国際交流支援システムの開発及び実証実験 |
以下に、Web上で実施したアンケートの結果を掲載する。
Q1. あなたは?
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小中学生もシステムを利用した英文作成は実施しているが、アンケートに回答したのは高校生が中心であった。
Q2. 外国の人と手紙や電話、電子メールの交換をして友達になり、話をしてみたいですか?
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「とてもしてみたい」「機会があればしてみたい」という回答が90%を占めており、最初から国際交流に対する興味が大きい生徒が多いことがわかる。
Q3. これまで外国の人と電話、電子メールなど、交換したことはありますか?
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システムを利用した国際交流実施以前にも、授業あるいは自分で電子メールなどによる国際交流を行ったことがある生徒が80%を占めている。Q2と合わせて国際交流への関心が高いことが伺える。
一方で、Q2と比較すると、国際交流への興味がありながら自ら電子メールなどにより英語を用いた国際交流を行ったことがない生徒がいることもわかる。
Q4. システムは簡単に使えましたか?
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システムは一人で簡単に使うことができたという回答が、42%と最も多い。また、授業で利用したこともあり、友達と相談しながら使った生徒や、先生にわからないところを教わりながら使ったという生徒も多数を占めている。
Q5. 使ってみて難しかったところがあれば教えてください。
生徒から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。総じて見ると、検索の際の検索キー指定方法が難しいという意見や、検索の際のキーワードの選び方が難しいなど、検索に関する操作が難しかったという意見が多かった。また、システムに不慣れな生徒にとっては、例文を検索してメールを作り、送信するまでの操作手順に戸惑うことが多かったことが伺える。
<システムインタフェース>
<検索方法>
<コンテンツ内容>
Q6. 思った通りのメールは作れましたか?
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「だいたい作れた」という回答が57%と最も多い。また、「あまり作れなかった」「ぜんぜん作れなかった」という回答が合わせて29%であるのに比べて「作れた」という回答が14%であることから、自分で思った通りの内容のメールをシステムを用いて作ることはなかなか難しく、多少は自力で英文を作成する必要があることがわかる。
Q7. 思ったような例文を検索できましたか?
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Q6の思った通りのメールが作成できたかどうかという設問に対する回答と同じような分布になっている。思ったような例文の検索は「できた」「ほぼできた」という回答が65%と過半数を占めているが、「あまりできなかった」という回答も29%を占めており、十分に満足できるレベルではなかったと考えられる。
Q8. 1回のメールで例文は何個くらい使いましたか?
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5個以上の例文を使用したという回答が33%と最も多かった。
Q9. 例文の数や種類は十分だったと思いますか?
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Q10. 例文を増やすとしたら、どのような例文を増やして欲しいですか?
生徒から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。総じて見ると、日常会話で使うような気軽な内容の文、学校生活について、問いかけ文や疑問文などの例文が欲しいという意見が多かった。
また、例文数が少ないため、カテゴリや感情で検索できる例文を充実し、バリエーションを豊かにして欲しいという意見も多かった。例文以外にも、熟語や接続詞などの単語や、顔文字・絵文字などが欲しいという意見が見られた。
<自己紹介文>
<学校生活について>
<日本の紹介文>
<一般的な内容の文>
<その他>
Q11. 外国の人とまた電子メールを交換してみたいですか?
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初めから国際交流に興味のある生徒が多かったこともあるが、再度電子メールによる国際交流を実施したいという回答が89%と大半を占めている。Q12の自由記述からもわかるように、国際交流に興味は持っているが英文に自信がなくなかなか実行できないという生徒にとって、システムは国際交流を手助けする手段になりうると考えられる。
Q12. 意見があれば自由に記述して下さい。
生徒から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。システムを利用した国際交流を行ってよかった点について記述した意見が多かった。今まで英文メールを書く際に自身の英語力に自信がなかったり不安に思っていた点が、このシステムを利用することにより解消されたという意見が多い。
また、改善点については、例文内容の充実を求める声が多い。
<よかった点について>
<改善点について>
<提案>
Q1. ご職業
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生徒の回答と同じく、教員の回答も高校教員のものが中心であった。教員以外の職業を持つ人からの回答も見られる。
Q2. 教員の方は担当教科を、それ以外の方は職種・ご専門を記入ください。
英語 |
9 |
社会メディア英語 |
1 |
工業英語 |
1 |
数学 |
1 |
情報工学 |
1 |
情報処理 |
1 |
情報教育 |
1 |
日本語 |
1 |
ソフトウェアエンジニア |
1 |
留学カウンセル |
1 |
教育クラブ |
2 |
英文メール作成による国際交流支援システムということもあり、英語教員の利用が最も多かった。教員以外の利用でも、留学カウンセルや教育クラブなど、英語や教育に関連する人の利用が見られる。
Q3. 英語で海外との電子メール交換を行ったことがありますか?
