6.実践の評価




6.2.5 保護者へのアンケート(H16.2月)

  <アンケート帳票:参考資料2 . 5>  回答数:3


(1)「WEBで宿題」の利用について
「WEBで宿題」の利用経験

利用したことのある保護者への質問      →      (3)へ
利用したことのない保護者への質問      →      (4)へ


(2)家庭での利用状況等

直接話しづらいときに「WEBで宿題」を利用することは有効か

どんなとき?

  • 悩みがあるときなど
  • 時間が昼間で、こられずにいる時
  • 他の人にはあまり聞かれないほうが良いかな?という話のとき

心配事を話す相手

  • 中間教室の先生、友達、姉妹/中間教室の先生、本校の担任の先生

適応指導教室に望まれる支援

  • 子どもの心の安定
  • 安心できる居場所 +ステップアップのための準備

希望するサポート

  • 宿題などの学習面で気軽に利用できるといいです。

その他、気づいた点

  • 親と子で別々のパスワードはとてもよいと思います。学級新聞などのとりくみの援助は大変だと思いますが、友達同士のコミュニケーション共同作業の場にもなるので是非応援して欲しいと思います。


(3)「WEBで宿題」を利用したことがある保護者

    1. 「WEBで宿題」の機能に関して
    1. 「WEBで宿題」の利用に関して
    1. 学習面やコミュニケーションを行うのに役に立った事

  • 担任とのやりとり
  • 生徒たちの様子がうかがえる
  • 担任通信欄があってよかった。
    1. その他、感想など

  • 宿題という言葉が嫌な気がしますが・・・
  • 本当は担任の先生とのメールのやりとりをしたい。(親子共々)のですが、担任はメールでのやりとりは好まないようで、また、学校での(回線のつながっている) PCも台数が少ないようで、実際にはやりとりできない状況です。


(4)「WEBで宿題システム」を利用したことのない保護者

 利用できなかった理由

6.2.6 メンタルフレンドへのアンケート

  <アンケート帳票:参考資料2.6>  回答数:4 有効回答数:4


(1)「 webで宿題」の利用経験

利用したことのあるメンタルフレンドへの質問
         →         (3)へ
利用したことのないメンタルフレンドへの質問
         →         (4)へ

(2)中間教室での活動について


理由

  • 特に気を張ることがない。
  • 私にとっては、一緒に勉強したり遊んだりする、みんな(子どもや保護者、先生)に会える楽しいところです。
  • 普段一人でいることの多い生徒が、いろいろなことを話してくれること
  • いろいろな話ができたり、好きなこと(料理や工作、スポーツ)ができること

サポートするときに気をつけていること

  • 「メンタルフレンド」なので、かまえず、友達のように遊んでいます。
  • できるだけ聞き役になること、真剣に話を聞くこと
  • いつも笑顔で接する

コミュニケーションについて

どんなこと?

  • 親とケンカした。など。相談というより愚痴かもしれません。

希望するサポート

  • やはり携帯のほうが手軽なので、そちらでのサポートもあるとうれしいです。

その他、気づいた点

  • 予定表は直接プリントで頂いている。教室の先生とは、携帯メールで連絡が取れているなど、私としては間に合っている部分がありますが、子どもにとっては PCに向かうよいきっかけなのかなとも思いました。
  • ページがシンプルなのでイラストなどが入ると楽しくなるかな、と思います。


(3)「WEBで宿題」を利用したことがあるメンタルフレンド

    1. 「WEBで宿題」の機能に関して


    1. 利用しやすいか

  • 自宅でインターネットができないため、どちらともいえない。改善して欲しい点としては、アドレスが検索で引っかかれば、どこからでも見れるので良いと思う。
  • 通信欄のあて先指定が簡単にできるところ。活動日以外の日でも生徒と気軽にコミュニケーションがとれた。

利用して面白かったか

  • とても面白かった。

今後も利用したいか

  • 利用したい。


(4)「WEBで宿題」を利用したことがないメンタルフレンド

    1. 利用できなかった理由

  • 自宅にインターネットをひいていないため、後回しになり、はいそのまま・・・。
    1. 改善策

  • 携帯サイトなら、自宅にインターネット環境がなくても利用できると思った。

 実際に見てみたいので、今後は子ども達とのやりとりなどに利用したいと思う。


6.3 評価・改善委員からの指摘事項


6.3.1 第一回評価・改善委員会での指摘事項(平成15年8月21日)

