5.実践授業等の実施内容




5.5 つくば市立茎崎第一小学校

「特別活動 5年 宿泊学習 白浜少年自然の家」

【学校IT活用(第5学年)のねらい】
  本校5年生は、白浜少年自然の家において一泊二日の宿泊学習を行い、ウォークラリーやキャンプファイヤー、野外炊飯などの活動を行った。校外の豊かな自然の中でのこれらの活動の様子を、学校にいる4年生にリアルタイムで送り、メールの交換などを行う計画を立てた。これにより、情報活用力を高めるとともに、他学年との交流を図ることができると考えた。また、4年生にとっては、来年度体験する宿泊学習についての関心を高めることができるだろうと考えた。

【学校IT活用(第5学年)の実践】

1 準備

 10月14(月)〜23(金)日までの2週間、モバイルを借り、4、5学年で活用することにした。1週目を4学年が使用し、宿泊学習(21〜22日)のある2週目に5学年が使用する予定を立てたが、実際に借りることができたのは、20〜23日の1週間であった。そのため、1週間で4、5学年で使用する計画に変更しなければならなかった。19日(日)に、吾妻中に出向き、久保田先生にインターネット掲示板について指導を受けた。その後、本校のホームページ上にインターネット掲示板を設置し、モバイルの設定を行い、テスト投稿とスタディノートへのメールの送信、メーリングリストでのモバイル間のメールの交換などが行えることを確認した。

2 活用方法と児童への指導

 ウォークラリーは1組、野外炊飯は2組などに、それぞれの活動をクラスに割り振り、班ごとにモバイルを持たせ、リアルタイムの情報交換を行う計画を立てていた。
情報交換とは、

    1. ホームページに設置したインターネット掲示板に掲載し、保護者や学校にいる児童とメッセージのやりとりをする。
    2. 4年生に持たせたモバイルとメーリングリストを使って相互通信を行い、4年生の質問に答えたり、活動の実況中継をする。
    3. スタディノートへメールを送り、待機している4年生とメールの交換をする。

などである。しかし、モバイルを借りてから3日目に宿泊学習に出かけることと4年生も授業で活用するため、モバイルの指導を十分にとることが難しいことがわかり、宿泊学習のしおり・記録実行委員にモバイル機器の操作を指導し、実行委員が情報の交換を行う計画に変更せざるを得なかった。
モバイルの使い方の練習をする。
  また、ウォークラリーでは、各班も時間を考えて行動するため、モバイルを使用する時間の確保が難しいという意見が出て、モバイルを十分に活用することが難しくなってきた。そのため、モバイルは、実行委員が交代で使用するということで各クラス1台ずつの3台と教師1台の計4台を持って宿泊学習に臨んだ。

3 活動の実際

 実際には、白浜少年自然の家では、PHSの電波が届かず、全く送受信できなかった。また、宿泊学習という行事の特性上、目玉であるウォークラリーや野外炊飯は児童の活動がメインであり、モバイルの通信をする時間の余裕がなかった。野外炊飯でも、引率の職員7人も児童への支援に奔走し、できあがるまでは休むことも写真などの記録を取る時間の確保は難しかった。
そこで、1日目のウォークラリーでは、吉田の携帯電話のメールからメールングリストに送信し、学校で待機する4年生のモバイルに活動の様子を送った。それに対し、4年生がモバイルで返事を書き、送った。学校に電話し4年生の担任からその内容について聞き、それに答えるようにまた携帯電話から返信した。それに4年生がまた返事を書いて送った。4年生にとっては、写真こそないけれど、リアルタイムでのモバイルを体験できた。5年生にとっては実際にモバイルの活用ができず、残念だった。  
帰校してから実行委員がモバイルのカメラで撮っておいた写真とメールを、学校の掲示板に送信し、掲示板で宿泊学習の内容が見ることができるようにした。

メーリングリストでのやりとりの内容

 

学校の掲示板に貼り付けたモバイルからのメール

 

「 4年生 理科 季節と生き物」

【モバイル機器活用のねらい】

 本校4年生は理科「季節と生きもの」の学習で、学校や地域の植物や動物について興味・関心をもって観察し、変化の様子を詳しく調べている。様子や変化について絵や文でカードにまとめながら学習を進めていたが、モバイルを活用して画像をスタディノートにまとめたり、ホームページの掲示板にその様子を載せて、自分たちが調べている内容を保護者等に公開し、自分たちの疑問点などについてより多くの情報を得ることで、児童一人一人が主体的に学習できるのではないかと考えた。

