2.4.2.プロジェクトの概要

1.日本の学校が海外の学校と交流することの難しさ

 一般的に言って、日本の小・中学校が海外の学校との交流を継続させることは、非常に難しい課題であるようだ。なぜ難しいのだろうか。

 (1)相手を見つけることが難しい。
 (2)相手が見つかっても、何を書いたらいいか、よく分からず、難しい。
 (3)自己紹介が終わったら、後は、書くことがなくなって、続けることが難しい。
 (4)いつも同じ様な事を書いているだけで、交流を発展させることが難しい。

 例え、相手が見つかっても、交流を続け、発展させることは、至難の課題であるようだ。
 これは日本の学校教育の根本的な問題につながっているのかもしれない。これまで、日本の学校では、一人ひとりの子どもが存在する以前に「教えなければならないこと」が決まっていて、それを消化するのに精一杯で、とても自分たちで新しい取り組みを始める余裕がなかったということなのかもしれない。
   一方で、学習環境としてネットワークやインターネットがどれだけ導入されているかも、問題である。
 本プロジェクト参加校は「学校から直接インターネットにつなぐことが出来ること」という条件が付いての公募であった。1台しか使えない状況であっても、出来ることからやって行こうと始めた。
 まだ、インターネット環境の無い学校等が近い将来環境の整備に伴って、教育利用を始める際の参考になればと願っている。

 

2.日本国内での交流の場作り 100kid-t

 本プロジェクトは、世界的なネットワークであるKIDLINKへの参加を通して、海外に相手校を探し、交流を続けて行こうというものである。その時に、「海外の学校と交流している日本の学校同士が、日本国内で情報交換をしながら、お互いの交流を続けさせ、発展させるにはどうしたらいいのか」について一緒に考えていくのが課題である。

参加校は、小学校が5校、中学校が3校である。
神奈川県大和市立林間小学校
神奈川県相模原市立東林小学校
埼玉県狭山市立狭山台南小学校
福井県福井大学教育学部附属小学校
福井県福井市立円山小学校
静岡県韮山町立韮山中学校
静岡県清水国際学園、清水国際中学校・高等学校
山口県秋穂町立秋穂中学校

 地域的には、山口県、静岡県、福井県、神奈川県、埼玉県と日本全国に広がっている。
 そこで、
  ・年に数回の会議を事務局で開催し、具体的な打ち合わせをしていく。
  ・そして普段に100kid-tというメーリングリストを使って情報交換を続ける。
  ・KIDLINKのナウなトピックスについて随時、情報として流し、共有していく。
  ・子どもたちは、100kidsメーリングリストで交流していく。

3.世界的なネットワーク KIDLINKへの参加

 KIDLINKは、世界の15才までの子どもたちのための国際ネットワークである。
 同世代の世界の子ども達と、平和や将来の夢について語りあったり、共通のテーマについての共同学習等と取り組んでいる。
 このKIDLINKの活動に参加するには、KIDLINKの4つの質問に答えなくてはならない。
 本プロジェクト参加校も、参加児童・生徒のこの回答をKIDLINKに送ることからその活動を始める。
 今回は、一つの方法として、「言葉の壁に橋をかけよう」というKIDLINKのプロジェクトで用意された日本語の掲示板を活用して交流を進めていくことになった。
 KIDLINKの掲示板は、言葉だけでは理解しにくい所を、一枚の写真や絵で理解の助けをさせようというのである。また、別に用意したホームページにリンクを張れば、より大きな課題にも挑戦することが出来る仕組みである。それによって、更に詳しい展開が可能となる。
 また、英語の掲示板に書き込まれた英語のメッセージを日本語に訳し、その訳を日本語の掲示板に転載する。その逆の日本語の掲示板に書かれた日本語のメーリングリストを英訳して英語の掲示板に転載していく。これら日本語と英語の掲示板の橋渡しをして、交流の場を確保していくこととする。
 もちろん、本プロジェクト参加校と海外の学校との個別のメール交換も取り組まれることも想像される。そういう交流も100kid-t、100kids等のメーリングリストを活かして情報を共有し、銘々の交流に役立てていくようにする。
 ネットワークの本来の意義は、「共有の思想」ではないのか。本プロジェクトで、どれだけ「共有」の範囲を広げられるか。単なるペンパル交換にとどまらず、授業作りにおいてもどれだけ協力しあえるか。こういう課題で取り組んでいく計画である。

 

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