新100校プロジェクト 平成10年度実施報告 (帝塚山学院泉ヶ丘中高等学校)
2. 平成10年度の成果と課題
- 活用方法
タイピングソフト(ビッグバンPC)とヘッドホンを50台の生徒機用に購入し、タイピングに慣れさせてから、英語を中心とした授業や課外活動で利用。最終的にはコンピュータクラブ部員ではない一般生徒の中にもCECの自主企画に参加して、ホームページ制作を行える生徒たちが現れたり、インターネットクラスルームプロジェクトのトップページのデザインを作成する生徒が出てきた。
特に、国際科の生徒は、国語表現、国際理解、英会話のスキット制作などレポートや作品制作のため、資料収集にインターネットを活用した。
また韓国への英文メッセージを韓国研修旅行に出かける直前にお絵描きソフトやスキャナーなどを駆使して作成したり、英語スピーチコンテスト用に英文エッセーを書き、これを掲示板に掲載(http://210.163.117.210/~icp98/ L-Study)したりして、教科と関連した有機的な利用が見られた。
大学入試直前のホームルームなどでは入試情報やセンター試験の結果などを入力して志望校を考えたりして入試に直結する利用をしていた。
コンピュータクラブの生徒たちは、ネットワークのメンテナンスを担当する中でネットワークについての理解を深めていた。
- 教育効果
自主企画に参加した生徒がHTML言語を学び、入力したコマンドがブラウザーで見るとすぐにコマンド通りに変化することに、大変感動していた。インターネットが利用できる環境となって生徒の学校に対する好感度が高まり、学生生活が多様になってきたことは、大きなプラスといえる。
以下に生徒の感想を引用する。
- アメリカに留学した仲の良い友達とメールをやりとりして、向こうの生活を早く知ることができてうれしかったし、何か近くにいるような気がした
- ある程度のトラブルに自分で対処できるようになった。自分でなんとかしようという気持ちが生まれてきた。キーやマウスなどをさわることで、機械に慣れた。こういう機械をさわれるようになったことが、よかったと思います。
- 自分ひとりで、イラストを描いたり、海外の友達とメ−ルを交換したり、エッセイや日記を書いたりしたこと、大人になっても、このことは自分にとってすごくプラスになると思います。
- 技術的課題
本校の技術的な問題に対しては、担当教員、コンピュータクラブ部員、三菱総研(100校の窓口)の3者で、これまで対応してきた。平成10年9月ころから数ヶ月にわたり、サブとして利用しているサーバ(Turbo Linux)に頻繁に外部から侵入されたが、これは、三菱総研のサポートで、しのぐことができた。
予算削減の状況下、コンピュータ教室(PCL教室)のメンテナンスは、コンピュータクラブ部員がボランティア的に担当している。ディスクドライブにFDの破片が残ったり、ネットワークケーブルが外れていたり、ハードディスクのファイル破損など、これまで頻繁にトラブルが生じたが、すべて、コンピュータクラブ部員と担当教員で解決してきた。
ただ専門家が当たっているわけではないので、いつまでこのような状況を続けていくことができるか不安ではある。
3. 新100校プロジェクトに参加して
新100校プロジェクトでは国際プロジェクトの一つであるインターネットクラスルームプロジェクトの幹事校として、環太平洋諸国の学校と国内の学校を結ぶ橋渡しの役割を行うことができた。同プロジェクトと関連して本校の国際科行事の一つである語学合宿にハワイ教育省の協力でハワイの生徒を送ってもらったり(平成9年・10年、各3名ずつ)、平成9年には韓国の生徒2名が参加、その後の交流に役立つ。平成9年12月には、国際電子ネットワーキング教育学会にEU12名を含む23名の教育関係者が海外から参加。その際、インターネットクラスルームプロジェクトに参加している教員も多数来日し、同プロジェクトの日本側参加者とオフラインの会議を持つことができた。
他にCECの国際プロジェクトの一つ、Me&Mediaに参加したり、自主企画に参加するなど色々な面でCECの協力を得てきた。
特に回線面で平成10年度末まで補助を受けたことは、本校のコンセンサスが整うまでの時間的余裕を与えられたという点で大きな意味があった。
- 地域の核としての活動(研究会,研修会,イベントなど)
平成9年8月に50台の生徒機がインターネット接続されているPCL教室が完成し、平成10年度から本格的に授業でのインターネット活用が始まった。その後、9月から保護者対象インターネット公開講座を開催したことは先にあげた。
また、12月には保護者や大阪の私学関係者対象に公開シンポジウムを実施。
以上の経験と結果をもとに平成11年度には、保護者と地域対象の公開講座を年10回開催する予定である。
- 学校現場で起こったこと(教師や生徒の変化など)
PCL教室が完成してからこの一年半の間に本校のインターネット化は各教科準備室・図書館がネットワーク化されるというインフラ面以外に教員・生徒の意識・利用状況においても大きな変化が起こった。
これは先に述べた英語科13名中、実に10名が自宅でダイヤルアップ接続するようになったことにも見られるように、個人でパソコンを購入し自宅にインターネット接続をする教員が急増。学校でメールアカウントを発行するよりもはるかに多く、個人でメールアカウントを取得している。
生徒も当初のものめずらしさから、各教科で与えられた課題の資料調べに図書館並みにPCL教室を利用するようになってきている。
生徒機やネットワークのメンテナンスに当たっているコンピュータクラブ部員の知識の蓄積レベルも急速に上がってきている。
この3月、新入生に入学前インターネット集中講座を開講することになっているが、これは入学と同時に授業でネットワークが使えるようにという考えからである。ここ1〜2年で、本校のインターネット活用は、学校全体に浸透することになろう。
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