【学校 IT活用(第4学年)の実践】

 
(1)モバイルからホームページへの送信

「季節と生きもの」(秋)の学習は、児童が「樹木」「草花」「昆虫」「鳥」など自分のテーマを決めて、グループごとに学習に取り組めるようにした。学校やその周辺の植物や動物の様子を調べる際に、各グループごとに一台ずつモバイルを持ち、調べたことを画像にまとめて、本校のホームページに貼付した「掲示板」に送信できるようにした。そうすることで、互いに他のグループの活動を知ることができると共に、家庭でも自分が興味を持ったことを調べたり、疑問点について保護者などに容易に聞くことができるようにした。児童には、事前に本校のホームページを見せて、モバイルで送信したデータが、リアルタイムで本校のホームページの「掲示板」に掲載されることを説明し、その目的について理解できるようにした。また、ホームページという不特定の人物が目にすることが可能な場であることを考慮し、画像を送る際に、友達の顔などが判別できるようなものは載せないこと、文中に児童の名前等を書き入れないことなど、個人情報の保護について指導した。
  学習のはじめに、デジタルカメラとモバイルを併用してカメラ機能を中心に活用したことで、どの児童も容易にモバイルを取り扱えるようにした。自分たちが観察しているものをリアルな形で記録に残すことで、その画像をもとに、特徴について話し合ったり図鑑で調べたりしならが意欲的に活動することができた。撮った画像にコメントを加え、本校ホームページの「掲示板」に送信して、自分たちの学習についてリアルタイムで保護者に見てもらうことで、家族にも学習内容に関心をもってもらうことができた。観察した際に感じた疑問点などについて、ホームページを活用して家庭でも調べることが可能となり、児童の学習の形態が多様となった。
  発展学習として、博物館を活用した調べ学習を行った。「鳥」や「昆虫」について調べているグループは「茨城県自然博物館」に、「草花」や「樹木」等について調べているグループは「牛久自然観察の森」を、それぞれ訪れ、テーマごとに植物や動物の様子について詳しく調べる活動を行った。その際も、モバイルを活用し、自分たちの活動の様子や、そこで見つけた植物や動物の様子について、ホームページの「掲示板」に送信した。ここでは、調べるテーマによって、児童の活動場所が異なったため、他のグループの活動の様子をホームページを通して知ることができ、互いの学習を理解し合い、他のグループが調べているテーマについても興味を高めることができた。

○ 学校や周辺に見られる植物や動物の様子

グループごとにモバイルの使い方を覚える

総合の時間を使って、モバイルの使い方を覚える児童。カメラ機能の使い方やホームページの掲示板への送り方をはじめに覚えた。先に覚えた児童が次のグループに教えてあげることで、どの児童も自信を持ってモバイルを活用できるように    
学校の隣の神社のツブラジイをモバイルで記録する

グループごとにモバイルを使って、
自分たちのテーマに応じて調べた。
「樹木」のグループは、  
  学校の隣の神社に行って、シイの木の様子を詳しく観察することができた。
画像はホームページの掲示板にのせ、保護 なった。 者にも見てもらった。

○ 「岩井の自然博物館」と「牛久自然観察の森」での取り組み
   ホームページの掲示板に送った、それそれのグループのデータ

鳥」グループが観察した菅生沼の白鳥
「鳥」グループは、「岩井の自然博物館」 のレンジャーから、自分たちが興味をもっ た植物や生き物のことについて、詳しい説明を聞いた。
なかなか普段はみることができないのでみんな夢中で観察していた。
モバイルで撮った画像を掲示板に送った。    
 レンジャーから、教えてもらうところ
草花グループは、「牛久自然観察の森」貸してくれた双眼鏡と野鳥観察のハンドックを使 いながら、菅生沼に飛来して来る鳥を観察することができた。 レンジャーと一緒に、植物の臭いをかいだり、実を食べたりしながら五感を働かせ、様子を詳しく調べることができた。

 
(2 ) スタディノートの活用

 本校は昨年度つくば市に合併したこともあり、4年生のほとんどは、モバイルは勿論、スタディノートやデジタルカメラなどを活用して学習するのは始めてであったが、モバイルを中心としたIT機器を進んで活用し学習に生かそうとする姿が見られた。モバイルのメールを活用してモバイル間で情報を交換し合ったり、スタディノートに送信したりすることで、自分たちの発見を互いに伝え合い、協力して学習を進めていくことができるようにした。 

スタディノートにまとめたものを掲示板を通して発表し合う児童

  特にスタディノートへのメールは 、画像が大きく鮮明であることや、自分たちがまとめているノートに直接貼り付けられることもあって、どの児童も意欲的に取り組むことができた。児童はすでに観察カードにも絵や文でまとめ

