５　インターネット利用に関する留意点

　インターネットは，最近急速に発展してきた新しいコミュニケーションの道具です。そのため，まだ利用にあたっての決まったルールは残念ながらできあがってはいません。そこでここでは，学校におけるインターネット利用についての留意点や一般にいわれている利用上のルール・マナーについて簡単に述べておきます。
　最近では，毎月10,000件以上の新しいサービスや情報源がインターネットに加わっているといわれています。現在インターネットには特別な法律はありません。とはいえ，インターネットは世界規模のコミュニケーションの道具であるわけですから何らかの規範やルールが必要であることは確かです。現在インターネットには「ネチケット」と呼ばれる非公式なルールがあります。「ネチケット」とは，ネットワークとエチケットの合成語で，インターネットを利用する人が守るべき倫理的な基準，道徳のことです。このネチケットは，インターネットが進化するのに伴い，新しいルールが加えられています。インターネットをこれから活用する場合，ネチケットのルールを知り，守ることが大切です。

（１）知的所有権，著作権，肖像権に配慮をしよう。

• 情報は個人が生み出すものですから，生み出した人はその情報に対して権利「知的所有権」を持っています。そのためソフトウェアや文章，画像，音楽，電子メールなどの文章にはすべて著作権が存在します。ですから勝手に人の著作物の内容の一部または，すべてを複製したり配布することは著作権法に違反します。ただし，学校教育においては特例として認められる場合もあります（著作権法第35条）ので，そのあたりを調べて，法令等で許される範囲をしっかり守って利用するようにしましょう。普通，各文章などに（著作権），（特許）として記載されていますので，この内容をよく読み，著作者の意向に従って下さい。また，たとえ自由に使用できるものであっても著作権所有者にメールを送って使用許諾を求めたり，お礼をいうのが礼儀です。
• インターネットは情報を自由にやりとりすることが可能ですが，情報についてはフリー（無料）のものとシェア（有料）のものがあります。これもそれぞれ約束に従って有料のものはきちんと料金を払うようにしましょう。

（２）セキュリティ対策をしよう。

• コンピュータのデータを壊したり，負担をかけたりして調子を悪くする悪質なプログラム（ウイルス，ワーム）がネットワークで問題になっています。このような害のあるソフトウェアをダウンロード（取り込み）しないようにするには，できるだけ信用のおけるネットワークからダウンロードすることが大切です。また知らないところからの添付ファイルは不用意に開かないようにし，すぐにごみ箱へ捨ててしまいましょう。
• コミュニケーションの方法としてメリットの多い電子メールですが，そのセキュリティは残念ながら電話や手紙等他のメディアと比べて劣っているのが現状です。ですからセキュリティが問題になる場合は電子メール等を使わない方が無難でしょう。

（３）コミュニケーションのネチケットを守ろう。

• 子供たちにインターネットを使わせる時は，コンピュータの先には必ず人がいることを忘れないようにさせましょう。つまり，自分がコンピュータで操作する前に「こんなことをその人に面と向かってできるだろうか？」といつも自問させる姿勢を作らせることが大切です。ネチケットの基本は「他人に優しく自分に厳しく」です。道徳的な指導を含めて，人の嫌がることはせず，自分の発言に責任を持つ姿勢を育てましょう。

（４）不適切な情報（有害情報）への対処をしよう。

• アダルトサイトなど子供の閲覧に不適切だからといって情報の発信自体を規制することは表現・言論の自由を侵害する恐れがあるので適当ではありません。不適切な情報の閲覧を防止するには，道徳的な指導が一番ですが，フィルタリングと呼ばれるソフトが市販されており，ソフト会社が提供するブロックリストに基づいて特定の情報の閲覧を規制することができます。また，ブロックリストのデータベースは無料で利用できるものもあります。
  それ以外にも，検索サービスを利用するとき，検索結果に不適切な情報が表示されないように工夫された子供向けの安全な検索サービス（ＹＡＨＯＯ！きっずなど）もありますので，それを利用するのも良い方法です。
• インターネットで見たすべてのことが信頼できるわけではないことを覚えておきましょう。中には「でま」「誤報」「詐称」なども数多くあります。ですので子供たち自身が情報の正確性を吟味する，常識的センスを身につけるようにすることが大切です。

（５）個人情報を保護しよう。

• 子供たちの学校名，成績，住所，電話番号などの個人を特定できるような情報は，外部に流出しないように適切に管理する必要があります。また，子供たちにも名前，パスワード等絶対に教えないように指導して下さい。また，子供たちの顔写真などをホームページなどに載せる学校も多いと思いますが，このような場合も本人の承諾だけでなく，保護者の同意も必要になります。このあたりは，各地域の個人情報条例によっても異なりますので，自分の住んでいる地域の条例を調べておいて下さい。

（参考文献）

西野　弘著	『先生のためのインターネット導入ガイド』	株式会社プロシード	1998
永野和男共著	『実践インターネット講座』	ＮＨＫ出版	1998
財団法人コンピュータ開発センター著	『インターネット利用者マニュアル　クライアント編』	情報処理振興事業協会	1995
梅田康夫著	『超初心者のためのパソコン徹底講座』	大日本印刷株式会社	1998
文部省	『インターネットで広がる子どもたちの世界』	日本教育工学振興会が文部省委託事業により作成	1998
	Tel:03-5251-0751	FAX:03-5251-0752
	mail:morita@japet.or.jp	URL:http://www/japet.or.jp
村瀬　五郎著	『学校教育とインターネット』	北海道教育大学岩見沢校	1998

（参考ホームページ）　

ＹＡＨＯＯきっず！『両親に知っていただきたいこと』『安心してインターネットを使うときのきまり』	http://kids.yahoo.co.jp/docs/info/safety/parents.html
『教育ソフト活用・促進センター インターネット利用ガイド』	http://www.cec.or.jp/es/
『初心者がだいたい分かるインターネットのしくみ』	http://www.iijnet.or.jp/sankyo/inet/
『インターネット初心者道場』	http://www.bekkoame.ne.jp/i/vavana/
『女性のためのインターネットはじめの一歩』	http://www.incept.co.jp/beginner/
『ネチケットホームページ』	http://mirror.togan-ghs.togane.chiba.jp/netiquette/index-j.heml
『こねっとワールド』	http://www.wnn.or.jp/wnn-s/index.html
『１０代のためのインターネットガイド』	http://www.asahi-net.or.jp/~av1m-srk/
『ネットワーク使用者の心得』	http://www.rsch.tuis.ac.jp/~mizutani/online/netiquette/index.html
『ひつじ書房ネチケットページ』	http://www.hituzi.co.jp/hituzi/netiq.html
『ネットクラスルーム』	http://www.education.ne.jp
『インターネット面白入門講座』	http://www.ssawra.or.jp/school/pipin1bkup.htm