WWWとは,世界中のホームページを相互に関連させて見られるようにした仕組みで,インターネットにおける雑誌あるいはテレビ番組と捉えてよいでしょう。WWWブラウザと呼ばれるホームページを見るためのソフトを使えば,誰でもホームページ上に登録された,文字や画像,動画,音声などのマルチメディアを自分のコンピュータ上で楽しむことができます。ホームページには”ページ”という名称がついていることからもわかるように,普通,本のようにいくつかのページから成り立っています。ホームページ内にある「ハイパーリンク」と呼ばれる文字やボタンをマウスでクリックすると,本のページをめくるかのようにほかのページへ移動することができます。こうしたインターネット上に登録された数々のホームページを見て回ることを,波乗りに見立てて「ネットサーフィン」と呼んでいます。世界中に点在するホームページにアクセスすれば,政治から生活情報までありとあらゆる情報を入手することができます。
電子メールとは,コンピュータ間でやりとりする手紙のことです。電子メールを利用すれば,インターネットの電子メールアドレス(郵便の住所にあたるもの)を持っていれば誰とでも手紙のやりとりができます。電子メールの利点は,安い値段で通常,世界中のどこにいる相手とも瞬時にやりとりができる(現在160カ国と言われています)ことです。 また,電話と違い自分の都合のよいときに相手を意識することなくメールの送受信ができることです。電子メールは,手紙のような文章だけでなく,自分で作ったワープロ文章,ワークシート,絵や写真のファイルなどコンピュータで扱えるデジタル化されたファイルも手紙に添付して送ることができます。
メーリング・リストとは ,登録している限られたメンバーに電子メールを自動的に配信する仕組みで,気心の知れた仲間や同じ趣味を持つ人たちが集まった小規模のグループみたいなものです。コンピュータ上にメーリング・リスト用の電子メールアドレスが用意され,自分がある意見をメーリング・リストに投函すれば,自動的にメンバー全員にそのメッセージが送られます。電子メールは1対1が原則ですが,メーリング・リストは1対多数(または多数対多数)の関係になります。利点としては同じ内容に興味のある人だけの意見や情報交換の場となるため,より深い情報交換や議論ができます。メーリング・リストは教育関係のものだけでなく,多種多様なテーマを扱うものが存在しますが,参加するには申し込みが必要です。
ネットニュースは前述したメーリング・リストと同じように,同じ興味や趣味を持つ人,同じ職業を持つ人などと情報交換のできる場ですが,メーリング・リストがグループごとの限られたメンバーの間で行われるのに対してネットニュースは誰でも参加できる(登録の必要のない)公開された場です。ネットニュースはそれぞれ話題(ニュースグループ)別に掲示板が用意されており,自由にその掲示板を見ることができます。また自分の考えや情報などもその掲示板に自由に投函できます。それを様々な人が見たり,答えを返したりして情報交換をします。
インターネットで遠隔地にいる人とネットワークを通じてリアルタイムで会話を行うことを電子会議と呼びます。代表的な電子会議として以下の2つがあります。
インターネットは世界中に張り巡らされたコンピュータ・ネットワークです。インターネットを利用することで学習の場が広がり,子供たちの関心や興味を呼び起こすことができます。また,それをもとにして新たな意欲を持たせることができます。ここでは,実際に学校において考えられる使い方を少し見てみましょう。
インターネットは日本だけでなく世界の様々な組織や研究機関に接続されている無限の情報の宝庫です。全世界のいたる所から学習に利用できる様々な情報が発信されています。インターネットでそれらの中から自分たちの学習に必要な情報を収集して授業に生かすことができれば,それはまさに世界中を図書館にするようなものだといえます。
インターネットの世界は,お互いの持つ情報や知識を提供し合い,共有することで成り立っています。ですから情報を人からもらうだけでなく,積極的に自分の持つ情報や考えを発信していくことが大切です。インターネットは出版社や放送局といった大がかりな組織やシステムを作ることなしに全世界に向けて情報発信が可能になります。代表的なものとして自分たちのホームページを作成する活動が考えられます。このような活動を通して創意工夫しながら,ものを作る喜びや情報(知識)を自ら発信する喜びを体験することができます。
インターネットに参加するということは,世界中の膨大な人々とつながり合うということです。今,離れた学校同士が互いに協力して一つのテーマで資料収集や観察などを行い,それを交換し合う学習が行われています。インターネットは地域や環境,文化の違いを越えた学習を可能にするのです。
インターネットは地理,時間,国籍,年齢,職業などを越えた世界の様々な人と交流できます。ですから学校を離れ,日常生活ではなかなか交流できない人と出会うことができます。実際に電子メールなどを利用して積極的に海外の仲間と交流したり,授業では十分に分からなかったことやもっと知りたいことを科学者や研究者に質問し,学習を深めている学校もあります。
校外学習などで様々なことを実際に体験することは大切な学習です。この際にインターネットで事前や事後に校外学習や修学旅行などの行き先を調べたり,学習のポイントを整理する補充体験をすることで,一つの経験を何倍にも拡大して学習することができます。それ以外にもインターネットを通じて実際にはなかなか行けない首相官邸やホワイトハウス,はてはガラパゴス諸島まで訪れることができます。また,ルーブル美術館など価値ある美術品を鑑賞したり探索したりすることもできるのです。
障害や病気,あるいはその他の事情で学校に通うことのできない子供たち,あるいは必要な教育サービスのための施設が近隣にない場合などに対応して,インターネットによる教育の試みが始まっています。ビデオカメラと組み合わせて簡単な遠隔授業を行ったり,子供たちの学習結果を家庭や病院から学校に送付したり,教室の子供たちとの共同学習に参加することもできます。
豊かな教育指導を行うには,たくさんの情報が必要です。情報化時代の教師には上手な情報収集能力が求められます。インターネットは無限の情報の宝庫です。様々な教育素材や教育資料を利用して教材の作成に生かせばもっと楽しく豊かな授業の展開が可能になっていきます。
今,電子メールを利用している教師が増えています。教師同士が自分の持っている教育に関する情報を互いに交換することによってお互いの授業に生かせるのはもちろんのことより新しい試みを生み出すことも可能になってきます。またインターネットの仕組みを会社など1つの組織の中で実現しようとするイントラネットを校内に取り入れ,校務処理や電子メールによる情報交換を校内で行っている学校も見られるようになってきました。