(1) 論理的,客観的,実証的に評価・分析
見方・考え方を付加情報としたコンテンツを活用して,心が育ったかどうか図40に示すアンケートを岡山県立久世高等学校の第3学年2組31名に実施した。「がんばれアユモドキ」「不思議な生き物オオサンショウウオ」はいずれも,それぞれ保護活動に取り組んでいる研究家や地域の方々の見方・考え方を付加情報としてコンテンツ化している。そこで, 「がんばれアユモドキ」を閲覧した生徒14名,「不思議な生き物オオサンショウウオ」を閲覧した生徒17名それぞれに授業前の保護意識と授業後の保護意識を調べるアンケートを実施した。そして意識の違いを比較して評価を試みた。その結果,図41,42に示したように,アユモドキの保護意識は,7.1%から50.0%に,またオオサンショウウオの保護意識は,17.6%から64.7%に有意に上昇した。「がんばれアユモドキ」,「不思議な生き物オオサンショウウオ」では,保護活動に取り組む研究家や地域の方々の見方・考え方を生徒が受け止め,保護意識が高まったと考えられる。
図40 心の育ちを見るアンケート
図41 アユモドキの保護意識
図42 オオサンショウウオの保護意識
(2) 研修ポ−トフォリオ,事前・事後意識調査
教職員の研修ポ−トフォリオの事項を整理分析することで,学校支援メニュ−の有効性を検証することとした。 表 11が,御津町立御津中学校での校内研修を実施した後に,授業にICTやディジタルコンテンツを活用した保健体育のA教諭の言動をビデオで記録したディジタルポートフォリオをまとめたものである。A教諭は,文書作成のツールとしてコンピュータを利用しているものの,授業でICT活用して指導した経験が1度もない教師の一人であった。実証実験のおよそ1ヶ月間に器械運動の単元でマット運動を指導する12単位時間の際に,岡山県情報教育センターが提供するCECのディジタルコンテンツや今回開発した器械運動の心も育つコンテンツを活用した指導を試みた。
【第1週のようす】
はじめの1週間は,マットの準備だけでも負担であったのに,電子情報ボードや生徒が活用するコンピュータの準備に2時間程度かかり,準備,片づけの負担が大きく感じられた。また,第1時では,教師も生徒もコンピュータやディジタルカメラの使い方,データの保存の操作法習得に 50分のうちの30分を消費し,実技の時間が極端に少なくなったことも負担に感じていた。
第2時目からは,コンテンツを活用して本時の授業の目当てを一斉指導する際に,「生徒にイメージを持たせることができた」とコンテンツ活用の手応えをつかんだ。一方,保健体育の授業らしく,できるだけ実技の時間を確保しようと意識したが,生徒の多くがコンテンツの視聴やディジタルカメラの撮影に時間を取られる様子に不安を抱いた。【第2週のようす】
第4〜6時の第2週に入ると,授業でのコンテンツの効果以上に, ITに振り回され,実技指導が以前ほど行えていないことへの不安が増し,ITやコンテンツ活用を一切止めて以前の授業スタイルを取り戻すことにした。「これでいいのかな。本当にいいのかな。」とコメントしている。しかし,ITを使わなくなって,生徒から「何で」と聞かれ,「こどもはIT活用を楽しみにしていました。」とのコメントを残している。【第3週のようす】
第7〜9時の第3週目に入ると,「授業中は,教師がほとんどマットを巡視しているので子どもたちがノートパソコンやコンテンツを視聴してどんな言葉を発しているのかわからない。研究授業を見に来られた方がただ遊んでいると思われるのではないか心配」とコメントしていた。しかし,目当てをもって主体的に新しい技に挑戦できる生徒の支援はコンテンツに任せて,本当に教師の支援が必要な生徒へ集中して個人指導を行う授業スタイルへの転換していった。 ITの本来あるべき活用の姿となったと考える。マット運動の研究授業が11月18日に無事終了した後,「もし自分が生徒の立場で自分の授業を受けたらどうだろうと,日頃考えます。果たしていいのかな。他にもっといい言い方はなかったかなと考えます。」と謙虚なコメントをビデオに残している。コンテンツの入ったタブレットPCを小脇に抱え,「これからはICTの時代だ」と話されながら,職員室を出て体育館に向かうA教師の姿は,これから先の未来の授業を予言しており,実証実験の大きな成果の一つと考える。