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「授業等で行ったことがある」という回答が40%であるのに対して「自分では行ったことがある」という回答が60%であり、今回、このシステムを用いて初めて授業での実践を行ってみたという教員が多いことがわかる。
Q4. システムは簡単に使えましたか?
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「容易に使えた」「比較的容易に使えた」という回答が合わせて75%を占めており、大多数の教員にとってはシステムの利用は簡単であったことがわかる。
Q5. 使ってみて難しかったところがあれば教えてください。
教員から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。生徒の意見と同様に、システムの使い方に慣れるのに時間がかかるという意見や、検索の際の操作方法に改善を求めているものが多かった。
Q6. 思ったような例文を検索できましたか?
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「できた」という回答が10%、「ほぼできた」という回答が45%であった。生徒の回答が「できた」13%、「ほぼできた」52%であったのに比べて低い水準であり、教員にとっては検索結果はやや物足りなかったものと考えられる。
Q7. 例文の数や種類は十分だったと思いますか?
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「はい」という回答が45%、「いいえ」という回答が55%である。ほぼ同数ではあるが、例文の数や種類が十分でないと考える教員が多かったことがわかる。
Q8. 例文を増やすとしたら、どのような例文を増やすとよいと思いますか?
教員から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。具体的な例文内容のほか、例文収集方法についても意見をいただいている。
<例文の内容について>
<例文の種別について>
<その他>
Q9. 本システムを用いた授業を行いたいと思いますか?
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本システムを用いた授業を行いたいと考える教員が85%と大半を占めているのに対し、システムが改善されれば使いたいと考える教員が15%を占めている。
改善点については、以下に主要なコメントを挙げる。これらに見られるように、メール機能を充実させたり例文内容を充実させるなどの意見が挙げられている。
授業で利用するための改善点等:
Q10. その他、本システムに対するご意見・ご要望等、ご自由に記述下さい。
教員から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。実際に授業で本システムを活用することを前提とした意見が多かった。
<機能について>
<コンテンツについて>
<その他>
以下に、実際にシステムを使用して英文メールを作成し、国際交流を実施した学校からの報告を掲載する。
指導教諭:杉本範雄(sugimoto@wakoku-h.ed.jp)
教科/科目名:商業/情報処理
1) 目的・概要
普通科・外国語科1年生6クラスによる、システム実証実験を行う。
2) 時数
各クラス1時間
3) 生徒の活動
システムを用いて、ログイン、システムの確認、英文作成、メールの送信、ログアウトの作業を行う。
作業終了後、アンケートへの回答を行う。
4) 準備事項・留意点
生徒全員が海外とのメール交換経験者であることをふまえて実証実験を行う。
(ア) システムを用いた活動の評価
1) 児童・生徒の活動の様子
一様にログイン後の初期画面に、驚嘆・感心していた。また、実際にシステムを利用して冷静に評価をしていた。
2) 児童・生徒の満足度
全員が海外との英文メールの経験者であるので、システムの意義は充分に認めていたが、例文が少ないことや、英文メールに慣れていることから、現時点での授業では利用するメリットはないと感じたようだ。
しかし、普通科・情報処理科の生徒達を対象として入学直後の授業で英文メールの導入を行う際には、十分利用できる。ただ、外国語科の生徒への利用は、英語に対するアプローチが違うので利用しない方がよいと感じた。
3) 児童・生徒の成長や変化
どうしたら、初心者が容易に英文メールが作成できるか、自分たちの経験をふまえて考えていた。これは、全員が海外との英文メールの経験者であるためと考えられる。
(イ) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
高校生にとっては、十分なものであった。また、小学生高学年以上の利用であれば有用なインタフェースである。あとは、デザイン上の仕上がり次第でさらに有用なものになると考えられる。
2) システム反応速度について
今回の活動では、本校のシステム条件は以下のようなものであった。
このような条件下では、実際に利用できる反応速度であった。
3) 指導目的から見たシステム評価
英語ができない、英語に自信が無い、英語の嫌いな生徒達には、英文メール作成に対して「やる気」や「やってみたい」という欲求を呼び起こすと思うので、導入時に利用できる。
4) システムに対する意見・要望
