国際交流支援システムの開発及び実証実験


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5.実証実験の結果

5.1 アンケート結果

       以下に、Web上で実施したアンケートの結果を掲載する。

      5.1.1 児童・生徒用アンケート

        Q1. あなたは?

          小学校3年生

          1

          中学校1年生

          1

          高校1年生

          122

          高校2年生

          118

          高校3年生

          99

           小中学生もシステムを利用した英文作成は実施しているが、アンケートに回答したのは高校生が中心であった。

        Q2. 外国の人と手紙や電話、電子メールの交換をして友達になり、話をしてみたいですか?

           

          とてもしてみたい

          139

          機会があればしてみたい

          170

          あまりしたくない

          20

          興味がない

          12

           「とてもしてみたい」「機会があればしてみたい」という回答が90%を占めており、最初から国際交流に対する興味が大きい生徒が多いことがわかる。

        Q3. これまで外国の人と電話、電子メールなど、交換したことはありますか?

           

          ある

          274

          ない

          67

           システムを利用した国際交流実施以前にも、授業あるいは自分で電子メールなどによる国際交流を行ったことがある生徒が80%を占めている。Q2と合わせて国際交流への関心が高いことが伺える。

           一方で、Q2と比較すると、国際交流への興味がありながら自ら電子メールなどにより英語を用いた国際交流を行ったことがない生徒がいることもわかる。

        Q4. システムは簡単に使えましたか?

           

          一人で簡単に使えた

          144

          友達と相談しながら使った

          90

          先生に教わりながら使った

          95

          あまり使えなかった

          12

           システムは一人で簡単に使うことができたという回答が、42%と最も多い。また、授業で利用したこともあり、友達と相談しながら使った生徒や、先生にわからないところを教わりながら使ったという生徒も多数を占めている。

        Q5. 使ってみて難しかったところがあれば教えてください。

           生徒から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。総じて見ると、検索の際の検索キー指定方法が難しいという意見や、検索の際のキーワードの選び方が難しいなど、検索に関する操作が難しかったという意見が多かった。また、システムに不慣れな生徒にとっては、例文を検索してメールを作り、送信するまでの操作手順に戸惑うことが多かったことが伺える。

          <システムインタフェース>

          • どこをアクセスすればどんな画面が出てくるかがよくわからなかった。
          • 間違えた時の戻り方がわからない。[OK][やめる]のところに、[戻る]という項目があるといいと思います。
          • 使うのがマウスばっかりだったので、少し使いにくかった。もうちょっと、キーボードとマウス両方でできるような仕組みがいい。
          • もっと絵を増やして、小さい子にも使いやすいようにした方がいい。

          <検索方法>

          • キーワードを入力して検索するとき、漢字で入力しないと検索できなかった。
          • テーマとかを、選ぶときの操作。上のテーマと別の欄のテーマで別々になっていたから、少し手間取った。
          • 感情での検索の仕方がよくわからなかった。
          • 感情での検索のチェックボックスが選択しづらい。
          • 感情の絞り込みをしたけど、でてこない時があったので、どんなときでもいろいろでてくるようにした方がいい。
          • 初級編の例文と中級編の例文をうまく混ぜ込んで作れたらよかったです。
          • 検索したものがカーソルがある所と違う所(一番下の行)に出てくるので、できれば、カーソルがあるところに出てきてほしいです。
          • 検索された文章を一つ一つ見て探すのが難しかった。

          <コンテンツ内容>

          • 辞書で出てこない単語がある。
          • もっと難しい応用のきく例文が欲しいと思った。
          • 部分部分の言葉を自由に組み合わせることができるようになるとよいとおもう。

        Q6. 思った通りのメールは作れましたか?

           

          作れた

          48

          だいたい作れた

          196

          あまり作れなかった

          77

          ぜんぜん作れなかった

          19

           「だいたい作れた」という回答が57%と最も多い。また、「あまり作れなかった」「ぜんぜん作れなかった」という回答が合わせて29%であるのに比べて「作れた」という回答が14%であることから、自分で思った通りの内容のメールをシステムを用いて作ることはなかなか難しく、多少は自力で英文を作成する必要があることがわかる。

        Q7. 思ったような例文を検索できましたか?

           

          できた

          45

          ほぼできた

          177

          あまりできなかった

          100

          できなかった

          19

           Q6の思った通りのメールが作成できたかどうかという設問に対する回答と同じような分布になっている。思ったような例文の検索は「できた」「ほぼできた」という回答が65%と過半数を占めているが、「あまりできなかった」という回答も29%を占めており、十分に満足できるレベルではなかったと考えられる。

        Q8. 1回のメールで例文は何個くらい使いましたか?

          0個

          17

          1個

          31

          2個

          45

          3個

          92

          4個

          46

          5個以上

          110

           5個以上の例文を使用したという回答が33%と最も多かった。

        Q9. 例文の数や種類は十分だったと思いますか?

           

          はい

          143

          いいえ

          198

           例文の数や種類は十分でないという回答が、58%と半数を超えている。これは、Q6の思った通りのメールが作れたかどうかという質問や、Q7の思ったような例文が検索できたかどうかという質問において、満足度が高い回答が少なかったことの原因であると考えられる。

        Q10. 例文を増やすとしたら、どのような例文を増やして欲しいですか?