日付 | 内容 |
10/31 | 準備について ステージにエバーマットを出しておけば,そういう面の不安がいっぱいある。 |
子供が変わったのがてき面に分かった。 | |
11/4 | いろんな技を選択させるから,専門じゃないの(器械運動の)で,指導者が側に付いておくべき技,子供たちに任せておいてよい技。どこに重きをおいていいのかわからない。原先生に,たずねたら,「ポイントだけ抑えたら放っておいてもいいですよ。」と言われた。でも,もしケガが起こったら,という点が引っかかっています。 |
ちゃんと課題を設定しながらやっているのでいいと思いました。ただ,十分前転後転の出来ない子たちには,どこが悪いからできないのか。そこはコンテンツにないので自分が指導しなければならないところ。 | |
先週の反省でどの場面でデジカメをつかって撮影して確認して, DRAGRIを活用しながらやっていくかというのが。子供たちがちょっと撮ったらすぐ持ってきてという風になっている。そのあたりを指導していかなければならないかなと思う。 | |
子供たちは初めてする技がある程度出来始めている。欲求がわいてくるのでどうしようか (研究授業まで時間があるので) | |
今はまだ,珍しいから( DRAGRIを)つつきますけど,どこまで探究心を持ってやるか。 次回は必修の技をやります。 | |
11/5 | 今日は開脚前転をしました。出来る子は放っておいてもできるけど。出来ない子を指導者としてできるようにさせてやりたい。出来ないグループに付きっ切りで,後はほったらかしでした。 |
ITを使わなくなって・・・・子どもに,何でと聞かれた。子どもは楽しみにしていました。 | |
11/17 | これでいいのかな。ほんとにいいのかな。 |
カメラを 2回撮って〜〜〜〜するとまとめの時間がちんちくりんになった。1回でよければ??? | |
桐野さんに藤本先生に支えられて。感謝感激雨あられ。 | |
授業中は,ほとんどマットを巡視しているので子どもたちがノートパソコンや DRAGRIを見てどんな言葉を発しているのか分からない。研究授業を見に来られた方がただ遊んでいると思われるのではないか心配。 | |
デジカメ撮影をどんどんしてその中の一つを使って,「ここがこうだからこうして。 DRAGRIで見ておいで」という風にすると,改善点をより確認できる。できかけたという喜び・達成感を感じることができたら,OK。 | |
富士通の方にお願いしたら電子情報ボードの設定を直してくれて,ほっとした。 | |
タブレットはあんな使い方でよかったんだろうか。わざわざ向こうまでいかんでもいいから。あれを使わせていただいて・・・。マイクロカメラは使いたくない。タブレットはいいです。時間は短縮できるし,すぐ自分の手元で出せて確認できるし,指示できる。とってもいいです。 | |
10台のノートパソコンはなくても,デジカメと電子情報ボードだけでいいです。 | |
持ってこられたときにタブレットはう〜んと思ったけど,マットの側に運んで手元で操作できるから,ラッキーです。電子情報ボードは止めれるし色が書ける,タブレットは書くことが出来ると最高。(ほかのソフトを立ち上げればできるけど)明日は無理です。 | |
もし自分が生徒の立場で自分の授業を受けたらどうだろうと,ときどき考えます。果たしていいのかな。他にもっといい言い方なかったかなと考えます。 | |
11/20 | 多くの生徒の前で出来ないからやりたくないとかどうせやってもできんもんとか,引っ込み思案になってしまう。小学校で出来なくても,中学校にあがって段階を追ってコンテンツを使っていろんな角度からやってみて,できるようになった喜びというのは一生忘れないと思う。喜び,達成感,いろんな場面で感じることが出来てくれたらたら,おとなになっても,続けてやっていこうとする。親になったとき,「できんかったけどこうやったらできるようになる」という,子育てにもつながるものがある。直面したらそこから遠回りしてもやらずに済ませようという将来の自分の子供に対しての。 |
