委員会と一体になって、学校に情報教育を浸透させようと努力している教職員が多数いることがわかったということである。これらの人たちによって培われたノウハウ、貴重な資料がこれからの教育現場でのインターネット活用に役立っていくように望んでいる。そして、このプロジェクトを通して、得られた貴重な人的なネットワークをこれからも存続していきたいものである。


□新情報のインデックスへ    □前ページへ

□ホームページへ