(1)ねらい
学校教育でのインターネット利用においては児童・生徒がインターネット上の情報を閲覧する際に、アクセスする情報の内容によってフィルタリングを施し選択的な閲覧をする必要がある場面がある。授業によっては、事前に教師が選別した授業内容に直接関係する情報以外への閲覧を許さない運用をしたい場合もあるだろうし、調べ学習や交流相手の探索の場合などでは、危険のない範囲内でなるべく広範にアクセス可能範囲を設定した運用をしたい場合もまたあるであろう。前者の場合はホワイトリスト方式と呼ばれるフィルタリング方式を用いるか、事前に授業用に教師が(著作権法35条に基づいて)複製したデータを閲覧させるなどの運用で足りるが、後者の場合は年齢や授業単元、監督の有無などさらに様々な場面に応じた多様な運用形態が求められ、一律なフィルタリングでは対応できない場面も想定される。
本企画では、このような様々な運用形態に対応して情報の選択的閲覧を支援するレイティングシステムについて、教育的な観点からシステムに求められる仕様、有効な運用方法および利用方法、および運用効果や課題について調査した。特に、
・ 小中高等学校の校種別、児童・生徒の年代別による利用条件毎のフィルタリングについて教育的に有効な要件を調査した。
・ 学校教育においてインターネット情報のフィルタリングが効果的に行えるシステムとしての運用上の効果や課題について調査した。
(2)概要
インターネット上のコンテンツには児童・生徒・学生にとって有害と思われる情報があり、教育の場における自由な閲覧は好ましくないことが指摘されている。この問題への対策として、ホワイトリスト方式やブラックリスト方式という制限閲覧という方法も考えられるが、国際的に議論が進んでいるレイティングシステムを教育の場において実験を行うことにより、教育用レイティングの有利性、有効性を評価検討することにした。
この企画では、教育用のフィルタリングソフトウェアを参加校に提供し、(財)ニューメディア開発協会のセンターに構築されたPICS準拠のレイティングデータベースを使って、試行運用を行い、評価シートを用い、その有効性等の評価を行った。