次の授業は発表会だから,急いで準備をして努力をたたえあおうといって授業に望んだ。今日は準備は速いし,自分が今までやっていなかった技を練習したり,言葉だけのアドバイスでミックスしたわざを作ったり,いろんなことをやりだした。視覚で訴えるのは大きいんだなぁ。積み上げてきたものの大きさはとっても感じました。子供の様子,顔色,表情を見てもとっても大きな成果があったと思います。 | |
逆にこれで終わってしまうんかなぁ。さみしいなぁ。もっともっとやりたいという思いに変わりました。 | |
1台のパソコンでもいいから使って跳び箱で2,3年生に使っていきたいと即感じました。 | |
ほんとにDOSパソコンしか使ったことしかないし,それは自分の思うように使いこなせるし,新たに新しいコンピュータに慣れるまでに時間がかかる。テスト,生徒指導,進路指導関係の文書を作るにしても時間がかかる。今までの方が速い。新しいのはまたそのうちすればいいわと思ってDOSパソコンを使い続けてきた。 | |
慣れるのが大変。 | |
時間がもったいない。放課後は部活もあるし,授業ノートのこともあるし,そんなことに時間をかけたくなかったのが本音だった。新しい機材に飛びつくことをしなかった理由。 | |
慣れたら,逆にDOSパソコンの使い方を忘れたりすることもある。これからはパソコンを使ってやがては今年度中にはDOSパソコンは廃棄したい。 | |
とことん使いこなせるように正面から体当たりして行こうかなという思いに変わってきています。学校では一番コンピュータが使えないのが私だと思います。だけどこれからは最先端を走ってやろうと,とっても意欲がわいてきました。 | |
自分がある程度,コンテンツのモデルにより近い演技ができるから,自分で見本を見せたりできるので見せていた。それがクリックするだけで,簡単に見せることができるから,これからの授業は自分もできるけど,コンテンツを活用することによって,より中身の濃い子どもにインパクトの強い受け止め方をしてもらえる授業が出来ると思います。いままでの授業スタイルを崩さずに,取り入れながらめいっぱい膨らませた授業ができるかなと思っています。 | |
Q:教員の面白みを消すのではないかという不安はありましたか? A:それはありました。 |
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ただこれを使わないといけんと思い,活用しなければという思いが強くて,自分を見失いかけたから,自分でそれが分かった。こりゃいけん。やっぱり原点に返らなければと思った。山本五十六流の教育方針で。 | |
僕は欲張りだから, 2年生にも3年生にも同じ環境で授業をしてやりたい。こんなにすばらしいのもがあって,授業がより充実する。すばらしい。 | |
毎年のように出来る子はいいけど出来ない子に付きっ切りで,これは出来るようにしてやりたいという思いがあってそれが強ければ強いほど,子供との距離が広がっていく。それがなかった。できない子できる子も最後の授業まですべての子が,あきらめもせず,なげやりにもならずとことん最後までやりました。それが一番うれしかった。 | |
いろんな練習の過程とかコンテンツとか,コンテンツ撮影に立ち会いながら協議して,あの時間とできあがったものと使ったらこんなにすばらしい授業ができるんだなぁと感じました。 | |
広めていきたい。どんどん。特に器械運動。 | |
指導主事のような存在に思えてきて,コンピュータはプロフェッショナルで,心強かった。逆にどうでしょう?とたずねたり,コンピュータを活用しながら,どういう風に授業をもっていくか迷って桐野さんにたずねたら,的確なアドバイスが返ってくるし,逆に「こんな使い方をしたらどう?」キャッチボールできたから,それがものすごく大きかった。 | |
顔見知りになれて出会えて,情報教育センターは前は特別な場所というイメージを持っていた。気軽に分からなかったことは「教えてください」と聞きにいけるようになった。積極的に時間が合えば,吸収したいなと思うようになった。使えん僕が 180度変えることができたというのは自分にとってもすごかった。 | |
機会を与えてくださった前田先生に感謝。毎回桐野さんと授業を共にすることができて,桐野さんに感謝。感謝感激雨あられ。桐野さんの存在は本当に大きかった。藤本先生のアドバイスやご指導いただいたことが大きかった。 | |