(1)IT利用による学習スタイルのイメージがわからない。 関わる人々のITスキル等を考慮し、利用できるツールは、できる限り用意するが、担任通信欄(メール)を中心に研究の充実を図ることとした。
(2)不登校のきっかけの違いによる対応は考えているか? まず、コミュニケーションの充実を図ることを目的に、各適応指導室の諸事情を分析し、取り組むこととした。
しかし、不登校のきっかっけによるITの活用の提供方法は変えず、提供できるすべてのITツールを適応指導室に一応に配備した。ITによるコミュニケーションの支援を研究するため、不登校傾向児の心理状態を常に把握している適応指導員の判断を優先し、不登校傾向児に見合うコミュニケーション相手を選択することとした。
(3)治療学習的な要素が強いと思うが、どのケースにどのメディアを利用するかなどの、メディアの利用目的は明確か? 「WEBで宿題」システム(主力研究システム)以外に、テレビ会議システムや原級で試用するアプリケーションやツールもサブ的に利用することとした。
しかし、「WEBで宿題」を中心に、コミュニケーションツールとしての機能を生かした研究であったことにより、適応指導教室という環境で、不登校傾向児の集団適応力の強化、すなわち「生きる力」を育てることに主眼をおいた利用方法を模索することとなった。不登校傾向児にとって、個人的な利用に止まるのではなく、他の適用指導教室の児童生徒との交流等を通して、集団に適応する力育てることができたと考える。
すなわち、不登校傾向児にとって、治療学的な要素としては、ITの活用方に力点を置いた。
(4)大学で同様のことを試行したことがある。長期的には学校に子どもを戻すのが目的である。掲示板等に没頭してしまい、face to faceに復活できないと困る。ITの支援で、どのように子どもを学校に戻そうとしているのか? 必ずしも、原級復帰を適応指導教室に共通の目標と考えてはいない。原級復帰することは、不登校傾向児が自分の傷つきを和らげまた、他人との関係を認識し集団の生活に溶け込めるようになれば、不登校は解消されると考えている。
適応指導教室においては、face to faceが基本であり、ITは、不登校傾向児を適応指導員がサポートする点において、複雑で多様なコミュニケーションパスが存在し、従来のコミュニケーション手段ではサポートしきれない部分で有効であったと考える。
(5)不登校児童生徒ならではのIT活用はないか。特性に応じたツールとカウンセラーが必要なのではないか? 今回初めて、適応指導教室にITによるコミュニケーションツールが導入された。1.適応指導員にシステムをよく理解していただくこと 2.このコミュニケーションツールの活用法を検討していただくことが課題となった。従って、研究チームは、サポートを充実し、適応指導員や適応指導教室での児童生徒の歩みに歩調を合わせながら、活動を進めてきた。
不登校傾向児ならではIT活用は、実践例に示したとおりである。
(6)子どもたちの特性を見て、大人たちの効果的な連携を考えることができるようなアドバイザーが必要であり、連携をどう機能 させるか重要である。
顧問からアドバイスをいただくように。
会合時に、堀内教授、東原教授にご示唆をいただくとともに、藤田直子カウンセラーにアドバイスをいただくこととした。
不登校傾向児をサポートしている関係者は、複雑多様になっており、本研究においては、適応指導員を中心に連携の輪を考えてきた。


6.3.2 第二回評価・改善委員会での指摘事項(平成15年11月12日)

(7)ボランティア、メンターなどがどの程度、どのような関わりをしたのかを明らかにして欲しい。 本研究は、適応指導教室という環境で行われた。
その中で、メンタルフレンドの役割は大きいが、常に不登校傾向児をサポートしてくれるかどうかという点については、議論のあるところである。従って、メンタルフレンドの現状等をよく知る適応指導員にそのサポートのあり方について示唆を仰ぎ実施することとなった。
(8)コミュニケーションツールの効果を整理するというよりは、きめ細かい子どもとのコミュニケーションを実現するために必要な機能を明確にして欲しい。 今回の研究では、どの適応指導教室でも容易に利用可能にするため、ASPを利用した商用の既存システムを利用した。従って、必ずしも適応指導教室にもっとも適した形で提供されたとはいいがたい。しかし、現状においては、先生が不登校傾向児のコミュニケーションの内容を把握できたことは、適応指導教室においては必要であった。また、既読と未読が把握できることから、情報伝達の確実性の面から安心感をもって利用できた。
(9)ツール(掲示板、メールなど)をすべて使えば不登校が解消するというものではない。それぞれのケースについて、どのような傾向の子どもに、どのようなアプローチ、どのようなツール使ったかという分析が必要であろう。
子どもが不登校になった背景を分析した上で、機能を使い分けるようにしていく必要がある。
教員が原因で不登校になっていることもあり、原因の分析は重要である。留意してもらいたい。
(2)(3)の回答に同じ。
不登校のきっかけによるITの活用の提供方法は変えず、提供できるすべてのITツールを適応指導室に一応に配備した。「WEBで宿題」システム(主力研究システム)以外に、テレビ会議システムや原級で試用するアプリケーションやツールもサブ的に利用することとした。
しかし、「WEBで宿題」を中心に、コミュニケーションツールとしての機能を生かした研究であったことにより、適応指導教室という環境で、不登校傾向児の集団適応力の強化、すなわち「生きる力」を育てることに主眼をおいた利用方法を模索することとなった。不登校傾向児にとって、個人的な利用に止まるのではなく、他の適用指導教室の児童生徒との交流等を通して、集団に適応する力を育てることができたと考える。
(10)不登校という現象に深く関わるツールを検討して欲しい。
コンピュータが介在したコミュニケーションとface to faceコミュニケーションをどうブレンドすれば効果的であるのかという点も検討して欲しい。
インタフェースが違うだけで子どもの感情に変化が見られたという研究結果もある。
本研究は、適応指導教室を中心に行われた。
適応指導教室においては、face to faceが基本であり、ITは、不登校傾向児を適応指導員がサポートする点において、複雑で多様なコミュニケーションパスが存在し、従来のコミュニケーション手段ではサポートしきれない部分で有効であったと考える。
また、不登校傾向児のIT活用においても、適応指導員の存在が重要なポイントとなった。


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