5.実践授業等の実施内容




5.2 牛久市立向台小学校

「「エコ・ピカ」大作戦」


(1)実践授業の内容

    1. 学  年 第5学年
    2. 教  科 家庭科
    3. 単 元 名 プロジェクト「エコ・ピカ」大作戦
    4. 指導目標 
      • 住まいを清潔に保つ工夫を調べ、実践できる。
    5. IT活用のねらい
      • 児童が考えた地球に優しい清掃の方法を清掃前と清掃後をモバイルのデジカメ機能を活用して記録しておき、後で学習のまとめを行うときにその写真の比較検討をする。


(2)実践の様子

    1. 活動の様子

       児童は、インターネットの「おばあちゃんの知恵袋」というサイトを活用して、  地球に優しい清掃の仕方について調べていった。また、家庭に帰ってから保護者  や祖父母などに話しを聞き、洗剤などの水質を悪化させるものではなく、日常的  に使っているものの残り物で清掃することができないかを調べてきた。中には、口紅や紅茶や麦茶のティーバック等を活用したり、ニンジンや大根の切  れ端を活用したりしているものもいた。児童は、清掃自体を自分であまりやるほうではなかったが、普段不要物として捨  てているもので校内をこんなにきれいにできると知って驚いているものもいたし、  保護者から清掃の方法を聞いたけれども、半信半疑で取り組み、その成果に驚い  ている児童も多かった。
      また、そこから発展してなぜ、口紅で汚れが取れるのかを調べた児童もいた。

    1. 学習計画

学 習 内 容




身の回りのごみや汚れに関心を持って調べよう。

ごみや汚れの原因や汚れ方、清掃の必要性がわかる。

自分の生活を見つめ直しよりよく住まうために清掃の仕方を自分なりに工夫し、清掃計画表を作成する。


手順を考えて清掃に取り組むことができる。

学習したことをまとめて発表する。
    1. 活動の写真


(3)成果と課題

 本実践を行い成果として考えられることは、まず、児童が手軽に清掃活動の前後を写真に取ることができることである。写真として撮っておくだけならばデジカメでもよいが、モバイルを活用することでより手軽に活動の前後の写真の収集を行うことができた。
また、その写真を児童が教師のPCに送信することで、その後のまとめに使う写真集の作成が非常に楽であった。また、そのときの話している様子などもビデオに録画してあるので、児童はまとめを作るときにその写真を活用して効率的に活動を行うことができた。
  今後の課題としては、撮った写真や動画をもっと簡単に送信したりすることができるようになれば、さらに活用の範囲が広がるのではないだろうか。


「モバイルを活用して地域環境を調べよう」

(1)実践の内容

    1. 実施学年  第6学年
    2. 実施教科  家庭科
    3. 題材名   つくろう!みんなのベターライフ
        自分たちの家庭生活は近隣の人々の生活とかかわり合い、支え合って成り立っていることに気づいて、自分の家庭生活をよりよくするために実践できることに取り組むという学習である。2年間の学習のまとめとして、衣食住さまざまな方向から家庭生活をよりよくしようとすることができることをねらっている。
      学習を進めるにあたっては、児童一人一人が地域環境を見つめる視点をもって活動し、より多くのよい点や問題点に気づくことができるようにしたい。
      また、同じ地域に住む者としてそれらの情報を共有したり、友達の学習からも学べる場を設けたりしたいと考える。
    4. 指導目標
      • 近隣の人々との生活に関心をもち、環境に配慮した生活をしようと

【家庭生活への関心・意欲・態度】

【家庭生活についての知識・理解】

    1. IT活用のねらい
        題材のねらいや指導目標をふまえて、『地域環境に関心をもつ』『地域環境のよい点や問題点に気づく』ことをポイントとして次のようなねらいをもってPDAを活用することとした。
      1. 地域環境のよい点、問題点を見つけてPDAのカメラで撮影する。
      2. 撮影したデータを学校のコンピュータに送付し、授業で活用する。
      3. 撮影したデータをプリントアウトし、「環境マップ」を作成する。


(2)実践の様子

    1. 実施期間  平成16年1月上旬〜2月中旬
    2. 実施場所  向台小学校学区(主に通学路周辺)
    3. 実施方法
      1. 地域環境のよい点、問題点を見つけてのPDAカメラで撮影する。
        自分たちの住む地域には、どんな特徴があるのか、毎日通っている学校までの通学路や近隣の様子を観察する。そこから地域環境のよい点、問題点をそれぞれPDAのカメラで撮影した。