           生徒から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。総じて見ると、日常会話で使うような気軽な内容の文、学校生活について、問いかけ文や疑問文などの例文が欲しいという意見が多かった。

           また、例文数が少ないため、カテゴリや感情で検索できる例文を充実し、バリエーションを豊かにして欲しいという意見も多かった。例文以外にも、熟語や接続詞などの単語や、顔文字・絵文字などが欲しいという意見が見られた。

          <自己紹介文>

          • 趣味、特技など。
          • 挑戦してみたいこと。
          • 「私の好きな言葉は(  )です」という例文。
          • 「私の性格は(  )です」という例文。
          • 1日の出来事や休日の過ごし方など。
          • これから先のみんなの進路とか家ですることなどもっと日常的な例文があるとメールの内容の範囲が広がると思いました。

          <学校生活について>

          • 部活のこと。
          • 卒業後の進路をもっといろいろな種類が欲しい。目標や夢も増やして欲しい。
          • 卒業することに関して、また会いましょう・淋しくなるわ などの文があると良かったです。

          <日本の紹介文>

          • 日本の年中行事などの文化を説明する文章をもっと増やしてほしいです。
          • 新年のあいさつや、今年の抱負、日本の風習の説明など。
          • 海外への紹介文(正月はこういうものだ、とか)だけでなく経験文(正月に何をした、とか)がたくさん例文にあったら良かったです。
          • 日本の伝統的な文化や、有名な観光地などの紹介ができる例文があればいいと思います。
          • 地域の紹介文が欲しいです。

          <一般的な内容の文>

          • 特別な表現ではなくて、普通の日常会話表現がもっとほしい。
          • もう少し砕けた表現の例文がもっとほしいです。
          • 友達同士で話すみたいに軽い会話文みたいなのがほしい。
          • 既に相手と仲が良い場合の、もっと親しそうな会話文。
          • ユーモアのある表現を増やしてほしい。
          • 初めの挨拶や終わりの挨拶。
          • お祝い文など、グリーティング用の例文が欲しい。
          • 感情表現の例文が少なかったのでもっと増やしてほしい。
          • 健康や体調に関する例文。
          • 天気・季節の近況。
          • 最近使われている時事用語や社会問題に関する用語を使った例文が欲しい。
          • 日本で流行していることについての文。
          • 最近日本で起こったニュースについての文が欲しい。

          <その他>

          • 例文が無いときに使う熟語があれば便利だと思った。
          • 接続詞的なもの。(ところで、この前に、それでね・・・)
          • 挨拶や通常使うものならだいたい自分でわかるので、たまに使うものや、やや難しい単語、連語、文章を増やして欲しい。
          • 慣用表現などの、英語に決まり文句を増やしてください。
          • もう少し問いかけや疑問文を増やして欲しいです。質問を受けたときの返し方も検索出来ると嬉しい。
          • 顔文字や絵記号もあればいいかもしれません。
          • 名詞を変えればたくさん自分に合う例文がつくれるような例文。
          • 大まかでもいいけど、いろいろなパターンがあるともっと助かるし使いやすいと思います。
          • カテゴリをもっと増やしてほしい。

        Q11. 外国の人とまた電子メールを交換してみたいですか?

           

          はい

          303

          いいえ

          38

           初めから国際交流に興味のある生徒が多かったこともあるが、再度電子メールによる国際交流を実施したいという回答が89%と大半を占めている。Q12の自由記述からもわかるように、国際交流に興味は持っているが英文に自信がなくなかなか実行できないという生徒にとって、システムは国際交流を手助けする手段になりうると考えられる。

        Q12. 意見があれば自由に記述して下さい。

           生徒から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。システムを利用した国際交流を行ってよかった点について記述した意見が多かった。今まで英文メールを書く際に自身の英語力に自信がなかったり不安に思っていた点が、このシステムを利用することにより解消されたという意見が多い。

           また、改善点については、例文内容の充実を求める声が多い。

          <よかった点について>

          • 国際化ということで、外国の人達との交流が増えています。私も今以上に交流をしたいと思っていますが、自分の力で英文を書けないので、自信が無く、あまりやりませんでした。しかし、このページはわかりやすく、気軽に出来ました。また機会があれば使ってみようと思います。
          • 例文集のおかげで、自分ではなかなかうまくいかない自己紹介やあいさつもスムーズに進みました。
          • いつも、例文を考えるのに苦労してたからこのシステムがもっとよくなるとたくさん活用してみたいと思う。これからもちょくちょく使ってみたい。
          • 今までは、ほとんど自分の知っている表現を主に使っていたし、辞書で調べても、使いたい文章が無かったりして、諦めていたことも多かったのですが、この検索は簡単だし見ていて楽しいのでとても役立ちました。例文が増えていくともっと良いと思います。
          • いままでメールしたいと思って何度か挑戦したけど、いまいち伝えたい事が伝わらなくて途中で断念する事がしばしばありました。でも、これからはたくさん送れるので助かります。あとは、もっともっと例文を増やしてください。
          • This system is very handy, I used the english to japanese section and it made things a lot easier.
          • そのままメールができるのがイイと思います。
          • いちいち自分でコピーしなくてもいいし番号を押すだけでコピーされるので便利でした。
          • 初級者用と比べて中級者用になると例文の数も多くなり、英文の電子メールを書く時に使うととても便利だと思いました。
          • 検索すると書きたい内容がたいてい出てくるのでメールが楽にうててすごくいいと思います。今までは辞書で調べながらやったりしていたので本当に伝えたいことをうつのに2時間かかるときもありました。だからほんとうに早くできて嬉しかったです。
          • 前回よりも自分の力で英文が打てるようになりました。例文を使った文章でも、和訳があるので覚えられてとてもいいです。

