3.使用したソフトウェア教材(開発)




3.1 改善モデルにおける教材の仕様

 教材の基本仕様は、平成14年度に開発した成果物と同等である。対応するロボットのバリエーションとして、普及にあたりより安価で手軽な LEGO Spybotics版を追加開発した。平成14年度に、アルゴリズムの学習における有効性を検証した「フローチャート」のインターフェイスはそのままに、Spyboticsを動かすプログラムを作成することができるよう、下位のロボットコントロールモジュールのみを新規開発し、上位のフローチャートエディタは、Spybotics固有の動作に対応するよう表記を改訂した。


 ロボットは、動作環境や条件(床の材質やバッテリーの消耗度)、および個体差などから、フローチャートで意図したプログラムどおりに正確に動いてくれない場合がある。たとえば、「直進」の命令を出したとしても、左右のモーターの微妙な回転誤差や床との摩擦の関係で、距離が進むに従ってその誤差が増幅されることがある。
 これに対応するため、フローチャートでの実習前に、ロボットの動作箇所の微調整を行い、プリセットするためのキャリブレーション機能を新規に開発した。


3.2 改善モデルにおける教材の概要

 改善モデルにおける教材は、前述のとおり Spybotics に対応した機能を追加した形となっている。さらに、フローチャート画面からは、ロボットの動作箇所の微調整を行うためのキャリブレーション画面を呼び出すことができる。
 課題は、高等学校「情報B」の「アルゴリズム」の学習に準拠する形で用意しているが、中学校などでの利用で、先生が独自に設定される課題での実習を考慮し、メニュー画面には「自由課題」のオプションも用意した。

(1)トップ画面
ロボットを直接コントロールするか、プログラム(フローチャート)作成専用として使用するかを選択する。

ロボットの種類を選択(画像をクリック)し、教材をスタートする。
(2)メニュー画面
学習レベルに応じた課題を、一覧の中からクリックして選択する。

「自由課題」を選択した場合は、(3)の課題説明画面は表示されず、直接(4)のフローチャート作成画面に遷移する。
(3)課題説明画面
課題の内容を、説明文と画像を見て把握する。

課題内容に応じて、アニメーションで確認できたり、用語の解説画面を開いて理解度を深めたりできる。
(4)フローチャート作成画面
課題を実行するプログラムを、フローチャートを用いて作成する。

選択した処理の部品を、ドラッグ&ドロップ操作で、フローチャート上の任意の場所に置いて作成することができる。

作成したプログラムを、その場でロボットに送信し、動作を確認することができる。
(5)キャリブレーション画面
フローチャート作成画面からウィンドウ形式で呼び出すことができる。

ロボットの動作箇所の微調整を行い、設定をプリセットすることで、実習環境に応じた動作を実現する。

 処理の部品は、ロボットを動かすための命令で構成されており、改善モデルにおいては、 Spybotics の動作に対応した命令構成を追加した。
 フローチャートで作成したプログラムは、ケーブル接続の赤外線通信で Spybotics に転送する。プログラム転送が完了したら、 Spybotics側のケーブルを外し、Spyboticsの実行ボタンを押下することで動きを実現する。

 フローチャートの保存・読み込み機能も従来どおり搭載している。これにより、パソコンとロボットを1対1で使用する環境のみならず、1台のパソコンをロボットコントロール用にして、他の複数台のパソコンはプログラミング用のみとして使用し、ロボットを動かすときだけファイルを受け渡して実行することも可能である。
 教室内LAN環境があれば、LAN経由で保存ファイルの受け渡しも可能である。
 授業の形態や生徒の人数に応じて、最適な実習環境を構築することができる。



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