5.教材とサーバソフトの要件と試作




5.4.2 100マス計算教材

100マス計算教材は、たし算、ひき算、かけ算の問題をそれぞれ5種類ずつ作成した。100マス計算の目次から問題を選択すると、選択された問題ページが表示される。

想定利用法
  • 一斉授業での短時間の計算練習
  • 自主学習での計算練習
仕様
  • 解答を枠内に記入する
  • タイマーストップボタン押下により所要時間が表示される
  • 答え合わせボタン押下により自動採点を行う
  • 採点の結果、誤りと判定されたマスにチェックマークが表示される
  • 採点結果の点数が表示される
特長
  • 採点に要する時間は約1秒
  • 98 点と 99 点の場合には、「惜しい、あと一歩」を表現した2種類のアニメーションのいずれかが表示される
  • 100 点の場合には、「よくできました」を表現した 15 種類のアニメーションからランダムに選ばれた1種類を表示する

図5-9:100マス計算の目次画面
図5-10:100マス計算の問題画面

図5-11:100マス計算採点結果画面
図5-12:全問正解アニメーション表示

5.4.3 算数用教材

(1)わり算の筆算教材

 わり算の筆算教材は、小数点のあるわり算の筆算問題を作成した。筆算問題は、学習初期に使用するタイプと学習後期に使用するタイプの2種類を作成した。

想定利用法
  • 一斉授業での計算練習
  • 自主学習での計算練習
仕様
  • 解答を枠内に記入する
  • 答え合わせボタン押下により自動採点を行う
  • 採点結果の点数が表示される
特長
  • 計算過程も含めて正誤判定を行う
  • 最終的な答えだけでなく、計算過程での誤答部分にもチェックマークを表示する
  • 学習初期に使用するタイプでは、数字や小数点が記入される箇所をガイドするために、記入されるべき枠だけを表示する
  • 学習後期に使用するタイプでは、数字や小数点を記入する箇所のガイドはなく、記入されない枠も表示する
  • 枠外に繰り上がりや繰り下がりの数字を記入できる
  • 繰り上がりや繰り下がりの数字は異なる色で表示され、解答枠への記入とは区別して表示される。
  • 数字がすでに記入された枠内に繰り下がり記号を記入できる
  • 四捨五入記号も含めて採点できる

図5-13:筆算教材画面(1)
図5-14:筆算教材画面(2)

図5-15:筆算教材画面(3)
図5-16:筆算教材画面(4)


(2) 分数教材

 分数教材は、小学5年生で習う分数の計算問題を作成した。同分母のたし算/ひき算の問題、わり算を分数形式に変換する問題、分数を小数に変換する問題、小数を分数に変換する問題の4種類を作成した。また、同分母のたし算/ひき算の問題では、学習初期に使用するタイプと学習後期に使用するタイプの2種類を作成した。

想定利用法
  • 一斉授業での計算練習
  • 自主学習での計算練習
仕様
  • 解答を枠内に記入する
  • 答え合わせボタン押下により自動採点を行う
  • 採点結果の点数が表示される
特長
  • 分数の加減計算の学習初期に使用するタイプでは、同分母の分数のたし算やひき算が分子同士のたし算とひき算として計算されることを示す過程も表示する
  • 計算過程も含めて正誤判定を行う
  • 最終的な答えだけでなく、計算過程での誤答部分にもチェックマークを表示する
  • 分数を小数に変換するような教材では、余白部分に計算過程を自由に記入できる
  • 約分した解答も正解判定ができる

図5-17:分数教材画面(1)

図5-18:分数教材画面(2)

図5-19:分数教材画面(3)

図5-20:分数教材画面(4)

図5-21:分数教材画面(5)
 

5.4.4 漢字用教材

(1)書き方練習教材

 書き方練習教材は、児童が実際に書くことによって新出漢字を筆順も含めて覚えるための教材として作成した。

想定利用法
  • 一斉授業での新出漢字を書いて覚える練習
  • 自主学習での新出漢字の書いて覚える練習
仕様
  • 手本をなぞって漢字を書く
  • 手本を見ながら枠内に漢字を書く
特長
  • 手本文字の一画をなぞって入力すると手本文字の次の一画が表示され、なぞることによって正しい筆順で書くことができる