以上の評価により、実際に授業時に利用することは可能である。以下の点が実現されれば、さらによいものになると考えられる。
(ウ) 評価まとめ
10年間、海外とのメール交換を授業に取り入れてきた経験から、本システムを有効に活用するには以下の点が重要であると考えられる。
1) まず、教師が容易に利用できるか?(海外に英文メールを書く勇気も含めて)
教師研修用のページで、実際に海外と先生とメールの交換をしてもらう。(海外の先生の確保が問題)
2) 海外との英文メールの交換の場合、交換する相手が容易に見つかることが重要である。
海外教育機関、団体などのWebサイトやメーリングリストの提供と、相手校紹介や斡旋も必要である。(日本国内での英文メールでは効果も感動もない)
3) 上記の条件が満たされると、本システムが効果的に活用できる。ただし、各校でインターネット関連の施設・設備が整備されていることが前提である。
また、システムを授業で有効に活用するには以下の点も重要である。
指導教諭:久賀史恵(kuga@midori-h.ed.jp)
教科/科目名:課外活動/英語部
(ア) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
普段あまりコンピュータを使っていない生徒ではあったが、最初に簡単にシステムの説明をした後は、画面上に示される手順に従ってスムーズに作業ができたので、初心者にも十分わかりやすいインタフェースだと言える。
途中に自作の文を挿入できる点や、文を書き換えて自分なりのものにできる点もよい。辞書機能も有効に利用できていた。
2) システム反応速度について
十分な速度であり、生徒の作業の流れを止めてしまうような場面はなかった。
3) 指導目的から見たシステム評価
パソコン操作、英語でメールを書く、という両点で初心者であった生徒にとってこの2つの壁を乗り越えて、海外との電子メール交換を始めるよいサポートになるシステムである。ゼロから文章を作るということは大きなタスクであるが、自分が探し出した文を自分なりの順序に並べたり、自分の意に添うように書き換えたりすることなら難しくはないと感じられたようだ。このような作業の中で自然に一定量の英文を読み、吟味することになるので、英語に触れる良い機会にもなる。
このシステムを使っていく中で、さらに進んだメール交流を望む生徒が出てくる。ウェブメールとしての機能も十分備えているので、検索から利用する文にだんだんと自作の文が加わっていく形になるのではないかと期待できる。
4) システムに対する意見・要望
生徒が自分の表現したいことにできるだけ近い文章を作ることを実現するためには、微妙な差も網羅するような多くの例文を備える必要がある。
今回英語圏の教員にも利用してもらったり、英語を学ぶ生徒と同じようにサポートしうるものだということがわかったが、日本語から英語の場合と同じようには対応できていない点があり、もう一度使う人の立場に立って改良を加える余地がある。
指導教諭:平山欣孝(hirayama@mint.or.jp)
教科/科目名:英語/国際コミュニケーション
1) 目的・概要
交流している海外の生徒からのメールに返事を書く作業を行う。
2) 時数
40分間授業を2日間実施
3) 生徒の活動
学校へ来たメールを一斉に読んで、それらに対するメールを個々に書く。そして、書いたメールは相手に送るのではなく、このシステムにより一旦、英語の教師へ送る。
4) 準備事項・留意点
(ア) システムを用いた活動の評価
1) 児童・生徒の活動の様子
熱中していました。
2) 児童・生徒の満足度
満足しているようです。
3) 児童・生徒の成長や変化
成長するところまでは不明でした。以前よりも長いメールを書けるようになったようですので、その分英語が上達したように見えます。
(イ) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
選んだ例文が自動的に枠内に現れるのが使いやすい。
2) システム反応速度について
本校では教育用ネットワークを使っていますので、有害情報がフィルターで遮断されています。そのせいかもしれませんが、送信できるメールができあがったあとで送信する際にちょっと時間がかかりました。例文を選んでクリックするところはストレス無く反応していましたが、メールの送受信にちょっと時間がかかりました。特に、メールアドレスを間違って送った場合に返ってきた自分のメールを見るのにはとても時間がかかりました。
3) 指導目的から見たシステム評価
英語を実際に使う場面、国際理解教育の際に必要となる支援であると思いました。
4) システムに対する意見・要望
まだ、例文が少ないと思います。まだ未完成のものを使わせていただいているのですから、これは仕方がないと思いますが。
辞書を使った時に正しい意味の英単語が出なかったり、検索で間違った例文があったりしました。
(ウ) 評価まとめ
アイデアはとてもいい作品だと思います。その理由は、メールを書きながら必要となる英文の例が提示され、それを選んでクリックすることにより、便箋に自動的に書き込まれ、それを修正して自分の必要とする英文ができるからです。辞書も必要になれば、それも備わっていて至れり尽せりです。
ただ、デザインが視覚的に少し見にくいと思うところがあります。それは、画面が全体的に白くて、例文が提示される場所が霧の中から忽然と現れるように出てくるところです。自分のメールを書く場所が線で区切られているだけですので、外部と内部を色分けすれば、もっと見やすくなるのではないでしょうか?
