本プロジェクトの目標がどの程度達成できたかをどのように評価するかを検討するにあたり、評価対象・評価の観点と評価方法(児童・先生等へのアンケート・ヒアリング)・評価事項を『評価項目検討ワークシート』を元に検討・分析し、評価のために以下のような活動を行った。
観点 |
評価結果 |
新規性 |
- 公開授業見学者・教師に対するアンケート結果において、既存の教材・教具に比較してよい、または指導しやすいという点で高い評価が出ている。
- これは「手書きによる筆順指導」「手書きによる筆算の指導」という従来のドリル教材(紙・電子媒体を問わず)にはあまり見られない機能を、自然な形で実現したことが基礎にあると考えられる。
- 実際、児童向けアンケートのでも「書き順」評価・助言に対するポジティブな意見が数多く見られる。
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機能及び操作性 |
- すべてのアンケート結果において、児童の操作の容易性に関して非常に高い評価が出ている。
- 「100マス計算」教材のように、毎時間の授業の最初に(あたりまえのように)使われたものもあり、これを裏付けている。
- 児童が独自の使い方を見出す場面(「自由ノート」教材で定規で線を引くなど)もあったが、これは機能の問題ではなく、タブレットPC+手書き電子教材が日常の教具(ノートやプリント)に近いものとして受け入れられていることを意味するものと考えられる。
- 機能的には課題がいくつか残っている。特に文字の誤認識については(数は少ないものの)児童の学習意欲の低下・保護者の疑問に結びつく結果となっている。
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学習環境別の有効性 |
- 児童向けアンケートのコメントにあるように、個別学習(授業中・家庭学習を問わず)においては、回答後即時評価され、誤答の修正を行うことができる点が高く評価されている。
- 一斉授業の中のグループ学習の場面においては、タブレット PC 上の「自由ノート」で表現された個人の考えを他のグループメンバーに見せて議論することが自然に行われており、公開授業参加者からの高い評価を得ている。
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教材開発の容易性 |
- 教材作成者向けアンケートの結果から、教材開発のための研修の必要性はあるものの、学校や教育センターの教職員による教材作成・修正が可能となっていることは実証されている。
- 本プロジェクトの授業実践で必要とされる手書き電子教材の範囲については、教材テンプレートの利用等により容易に教材開発を行うことができるようになっている。
- 課題としては、教材作成のフレームワークとして選択したマクロメディア Flash が必要であること、本プロジェクトでの実践の範囲を超えた学習に必要な手書き電子教材を作成しようとした場合に、マクロメディア
Flash のスクリプト言語上で教育用手書き部品とのやり取りを記述する必要があり、容易とはいえないことが上げられる。
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