5.実践授業等の実施内容




5.3 牛久市立第三中学校

「モバイルを利用したビオトープ観察共同学習」

1.実践の内容

 (1) 実施方法

a.活動日 平成15年12月27日(土)
b.活動場所 本校校庭ビオトープとその周辺、及びつくば市立桜中のビオトープとその周辺
c.参加生徒 本校科学部1年3名、2年3名
d.支援者 環境調査…アサザ基金の千野さん (本校)、永谷さん(桜中)
モバイル…シャープの宮原さん (本校)、永谷さん(桜中)
e.準備物 モバイル通信機器ザウルス4台、デジカメ2台、たも網2つ、長靴、長ビニル手袋、パット2つ、記録用紙、筆記用具

 (2) 活動の趣旨

 本校科学部では学校ビオトープを造成し、地域の自然を過去から現在まで調べて、失われつつある地域の自然を積極的に復元していこうと計画している。また、ビオトープに牛久沼周辺の植物を植えたり、絶滅の危機に瀕しているアサザ、メダカを保護し観察し、水生植物と水質の関連、およびそこに住む水生昆虫などの生息環境を観察している。
  今回は、つくば市立桜中学校科学部のみなさんと共同学習を計画した。本校のビオトープが日当たりの良い環境にあるのに対して桜中のビオトープは、木々に囲まれた日陰に造られている。お互いに定期観測し、ビオトープに来る昆虫や野鳥から学校周辺の自然環境の違いを比較する。また、本校の牛久沼や稲荷川などの河川の近くにあるという環境と桜中の桜川のと関係を比較し、そこに生息する水生生物と水質との関連を考察したい。

 (3) 活動内容

 ビオトープにやってくる生き物を観察し、ビオトープにやってくる生き物が周辺環境に規定されることを理解しつつ活動を進める。採集条件を同一にすること(15分間、たも網2つ、アサザ基金スタッフ指導)で両校のビオトープの環境を比較し、生き物の生活史をアサザ基金スタッフの方にご指導頂きながら種や個体数の違いの原因は何かを考察する。さらに、周辺地図をもとに周辺環境(沼、溜池、水路、谷津、水田、湧水)の探索と確認をする。どこがビオトープにいた生き物の供給源かを探索し、それらしい場所の撮影を行い、ビオトープにいた生き物の生活史にもとづいて考察する。

 (4) IT活用のねらい


2.実践の様子

 (1) 事前活動(平成15年12月20日土曜日)

 (2) 当日の活動(平成15年12月27日土曜日)

時  間 活 動 内 容
 9時00分〜 9時45分 準備・水面の氷割と排除
 9時45分〜10時00分 メール通信確認
10時10分〜10時25分 一斉に水生生物を虫取り網2本で採取 (15分厳守)
10時25分〜10時40分 水生生物の種類と数を調べて写真付きメールで情報交換
10時40分〜11時00分 比較検討(話し合い) その後、学校近辺へ歩いて移動
11時15分〜11時45分 近辺の環境を写真つきメールで情報交換 また、環境の 違いについて意見交換する。比較検討(話し合い)

 大変晴れ渡った天気だったが、昨夜積もった雪をビオトープの水面から除去する作業から始まった。アサザ基金の千野さん(桜中は永谷さん)にアドバイスをいただきながら活動を始めた。まず、ビオトープの環境の違いを把握するために、ビオトープの特徴的な写真を送ることにした。

 《桜中より》
ビオトープの写真です。
エビモがいっぱいあります。
 《牛久三中より》
添付にあるのは「フトイ」です。
見づらくてすいません。

 いよいよ、開始時間を連絡し合い、15分間、一斉に水生生物を虫取り網2本で採取した。 水生生物の種類と数を調べて写真付きメールで情報交換を行った。結果としては、桜中のビオトープの方が種類が多かったのは、桜中に比べ三中のビオトープは面積が2倍大きく、中心の深いところへ網が届いていなかったためと考えられる。冬の寒い時期は深いところの方が水温が高く、水生生物は中央に集まっていた可能性が強いらしい。

牛 久 三 中 桜   中  
〔三中〕
ギンヤン マのヤゴ が10匹 いまし た。添付 した写真 の〇で示 した所に います。
ギンヤンマのヤゴ10匹
ヒメゲンゴロウ  5匹
フナ       1匹
ミズムシ     1匹
トウヨシノボリ  4匹
モノアラガイ   3匹
総計      6種類
合計      24匹
ギンヤンマのヤゴ7匹
イトトンボのヤゴ1匹
ヒメタニシ   1匹
ミズムシ 1匹
ユスリカ 1匹
フタバカゲロウ 1匹
サカマキガイ 1匹
シジミ 1匹
総計8種類 合計14匹