それと、最初のページも一行だけのページですが、そこが入り口であるという飾りや、2枚目のページも文字だけですが、もう少し工夫があるといいと思いました。
また、受信したメールを削除する機能も必要と思いました。
指導教諭:近藤多寿子(tazuko@enb.nagoya-wu.ac.jp)
教科/科目名:英語/英語理解
1) 目的・概要
初めて相手に手紙を出すという設定で、自己紹介と学校紹介を英文でつくる援助をする。
2) 時数
2時間
3) 生徒の活動
原稿となる日本語を準備し、支援システムを利用して、自己紹介・学校紹介のの英文をつくる。
4) 準備事項・留意点
日本語の原稿をただ引用するだけでなく、自分のオリジナルの英語も作成させることに留意した。
(ア) システムを用いた活動の評価
1) 児童・生徒の活動の様子
「先生、これを使うと、もっと気軽にメールがかけるね」「自分の文がたくさんかけるので、うれしい」という声が教室からあがった。特に初心者に有効なようである。
2) 児童・生徒の満足度
自己紹介や、学校紹介については、かなり満足していた。もっと、例文が見たいという声があがった。
3) 児童・生徒の成長や変化
英作文をつくるのが非常に苦手な生徒が「これなら、できそう」と取り組み始めた。和英辞典を引くと、時間ばかりかかって、1行も英文ができない生徒がいたが、このシステムを使えば、それなりの英文になる。相手が欲しくなる。相手への返事を書くのがおっくうでなくなり、交流が続く。
(イ) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
使い勝手は、良い。初めてでも、簡単に使いこなせる。
2) システム反応速度について
良い。十分速い。
3) 指導目的から見たシステム評価
相手からのメールに簡単に返事をかけるようにするためには、「いまはやっているもの」とか、「日本の行事にはどんなものがある?」という、
- 話題性のあるアップトウデイトなデータ
- 交流を始めると必ず話題になるデータ
をより多く用意しておくと、生徒は、相手からのメールにすぐにある程度のレベルの返事が書ける。
4) システムに対する意見・要望
使いやすくて生徒は喜んでいたので、例文を増やす以外はない。
最初に「初めての人は、ここを読んでね」等の使い方の説明画面をつけてもらうと、教員が使い方を説明しなくて済む。
(ウ) 評価まとめ
指導教諭:近藤泰城(yasuki@bebop.gr.jp)
教科/科目名:外国事情(高校2年)
1) 目的・概要
時間の都合で実際に電子メールや英作文に使わせることは出来なかったが、約30分、試用させた。
2) 時数
1時間
3) 生徒の活動
出来る限り、こちらは指示を与えず、生徒が自分でどれぐらい使うことが出来るか、試行錯誤させた。
(ア) システムを用いた活動の評価
1) 児童・生徒の活動の様子
感情を選択する場所の絵のインタフェースなどは、女子生徒を中心に好評であった。例文については思ったものに出会えない生徒もいたようである。
2) 児童・生徒の満足度
仕組みには、感心している生徒が多かった。
(イ) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
慣れてしまえば、高校生には簡単そうであった。複数チェックを入れると、AND検索になり、ヒットしないということが分かりにくいように思う。感情のところは、一つしか選べないようにしてほしい。また、項目のドロップダウンメニューも一番上を、「全て」とか「指定しない」などにするべきだと思う。
2) システム反応速度について
もう少し速いと楽しい。
Web上でフリーで提供されている英和・和英辞書のサイトでは、検索が大変速い。そのくらい速くなるとよい。
3) 指導目的から見たシステム評価
一定以上の英語力がある場合は、使わない方がよいこともあるかもしれない。ただ、例文の質によっては、どの学習者にも価値があるデータベースが出来るように思う。
上記のWeb上の辞書は、プロの翻訳家や通訳家がネット上で協力して作っているそうである。例文をいかに集めるかが大事であろう。