          <改善点について>

          • もっと例文や辞書が充実したらもっとつかいやすくなると思いました。
          • 分かりにくい単語などを記載する際、小さくでいいので意味を載せてくれるとより使いやすくなると思います。
          • 例文が少し少ないのでもっといろいろなジャンルの例文を増やして欲しいです。
          • もっと1つ1つのカテゴリー内の例文を増やしてほしいです。
          • 日本文はあっても英文がなかったり、逆に英文はあっても日本文がなかったりというのがありました。
          • 中級の方が使いやすかったです。つながりにくかったのが残念でした。40人でアクセスしているので仕方がないのですが。
          • 中級者編でも、簡単な例文ばかりだったと思う。もっと複雑な例文があってもいいのでは。

          <提案>

          • 日本語の文章からも訳せれば最高の物になると思います。
          • 外国のメール友達を紹介してくれるようなシステムがほしい。
          • アニメーション付きのグリーティングカードを送ってみたい。
          • 英語以外にも中国語とかフランス語とか作ってほしい。

      5.1.2 教員・その他用アンケート

        Q1. ご職業

           

          小学校教員

          1

          中学校教員

          3

          高校教員

          9

          大学関係

          3

          その他

          4

           生徒の回答と同じく、教員の回答も高校教員のものが中心であった。教員以外の職業を持つ人からの回答も見られる。

        Q2. 教員の方は担当教科を、それ以外の方は職種・ご専門を記入ください。

          英語

          9

          社会メディア英語

          1

          工業英語

          1

          数学

          1

          情報工学

          1

          情報処理

          1

          情報教育

          1

          日本語

          1

          ソフトウェアエンジニア

          1

          留学カウンセル

          1

          教育クラブ

          2

           英文メール作成による国際交流支援システムということもあり、英語教員の利用が最も多かった。教員以外の利用でも、留学カウンセルや教育クラブなど、英語や教育に関連する人の利用が見られる。

        Q3. 英語で海外との電子メール交換を行ったことがありますか?

           

          授業等で行ったことがある

          8

          自分では行ったことがある

          12

          行ったことがない

          0

           「授業等で行ったことがある」という回答が40%であるのに対して「自分では行ったことがある」という回答が60%であり、今回、このシステムを用いて初めて授業での実践を行ってみたという教員が多いことがわかる。

        Q4. システムは簡単に使えましたか?

           

          容易に使えた

          11

          比較的容易に使えた

          4

          試行錯誤が必要であった

          4

          あまり使えなかった

          1

           「容易に使えた」「比較的容易に使えた」という回答が合わせて75%を占めており、大多数の教員にとってはシステムの利用は簡単であったことがわかる。

        Q5. 使ってみて難しかったところがあれば教えてください。

           教員から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。生徒の意見と同様に、システムの使い方に慣れるのに時間がかかるという意見や、検索の際の操作方法に改善を求めているものが多かった。

          • 難しかった所はありませんが、初めは少し使い方に慣れるまで時間が掛かりました。
          • 感情による絞込みなど、検索の際の画面操作が難しかった。

        Q6. 思ったような例文を検索できましたか?

           

          できた

          2

          ほぼできた

          9

          あまりできなかった

          7

          できなかった

          2

          「できた」という回答が10%、「ほぼできた」という回答が45%であった。生徒の回答が「できた」13%、「ほぼできた」52%であったのに比べて低い水準であり、教員にとっては検索結果はやや物足りなかったものと考えられる。

        Q7. 例文の数や種類は十分だったと思いますか?

           

          はい

          9

          いいえ

          11

           「はい」という回答が45%、「いいえ」という回答が55%である。ほぼ同数ではあるが、例文の数や種類が十分でないと考える教員が多かったことがわかる。

        Q8. 例文を増やすとしたら、どのような例文を増やすとよいと思いますか?

           教員から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。具体的な例文内容のほか、例文収集方法についても意見をいただいている。

          <例文の内容について>

          • 子どもらしい表現とかスラングとかが入った表現の例文があるとおもしろいと思う。
          • くだけた言い回しを増やしては如何でしょうか。
          • 中級レベルの日本語例文に敬語、謙譲表現を使った待遇表現の例文も取り入れたらどうでしょうか。
          • あらゆる、日常生活のもの。
          • 日本(郷土)のことについて英語で書くのに大変苦労した子ども達を見ています。そのような例文も必要かなと思います。

          <例文の種別について>

          • 例文が偏りがあるようでもっと色々な例文がほしい。
          • 初級、中級というような分け方以外に中学生用とか高校生用とかいう分け方もあってもいいのではないかと思う。
          • もっとたくさんの場面に適合した例文がほしい。同一内容の例文を、正式・一般・俗語用法で区別をしてみたらどうか。

          <その他>

          • 条件を変えても同じ例文が表示されるため、まだ、開発途中という印象を受けました。
          • 生徒や教育関係者が使いそうな例文を全世界版のメーリングリストから集めるのはどうでしょうか?(Kids Sphereなど)
          • 生徒が実際に交流した際の実例を元に、利用頻度の高い表現を充実させると良いと思います。そのためには、我々現場の教員が一層協力しなくてはならないのでしょう。
          • 受信したメールのセンテンスを、例文として登録できるといいと思います。

        Q9. 本システムを用いた授業を行いたいと思いますか?

