(訳文)

国際化ワーキンググループに関する報告書

     ヒレル・ワイントラウブ  同志社国際中学・高等学校

              hillelw@intnl.doshisha.ac.jp

    (和訳:河西由美子  同志社国際中学・高等学校)
 
 国際化ワーキンググループはその役割を年ごとに強化してきていると思う。ミーティングを重ねるにつれ、各プロジェクトで何がなされてきたか、今後どのように改善し、より効果的なものにするにはどうしたらよいか、という点に重点が置かれるようになってきた。特に重点が置かれた点は、2002年のカリキュラム変更を受けて、今後より多くの学校がネットワーク化される中で、当グループでの活動をいかに日本国内に広げ、国際交流プロジェクトへの参加を考える他の学校の支援をしていったらよいのかということだった。
 国際化ワーキンググループに参加した教師のほとんどは、100校プロジェクトの重点企画グループのメンバーであり、教育とテクノロジー利用の様々な面で重要な経験を積んできている。最終の会議の席で最も話題になったことはそうした経験をどのように効果的に今後生かしていけるかということだった。結論としては、より多くの新たなプロジェクトの参加者(教師)を支えるためにはアドバイザーとして、あるいは地域のリーダーとして中心となる教師が必要である、ということでメンバーの同意をみた。これはある意味で確かに効果的ではあろう。しかし教師の研修については考慮されるべき側面もあり、私は最終の会議で以下の発言を行ったが、これはマサチューセッツ工科大学のメディアラボで開発された、コスタリカの学級におけるLogo(子ども向けプログラム言語)の導入のための3ヶ年プログラムを基にしている。
 私にとってこのコスタリカ・メディアラボプログラムで一番重要な点だと思われたのは、参加する教師が同じ学校内でのサポートを得なければプログラムに参加できなかったという点である。こうした現場での支援は学校外の専門家が提供するどんなサポートよりも重要なのである。このケースでは各校より1名ずつの教師がワークショップで常に共同作業を行った。加えて参加校の校長あるいは副校長がワークショップに参加しない場合は、いかなる学校もプロジェクトへの参加(および機器の受取り)が許されない仕組みである。この取り組みは非常に重要だったと思う。なぜなら人というものは身近な助言や後押しを得られる場所を必要とするものだし、それは学校外ではなく学校の中にこそ求められるべき役割であるからだ。
 私が国際化ワーキンググループの活動を通して得た経験から以下のとおり提案したいと思う。

1)      われわれは今後新たな参加校を増やす方法として、現在の会議(カンファレンス)の形から授業計画ワークショップの開催へと変更するべきであろう。これらのワークショップ(「学習」の形態に関するもので、一定期間集中して活動するために参加者が集う)は全国的に開催することができるだろう。参加者がただ集まって講義を聞くだけの会議よりも、こうした授業計画ワークショップのほうが参加する教師にとってもそれぞれ独自の授業計画を創る上でより活発に参加できるのではないだろうか。こうした機会に1校あたり常に2名の教員および校長あるいは副校長が参加するように仕向けていくべきではないだろうか。
  会議形式のひとつの問題は受動的な聞く態勢や意味の受入れ(他者からの知識の取り込み)を助長する点である。本来は自分なりの意味の発見や、他者との共有や交換および創造的な過程を経て自分自身の知識を創り出す場であるべきなのだが。私はプロジェクトにおけるこうした形式の変更は単にテクノロジーについて学ぶ以上に未来の教育にとって重要なものだと思っている。

2)      将来的に、この国際化ワーキンググループはこうしたワークショップの雰囲気づくりにより力を注ぐべきであろう。たとえばグループ内の他のメンバーはほとんど本校の授業を見たことがないし、逆に私も彼らの授業あるいは学校を訪れたことがない。グループの中でさえ、われわれはお互いに意見を交換し合い、学ぶという大きな機会を逃してきてしまった。もしこのワーキンググループの活動が来年も継続されるのであれば、我々は絶対に1日かけてお互いの学校を訪問し合い、授業見学やミニ・ワークショップなどの企画を立てるべきである。

3)      国際化ワーキンググループは通産省および文部省に対して、もし学校がよりよい教育のためにテクノロジーによる助けを借りて強力なプログラムを推進しようとするとき、こうした分野で活躍する教師を公的に支援する旨の提言を行うべきである。たとえば優秀な野球選手が契約に際してトレードなし条項を与えられるように、貢献の大きな教師に対しては何らかの形でそれに報いる必要があろう。よい教育的プログラムを創り出すために精力をつぎこんだ教師には、突然の異動など行われるべきではない。これはまったく個人に対する尊厳の欠如といえ、またそれぞれの学校で進行中のプロジェクトを引き裂くことにもなる。

 

 最後に、私自身、グループ内の他の先生方、CECの皆さま、そしてアドバイザーの先生方との交流から多大な恩恵を蒙った。こうした交流が将来にわたって続くことを心から願うものである。

 

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