多くの人に支えられて,励まされて,教えられてできてよかった。僕の教員人生の中で。数週間は宝物です。 | |
これでどんどんIT活用の授業が進んでいくでしょう。逆にこれで終わったからいいかというかどちらかでしょう。少なくとも私はこれからです。単純な人間だからあまりいい表現はできんけど。 | |
最初いやでいやでしょうがなかった。どうしようかと悩んでいた。でもやってよかった。もっともっとやりたいと思える。自分でも驚きです。 | |
最終的にはノートパソコン・スマボ出して準備するのが楽しみ。生きがい・喜びになっていました。今日はよしやるぞというエネルギーになっていました。 | |
変われば変わるもんだなぁ。とつくづく思いました。一生懸命がんばって,体験できた喜びが味わえた。努力次第で工夫次第で出来るようになるということが器械運動で分かってほしかった。勉強でもいろんなことでもなんでもやればできる。最後までやることの大切さを学んでほしい。分かってほしかった。占めの言葉を投げかけてやったんですけど。 |
(3) 情報教育の目標評価
情報教育の平成 14年度の実証授業では, 見方・考え方を付加情報としたコンテンツを活用して,見方・考え方をとりあげた授業展開 により子供たちの心を熟成させることを明らかにできた。しかし,心も育つ理科コンテンツ等ICT活用による授業で,情報教育の目標をどの程度達成できたか評価するには至らなかった。今年度は, 10月15日から1ヶ月間の御津町立御津中学校での実証授業で情報教育の目標の評価を試みた。
- 被験者の実態とアンケートの内容
御津中学校第1学年の生徒は,素直で熱心に学習に取り組むことができる反面, 級友の前で自分の考えを進んで発表することにとまどう生徒が多い。そこで, 表現力・コミュニケーション能力・態度の状況を 今回の実証授業の前後で調査して, 評価・分析することにした。
質問内容は,表 13に示す。質問 14〜18 は,1. 自分一人でできる 2. 手伝ってもらったらできる 3. できない の3肢選択,その他は,1. いつもそう 2. ときどきそう 3. ほとんどないの3肢選択とした。
- 活用結果
前調査は,平成 15年10月28日,後調査は12月22日に19質問のアンケートを実施した。その結果を因子分析して,5つの因子を抽出した。抽出したこれらの因子は,アンケート内容から,因子1は質問番号 12,13,14 で「情報機器活用態度」,因子2は質問番号1 , 2 , 3で「積極的発表態度」,因子3は質問番号9 ,10,15 で「発表資料作成態度」,因子4は質問番号5 , 6 ,16 で「受け手の立場に留意する態度」,因子5は質問番号8 ,19 で「わかりやすく伝える態度」を表していると考えられる。
因子1〜5について,前調査と後調査の集計結果を検定したところ,表 12にPeasonのX2 値を示したとおり, 10 %の危険率で有意差が認められたのは,因子1「情報機器活用態度」で前調査より後調査の方が上昇した。
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質問番号 | X 2 値 | 有意差(危険率) |
因子1 「情報機器活用態度」 | 12,13,14 | 5.363 | 10 % |
因子2 「積極的発表態度」 | 1 , 2 , 3 | 1.074 | 有意差なし |
因子3 「発表資料作成態度」 | 9 ,10,15 | 3.987 | 有意差なし |
因子4 「受け手の立場に留意する態度」 | 5 , 6 ,16 | 3.009 | 有意差なし |
因子5 「わかりやすく伝える態度」 | 8 ,19 | 0.243 | 有意差なし |
「でじこんマスターへの道2.」は,約 17,000 件の教育用素材集からヒントのキーワードをもとに検索して目的のディジタルコンテンツを探し出すというクイズ作りである。生徒はこのクイズ作りを通して,コンピュータやディジタルコンテンツに慣れ親しみ因子1「情報機器活用態度」が上昇したと考えられる。
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(4) 岩石・鉱物の広場の授業評価