           

          思う

          17

          思わない

          0

          システムが改善されれば使いたい

          3

           本システムを用いた授業を行いたいと考える教員が85%と大半を占めているのに対し、システムが改善されれば使いたいと考える教員が15%を占めている。

           改善点については、以下に主要なコメントを挙げる。これらに見られるように、メール機能を充実させたり例文内容を充実させるなどの意見が挙げられている。

          授業で利用するための改善点等:

          • 英語になっている項目は日本語表示も同時にする。
          • 辞書については、例文を付けてあげると、より使いやすくなるのでは、と思いました。
          • アメリカ人の学生が日本語でのメールの書き方を習う場合、漢字辞書があるととても便利です。
          • 添付ファイルを送れるようにする。
          • メールだけではなく、掲示板でも使えるように検索機能を独立して使うこともできるようにする。
          • 生徒の記述した日本文からそれに近い英文を探せると好都合です。
          • もっと程度の高い「上級」のレベルの英文もほしい。
          • システム(特にエンジンの部分)は、ローカルのサーバに置いて、追加された例文等の差分を定期的に引っ張ってくる方法にしたい。(なるべく軽く動かしたいので)

        Q10. その他、本システムに対するご意見・ご要望等、ご自由に記述下さい。

           教員から挙げられたコメントの主要なものを以下に示す。実際に授業で本システムを活用することを前提とした意見が多かった。

          <機能について>

          • スペルチェックの機能がほしいです。また、辞書の中でエラーがでます。
          • このシステムの使い方がわかるように書かないとわからない先生がいます。
          • ぱっと英文が出てこないときなど、大変便利だと思います。また、単語を度忘れしたときや急いでいるときなど辞書を引く手間が省けるので、利点はたくさんあると思います。特に、英語の勉強をしている方には、強い味方になると思います。
          • 例文の数を増やし、おもなキーワードもプルダウンメニューで選択できると、キーボード入力が苦手な人も使いやすいのでは。

          <コンテンツについて>

          • 用語をもう少しやさしくしないと小学生や中学1年生には難しいと思います。
          • システムはよくできています。問題は例文の数です。大幅に増えると、十分実用的になると思います。

          <その他>

          • 生徒が創造性を働かせるという観点から、このシステムが「英文手紙の書き方」等の書籍と比べてどのような利点があるのでしょうか。辞書指導と同じで、これだけ容易に英文を利用させた場合、表現の生徒への定着が図れるか心配である。
          • メールアカウントも利用できるので、プロバイダへの契約やサーバにより発行する必要もなく、そのまま授業で利用できるのでありがたい。
          • 英文メール作成のみの機能に限定して、メールの送受信とは切り離して活用する方法もあるのかな、とも思いました。

5.2 実証校の報告

       以下に、実際にシステムを使用して英文メールを作成し、国際交流を実施した学校からの報告を掲載する。

      5.2.1 埼玉県立和光国際高等学校

         指導教諭:杉本範雄(sugimoto@wakoku-h.ed.jp

         教科/科目名:商業/情報処理

        (A) 指導略案

          1) 目的・概要

            普通科・外国語科1年生6クラスによる、システム実証実験を行う。

          2) 時数

            各クラス1時間

          3) 生徒の活動

            システムを用いて、ログイン、システムの確認、英文作成、メールの送信、ログアウトの作業を行う。

            作業終了後、アンケートへの回答を行う。

          4) 準備事項・留意点

            生徒全員が海外とのメール交換経験者であることをふまえて実証実験を行う。

        (B) 評価

          (ア) システムを用いた活動の評価

            1) 児童・生徒の活動の様子

              一様にログイン後の初期画面に、驚嘆・感心していた。また、実際にシステムを利用して冷静に評価をしていた。

            2) 児童・生徒の満足度

              全員が海外との英文メールの経験者であるので、システムの意義は充分に認めていたが、例文が少ないことや、英文メールに慣れていることから、現時点での授業では利用するメリットはないと感じたようだ。

              しかし、普通科・情報処理科の生徒達を対象として入学直後の授業で英文メールの導入を行う際には、十分利用できる。ただ、外国語科の生徒への利用は、英語に対するアプローチが違うので利用しない方がよいと感じた。

            3) 児童・生徒の成長や変化

              どうしたら、初心者が容易に英文メールが作成できるか、自分たちの経験をふまえて考えていた。これは、全員が海外との英文メールの経験者であるためと考えられる。

          (イ) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

              高校生にとっては、十分なものであった。また、小学生高学年以上の利用であれば有用なインタフェースである。あとは、デザイン上の仕上がり次第でさらに有用なものになると考えられる。

            2) システム反応速度について

              今回の活動では、本校のシステム条件は以下のようなものであった。

              • 40人同時使用
              • 校内LAN→校内サーバ(キャッシュ利用)→OCNエコノミー経由

                このような条件下では、実際に利用できる反応速度であった。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              英語ができない、英語に自信が無い、英語の嫌いな生徒達には、英文メール作成に対して「やる気」や「やってみたい」という欲求を呼び起こすと思うので、導入時に利用できる。

            4) システムに対する意見・要望

              以上の評価により、実際に授業時に利用することは可能である。以下の点が実現されれば、さらによいものになると考えられる。

              • 小学生低学年用のインタフェースの作成と指導援助システムの開発。
              • 交換するメール数を増やすために、検索例文の充実を図る。中学生・高校生からリクエストされたものを活用すると例文が作成しやすい。
              • 英文作成に慣れてきた生徒の為に、例文検索なしに「英文作成」を勧めるページがあるとよい(学校や個人で、メールアカウントがない生徒の為に)。
              • 作成された英文メールの確認の際、音声による読み上げができると英語教育とリンクできる(本校・英語教師の意見)。

          (ウ) 評価まとめ

            10年間、海外とのメール交換を授業に取り入れてきた経験から、本システムを有効に活用するには以下の点が重要であると考えられる。

              1) まず、教師が容易に利用できるか?(海外に英文メールを書く勇気も含めて)
              教師研修用のページで、実際に海外と先生とメールの交換をしてもらう。(海外の先生の確保が問題)

