上記改良について、家庭インターネット環境からの動作確認とレスポンスの測定を行った。
まず、低速の PHS(B-mobile 128K) で接続実験を行ったが、教材は動作するものの教材画面表示に 20〜30秒程度の時間がかかり、また、100マス計算等で認識・評価サーバへの手書きデータの転送、認識結果取得が筆記速度に追い付かず、低帯域では実質的に使えないことが分かった。
次に、プロジェクトメンバの自宅環境 ( ADSL1.5Mbps ,基地局からの距離2 Km 以内 )で応答速度(表示、答え合せ)を測定した。応答速度を、ネットワークを使用しない
スタンドアロン 版を比較したのが次表である。
教材画面 | スタンドアロン | ADSL 1.5MB 接続 |
ログイン確認 | 1秒 | 2秒 |
一覧,目次表示 | 1秒 | 1秒 |
わり算の筆算教材表示 | 2秒 | 3秒 |
わり算の筆算教材答え合わせ | 2秒 | 4秒 |
分数教材表示 | 1秒 | 2秒 |
分数教材答え合わせ | 3秒 | 6秒 |
書き方練習教材表示 | 2秒 | 4秒 |
書き取り教材 (1) 表示 | 3秒 | 9秒 |
書き取り教材 (1) 答え合わせ | 2秒 | 7秒 |
書き取り教材 (2) 表示 | 1秒 | 3秒 |
書き取り教材 (2) 答え合わせ | 4秒 | 15秒 |
自由ノート教材表示 | 1秒 | 3秒 |
上記測定結果によれば、多くの教材では体感的に遅延を感じなかったが、下記の教材に関しては、スタンドアロン版と比較し、反応の遅れが体感できた。
これは、認識・評価サーバに対する手書きパターンの転送と認識結果の取得、認識・評価サーバからの手本パターンの取得に時間が掛かっているためと考えられる。ただし上記項目では,認識結果や手本パターンが完全に表示されるまでには遅延があるものの、認識結果や手本パターンは順次表示されていくので,体感的には十分実用になる応答速度であった。以上のように、教材によっては若干の待ち時間を要するものの、現在家庭に普及しつつある広帯域インターネットの中では比較的遅い ADSL1.5Mbps 環境でも今回試作した手書き電子教材を利用可能であることを確認した。
今回のプロジェクトでは様々な回線帯域での性能評価は行えなかったが、現在家庭に普及しつつある広帯域インターネットであれば、教材をダウンロードせずインターネット環境で使うことは十分に可能であることを確認した。しかしながら、教材の動作レスポンスを考えれば、教材はインターネット上にあっても、認識・評価サーバはタブレット PC で動作するほうが望ましい。今回試作した Flash 環境では、教材サーバ、認識・評価サーバ、学習記録サーバが同一ドメイン上に存在する必要があり、上記構成による実験はできなかったが、今後解決すべき課題と考える。
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