3.目的とする技術と開発




3.1 使用するハードウェア

 本プロジェクトでは、通常の授業スタイルを変えることなく普通教室に馴染むIT活用という考えに基づき、以下のハードウェアと、動作環境をもとに実践授業を行った。

No. 装置名 個数
1 デジタルペン  ※1 1セット × 生徒数
2 プロジェクタ or電子教卓 1セット
3 ノートパソコン 1セット

 紙とペンを用い、手書きデータをパソコン入力する装置として他にもいくつか見受けられるが、本プロジェクトでは、 Anoto 社仕様の Logitech 社製デジタルペンを使用し実践授業を行う。(一部  Sony Ericson 社製デジタルペンを利用)
  以下、 Anoto 社仕様のデジタルペンを『デジタルペン』として説明する。


3.1.1 デジタルペンの特長 ※2

※1 デジタルペンは Anoto 社の技術提供を受けて製品化された Anoto 社仕様のデジタルペンの総称。商品として ChatPen ( Sony Ericson 製)、 io Pen ( Logitech 製)、 Maxell Pen (日立マクセル製)が製品化、および販売予定。
※2 Anoto社広報用資料より引用


3.1.2 デジタルペンによる情報の取り込み

 デジタルペンは、デジタルペーパーに書いた文字やイラストなどの情報をCCDカメラで読み込み、メモリに保存し、パソコンに送り、電子データ化できる特殊なペンである。以下にデータ送信までの流れを示す。

図3.1 デジタルペンデータ送信の流れ

【データ送信までの流れ】

  1. 通常のボールペンと同様に、インクでデジタルペーパーに記入

         ↓

  1. CCDカメラにより、デジタルペーパーのドットパターンを感知し、位置情報を確認してペンの軌跡を求める

         ↓

  1. ペン先の位置情報の他、速度、筆圧、時刻、ペンの傾きと回転などの情報を、プロセッサで処理し、データをメモリに一時保存

         ↓

  1. データをパソコンに転送


3.1.3 デジタルペーパーの構造

 デジタルペーパーは、特殊なドットパターンをカーボンインクにより印刷した専用紙で、ドットは、約 0.3mm間隔で格子状に配置されている。それぞれが微妙に上下左右にずらして配置してある。
  6×6ドットを1単位とし、組み合わせることにより、膨大な領域のパターンができる。このドットパターンはデジタルペーパーのどこを見ても違っており、あるドットパターンをCCDカメラで読み取った瞬間に、それがペーパーのどの部分なのかを判別することができる。
  1枚1枚のペーパーには、そのペーパーのドットパターンに対応したID(ペーパーID)が割り振られており、A4サイズで約97兆枚の用紙を判別することが可能である。
  Microsoft(R)  WordやMicrosoft(R)  PowerPointで作成したデータを、(ドットパターンの読み取りを妨げない)一般プリンタを用いてデジタルペーパーに印刷できるので、自由なデザインのデジタルペーパーを作成し利用することができる。

図3.2  専用紙イメージ


3.1.4 Webコンテンツ活用ツール

 Webコンテンツ活用ツールは、インターネット上のコンテンツ(著作権については注意が必要)を始め様々な形式のデジタル素材や教材を簡単な操作で収集・蓄積し、授業の流れに沿って編集・表示できるツールである(商品名:シームレスコープをベースにツールとして提供)。静止画や動画も扱えるためインパクトのある授業を展開することが可能である。

図3.3  Webコンテンツ活用ツール概要


3.2 開発


3.2.1 全体システム構成

(1)システムの関連
  基本的なデジタルペン、専用紙、授業ツールの関連を図3.4に示す。

図3.4  デジタルペンシステム構成例

基本的なWebコンテンツ活用ツールシステム構成例を図3.5に示す。

図3.5  Webコンテンツ活用ツール構成例


3.2.2 実践授業のシステム構成

 有線タイプ(クレードル)のデジタルペンを使用し、生徒一人一人にデジタルペンと専用紙を配布。クレードルは2人に1器設置。
(文京学院大学女子中学校・墨田区立文花中学校・都立墨田川高校共に生徒数、教室のレイアウトは異なるが基本的な構成は同じ)
  文京学院大学女子中学校は、第 4回実践授業「リスニングクイズ」で無線タイプ(Bluetooth TM 技術)のデジタルペンを使用。無線タイプの場合、クレードル及びUSBハブ、延長ケーブル、OAタップは不要。

図3.6  教室のシステム構成例


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