              2) 海外との英文メールの交換の場合、交換する相手が容易に見つかることが重要である。
              海外教育機関、団体などのWebサイトやメーリングリストの提供と、相手校紹介や斡旋も必要である。(日本国内での英文メールでは効果も感動もない)

              3) 上記の条件が満たされると、本システムが効果的に活用できる。ただし、各校でインターネット関連の施設・設備が整備されていることが前提である。
              また、システムを授業で有効に活用するには以下の点も重要である。

              • 教師は、生徒の英文内容(間違い等)に神経質にならないこと。
              • 返信が無い場合は、何度も出させてみる。相手を変えて出させることも大切。
                また、相手からのメールに対しては、短い文章でもよいのでできる限り早く返事を出させること。(生徒は、返事が来ないことに一番がっかりして、意欲・自信を失う)
              • 本システムを2〜3回使用したら、次は利用しないで英文メールの作成を促す。(ただし高校生の場合。小中学生は継続使用が必要である)

      5.2.2 愛知県名古屋市立緑高等学校

         指導教諭:久賀史恵(kuga@midori-h.ed.jp

         教科/科目名:課外活動/英語部

        (A) 評価

          (ア) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

              普段あまりコンピュータを使っていない生徒ではあったが、最初に簡単にシステムの説明をした後は、画面上に示される手順に従ってスムーズに作業ができたので、初心者にも十分わかりやすいインタフェースだと言える。

              途中に自作の文を挿入できる点や、文を書き換えて自分なりのものにできる点もよい。辞書機能も有効に利用できていた。

            2) システム反応速度について

              十分な速度であり、生徒の作業の流れを止めてしまうような場面はなかった。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              パソコン操作、英語でメールを書く、という両点で初心者であった生徒にとってこの2つの壁を乗り越えて、海外との電子メール交換を始めるよいサポートになるシステムである。ゼロから文章を作るということは大きなタスクであるが、自分が探し出した文を自分なりの順序に並べたり、自分の意に添うように書き換えたりすることなら難しくはないと感じられたようだ。このような作業の中で自然に一定量の英文を読み、吟味することになるので、英語に触れる良い機会にもなる。

              このシステムを使っていく中で、さらに進んだメール交流を望む生徒が出てくる。ウェブメールとしての機能も十分備えているので、検索から利用する文にだんだんと自作の文が加わっていく形になるのではないかと期待できる。

            4) システムに対する意見・要望

              生徒が自分の表現したいことにできるだけ近い文章を作ることを実現するためには、微妙な差も網羅するような多くの例文を備える必要がある。

              今回英語圏の教員にも利用してもらったり、英語を学ぶ生徒と同じようにサポートしうるものだということがわかったが、日本語から英語の場合と同じようには対応できていない点があり、もう一度使う人の立場に立って改良を加える余地がある。

      5.2.3 三重県立みえ夢学園高等学校

         指導教諭:平山欣孝(hirayama@mint.or.jp

         教科/科目名:英語/国際コミュニケーション

        (A) 指導略案

          1) 目的・概要

            交流している海外の生徒からのメールに返事を書く作業を行う。

          2) 時数

            40分間授業を2日間実施

          3) 生徒の活動

            学校へ来たメールを一斉に読んで、それらに対するメールを個々に書く。そして、書いたメールは相手に送るのではなく、このシステムにより一旦、英語の教師へ送る。

          4) 準備事項・留意点

          • 教師が、自分のパスワードなどを入力してデモンストレーションをし、生徒に割り当てた。
          • 話題の提供となるように、海外からのメールを読んだり、相手の学校の作成したページなどを鑑賞してそれの印象などをコメントするように指示をした。

        (B) 評価

          (ア) システムを用いた活動の評価

            1) 児童・生徒の活動の様子

              熱中していました。

            2) 児童・生徒の満足度

              満足しているようです。

            3) 児童・生徒の成長や変化

              成長するところまでは不明でした。以前よりも長いメールを書けるようになったようですので、その分英語が上達したように見えます。

          (イ) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

              選んだ例文が自動的に枠内に現れるのが使いやすい。

            2) システム反応速度について

              本校では教育用ネットワークを使っていますので、有害情報がフィルターで遮断されています。そのせいかもしれませんが、送信できるメールができあがったあとで送信する際にちょっと時間がかかりました。例文を選んでクリックするところはストレス無く反応していましたが、メールの送受信にちょっと時間がかかりました。特に、メールアドレスを間違って送った場合に返ってきた自分のメールを見るのにはとても時間がかかりました。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              英語を実際に使う場面、国際理解教育の際に必要となる支援であると思いました。

            4) システムに対する意見・要望

              まだ、例文が少ないと思います。まだ未完成のものを使わせていただいているのですから、これは仕方がないと思いますが。

              辞書を使った時に正しい意味の英単語が出なかったり、検索で間違った例文があったりしました。

          (ウ) 評価まとめ

            アイデアはとてもいい作品だと思います。その理由は、メールを書きながら必要となる英文の例が提示され、それを選んでクリックすることにより、便箋に自動的に書き込まれ、それを修正して自分の必要とする英文ができるからです。辞書も必要になれば、それも備わっていて至れり尽せりです。

            ただ、デザインが視覚的に少し見にくいと思うところがあります。それは、画面が全体的に白くて、例文が提示される場所が霧の中から忽然と現れるように出てくるところです。自分のメールを書く場所が線で区切られているだけですので、外部と内部を色分けすれば、もっと見やすくなるのではないでしょうか?

