事後に 保護者 に対して行ったアンケート結果では、本システムのことが家庭で「よく話題になった」および「話題になった」という家庭が 92%と保護者の関心も高かった。( Fig.7-9 )
そして、期間中に、「子供の学習態度に変化があらわれた」と回答した家庭も 51%にのぼり、前述のように、学習意欲増進効果があったと評価できる。( Fig.7-10 )
このことから、「 USB学習帳」の導入が、親子の会話のきっかけになっていること、そして一緒に勉強するという「コミュニケーション機会」を作り出し、そのことが子供の学習態度に肯定的な影響を与えていることがわかる。
Fig.7-11
は、保護者が「変化がみられた」と回答した子ども達の「平均学習回数」を調べたものである。「変化あり」という子ども達は、総じて平均学習回数が多く、保護者による観察の妥当性を裏付ける結果となっている。
また、今回 USB学習帳の家庭学習における有用性を検証するにあたり、学校を通じて家庭学習モニターを募り協力頂く形をとった。USB学習帳には家庭学習モニターの保護者向けに次の機能を用意した。( Fig.7-12 )
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家庭学習モニターの保護者を対象に行った事後アンケート結果では、 USB学習帳は、「簡単に使えた(64%)」、「使えた(36%)」という回答が得られ、自宅での使い方については、8割近くの家庭で、「一緒に復習した」という回答が得られた( Fig.7-13 )。保護者が一緒に学習したと回答した子ども達の学習スタイルを見ると、「平均学習回数」や「学習時間帯別における17-20時(家庭での時間)」の値が全体平均値より高い傾向を示しており( Fig.7-14 )、USB学習帳を通じての親子コミュニケーション機会の創出が学習意欲を増進させるとともに、家庭学習の点でも有効に機能していると評価できる。
さらに、家庭学習モニター(保護者)の自由意見欄の中で、「 USB学習帳により学習習慣の定着が見られる」とコメントした子ども達の学習スタイルを見ると、実践期間中、ほぼ毎日、USB学習帳を使用して全教材の全学習段階を繰り返し学習した状況が見られ( Fig.7-15 )、家庭においてUSB学習帳による学習が習慣化したと評価できる。
USB学習帳による学習を始める前は「算数が苦手」と回答した子ども達は、必ずしも得点が著しく低くはない。一方、学習スタイルの点では、やはり学習回数や学習段階数等の学習意欲を示す値は全体平均値より低くなっているが、「放課後に個人学習した割合」が平均値(19.8%)より高くなっている。( Fig.7-16 )
さらに、苦手意識をもっていた子ども達の事後アンケートでの自由記述では、次のような意見が見られた。
苦手意識のある子ども達の苦手意識をなくしていく上で、学校での授業外での教師や友達との USB学習帳による学習機会が影響を与えているものと言える。
また、「 USB学習帳を使った学習でどれが楽しかったか」という質問においては、子ども達は算数えきでん大会に高い興味関心を示している( Fig.7-17 )。算数できでん大会では、グループ形式で学習するとともに、USB教務手帳を活用して、教師が個別またはグループ単位で指導しながら授業を進行した。さらに、苦手意識をもっていた子ども達の事後アンケートでの自由意見欄の記述を見ても、「えきでんで2番に出来て嬉しかった」等のえきでん大会に関する感想がみられた。授業構成にゲーム感覚を持たせた点の影響も一部にはあると思われるが、教師や友達と交流しながら学習することにより、算数に対する苦手意識を和らげ、また学習意欲を高めることにつながったものと評価できる。