 採取した生き物を比べると、ギンヤンマのヤゴとミズムシ以外はほとんど違う種類であった。これには生徒達も驚いていた。三中では、前回イトトンボやヒメタニシが見つかったし、桜中ではやはり前回ヒメゲンゴロウが見つかっているので、15分という短い時間に限られたことも共通点が少なかった原因であろう。三中でフナとヨシノボリが見つかったのはショックであった。誰かが親切のつもりか、捨て場所に困ってか入れたのは明らかだ。
  最後の活動として、これらの生き物はいったいどこから来たのかを探るために学校周辺の環境を探りに出かけました。桜中はビオトープの周りは畑や田んぼで桜川は遠いところにありますが、近くにいくつかの池があります。そこに同じような生き物がいれば、そこからビオトープにやって来たことが分かります。牛久三中の近くには、歩いてすぐのところに稲荷川、牛久沼、水路、アヤメ園の池など豊富に生き物の住かがあります。

 (3) 事後活動

  1. スタディノートで活動記録をまとめ、共同学習「川の研究室」に掲示
  2. 調査結果について桜中と意見交換を行い、比較検討した。
牛久三中のスタディノートのまとめ
桜中のスタディノートのまとめ

 これらのまとめをお互いに、つくば市の共同学習「川の研究室」と県のスクールネットの「ビオトープ調査隊」に掲示した。
そこでお互いのまとめを読んでの感想や意見の交換をした。

3 成果と課題

 牛久三中と桜中のビオトープは環境の違いに大きな差がある。それは昨年度来の比較検討課題であり連絡し合いながら行ってきた。しかし、今回ほど相手校のビオトープの様子がリアルに把握でき、比較結果が実感を伴って理解できたのは初めてであった。それはザウルスを使用しての同時期・同条件下の調査通信ができたからであろう。
  さらにアサザ基金の皆さんの協力があったからである。
  これからも、ザウルスを使って気軽に楽しく活動できればますます有効であろう。

ザウルス通信記録(S:桜中より U:牛久三中より)

S1: ビオトープの写真です。エビモがいっぱいあります。

S2: 採取した数
ギンヤンマのやご
イトトンボのやご
ヒメタニシ
ミズムシ
ユスリカ
フタバカゲロウ
サカマキガイ
シジミ

7匹
1匹
1匹
1匹
1匹
1匹
1匹
1匹
S3: 中根池では、モノアラガイ、
イトトンボのやご、ギンヤ
ンマのやご、ミズムシ、
オオカナダモなどが見つか
りました。
ここは、桜中から、直線1
キロメートルくらいです。
U1:ゲンゴロウがとれました。
U2:ギンヤンマのヤゴもとれました。
U3:牛久沼近辺の水路です。
U4: 採取の数
ギンヤンマのヤゴ
ヒメゲンゴロウ
フナ
ミズムシ
トウヨシノボリ
モノアラガイ
総計
合計

10匹
5匹
1匹
1匹
4匹
3匹
6種類
24匹
 

 

 
牛久三中の活動の様子
  活動の打合せ
15分間の採取
 
捕れた生き物を確認しあう
観察調査のまとめと意見交換


5.4 つくば市立吉沼小学校

「小学校総合6年 東京・鎌倉体験学習」

【学校IT活用のねらい】
  6年生の修学旅行において、モバイル機器と学校ホームページの掲示板を利用した情報交換活動を取り入れることで、東京や鎌倉における見学活動、調査活動を活発化させるとともに、保護者など学校関係者との情報交換に即時性を持たせ、児童の活動に幅を持たせる。


【学校IT活用の実践】
東京・鎌倉についての情報収集
修学旅行では、両日ともグループによ る活動を中心にスケジュールを組んだ。 東京、鎌倉と、児童にはなじみの薄い コースであるため、事前にガイドブッ クやインターネットなどを活用して情 報収集する機会を設けた。これにより 児童は、見学先のリストを作成するこ とができた。

見学コース及びルートの設定
 東京では、 NHKやANAメインテナンス センター、最高裁などが見学先として リストアップされた。 児童は、自分の興味関心に応じて見学 先を選択し、 グループを作った。1日 目は、最終的に江ノ島にある宿泊先ま で移動するため、各グループごとに路 線図やインターネットを参考に見学コ ースと、宿までの行き方を決定した。 その際、時刻表なども用いて旅程や交 通費も算出し、スタディノートにまと めた。2日目の鎌倉における日程も同 様に設定した。

インターネット掲示板・モバイル機器の活用
  今回の体験学習では、児童はグループで1台
ずつモバイル(カメラ付き)を使い、インター ネット掲示板にモバイルで撮った写真を載せた り、感想を書き込んだりした。モバイル機器の 操作や掲示板への書き込みについては、数回の 練習ですぐに慣れ、事前に本番を想定した書き 込みの練習も十分行うことができた。
 当日、児童たちは掲示板を通してお互いのグ ループの活動内容を知ることができた。また、 保護者や本校の引率以外の職員などの関係者は 子どもたちが今どこで何をしているか、リアル タイムで活動の様子や感想などを知ることがで きた。児童の書き込みに対して多くのメッセー ジが寄せられ、活発な交流が行われた。  


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