            それと、最初のページも一行だけのページですが、そこが入り口であるという飾りや、2枚目のページも文字だけですが、もう少し工夫があるといいと思いました。

            また、受信したメールを削除する機能も必要と思いました。

      5.2.4 三重県立員弁高等学校

         指導教諭:近藤多寿子(tazuko@enb.nagoya-wu.ac.jp

         教科/科目名:英語/英語理解

        (A) 指導略案

          1) 目的・概要

            初めて相手に手紙を出すという設定で、自己紹介と学校紹介を英文でつくる援助をする。

          2) 時数

            2時間

          3) 生徒の活動

            原稿となる日本語を準備し、支援システムを利用して、自己紹介・学校紹介のの英文をつくる。

          4) 準備事項・留意点

            日本語の原稿をただ引用するだけでなく、自分のオリジナルの英語も作成させることに留意した。

        (B) 評価

          (ア) システムを用いた活動の評価

            1) 児童・生徒の活動の様子

              「先生、これを使うと、もっと気軽にメールがかけるね」「自分の文がたくさんかけるので、うれしい」という声が教室からあがった。特に初心者に有効なようである。

            2) 児童・生徒の満足度

              自己紹介や、学校紹介については、かなり満足していた。もっと、例文が見たいという声があがった。

            3) 児童・生徒の成長や変化

              英作文をつくるのが非常に苦手な生徒が「これなら、できそう」と取り組み始めた。和英辞典を引くと、時間ばかりかかって、1行も英文ができない生徒がいたが、このシステムを使えば、それなりの英文になる。相手が欲しくなる。相手への返事を書くのがおっくうでなくなり、交流が続く。

          (イ) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

              使い勝手は、良い。初めてでも、簡単に使いこなせる。

            2) システム反応速度について

              良い。十分速い。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              相手からのメールに簡単に返事をかけるようにするためには、「いまはやっているもの」とか、「日本の行事にはどんなものがある?」という、

               - 話題性のあるアップトウデイトなデータ

               - 交流を始めると必ず話題になるデータ

              をより多く用意しておくと、生徒は、相手からのメールにすぐにある程度のレベルの返事が書ける。

            4) システムに対する意見・要望

              使いやすくて生徒は喜んでいたので、例文を増やす以外はない。

              最初に「初めての人は、ここを読んでね」等の使い方の説明画面をつけてもらうと、教員が使い方を説明しなくて済む。

          (ウ) 評価まとめ

            • 生徒の英文の量が格段に増えた。特に英語初心者に有効なようである。
            • 導入として使うと効果的。レベルを選ぶのはかなり難しいので、小学校、中学校、高校というような区分のほうがわかりやすい。
            • 1つの日本語に対して、あまり例文が多すぎても使いづらい。
            • 生徒がテスト等で悪用しないよう、コントロールする必要がある。

      5.2.5 三重県立川越高等学校

         指導教諭:近藤泰城(yasuki@bebop.gr.jp

         教科/科目名:外国事情(高校2年)

        (A) 指導略案

          1) 目的・概要

            時間の都合で実際に電子メールや英作文に使わせることは出来なかったが、約30分、試用させた。

          2) 時数

            1時間

          3) 生徒の活動

            出来る限り、こちらは指示を与えず、生徒が自分でどれぐらい使うことが出来るか、試行錯誤させた。

        (B) 評価

          (ア) システムを用いた活動の評価

            1) 児童・生徒の活動の様子

              感情を選択する場所の絵のインタフェースなどは、女子生徒を中心に好評であった。例文については思ったものに出会えない生徒もいたようである。

            2) 児童・生徒の満足度

              仕組みには、感心している生徒が多かった。

          (イ) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

              慣れてしまえば、高校生には簡単そうであった。複数チェックを入れると、AND検索になり、ヒットしないということが分かりにくいように思う。感情のところは、一つしか選べないようにしてほしい。また、項目のドロップダウンメニューも一番上を、「全て」とか「指定しない」などにするべきだと思う。

            2) システム反応速度について

              もう少し速いと楽しい。

              Web上でフリーで提供されている英和・和英辞書のサイトでは、検索が大変速い。そのくらい速くなるとよい。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              一定以上の英語力がある場合は、使わない方がよいこともあるかもしれない。ただ、例文の質によっては、どの学習者にも価値があるデータベースが出来るように思う。

              上記のWeb上の辞書は、プロの翻訳家や通訳家がネット上で協力して作っているそうである。例文をいかに集めるかが大事であろう。

            4) システムに対する意見・要望

            • チェックが複数個入らないような設定がよいのではなかろうか。
            • 例文表示部分の余白を減らして、一度に多くの文が見えるようにしてほしい。
            • 学習の効果を考えると、クリックで文がコピーできない方がよい場合もあるのではなかろうか。

           

          (ウ) 評価まとめ

            英語を学び始めたぐらいの児童・生徒が、交流に役立てることができるというのがよいように思う。

            繰り返してしまうが、例文を高度なものにすれば、高校生以上でも十分役立つものが出来るように思う。

            また、追加例文として、以下の内容を含んだものがあるとおもしろいと思う。

            • こさじ・大さじ一杯
            • 吊り下げ式コースター
            • かまぼこ
            • 番組のコーナー
            • 子どもからお年寄りまで
            • 厚底靴
            • 家族のために祈る
            • 様々な食べ方があるようだ(There seems to be many ways of eating rice)
            • 経験を生かしたい(make the best of what I learned this time)
            • 頭を使った
            • ためになった(This experience was of great benefit to me)

