6.コンテンツ




6.1 がんばれアユモドキ

図22 がんばれ!アユモドキ

 平成 14年度のコンテンツに付加した見方・考え方は,すべて単独であった。今年度は複数の方々の見方・考え方を付加したコンテンツを開発して「心も育つ理科コンテンツ」の可能性を探ることとした。また,昨年度のコンテンツを視聴した小学校教師から,総合的な学習の時間で川に関する環境学習を行っている学校が多いので,川の魚のコンテンツがあればという要望があった。岡山県は吉井川,旭川,高梁川の3大河川に多種多様な魚が生息しており,岡山県旭川水系の他琵琶湖水系など限られた水域に生息する天然記念物アユモドキの保護活動が有名である。そこで,このアユモドキの生態とその保護に携わっておられる方々の見方・考え方をコンテンツ化した。見方・考え方コンテンツでは,岡山淡水魚協会の会長青氏,同じく淡水魚協会で中学生と調査活動を行っておられる小林氏,岡山市河川環境センター長の湯浅氏,アユモドキ保護地域の町内会長服部氏の4名である。それぞれの立場からアユモドキ保護活動のようすや河川環境に関する見方・考え方を取材してコンテンツ化した。


6.2 岩石・鉱物のひろば

図23 岩石・鉱物の広場

 平成 14 年度の実証授業では,小学校での生物領域が中心であった。本年度は,中学校地学分野でのコンテンツ開発と実証授業を目指した。岡山大学教授 草地 功教授は,世界で最も多くの新鉱物を発見している科学者の一人であり,草地教授の御協力を得て,中学校第1学年理科「大地の変化」の単元で活用を想定して「岩石・鉱物の広場」のコンテンツを開発した。草地教授が所有する鉱物の一部を「鉱物・宝石コレクション」として,興味関心を高めることを目的にとりあげた。学習内容の中心となる岩石の組織・鉱物の学習では,偏光顕微鏡が高価なため生徒一人に1台というわけにはいかない。そこで,岩石薄片の偏向顕微鏡画像をディジタルコンテンツにした。この画像の特徴は,動画再生コントロールソフト「DRAGRI」 ※ (NTTアドバンステクノロジ社製)を活用して,生徒が自由に画像を回転させることができる点である。 見方・考え方コンテンツは,「草地先生って?」の中で科学者として探究する姿勢や自然の見方・考え方をコンテンツ化した。


※「DRAGRI」
  NTTアドバンステクノロジ社佐藤氏が開発した動画再生コントロールソフト。JAVAプログラムによって矢印上をドラッグすることで動画を自分の思いのままにして動かせるソフトウエア。 従来の早送りや巻き戻しボタンをつかうタイプものとくらべて,格段にインタラクティブで直感的なツールである。
 http://www.dragri-fan.com/index_jp.html


6.3 他教科コンテンツ開発

図24 保体コンテンツ

 見方・考え方を付加情報としたコンテンツの理科や道徳教育,総合的な学習の時間における有効性は平成 14年度に実証済みである。今年度は,見方・考え方を付加情報としたコンテンツが他教 科でも有効であることを実証するために,保健体育科の器械運動のコンテンツに模範演技者や指導教師の見方・考え方,メッセージをコンテンツ化した。


6.4 内山コンテンツ改良

  1. ねらい

 内山コンテンツ「四季の移り変わり」では,平成 14年度の実証授業で,小学校第4学年理科「すずしくなったら」の単元で,校庭の植物の記録と1年間のカレンダー作りを通して,四季の移り変わりと植物の変化を学習したり,中学校第1学年理科「植物の世界」の単元で活用した。この実証授業では,小学校からは「他の学校や内山さんと交流できる場がほしい。」,中学校からは「生徒が撮影した資料もコンテンツのデータベースに登録できるとさらに活用しやすい。」という意見を得た。そこで,本年度は,交流できる学習の場として掲示板と登録可能な機能を構築した。掲示板では,テキストの他,動画で表情も伝え会うことができるよう「動画掲示板」の開発を行った。

  1. 改良ポイント

平成 14年度Eスクエア・アドバンスのプロジェクトの成果物である「四季の移り変わり」の検索システムに,中学校でも活用できるように自分たちの撮影した画像の登録・編集,静止画・動画掲示板による意見交換機能を追加した。
  登録する際には,各個人専用のID・パスワードで保護されたページにログインし,
自分たちの撮影した画像の登録を行う。登録された画像は,初期画面の検索画面から検索する事が可能で,同じキーワードで登録された場合は,それぞれ登録した人毎の画像を見る事が可能である。これにより生徒個人の電子図鑑として利用することも可能となった。
  また,静止画・動画掲示板 =「おたよりぼーど」,「むーびぃぼーど」を利用した意見交換機能を追加した。これにより,自分の撮影した静止画・動画に言葉だけでは伝わらない,児童生徒の豊かな表情・思いを込めて相手に伝える事が可能となった。さらに学校内だけではなく,学校間で利用することにより他校や他校種の学校との交流が可能である。

図25「四季の移り変わり」トップページ
図26 ログイン後の編集メニュー
図27 画像掲示板「おたよりぼーど」
図28 動画掲示板「むーびぃぼーど」

 以下の5点が昨年度からの主な変更点である。


(1)内山さんのコンテンツと子どもたちが登録したコンテンツを別々の一覧で表示

 内山さんの撮影したコンテンツを参考にして,自分たちの見つけた草花を参照することができる。

図29 内山さんと児童が登録した草花の一覧切り替え


(2)草花の詳細画面には,同じ草花を登録している人の一覧を表示

 同じ種名で他の人が登録している草花を簡単に見ることができ,撮り方の違いや草花の四季それぞれ様子を撮影していれば,年間を通しての草花の表情を見ることができる。

図30 草花詳細画面の同じ草花を登録している人の一覧


(3)サムネイルの自動作成(掲示板には非適用)

 近年ディジタルカメラは高解像度化され,それに伴い撮影した画像のファイルサイズが大きくなっている。このファイルをこのままコンテンツとしてアップロードするには,サイズが大きくなり,参照する側の負荷も増大される。また,生徒に画像のサムネイルを作成させるのにも負担が大き過ぎると考え,サイズの大きい画像を一覧用のサムネイル・詳細画面用のサムネイルに自動的に作成する機能を持たせた。


(4)認証機能

 生徒個人の図鑑として使用するために,認証機能を取り入れた。参照時の情報として表示されるコンテンツ登録者名は,初回ログイン時に必須入力とすることによりユーザー情報の管理の手間を軽減している。


(5)静止画・動画掲示板の設置

 自分がわからない草花や草花に対して知りたいことを投稿できる。
掲示板という性質上,不正な書き込みを防止するために,投稿しても管理者のチェックを受けないと参照することができない,参照モードに設定可能である。
動画掲示板は,文字を入力しなくても,ディジタルカメラで撮影した動画をアップロードすることができ,キーボードから文字を入力することに不慣れな生徒達にも簡単に投稿することができる。



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