地球環境からごみの
問題に関心をもって
撮影した。


安全面から地球
環境を見直し
危険箇所を調べた。


捨てられたごみに
問題意識をもって
地球環境を見直した。



地球環境のいいなと
思うところにたくさ
ん気づくことができた。



      1. 撮影したデータを学校のコンピュータに送付し、授業で活用する。
        上記のようなデータを学校のコンピュータに送付した。それをもとにお互いに紹介して自分たちの地域環境に関心をもったり、友達が見つけたことを知ったりすることができるようにした。
      1. 撮影したデータをプリントアウトし、「環境マップ」を作成する。
        それぞれが撮影した地域環境をプリントアウトし、地図に貼って自分だけのオリジナル「環境マップ」を作成した。


(3)成果と課題

 撮影したデータを学校のコンピュータに送付し、授業で共有することで学習の深まりが見られた。
撮影したデータを活用した環境マップ作りを行うことで視覚に訴える作品となり、有効であった。
作業もスムーズであった。
学年全体で一斉に活動する時間を設定しようとしたが、活動場所の問題や安全面の問題から難しかった。今後、PDAの特性を生かして、活動しているグループ、コンピュータルームでデータの送付を待つグループなど、活動場所を分けて取り組むことなどを検討していきたい。
環境マップ作りはスタディノートのマップ機能を生かして、クラスや地区ごとにまとめることも考えていきたい。



「モバイルを利用した体育科学習」

(1)実践の内容

    1. 実践方法
      1. 単元名 跳び箱学習
      2. 単元のねらい
          『小学校学習指導要領解説体育編』では、跳び箱運動のねらいが「自己の能力に適した技を選び、支持跳びこしができるようにすること」と述べられている。また、「すべての児童ができる楽しさを味わえるように、易しい条件の下で取り組んだり、技に関連した易しい運動遊びを経験したりする」こともねらいとして述べられている。そこで、本単元では、ステージ型の学習過程を組み、めあて1.では「できる技でダイナミックに跳んでみよう!」をめあてとして開脚跳び、かかえ込み跳び、下向き横跳び、台上前転の跳び方を、4段、5段、6段の跳び箱で縦から横から大きくダイナミックに跳んでみるという活動を設け、めあて2.では「自分の跳び方の課題を見つけ、もっと上手に跳べるようになろう!」をめあてとして、技をかかえ込み跳び、下向き横跳びにしぼり、もっと上手に跳べるように4段、5段、6段の跳び箱で横向きの跳び箱でみるという活動を設けた。この際に、PDAのビデオ機能を使い、自己認識できるようにした。
          また、それぞれのねらいが達成されたかどうかを判断する材料として、観点別に次のような評価規準を設けた。

        (ア)関心・意欲・態度

          • 跳び箱の楽しさが分かって、自分のめあてを達成しようと、意欲的に挑戦する。
          • みんなで協力して練習の場を準備したり、友達と活動の安全を確認する。

        (イ)思考・判断の評価規準

          • 自分にあっためあてをもって、自分にふさわしい場で跳んだり、めあての高め方を知り、自分が挑戦する技を決めることができる。
          • 友達と協力して技を高めあったり、効果的で安全な練習の仕方ができる。

      (ウ)運動の技能の評価規準

        • 展開脚跳び、かかえ込み跳び、下向き横跳び、台上前転等の中からできる跳び方でいろいろな高さや向きの跳び箱を跳び越したり、新しい跳び方に挑戦して楽しむことができるようになる。
          また、ねらいを達成するために場の設定を工夫を行った。具体的には、いろいろな高さの跳び箱を用意したり、ゴムひもをはって腰を高く上げる練習ができるものや、中あき跳び箱を使って両足の引きつけの練習ができるものを用意したりした。
      1. PDAの位置づけ

       跳び箱運動における確かな学力とは、学習指導要領の中で述べられている「自己の能力に適した技に取り組み、その技ができるようにするための活動を工夫することができるようにする。」ということと、「技を身に付けるための適切な場や補助具を活用する。」ことである。
      そこで、PDAを補助具として活用することで、自分の技の良い面や足りない面を考えたりする思考力・判断力を伸ばすことができるのではないか、同時に、PDAのビデオカメラ機能を使い、技の練習時における動画撮影を行うことにより、児童が自己の活動状況や活動成果を把握し、よりよい練習方法を工夫することで、技の技能のレベルを上げたいと考えた。また、児童の主体的活動となることで、自主的にめあてをもつことができ、達成感を味わい、自信や意欲の向上につながり、それが、昨年度から本校で取り組んでいる自己評価能力の育成も図ることができると考えた。そのため、学習カードに各技のルーブリックを載せた。このルーブリックは、児童と相談しながら作成したものである。(資料1)
      活動には以下の6点を留意した。