      5.2.6 三重県松阪市立中部中学校

         指導教諭:林敬泰(bigapple@mctv.ne.jp

         教科/科目名:英語(中学3年生)

        (A) 指導略案

          1) 目的・概要

            生徒が今回のソフトを利用しALTのジョンに手紙を書くことを通して、英語で表現することに自信をつけることができる。

          2) 時数

            3時間

          3) 生徒の活動

            日頃、2カ月に一度の授業でしか会えないALTの先生に、システムを用いて英語で手紙を書く。

          4) 準備事項・留意点

            パソコン初心者の生徒が抵抗感なく使えるように心掛けたい。また、インターネット初心者の子どもたちにも、意欲的に取り組んでほしい。

        (B) 評価

          (ア) システムを用いた活動の評価

            1) 児童・生徒の活動の様子

            • 英語に興味がある生徒は、最後まで熱心に頑張っていたが、多くの生徒は興味が薄いように感じられた。特にパソコン初心者には、とても使いにくい様子だった。
            • システムに初めは興味を示したが、2時間もたつと飽きてしまったようだった。

            2) 児童・生徒の満足度

              生徒からシステムに対して以下のような感想が挙げられた。

            • システムインタフェースがわかりにくい
              1. - 「ログイン」「検索」等の操作ボタンの意味がわからない。

                - 検索ボタンがどこにあるかわからない。

            • コンテンツの量が不充分
              1. - 自分の表現したい文章がない。

                - 具体的な長文の英文よりも短文がたくさんあるとよい。

                - 文章の内容が子ども向きでない。

            3) 児童・生徒の成長や変化

              短時間だったので生徒の成長とまでは言えないが、このシステムを利用して英文メールを書くことを通して、「英語を書くこと」そのことに対して自信を持ったようである。

          (イ) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

            • 生徒を見ている限り、3つのフレームに分かれていることがとても難解な様子だった。
            • 「文章を探すボタンがない」と質問する生徒が多かった。英文検索ボタンの位置が悪いと思われる。
            • 一つの文章を書いた後、次の表現に移るための方法が分からないようだった。

            2) システム反応速度について

            • 利用速度について、少し遅いように感じた。
            • スクロールに使う時間がもったいない。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              もっと生徒一人一人の個性や表現が英文に反映されるようなものが欲しい。

            4) システムに対する意見・要望

            • ホームへ戻るボタンが欲しい。
            • スクロールをなくしてほしい。
            • 三つもフレームがあることが使いにくい。何とか二つにできないものか。
            • 趣味、食べ物、職業等の英単語一覧表があれば便利である。
            • テーマの中にカテゴリを含めた方が、検索しやすい。検索でカテゴリ、テーマ、感情で3回も絞る作業がとても面倒である。

          (ウ) 評価まとめ

            選択英語の授業では英語に興味を持つ生徒が多いので,大いに利用価値があると思う。しかし、英語が嫌いな生徒が多い中、数時間通して普通のクラスの授業でこのソフトを使うことは少し無理があるように感じる。実際、生徒の感想の中で「面白くなかった、難しかった」という記述も多かった。英語に対する興味が低い子どもたちに英語を学ばせるためには、もっと使いやすく興味を引くような作りにしないと今の子どもたちには受け入れられないような気がした。

      5.2.7 埼玉県戸田市立戸田南小学校

         指導教諭:巻嶋洋司(todaminami-e@toda-c.ed.jp

        (A) 評価

          (ア) システムを用いた活動の評価

            1) 児童・生徒の活動の様子

              とても楽しんで活動していた。次にパソコン室に行くのを心待ちにしている様子だった。

            2) 児童・生徒の満足度

              海外の同年代の子どもとメールのやり取りをすることは、もちろんはじめての経験であり、どきどきしながらも、とても興味を持って取り組んでいた。

            3) 児童・生徒の成長や変化

              操作については回数を重ねるごとになれてきた。簡単な単語の置き換えくらいはできる子もでてきた。

          (イ) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

              よけいな機能が付いていないのと、シンプルな画面構成で子どもたちにとって分かりやすく、また使いやすかったと思う。

              キーワード検索のカテゴリ、テーマなどの上位項目とカテゴリの下位項目が一緒に見えてしまい分かりづらいところがあった。

            2) システム反応速度について

              全20台で一斉にアクセスすると表示されるまでに時間がかかった。しかし、それはこちらの回線の関係かもしれない。メールの送信などの時は、アクセスが分散されるため快適な速度だった。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              まだ簡単な単語1つ1つの意味や文も書けない状態であるので、例文を選択して使えるというのは小学校という段階において非常に有効である。

            4) システムに対する意見・要望

              送受信の前にチェックし、許可した物だけを送受信できるように、子どもたちの送受信のメールを教師側が管理したい。

          (ウ) 評価まとめ

            小学校段階で、このシステムを使ってみて良かったことは、海外に目が向くことでそこの文化や自分たちとの違いに興味関心をもち、これから先、海外の人との本格的なコミュニケーションをするにあたっての導入にあたる部分になったことである。英文を自由に使いこなすことのできない小学生にとって、このようなシステムを使うことで、生きた知識を直接相手から学ぶことができ、子どもたちの視野をさらに拡げることができることはとても貴重である。

      5.2.8 三重県一志郡一志町立川合小学校

         指導教諭:林佳織(sanokari@mb.i-chubu.ne.jp

         教科/科目名:総合・国際理解/英語で手紙を書こう(小学5年生)

