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富山県立富山西高等学校 Page 2/2
新100校プロジェクト 平成9年度実施状況

  (3)土木科での活用
          昨年度より3学年において「課題研究」の選択テーマに、インターネットを利用した諸外国の工業規格の
        調査を設定したところ、生徒の興味関心は高く、選択希望者は予想以上に多かった。
         本年度はアメリカの規格『ASTM』に絞って、骨材、セメント、コンクリートに関する試験項目をダウ
        ンロードし日本語訳を試みたが、生徒の英語力不足に加え専門用語に関する知識の浅さから思うように進ま
        ず、かなり苦労していたようであった。事後の感想からも、「辞書のどの日本語訳を用いれば正しく意味が
        伝わるのかよくわからなかった」「高校生が使用している辞書に載っていない専門用語(専門的な言い回し
        )があり、どう日本語訳をすればよいかわからなかった」などが寄せられた。しかし、専門用語辞典を調べ
        たり英語の辞書を繰ることにより、専門用語に関する興味関心が高まり、また英語の学習にも好影響を与え
        たようであった。
  (4)3年普通科「情報基礎」での活用
         本校普通科では、普通科3学年文Tコースの生徒に、選択科目として「情報理科基礎」(3単位)を開講
        している。本年は、インターネットのしくみとLANなどについても授業内容に取り入れた。ネットワーク機器
        の実物を見ながらの授業は生徒の関心を引くには十分であったと思われる。学年後半にはホームページを作
        成させた。時間に制限もあり十分な指導をできなかったがとりあえずホームページを開設した。内向的な生
        徒達にとって自己表現の場であったようで、スキャナ・デジカメなども積極的に使ったアーティスティック
        な作品が多く見られた。この科目を履修した生徒の一部は、卒業後、情報関係への進学を志した。

2 平成10年度の成果と課題
    ・授業に於ける利用−1ですでに述べたように授業を中心に本年度もインターネットは様々なかたちで積極的に
      取り入れられた。1以外でも教材の中にインターネットからの素材を用いて授業を試みる例も多くなった。特
      に3年地歴科では、新聞データーベースを利用した資料収集活動は受験対策としての小論文対策と結びつき大
      きな成果を上げた。

    ・授業以外での活用−校内LAN(職員室・事務室・進路指導室・土木科・LL教室を結ぶ)が本年9月実現し、
      サーバー上に保存されたデータを共有できる環境がほぼ整った。それにより業務継続性が確立され、各分掌・
      教科での業務の効率化が図られた。特に、教科に於いての教材の共有は、各教師のふだん怠りがちな授業の情
      報交換を活性化させた。

    ・教育効果−インターネットの日常的活用により、生徒の英語力はもちろん情報処理力・問題解決能力などを確
      実に身に付けせせることができた。研究リサーチ活動を厭う傾向にある生徒達であったが、インターネット使
      用に関しては抵抗感は少なく、インターネットを用いての活動であればむしろ活発に行う傾向にあった。ただ、
      今までの一括授業のような形態では行えない作業も多く、授業時間の延長や放課後のLL教室の使用等で思い
      もよらぬ障害がでたことも少なくなかった。

    ・技術的課題−サーバーを管理できる教員が限られ、その負担が特定個人に偏るという弊害は依然解消されてい
      ない。また、実際にコンピュータを取り入れた授業に抵抗感を持つ教員も相変わらずで、教師間の意識にもか
      なりの差が生じてしまっている。
        生徒に於いても個人差が大きく、特に指導しなくても機器を自在に使いこなす生徒がいる反面、3年間に及
      ぶ実習を通してさえ、未だキーボード操作すら不十分な生徒もいる。その差は、適性・環境等様々な要因があ
      り、これによる一斉指導の困難さは今後に残された大きな課題である。

3 新100校プロジェクトに参加して
    〜学校現場で起こった変化
     インターネットに全生徒・全教師が簡単にアクセスできるという環境が整うことにより、マルチ・メディアに
    関する興味・関心は、そのような環境にない学校と比すれば間違いなく高まった。
     校内LANの実現後、インターネットの活用はもちろん、ファイル共有などを通し、仕事の効率化や研修活動
    の活性化が図られ、その有用性を認識する教員が飛躍的に増えた。現在では自らノートパソコンを購入する教員
    も多く、互いのコンピュータ・リテラシーを高めあおうという雰囲気も生まれつつある。授業研究においては、
    「問題解決」に重点を置く様々な授業形態が教科の枠を越えて模索され、その中での情報収集においてはインタ
    ーネットは欠かせぬツールとしてすでに認識されている。
     生徒もインターネットにいち早く触れる機会をもつことにより、学習に対する姿勢も、ただ教師の側から一方
    的に知識を得るという受け身的なものから、自ら課題を見つけ、自ら調べ発表するという積極的なものに変わり
    つつある。放課後のLL教室は、自らの研究を独自で行う生徒達が後を絶たず活気に溢れている。

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