        1. バディシステムの導入。
        2. 児童同士のアドバイスや相互評価ができるように役割分担。
        3. マナーや安全確認の指導
        4. めあて達成のための必要な資料の掲示
        5. 学習カードの活用(ルーブリック)
        6. 道具としてのPDAの活用


(2)実践の実際

    1. PDAのビデオ機能の活用の仕方については、「はじめ」「なか」「まとめ」の三段階に分けた。
        1. 「はじめ」の段階
          学習のねらいについての正確な知識の修得と可能な限りの正確な印象分析力の向上と技が上手にできるようになるためのコツについて、あらかじめ児童と話し合って、学習カードを作成した。
          かかえ込み跳びの技のポイントとして次の7点が挙げられた。
        2. 助走には十分なスピードをつける。
        3. ロイター板を強く踏みきることができる。
        4. 腰を高く上げることができる。
        5. 手をしっかり広げて着くことができる。
        6. 両足を胸に引きつけることができる。 
        7. 手の着き放しができる。
        8. 着地は両足がきれいにそろう。

    そして、下向き横跳びの技のポイントとして次の7点が挙げられた。

      1. 助走には十分なスピードをつける。
      2. ロイター板を強く踏みきることができる。
      3. 手をしっかり広げて着くことができる。
      4. 腰を高く上げることができる。
      5. 手の着き放しができる。
      6. 着地は両足がきれいにそろう。

    開脚跳び、かかえ込み跳び、下向き横跳び、台上前転の跳び方を、4段、5段、6段の跳び箱で縦から横から大きくダイナミックに跳んでみるという活動を設けた。(資料2)

      1. 「なか」の段階
        事前に技のポイントを決めていたので、容易に自分でめあてを具体的に立てることができた。ここでは、児童の運動認識を容易にするため、PDAのビデオ機能で、ノーマルなスピードで映像を見たり、スローモーションの映像を見たり、ストップ映像を見たりして、運動の大まかな全体像を把握させた。また、練習後に自分が確認したいところを撮影者に言ってから跳ぶようにした。(資料3)
      2. 「まとめ」の段階
        ここでは評価規準に設定されているそれぞれの能力が、それぞれの児童においてどれだけ達成されているかをみる。ここで、児童と作成したルーブリックを活用した。この時の自己評価や相互評価は、授業時間の中で絶えず行われるが、映像によって記録し、児童の目標達成状況や特性を再認識することにより、児童の実態に適応したきめの細かい次の指導の具体的な設計を行うことができた。教師はその評価能力が向上するよう、学習カードや学習資料などを可能な範囲で準備して支援するとともに、学習活動の状況を計画的に観察・評価し、児童にフィードバックできるようにした。(資料4)
    1. 実践の考察
        PDAを使って、動画をビデオ撮影し、すぐに確認できたため、評価の即時性が得られたと考えられる。児童Aは、自分の下向き横跳びの跳び方をビデオで確認することで、腰が上がっていないことに気がついた。そこで、資料のような教具の工夫した場で練習することにした。(資料)練習過程をビデオを使って確認することで自分の跳び方で改善すべき点を自己認識することができ、少しずつ腰が上がるようになってきた。
      このように、自己評価や相互評価をくり返し、児童は下向き横跳びが上手にできるようになった。また、児童の学習カードからは、「自分がどんなふうに跳んでいるか分からなかったが、ビデオで撮ると跳び方が分かるから良い。」「自分の技の良いところや足りないところを見ながらできるので、良かった。」「コマ送りで見ることもできて、おもしろかった。」「前に練習したときよりも上手になったと思う。」などの感想が書かれていた。(資料5)以上のコメントから意欲・関心の向上につながったとも考えられる。また、どの児童も自分の技をモバイルで見ながら練習したことで技が上手になったと答えた。跳び箱運動の確かな学力である「その技ができるための活動を工夫すること」を、どの児童も自ら考え、実践することができ、思考・判断が向上したといえる。