        (A) 指導略案

          1) 目的・概要

          • 「手紙を書く」という表現活動に取り組むことで、自己表現の機会や、普段伝えられないことを伝えようとする機会を持つ。
          • 「英語で手紙を書く」活動を通して、パソコン機器及びホームページ閲覧操作を知り、英語に慣れ親しむ。

          2) 時数

            3時間

          3) 生徒の活動

          • 日本語で手紙を書く。
          • 機器操作を知る。
          • 英語の手紙を書く。

          4) 準備事項・留意点

          • 各端末へひらがな変換ソフトをインストールしておく。
          • 日頃接点のあるALTへ出すことを想定して手紙を書かせる。

        (B) 評価

          (ア) システムを用いた活動の評価

            1) 児童・生徒の活動の様子

              1時間目、日本語で手紙を書くことに大変意欲的に、楽しんで取り組んだ。手紙を出したい相手としては、ALT、2年生時担任(現在オーストラリア日本人学校教員)、担任、友だち、サッカー選手、野球選手、監督、KONISHIKI、モーニング娘、福山雅治、V6、などが挙げられた。

              2時間目、機器操作が分からずつまずきがちだったが、パソコンに触れること自体をも楽しんでいた。例文の探し方が分かったところで時間切れ。

              3時間目、例文探しをした。なかなか思うような例文が探し出せない。近い例文があっても、少し違う(「There are five person in my family.」の five を four に置き換えることも、自分でできる小学生はまずいない)。手紙を書き上げることは出来なかった。しかし、例文を探して読んだり、操作法を知ったり、楽しんでいた児童が多かった。

            2) 児童・生徒の満足度

              今の自分たちには絶対不可能である「英語で手紙を書く」ということも、システムの力を借りれば可能である、ということに児童達は大きな期待を持った。そして、パソコン機器に触れたこと、パソコン機器を使って英語で手紙を書く方法を知ったことに大変満足している様子だった。

              しかし、思うような例文が見つけられなかったこと、英語で書き上げることも出来なかったこと、結局手紙を出すことが出来なかったことで、児童達を少しがっかりさせてしまった。また、日本文と英訳文を見ただけで英語をいっぱい勉強したような気になり、満足している児童もいた。

              以下に、児童達から挙げられた感想を記述する。

            • システムインタフェース
               - 次にどこに進むか分からなくて困った。
               - ホームページを開くのが難しかった。
               - パスワードが難しかった。
            • 例文の内容
               - 色々な例文があるし、ずっと探して、当てはまることが少しでもあると
                嬉しかった。
               - たくさんの例文があったが、自分の書こうとしていることと少し違った
                内容の文が多く難しかった。
            • 英語利用について
               - 英語でてこずった。
               - いろんなことを英語に直して調べるのが面白かった。
               - 英語のつづりを見るのが楽しかった。
            • パソコン機器等
               - キーボードを押すのが楽しかった。
               - 手紙はどうやって書くのか分からない。

            3) 児童・生徒の成長や変化

              ホームページの力を借りれば自分でも「英語で手紙が書ける」と児童達が思うようになったことが、一番大きな変化である。

              実際には、英語で手紙を書き上げることも送信することも、助言者なしではまだまだ不可能である。しかし、児童感想の中には、「できなかったから、またやりたい」という声も多く、今後の活動への大きな動機付けになっていると思う。

              また、「英語を習っているのに英語で手こずった」と言う児童もおり、自己能力の認識のよいきっかけになったと思う。

          (イ) システムの評価

            1) システムインタフェース(使い勝手)について

            • キーワード検索の仕方を理解するのに時間がかかる。
            • 「テーマ」を選択しなくても、テーマ欄の選択項目を検索条件として選択できてしまう。さらに「カテゴリ」がデフォルトで選択されているので、それに気づかずテーマ欄の選択項目で検索を実行してしまい、何度やっても同じ例文(カテゴリで選択してある分)しか出ない状態が続いた。
            • 感情の絞り込み方も分からなかった。感情の絞り込みにチェックが入っているとテーマで選択&検索しても例文が出てこなくて困った。
            • 選択チェックを入れる面積がもっと大きい方がクリックするのに楽。

            2) システム反応速度について

              もっと早いに越したことはないが、ISDN回線の現状では仕方がない。

            3) 指導目的から見たシステム評価

              「自力で英語の手紙が書ける」ということは、小学生にとって(小学校教員にとっても)、大きな魅力である。不可能を可能にするということで、夢を持つことが出来る。

              しかし、現状では児童達の文に近い例文が少ないので、英語の手紙を今すぐ作成することは小学生には難しい。また、「英語の手紙ができない」と、特に英語を苦手とする教員にとっては非常に使いづらい。

            4) システムに対する意見・要望

            • 学年別に選択して検索ページに入れるシステムだと、作文がしやすい。例えば、小学5年生ページの自己紹介欄には「私は5年生です」の例文になっていると良い。今は「私は高校3年生です」しかないので。
            • カテゴリが選択されている時にはテーマ欄の選択項目の選択が出来ないようになっていると、操作上のとまどいが少なくなると思う。
              また、テーマを選択したら感情欄のチェックが自動的に消えるようになっていたら楽である。

          (ウ) 評価まとめ

            インターネットに触れる、英語で手紙を書く手段を知る、という点で、児童達にも指導者にも大変良い機会となった。

            「システムを利用して英語で手紙を書く」という課題を通して、手紙での自己表現をする事ができる。パソコンやインターネットの使い方を知ることができる。英語に慣れ親しむことができる。システムそのものの使用目的は達成されなくても、課題に取り組むことで児童達が学べることは多くあった。



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