倉敷市立福田中学校の第1学年の生徒は,特別活動の時間に「身近な職業調べ」を行っている。生徒の身の回りの大人には,商店や飲食業の他,工業の従業員として働く方は多いが,科学者に接したことは全くない。 「岩石・鉱物の広場」では,最も多くの新鉱物を発見している科学者の見方・考え方を付加情報としたコンテンツを活用して,科学者のイメージがどのように変容したか,また科学者の見方・考え方にどの程度共感しているかを,表 14に示すアンケートを作成して調査した。
前調査は,平成 15年1月13〜14日,後調査は1月23日に表14のアンケートを実施した。その結果を因子分析して,6つの因子を抽出した。抽出したこれらの因子は,アンケート内容から,因子1は質問番号16,22,23,27で「石への興味関心」,因子2は質問番号3,7,9,25で「わかることの大切さ」,因子3は質問番号10,11,12で「嫌忌避心」,因子4は質問番号17,18で「探究心」,因子5は質問番号5,6,21で「科学者のマイナスイメージ」,因子6は質問番号13,20で「岩石のとっつきにくさ」を表していると考えた(表15参照)。
表 16にPeasonのX2 値と有意差の有無を示す。図47〜49は,前調査と後調査との間に有意差が認められた因子をグラフ化したものである。因子1〜6について,前調査と後調査の集計結果を検定したところ有意差が認められたのは,因子1「石への興味関心」,因子2「わかることの大切さ」,因子4「探究心」,因子5「科学者のマイナスイメージ」であった。
岩石・鉱物の広場アンケート
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質問内容 ※( )内の数値は,因子負荷量 | |
因子1 | 「石への興味関心」 |
16.石をみると「この石はどのようにしてできたのかなあ?」と思う。(0.543) 22.石や鉱物を採集に行ってみたい。(0.691) 23.石の勉強はおもしろい。(0.720) 27.石や鉱物のできかたを知りたい。(0.704) |
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因子2 | 「わかることの大切さ」 |
3 .科学は生活の役に立っている。(0.530) 7 .わからないことをわかるようにすることはすばらしい。(0.677) 9 .わからないことをわかるようにしたい。(0.573) 25.人のアドバイスを聞くことは大切だ。(0.502) |
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因子3 | 「嫌忌避心」 |
10.きらいなことはやらない方がいい。(0.849) 11.好きなことだけをやるべきだ。(0.825) 12.興味のないことはしない方がよい。(0.664) |
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因子4 | 「探究心」 |
17.岩石や鉱物は地球の生い立ちを知る手がかりだ。(0.638) 18.「どうして?」と思うのは楽しい。(0.550) |
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因子5 | 「科学者のマイナスイメージ」 |
5 .科学者は暗い。(0.707) 6 .科学者はこわい。(0.693) 21.科学者はきらい。(0.530) |
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因子6 | 「岩石のとっつきにくさ」 |
13.石を好きになるには時間が必要だ。(0.575) 20.岩石に興味はない。(0.429) |
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質問番号 | X2 値 | 有意差(危険率) |
因子1「石への興味関心」 | 16,22,23,27 | 41.062 | 0.1 % |
因子2「わかることの大切さ」 | 3,7,9,25 | 10.862 | 5% |