ていたが、学校に戻ってから、スタディノートで画像をみることで、葉の茂り方や枝の様子などについて、もう一度客観的に見つめ直し、様子や変化について詳しく調べる姿もみられた。
  デジタルカメラで撮った画像や、モバイルで送ったメールを使って、テーマごとにスタディノートにまとめ、スタディノートの掲示板にのせることで、互いに情報を交換し合うことができた。
  自分の調べたことについて、感想をもらったり、新な疑問を投げかけられたりすることで、自分なりの課題をもって学習に取り組もうとすることができた。


○ スタディノートにまとめる
  学校や学校周辺の自然・「岩井の自然博物館」や「牛久自然観察の森」で観察してきたことを、スタディノートにまとめることができた。デジカメやモバイルで撮った画像を貼り付けて、自分たちが調べたことを分かりやすくまとめ、互いに紹介し合うことができた。

  
草花グループ
自分たちが見つけた草を図鑑を使って調べ
実の様子や、葉の違いなどに着目してたり、
継続して観察することで変化の様子
を詳しく調べることができた。
樹木グループ
いろいろなシイの木の様子を調べた。
様々な実の様子を比較しながら調べて
いくことで、意欲的に調べる様子が見
られた。


鳥グループ
  春から夏にかけては、ツバメの成長の様子を観察してきた「鳥」グループは、「茨城県自然博物館」にいって冬に飛来する鳥の様子を観察し、いろいろな渡り鳥がいることを学んだ。鳴き声に耳を傾けたり、泳いでいる様子を双眼鏡を使って詳しく観察することで、それぞれの特徴をとらえることができた。

【まとめ】 

 このように、モバイル機器を活用して学習を進めていくことによって、児童は課題を解決していくために必要な情報を、効果的に収集することができた。また、モバイル機器で収集した情報を、掲示板に転送して自分たちの活動を伝えたり、メールやスタディノートを通して、自分が調べたことを発表し合うことで一人一人が自分なりのめあてをもち、主体的に取り組むことができた。
  今回、4年生はスタディノートやモバイルの活用がはじめてということや、モバイルの台数が限られていたということもあり、操作に幾分時間がかかる傾向にあった。児童全員がIT機器を生かして学習に主体的に取り組めるよう、これからも積極的にモバイル等を活用していきたいと考える。


5.6 つくば市立並木小学校

「6年生 総合的な学習の時間 」

1.モバイル機器活用のねらい

 児童が生き生きと楽しく学習していくためには、児童が活躍する場面を設定し、児童の興味・関心にそった学習課題を自ら気づけるようにすることが大切であると考える。
そこで、実際の調査活動での様々な児童のニーズに応えるため、機動性に優れたモバイル等の機器を活用する。これにより、時と場所にとらわれずに必要な情報を集め、加工し発信することができるようになる。
  更に、インターネットを活用した学習が日常的に行えるような環境を提供することにより、交流学習による学習の深化を図る。

2.実践及び成果

    1. 学年 第6学年
    2. 教科 総合的な学習の時間 

 総合的な学習の時間において、自分たちが住んでいる地域の環境学習に取り組んでいる児童は、デジタルカメラやザウルス等のモバイル機器を活用して学校周辺の調査活動及び情報収集活動を行った。そして、調査結果をグループウェアを活用してまとめ、話し合い活動を行い学習内容を深めていった。
例えば、学校に隣接する公園や池の環境について調べている児童は、限られた時間内で効率よく情報を収集しようと調査する場所を数カ所に分けて分担し、一斉に調査活動を行った。児童は、現地で収集した水性生物やパックテストの結果などを、その場でカメラ機能を活用して撮影したり、感触や匂い、採取した場所などをテキストに記録したりした( 資料1 )。また、その場でインターネットで検索をして必要な情報を収集していき、メール機能を活用してリアルタイムに情報を発信していった。

その他にも、公園のゴミ問題について学習している児童は、公園に落ちているゴミの種類や場所、その周辺状況について、メール機能を活用して情報を他の場所を分担しているメンバーにリアルタイムで送った(資料2)。児童は、お互いの役割を確認したり、アドバイスをしたりしながら、グループの学習目標を達成するために協力しながら調査活動を進めていった。また、コンピュータ室では、児童が各調査班から送られてきた情報をもとに考え、学習をグループウェアにまとめ、他校の同じような学習に取り組んでいる児童に電子掲示板で情報を送り、情報交換をしながら学習内容を深めていった。  

 このように、モバイル機器を調査活動で活用することによって、児童は課題を解決していくために必要な情報を限られた時間内で効率よく、しかも広範囲にわたって収集することができた。また、モバイル機器を調査で活用することによって、活動している最中にリアルタイムでお互いの調査内容を共有することができ、課題解決に向けてその問題を明確にとらえ、取り組む方向づけを判断することができた。
その結果、児童は最後まであきらめずに主体的に学習活動に取り組むことができるようになった。

資料1 「池の水質結果を記録する児童
資料2 「モバイルで送った児童のノート」


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