1.2.1 提案内容
1.2.1.1 Web上での,児童・生徒の直接対話を実現するためのシステムと組織作り
公式ホームページ上に児童・生徒が直接対話を行うための掲示板を設置し,いくつかのグループで学校間協働の対話学習を進める。
昨年までの100校,新100校,Eスクエアプロジェクトの取り組みの反省を活かし,単純な掲示板ではなく,ケナフの成長記録機能と連動し,全国の学校のケナフ成長過程を写真や棒グラフにより視覚的に表現すると同時に,その画面からコメントを書き込めるインターフェースを提供する。一般的な掲示板で書きこむ場合に比べ,見ながら考えたことを,その画面から書きこめるため,生徒にとってはより使いやすい環境だと想定される。
また,ケナフの栽培過程で観察するケナフの背丈,根元の幹の太さ,葉の枚数,葉の形,葉の長さ,葉の幅,葉の色,つぼみの数,花の数などの事項について自主的に発表しあえる発表会形式の画像掲示板を設置する。それによって,問題の発見,問題の共有,解決方法や結果の解釈についての対話ができるようにする。
さらに,栽培の過程で出てくる活動としての,紙すき,葉書作り,そしてケナフの料理などの様子をお互いが自主的に対話できる画像掲示板を設置する。これを「スモールプロジェクト」として運用することにより,多様かつ能動的なコミュニケーションの場作りを進める。
この時,どういうテーマで研究発表会等を行なうかは,インターネット上の協議によって,参加校の教師だけでなく,児童・生徒自身の対話によって決定されるように運用し,基本システムは,その結果に応じ簡単にカスマイズ可能な構造とする。
具体的なシステムのイメージ
今回開発するシステムは,下記のような機能を提供する。
1. 各学校で実施する植物栽培の成長記録データベース
2. 成長記録データベースと連動可能なミーティングボード
3. 教員が必要に応じインターフェースを追加・変更・削除できるカスタマイズ機能
以下,それぞれを更に具体的に説明する。
成長記録データベースの特徴
・ 高さや葉の大きさなどの数値だけではなく撮影した写真や絵なども管理できる
(画像のUpload機能も有する)
・ 管理するデータは,植物の写真や画像,成長過程における種々の観測数値以外にも,紙すき,葉書作り,そしてケナフの料理などのデータも記録できる仕様とする
・ 登録したデータを検索表示する場合,どの年代層でも満足できるインターフェースを提供する(複数の基本インターフェースを設計するが,それらもカスタマイズ可能なものとする)
・ 登録されたデータを時系列で表示できる(このとき,単に数値の羅列ではなく,グラフ化し視覚的に低年齢層でもわかりやすくする)
ミーティングボードの特徴
・生徒/児童間,教師間,管理者間,等基本インターフェースを複数構築する
(これらもカスタマイズ可能なものとする)
・成長記録データベースに蓄積された種々のデータを見ながら発言できるインターフェース
カスタマイズ機能の特徴
・ログイン時のアカウントにより管理権限に段階を設定し,段階に応じて種々のインターフェースの追加,変更,削除等がブラウザインターフェースにより行える。
(ただし用意された複数の基本インターフェースを変更できる機能とし,HTMLエディタとは違う)
基本インターフェースデザインの数値的目安は下記の通り。
・成長記録インターフェース
小学生向け(3パターン×3画面)
中学生向け(2パターン×3画面)
高校生向け(2パターン×3画面)
管理者・教員向け(1パターン×2画面)
・ミーティングボード
研究会スタイル(5パターン×2画面)
フォーラムスタイル(3パターン×2画面)
注)1つのアクションで2ステップ必要な場合,1つのパターンで2画面必要になる
また,上記の計39画面に対し,キャラクターやアイコン等のパーツ約80部品のデザインを想定している。
インターフェース 39画面
パーツデザイン 80部品
1.2.1.2 「全国発芽マップの集い」の実施
年間の活動の後半の時期に,代表的な参加校の児童・生徒と教師が一堂に会して交流・協議を行う「全国発芽マップの集い」を開催する。この催しは,ネットワーク上の活動とface
to faceの活動をつなぐことによって,ネットワーク上の活動をいっそう深化・拡大することを目的とするものである。
「集い」には,以下のようなセッションを設ける。
・講演
・事例発表
・シンポジウム
・プロジェクト委員および参加者の情報交換会
この会では,現場の児童・生徒の視点や考え方を活かし,それを直接指導する教師がそれぞれの立場から提案を行い,それをもとに協議を行い,最終的に協力してひとつの「宣言」を行うことができるようにする。ここでは,児童・生徒の自律的で主体的な活動の場をつくることを重視する。
1.2.1.3 年間の活動分析による次年度以降への課題の明確化
掲示板に蓄積された児童・生徒,教師間の対話,ならびに教師間でのメーリングリストの対話を分析する。その際,植物の育成過程の各局面(種まき,発芽,成長,台風,開花,ケナフドリンク,紙すき,葉書交換,収穫等)と照合して,発言内容の分類・分析を行う。さらに,児童・生徒及び教師の着眼点,議論の焦点,比較の手立て,対話のリソース,質問の内容と回数,同意の有無,役割などの変化を捉え,多地点測定,多地点間コミュケーションがもたらす協働性成立の要件を示唆する。
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