(3)研究の成果と今後の課題

    1. 研究の成果
      1. PDAを用いることで、児童は自己の学習状況を確認することができ、よりよい学び方を考えたり、工夫することができた。
      2. 児童は PDAのさまざまな機能を状況に応じて使い分けることで、思考力・判断力を向上させることができた。
      3. PDAのデータをもとに、児童は自己の学習状況をふり返り、学習のまとめを行うことができた。
      4. PDAのデータをもとに、教師は児童の学習状況を把握し、適切な支援を行うことができた。 以上のことから、学習の中で児童がPDAを効果的に用いることで、児童の思考力・判断力などの学力を向上することができたと考える。また、PDAを用いることで、教師は児童に対する適切な支援を行うことができたと考える。
    2. 今後の課題
        今後の課題として次のようなことが明らかとなった。
      1. PDAの他の機能の効果的な利用を考える。
      2. 他教科での PDAの効果的な利用の仕方を考える。
      3. PDAの活用によって向上することができる児童の能力を明らかにする。

    以上のような課題をふまえ、学習における PDAのよりよい使い方を考えるとともに、児童の学力を伸ばしていく学習活動を創意工夫していきたい。

 

【資料】

 

「モバイルを利用した校外学習」

(1)実践の内容

    1. 実施方法
      1. 単元名 スーパーマーケットではたらく人
      2. 単元のねらい
          『小学校学習指導要領解説社会編』では、第3学年及び第4学年の「能力に関する目標」として、「地域における社会的事象を観察、調査し、地図や各種の具体的資料を効果的に活用し、調べたことを表現するとともに、地域社会の社会的事象の特色や相互の関連などについて考える力を育てるようにする」ことが挙げられている。この点をふまえ、本単元では自分たちの地域の人々の生産や販売の実際について観察・調査したり表現したりして、仕事に携わっている人々の工夫を具体的に考えることをねらいとした。
        また、本単元のねらいを達成するために、次の4つの評価規準を設定し、児童の学力の向上を見取ることにした。

    (ア) 関心・意欲・態度
      販売に携わる人の様子に関心をもち、自ら働きかけて意欲的に調べようとする。

    (イ) 思考・判断
      販売に携わる人は、消費者の願いに合わせて工夫していることを考えることができる。

    (ウ) 技能・表現
      インタビューなど働く人の様子を具体的に観察・調査し、見学メモやカードなどに分かりやすく表現することができる。

    (エ) 知識・理解
      販売に関わる仕事にはそれぞれ特色があり、携わる人々は販売の工夫や努力をしていることがわかる。
      なお、本単元では、本校の学区内にあるスーパーマーケットに見学に行き、児童が実際にインタビューを行ったり、観察・調査を行ったりする際にPDAを活用している。

    1. PDAの位置づけ
        PDAには様々な機能がついており、利用する者には状況に応じてそれらの機能を使い分けること、つまり判断力が求められる。
      3年生の児童の発達段階から考慮すると、PDAのすべての機能を理解した上で使いこなすことは難しいが、いくつかの機能に限定することで適切な利用が可能となると考えられる。そこで、スーパーマーケットの見学では次のような形でPDAを利用することにした。

    (ア) デジタルカメラとして利用
      店内の様子、商品の陳列の様子などを写し、資料として活用する。

     

    (イ) デジタルビデオとして利用
      店内で働く人の様子を撮し、資料として活用する。

    (ウ) レコーダーとして利用
      店内で働く人にインタビューを行い、その内容を録音して資料として活用する。

      以上のような機能は、3年生の児童にとっても操作が容易であり、また、状況に応じてそれらの機能を使い分けることも十分可能であると考えられる。
      なお、PDAに蓄積された画像や動画、音声などのデータは、別のコンピュータに保存されて児童が自由に利用できるようにした。こうすることで、コンピュータを利用して学習内容をまとめる際に、児童は必要なデータを取り出して使うことができる。
      また、児童がPDAを利用して集めたデータには、それぞれの児童がどのような視点で観察・調査を行っているかが反映されているものと考えられる。そこで、PDAのデータを利用することによって、教師は次のような評価を行うことができると考えられる。

    (ア) 診断的評価での利用
      スーパーマーケットの見学では、適切な視点での観察・調査が行われないと、十分な学習成果を得ることはできないと考えられる。しかし、実際に児童が店内を見学している間、それぞれの児童がどのような視点で観察・調査を行っているのかを教師が把握することは難しい。
      そこで、児童の活動中にPDAのデータをもとにして、それぞれの児童が現在どのような視点で観察・調査を行っているのかを把握するようにすれば、児童の活動中にも必要に応じて適切な支援を行うことができるようになる。