図5-22:書き方練習教材(1)
図5-23:書き方練習教材(2)

(2)書き取り教材

 書き取り教材は、学習済みの文字 ( 漢字、ひらがな、カタカナ ) を筆順も含めて正しく覚えているかを確認するための教材として作成した。漢字の穴うめタイプとひらがな文字列を漢字かなまじり文に書き直すタイプの2種類を作成した。

想定利用法
  • 一斉授業での漢字の書き取り練習
  • 自主学習での漢字の書き取り練習
仕様
  • 枠内に文字を書く
  • 答え合わせボタン押下により自動採点を行う
  • 採点結果の点数が表示される
特長
  • 文字の形だけでなく、筆順も含めて正しい文字かを判定する
  • 形の間違いと筆順の間違いを色別に示す
  • ヒントボタン押下により、手本と並べて児童の筆跡を再生表示し、間違い箇所を助言する

図5-24:書き取り練習教材(1)
図5-25:書き取り練習教材(2)


5.4.5 自由ノート教材

自由ノート教材は、従来の授業で使用していたノートや教師が用意した学習プリントの代わりに使用するための教材として作成した。

想定利用法
  • 一斉授業での児童の思考手順や考えの発表
仕様
  • 画面に自由に手書きで入力できる
特長
  • ペンの色や線の幅を変えることができる
  • 教師自身が作成した学習単元に応じた背景画をはめ込んで使用できる
  • 児童のタブレットPCの画面をプロジェクタで投影することにより、発表用の再板書が不要になる
  • 児童が手書きで入力した内容はサーバに保存され、次回に同じ教材を開いた際に参照することができる

図5-26:自由ノート教材(1)
図5-27:自由ノート教材(2)


5.5 教材試作の経過

 本節では教材試作の経過について述べる。

  項目 活動内容
8月 教材検討 教材第一次案作成
部品試作 部品第一次案作成
漢字書き方評価部品試験実装
9月 教材検討 小学校の先生、教育関係者、教材開発者で実践教材について議論
実践教材のおおまかな仕様を決定
部品試作 教材部品の仕様検討と試作実施
Macromedia Flash コンポーネント化に対応した教材部品の初版を試作
教材部品の初版をプロジェクトメンバに公開
教材テンプレートの作成を開始
教材部品の改良を実施
10月 教材検討 実践教材の具体的問題内容を決定
実践教材の詳細仕様を決定
学習記録参照画面の仕様検討
部品試作 教材部品の機能不足や性能的問題(手本表示スピード)が顕在化
教材部品の抜本的改良を実施
手本パターンの正解筆順の確認と修正
手本表示スピードを改善した書き方部品が完成
小数点入力や枠からのはみ出し入力に対応した算数用複合部品を試作
教材試作 書き方練習教材と書き取り練習教材のテンプレートを試作教材講習会を開いて、 11 月後半使用予定の書き方練習教材と書き取り練習教材を園田学園女子大学の学生が作成
タブレットPC練習教材と 100 マス計算教材を作成
11月 教材検討 分数教材の仕様検討
第一回公開授業用教材について議論
3学期以降の教材開発方針について議論
教材試作 11月後半使用予定の書き方練習教材と書き取り練習教材作成
わり算の筆算教材作成
分数教材作成
学習後期用わり算の筆算教材の表示形式変更(教材表示処理による筆跡入力遅延があったため)
第一回公開授業用教材作成
学習記録サーバへの学習記録を上書き保存から追加保存に変更
三木市立教育センター職員向け教材作成講習会を実施
12月使用予定の書き方練習教材と書き取り練習教材は三木市立教育センター職員にて作成
12月 教材試作 第二回公開授業用教材作成
自由ノート教材に筆跡保存と背景設定機能を実装
ネット環境のレスポンス改善のため教材ファイルを圧縮・整理
学習記録参照画面は教師のみ閲覧可能に変更



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