4) システムに対する意見・要望
(ウ) 評価まとめ
英語を学び始めたぐらいの児童・生徒が、交流に役立てることができるというのがよいように思う。
繰り返してしまうが、例文を高度なものにすれば、高校生以上でも十分役立つものが出来るように思う。
また、追加例文として、以下の内容を含んだものがあるとおもしろいと思う。
指導教諭:林敬泰(bigapple@mctv.ne.jp)
教科/科目名:英語(中学3年生)
1) 目的・概要
生徒が今回のソフトを利用しALTのジョンに手紙を書くことを通して、英語で表現することに自信をつけることができる。
2) 時数
3時間
3) 生徒の活動
日頃、2カ月に一度の授業でしか会えないALTの先生に、システムを用いて英語で手紙を書く。
4) 準備事項・留意点
パソコン初心者の生徒が抵抗感なく使えるように心掛けたい。また、インターネット初心者の子どもたちにも、意欲的に取り組んでほしい。
(ア) システムを用いた活動の評価
1) 児童・生徒の活動の様子
2) 児童・生徒の満足度
生徒からシステムに対して以下のような感想が挙げられた。
- 「ログイン」「検索」等の操作ボタンの意味がわからない。
- 検索ボタンがどこにあるかわからない。
- 自分の表現したい文章がない。
- 具体的な長文の英文よりも短文がたくさんあるとよい。
- 文章の内容が子ども向きでない。
3) 児童・生徒の成長や変化
短時間だったので生徒の成長とまでは言えないが、このシステムを利用して英文メールを書くことを通して、「英語を書くこと」そのことに対して自信を持ったようである。
(イ) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
2) システム反応速度について
3) 指導目的から見たシステム評価
もっと生徒一人一人の個性や表現が英文に反映されるようなものが欲しい。
4) システムに対する意見・要望
(ウ) 評価まとめ
選択英語の授業では英語に興味を持つ生徒が多いので,大いに利用価値があると思う。しかし、英語が嫌いな生徒が多い中、数時間通して普通のクラスの授業でこのソフトを使うことは少し無理があるように感じる。実際、生徒の感想の中で「面白くなかった、難しかった」という記述も多かった。英語に対する興味が低い子どもたちに英語を学ばせるためには、もっと使いやすく興味を引くような作りにしないと今の子どもたちには受け入れられないような気がした。
指導教諭:巻嶋洋司(todaminami-e@toda-c.ed.jp)
(ア) システムを用いた活動の評価
1) 児童・生徒の活動の様子
とても楽しんで活動していた。次にパソコン室に行くのを心待ちにしている様子だった。
2) 児童・生徒の満足度
海外の同年代の子どもとメールのやり取りをすることは、もちろんはじめての経験であり、どきどきしながらも、とても興味を持って取り組んでいた。
3) 児童・生徒の成長や変化
操作については回数を重ねるごとになれてきた。簡単な単語の置き換えくらいはできる子もでてきた。
(イ) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
よけいな機能が付いていないのと、シンプルな画面構成で子どもたちにとって分かりやすく、また使いやすかったと思う。
キーワード検索のカテゴリ、テーマなどの上位項目とカテゴリの下位項目が一緒に見えてしまい分かりづらいところがあった。
2) システム反応速度について
全20台で一斉にアクセスすると表示されるまでに時間がかかった。しかし、それはこちらの回線の関係かもしれない。メールの送信などの時は、アクセスが分散されるため快適な速度だった。
3) 指導目的から見たシステム評価
まだ簡単な単語1つ1つの意味や文も書けない状態であるので、例文を選択して使えるというのは小学校という段階において非常に有効である。
4) システムに対する意見・要望
送受信の前にチェックし、許可した物だけを送受信できるように、子どもたちの送受信のメールを教師側が管理したい。