     

    (イ) 総括的評価での利用
      スーパーマーケット見学終了後、学習の成果が十分に得られたかどうかをPDAのデータをもとに評価する。今回のスーパーマーケットの見学では、次の3つを評価のポイントとした。

     

    ア PDAのそれぞれの機能を正しく使うことができる。
    イ 資料として十分に価値のあるデータである。
    ウ 一貫性をもって観察・調査を行っている。

      教師は、評価をもとに支援が必要な児童への手だてを考えたり、次の単元で見学活動を行う際に改善すべき点などを考えたりすることができる。


(2)実践の実際

  1. 日時 平成15年10月29日(水)
  2. 場所 フードマーケット・カスミ
  3. 見学の方
      店長の先導で全員で店内を一通り見学した後、グループに分かれて店内を自由に観察・調査する。観察・調査の時間は約1時間。その間教師は店内を巡視し、必要に応じて児童に適切な支援を行う。
  4. PDAの使用状況
      第3学年2組の児童( 31名)が8つの班(1班あたりの人数…4〜5人)に分かれ、それぞれの班で1台ずつPDAを使用する。児童はPDAのカメラ、ビデオ、レコーダーのそれぞれの機能を必要に応じて使い分ける。
  5. 実践の考察
    1. 活動の様子から
        資料 1 は、PDAをカメラやビデオとして利用し、店内の様子を撮影している児童の様子である。また、資料2 は、PDAをレコーダーとして使用し、インタビューを行っている児童の様子である。PDAの操作に関しては、どの児童も適切な取り扱いができていた。

    1. 資料1
      資料2
    1. 蓄積されたデータから
        資料 3 は、児童Aが記録したデジタルカメラの画像である。児童Aは、「野菜の鮮度を保つ工夫を調べる」という課題をもち、野菜の陳列スペースに設置されている温度計やスプリンクラーをその工夫のひとつとしてとらえていることが分かった。
        資料 4 は、児童Bが記録したデジタルカメラの画像である。児童Bは、「スーパーマーケットで働く人の様子を調べる」という課題を設定し、その課題に沿って必要な資料(写真)を集めようとしたことが分かった。
    資料3

    資料4

    PDAのデータから、児童A、児童Bは一貫したテーマに沿って必要な資料を集めようとする態度が育っていると判断できた。
      また、それぞれのデータ(画像、動画、音声)から、児童がPDAという機器を適切に使用していたと判断することができた。

    1. 児童の感想から
        資料 5 、 資料 6 は、児童C、児童Dが、自分の集めたデータをもとにコンピュータを利用して学習のまとめをしたものである。リサイクルコーナーの写真や商品の陳列の様子など、資料として十分利用価値のあるデータをうまく利用している。

    資料5
    資料6

     以上の結果から、今回のスーパーマーケット見学でPDAを利用したことは、児童の学習成果を上げる上で非常に有効であったと考える。また、教師が児童の活動を評価する際にも、PDAが活用できることも分かった。


(3) 研究の成果と今後の課題

    1. 研究の成果
      1. PDAを用いることで、児童は自己のの学習状況を認識することができ、よりよい学び方を考えたり、工夫したりすることができた。
      2. 児童はPDAのさまざまな機能を状況に応じて使い分けることで、思考力・判断力を向上させることができた。
      3. PDAのデータをもとに、児童は自己の学習活動を振り返り、学習のまとめを行うことができた。
      4. PDAのデータをもとに、教師は児童の学習状況を把握し、適切な支援を行うことができた。

     以上のことから、学習の中で児童がPDAを効果的に用いることで、児童の思考力や判断力などの学力を向上することができたと考える。
      また、PDAを用いることで、教師は児童に対する適切な支援を行うことができたと考える。

    1. 今後の課題
      今後の課題として次のようなことが明らかになった。
      1. PDAの他の機能の効果的な利用の仕方を考える。
      2. 他の教科でのPDAの効果的な利用の仕方を考える。
      3. PDAの活用によって向上することができる児童の能力を明らかにする。

     以上のような課題をふまえ、学習におけるPDAのよりよい使い方を考えるとともに、児童の学力を伸ばしていく学習活動を創意工夫していきたい。



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