7.実証授業及び普及啓発授業




7.1 実証授業に向けて

 実証実験校である御津町立御津中学校に, 10月15日から11月20日までの約1ヶ月間,コンピュータやディジタルカメラなどの情報機器や「見方・考え方を付加したコンテンツ」を活用した授業を支援するインストラクタ(ICT活用授業アシスタント)を派遣。校内研修により,教員のスキル向上を図るとともに,ティームティーチングを実施し,コンピュータ等の操作技能向上を図った。


(1)教員研修(先生にでじこんクイズ)

 日頃は教える側の教員も,教えられる側となり,真剣にコンピュータに向かう。財団法人コンピュータ教育開発センター(通称CEC:セック)のディジタルコンテンツ(教育用画像素材集)約 17,000件の中から目的のコンテンツを探し出すクイズを行いながら,インターネットの検索やコンテンツのダウンロード及びプレゼンテーションソフト(Power Point)を活用した加工・編集を習得する。

図31 ディジタルコンテンツの紹介をするICTアシスタント
図32 校長先生もアプリケーションソフトに挑戦
図33 今日は生徒として学習


(2)生徒にでじこんクイズ

 教員研修同様,ディジタルコンテンツを活用してクイズ形式の授業を行った。ディジタルコンテンツの動画を視聴することによる知識習得と,アプリケーションソフト( PowerPoint)の操作方法の習得を兼ねて楽しく取り組める内容にした。教員自ら作成したユニークな画面に,生徒の笑い声が響く場面もあった。

図34 ディジタルコンテンツの説明
図35 でじこんクイズの説明

図36 教員が作成したユニークな画面
図37 英語のコンテンツに耳をかたむける生徒
図38 互いに教え合う生徒
図39 ディジタルコンテンツに興味を示す生徒


7.2 実証授業

 御津町立御津中学校での実証授業は表9のとおりである。以下に代表的な実証授業の詳細を示す。

表9 実証授業の実践
月 日 学校名 教科 学年 指導者 参加者数
10 月 31 日 御津町立御津中学校 英語 久山 倫子
11 月 13 日 御津町立御津中学校 社会 若林 寿雄
11 月 14 日 御津町立御津中学校 理科 小倉 恭彦
11 月 18 日 御津町立御津中学校 体育 市川 善隆 15
11 月 18 日 御津町立御津中学校 理科 小倉 恭彦
11 月 19 日 御津町立御津中学校 学活 宮本 晋一
11 月 20 日 御津町立御津中学校 社会 若林 寿雄
11 月 20 日 御津町立御津中学校 理科 小倉 恭彦 10
11 月 21 日 御津町立御津中学校 生徒会 杭田 薫 50
11 月 24 日 御津町立御津中学校 総合 小倉,宮本,金光 30
11 月 27 日 御津町立御津中学校 学活 西山 俊吾
11 月 27 日 御津町立御津中学校 数学 小倉,宮本,金光


(1) 中学校第1学年保健体育「器械運動(マット運動)」

使用コンテンツ

学習目標

主な学習活動と生徒の反応

 自分の演技をコンピュータ画面で見ることで,客観的な感覚を養うことができる。「ここが良くない」と他人から言われてもなかなか理解できないが,自分の動きを実際に見ることで弱点を認識することができる。自分の姿を見るのは照れ臭さもあるが,おもしろさの方が勝っていた様子。
  持ち運び自由なタブレットPCや,電子情報ボードといった便利なツールが揃えられ,練習の傍ら,自由にディジタルコンテンツを活用していた。画面をドラッグするとお手本が動き,スローモーションで見ることができる等,充実したICT環境の中,限られた時間内で,練習・デジカメ撮影・再生してチェック・ディジタルコンテンツでお手本確認・練習・演技披露と,忙しく生徒たちは動いていた。


電子情報ボードを使って今日のポイントを説明。デジカメで技を撮影し合い,後でそれを見ながら良くないところをチェックすること,コンテンツでお手本を確認すること,そして最後に演技を発表するという流れが示される。
班ごとにデジカメで一人一人の技を撮影し(動画),後でコンピュータに接続して確認する。 普段はわかりにくい自分の短所を認識し,その克服を目指す。
持ち歩けるタブレットPCで,演技のかたわら,すぐチェックできる。固定された電子情報ボードやコンピュータに比べて移動する手間もなく,手軽で便利なツールといえる。
「DRAGRI」を使用し動画再生をコントロールできるようにしたディジタルコンテンツで,練習の合間にチェック。画面をドラッグするとお手本が動く。 手をつく位置,頭や首の角度等,繰り返し見ることで自分の弱点を克服する手助けになる。
感想 ( 最初よりうまくなったと感じた生徒が多数 )
  • 足の伸びとか手のつけ方とか教えてもらって,できるようになりました。
  • デジカメで,ここを注意したらいいと教えてくれたので良かった。


(2) 中学校第1学年理科「身近な物質の見分け方」

使用コンテンツ

学習目標

主な学習活動と生徒の反応

 ガスバーナーのディジタルコンテンツは,実用的な教材として役立っていた 。教員がコンピュータに詳しく,電子情報ボードに映される説明資料もアニメーション効果を付ける等の工夫が随所に施されており,生徒たちを楽しませていた。


身近にある食塩,白砂糖,デンプン(片栗粉),グラニュー糖の4種類の白い粉末を区別する実験。電子情報ボードで,各物質を水に溶かした時の性質と,加熱した時の性質が示された。これをヒントに実験を行う。
ガスバーナーの使い方を,ディジタルコンテンツで説明。「トントンとすれば再生するから,わからなかったら自分で見て確認して。」と先生。何度でも自由に動画を見ることができるのがディジタルコンテンツの強みである。
少し怖がりながらもディジタルコンテンツのお手本通りに ガスバーナーに点火する女子生徒。ディジタルコンテンツは動画なので(静止画もあり),器具の扱い方の詳細までわかりやすい。
実験と並行して結果を記入していく。見た目はほとんど同じだった白い物質が,実験によりそれぞれ差異が明らかになっていくことで,どの物質であるかを判断する。
食塩は加熱しても炭にならない。そこで, ”食塩は加熱しても変化なし?”と題して,食塩を加熱した時の様子を,教師自ら実験して作成されたディジタルコンテンツで紹介。食塩から泡が出てくる等,細かい変化を見ることができた。


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