(ウ) 評価まとめ
小学校段階で、このシステムを使ってみて良かったことは、海外に目が向くことでそこの文化や自分たちとの違いに興味関心をもち、これから先、海外の人との本格的なコミュニケーションをするにあたっての導入にあたる部分になったことである。英文を自由に使いこなすことのできない小学生にとって、このようなシステムを使うことで、生きた知識を直接相手から学ぶことができ、子どもたちの視野をさらに拡げることができることはとても貴重である。
指導教諭:林佳織(sanokari@mb.i-chubu.ne.jp)
教科/科目名:総合・国際理解/英語で手紙を書こう(小学5年生)
1) 目的・概要
2) 時数
3時間
3) 生徒の活動
4) 準備事項・留意点
(ア) システムを用いた活動の評価
1) 児童・生徒の活動の様子
1時間目、日本語で手紙を書くことに大変意欲的に、楽しんで取り組んだ。手紙を出したい相手としては、ALT、2年生時担任(現在オーストラリア日本人学校教員)、担任、友だち、サッカー選手、野球選手、監督、KONISHIKI、モーニング娘、福山雅治、V6、などが挙げられた。
2時間目、機器操作が分からずつまずきがちだったが、パソコンに触れること自体をも楽しんでいた。例文の探し方が分かったところで時間切れ。
3時間目、例文探しをした。なかなか思うような例文が探し出せない。近い例文があっても、少し違う(「There are five person in my family.」の five を four に置き換えることも、自分でできる小学生はまずいない)。手紙を書き上げることは出来なかった。しかし、例文を探して読んだり、操作法を知ったり、楽しんでいた児童が多かった。
2) 児童・生徒の満足度
今の自分たちには絶対不可能である「英語で手紙を書く」ということも、システムの力を借りれば可能である、ということに児童達は大きな期待を持った。そして、パソコン機器に触れたこと、パソコン機器を使って英語で手紙を書く方法を知ったことに大変満足している様子だった。
しかし、思うような例文が見つけられなかったこと、英語で書き上げることも出来なかったこと、結局手紙を出すことが出来なかったことで、児童達を少しがっかりさせてしまった。また、日本文と英訳文を見ただけで英語をいっぱい勉強したような気になり、満足している児童もいた。
以下に、児童達から挙げられた感想を記述する。
3) 児童・生徒の成長や変化
ホームページの力を借りれば自分でも「英語で手紙が書ける」と児童達が思うようになったことが、一番大きな変化である。
実際には、英語で手紙を書き上げることも送信することも、助言者なしではまだまだ不可能である。しかし、児童感想の中には、「できなかったから、またやりたい」という声も多く、今後の活動への大きな動機付けになっていると思う。
また、「英語を習っているのに英語で手こずった」と言う児童もおり、自己能力の認識のよいきっかけになったと思う。
(イ) システムの評価
1) システムインタフェース(使い勝手)について
2) システム反応速度について
もっと早いに越したことはないが、ISDN回線の現状では仕方がない。
3) 指導目的から見たシステム評価
「自力で英語の手紙が書ける」ということは、小学生にとって(小学校教員にとっても)、大きな魅力である。不可能を可能にするということで、夢を持つことが出来る。
しかし、現状では児童達の文に近い例文が少ないので、英語の手紙を今すぐ作成することは小学生には難しい。また、「英語の手紙ができない」と、特に英語を苦手とする教員にとっては非常に使いづらい。
4) システムに対する意見・要望
(ウ) 評価まとめ
インターネットに触れる、英語で手紙を書く手段を知る、という点で、児童達にも指導者にも大変良い機会となった。
「システムを利用して英語で手紙を書く」という課題を通して、手紙での自己表現をする事ができる。パソコンやインターネットの使い方を知ることができる。英語に慣れ親しむことができる。システムそのものの使用目的は達成されなくても、課題に取り組むことで児童達が学べることは多くあった。