因子3「嫌忌避心」 | 10,11,12 | 2.526 | 有意差なし |
因子4「探究心」 | 17,18 | 16.406 | 0.1 % |
因子5「科学者のマイナスイメージ」 | 5,6,21 | 40.315 | 0.1 % |
因子6「岩石のとっつきにくさ」 | 13,20 | 4.421 | 有意差なし |
【興味関心の高揚】
因子1「石への興味関心」が有意に上昇したのは,学習前には岩石・鉱物に親しんだ経験のない生徒が多いが,美しい鉱物や偏光顕微鏡で岩石の組織を観察することを通してその魅力を感じた生徒が多かったと考えられる。【見方・考え方のモデリング】
因子2「わかることの大切さ」,因子4「探究心」はいずれも草地教授が見方・考え方コンテンツの中で取り上げていた内容である。生徒は草地教授の見方・考え方に共感しモデリングしているといる。これらの因子が有意に上昇したことは,見方・考え方を付加したコンテンツを活用する授業は,中学生にも有効であるといえる。【科学者への理解】
因子5「科学者のマイナスイメージ」は,有意に払拭された。これは,生徒にとって遠い存在であり,暗い,あぶないといったマイナスのイメージで捉えていた科学者を,この草地教授の見方・考え方コンテンツにふれることで身近に感じることができたと考えられる。
(5) システムエンジニア実働時間削減のための検証
昨年度,機器の不具合対応,操作技術の問題から開放され,安心して授業に専念する事が出来るようシステムエンジニアを配置したが,本年度も同様な効果の必要性からシステムエンジニアの配置を行った。このなかで,「いかにシステムエンジニアの実働時間を削減するか」を検証した。
- 工夫点
図50 環境調査表 ディジタルコンテンツを使用した授業を行うための事前環境整備に必要な環境調査表を作成した。(図50参照)
この調査表は,現在のPC教室環境状態を入力するように作成しており,条件にあったものを選択できるようにした。また,現在の状態がどの程度の環境整備率なのかを表示するようにし,何が学校に足りないのかを分かるように作成した。これを事前に教員の分かる範囲で記入してもらう事により,現状の環境を知る事が可能になり環境設定当日に必要な機材・ソフト等を準備する事や作業項目・効率的な作業手順の洗い出しが可能となった。これにより,作業の手戻りが少なくなり結果として,システムエンジニアの実働時間・コストの削減につながった。
- 実働時間の比較
今年度は,研修パッケージの開発の結果,昨年度に比べ低コスト化が図られた。
以下に実例をあげる。
OS環境事前調査表の導入に伴い,昨年度に比べ作業の手戻り,2度手間等が防止でき,以下のような結果が得られた。
昨年度SE稼動時間 (西大寺南小学校) 本年度SE稼動時間 (御津中学校) 環境整備 43H 34H ※クライアントOSは,いずれも Windows9X系OS。クライアントマシンスペックは,同等レベル。
※インターネット回線速度は,西大寺南 UPLINK:光接続,御津中学校UPLINK:ADSL接続
- 更なるコスト削減のための改善案
各学校の環境調査表をみると Windows Updateの適用やMedia Playerの最新版のインストール等ディジタルコンテンツを閲覧するための必要最低限の環境整備が出来ていない事が明らかになった。これらの原因として,数十台ものパソコンにパッチを適用できるほどの時間と高速インターネット回線が無いなど人員面とインフラ面などの問題が挙げられる。また,WindowsNT系のOSを使用している学校を見ると,プロファイルの設定等適切な設定がなされずに使用されている事もあり,教員によるメンテナンスの足かせになっている。
このような環境であるため,まだまだ,システムエンジニア等の環境整備専任人員が必要となるのが現実である。しかし,セキュリティパッチの一斉適用が可能な端末の集中管理ソフト,環境復元ソフトの導入等メンテナンスに有用なソフトウェアがある事から,予算の問題がクリアできればこういったものを利用する事でもシステムエンジニアの実働時間の削減につなげられると考える。
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