(a)事前調整
両校の6学年はテレビ会議システムを活用した遠隔共同学習をこれまでに2回ほど実施している。2003年6月12日(水)には、国語「短歌と俳句」の学習のまとめとして、両校の児童の作品を鑑賞しあった後、意見交流を行った。11月7日(木)には、「ドッジボール大会をしよう」という議題で共同学級会を実施し、11月12日(火)に可愛小学校体育館でドッジボール大会を実施した。今回は、3回目の遠隔授業ということで、児童たちは再会楽しみにしていた。また、両校の児童の中には、社会教育(吉田少年自然の家主催事業)、社会体育(ソフトボール)や地域活動(神楽)等で、一緒に活動した経験を持っている児童がおり、事前に多少の人間関係が形成されていた。また、卒業生のほとんどが、吉田町立吉田中学校に進学するということもあり、両校の児童は、同じ中学校に進学する将来のクラスメートとしてお互いを見ている。
(b)事前テスト
両校は、安芸たかた広域ネットワークにより公称100Mbpsの光ファイバー回線が敷設されている。6月の国語の授業実施時に帯域測定を実施したところ、約96Mpbsの実効速度が計測されている。1月21日に実施した事前テストでもMPEG2TSシステムが稼働することを確認した。ただし、今回の通信テストでは予定以上の時間がかかった。
授業風景は別紙【添付資料3】を参照のこと。
日時 | 平成15年1月22日(水)9:40〜10:50 | ||
授業名 | 遠隔授業 遠隔ディベート 小学校6学年国語「学級討論会をしよう」(光村図書出版)の学習における高品質動画伝送システムの活用 |
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実施場所及び 参加者 |
郷野小学校 2階コンピュータ室 |
玉井教諭、6年生児童15名 | |
可愛小学校 1階コンピュータ教室 |
飯田教諭、6年生児童23名 | ||
授業実施内容 | |||
郷野小学校 | 可愛小学校 | ||
9:40 | 担当者の児童が挨拶を行った。 また、玉井教諭が挨拶及び授業の趣旨説明を行った。 |
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9:42 | 玉井教諭が、今回の授業では2つのテーマに基づいて討論を行うこと、1つ目の討論テーマが「デジタル時計がいい」であることを説明した。 | ||
9:43 | 司会進行役の児童が挨拶を行った。 まず肯定グループ(可愛小)から意見を述べることを説明した。 |
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9:43 | 担当の児童が、デジタル時計がよいという理由を述べた。 ・数字で表しており分かりやすい。 ・アナログ時計は曖昧なところがある。 |
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9:44 | 司会進行役の児童が、否定グループ(郷野小)は質問を考える話し合いに入るよう求めた。 また、話し合う時間は2分間であることを説明した。 さらに、可愛小・郷野小のタイムキーパー役の児童に時間を計測するよう依頼した。 |
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9:44 -9:46 |
【話し合い】 | ||
9:46 | 代表者の児童が質問を述べた。 ・肯定グループの人は、10秒、20秒のことを気にして生活しているのですか。 |
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手をあげた児童が質問に答えた。 ・デジタルの場合、ストップウォッチのように使用できるので、走るタイム等を計測でき便利だと思います。 |
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9:48 -9:50 |
【質問と答えが上手くかみ合わないため、両校とも話し合いを行った。】 | ||
9:50 | 代表者の児童が、先程の質問をもう一度投げかけた。 | ||
手をあげた児童が質問に答えた。 ・別に10秒、20秒を気にしているわけではないが、例えば何かを計測するときにストップウォッチ等の機能があれば便利だと思う。 |
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9:51 | 司会進行役の児童が、次は否定グループが意見を発表するよう求めた。 | ||
9:51 -9:53 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・デジタル時計にはできず、アナログ時計にはできることがたくさんある。 ⇒花時計や火時計がある。 ⇒長持ちする。 ⇒鳩時計などバラエティに富んでいる。 ⇒デジタル時計だと読まないといけない。 ⇒アナログだと今何秒かがわかる ⇒13時などの表示がわかりにくい。 ⇒アナログの方が5分、10分という区別がつきやすい。 |
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9:53 | 司会進行役の児童が、肯定グループは話し合いに入るよう求めた。 | ||
9:53 -9:55 |
【話し合い】 | ||
9:56 -9:57 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・デジタル時計ではAM/PMを表示できるので、わかりにくいということはない。 |
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手をあげた児童が答えた。 ・お年寄りにはわかりにくいと思う。 |
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代表者の児童が意見を述べた。 ・11時、13時という表示の方が、朝なのか夜なのか判別がつきやすい。 |
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9:58 -10:00 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・日常生活、時計の価値を気にして使用しているのですか。 |
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手をあげた児童が答えた。 ・貧しくなって時計を売らなくてはならないときには役立つので、たまに時計の価値を考えます。 |
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10:00 | 司会進行役の児童が、最後の主張を考える話し合いに入るよう求めた。 | ||
10:00 -10:02 |
【話し合い】 | ||
10:03 | 代表者の児童が意見を述べた。 ・日常生活では10秒、20秒のことは気にしていないが、針よりデジタルの方がいろいろなことに活用できる。また、正確に時間をみるのはデジタルの方が適している。 ・やはりデジタルの方がいいと思う。 |
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10:04 -10:06 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・デジタルは電池を使うため、環境汚染にもつながる。 ・太陽電池を使用しても、電池には寿命があるため、結局は廃棄する際にかなりの電力を消費してしまう。 ・アナログ時計は、遠くから見たときも時間を知ることができる。針の方が大体の時間がわかり便利である。 ・液晶は斜めから見るとわからない。 |
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10:06 -10:10 |
手をあげた児童が意見を述べた。 ・針の場合、正確な時間がわかりにくいが、デジタルなら正確に時間を見ることができる。 ・37分などの微妙な時間も正確にわかる。 ・ストップウォッチ機能等もあり便利なため、デジタルの方がよい。 ⇒可愛小は5対0で、デジタル肯定グループに賛成します。 |
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10:11 | 玉井教諭が、郷野小側は討論の際の「声の大きさ」「意見の言い方」といった観点で、郷野小、可愛小の討論を評価する旨を説明した。 | ||
10:11 -10:15 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・両校とも声が大きくて良かったが、否定グループは意見を述べる際に、言葉使いが悪くなったので、肯定グループの方がよかったと思う。 ・否定グループの方が意見を多く述べたが、早口でわかりにくかった。 ⇒郷野小は肯定グループ、否定グループへの各賛成意見は3対3です。 |
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10:16 | 司会進行役の児童が、1つ目のテーマが終了したことを確認した。 | ||
10:17 | 玉井教諭が、可愛小の児童も発表者の声の大きさ、話し方、といった観点で評価するよう求めた。 | ||
10:18 -10:19 |
【座席の移動】 | ||
10:20 | 司会進行役の児童が、2つ目の討論テーマが「朝食はごはんがいい」であることを確認した。 | ||
10:21 | 代表者の児童が意見を述べた。 ・ごはん一杯よりパン一枚の方が高い。 ・ごはんは家で作るので安心して食べることができる。 ・ごはんの方がパンよりも食べ合わせが多く、栄養をバランスよく摂ることができる。 |
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10:21 -10:23 |
【話し合い】 | ||
10:23 -10:28 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・必ずしもパンの方が高いとはいえない。 ・いつもごはんばかりを食べているのですか。 |
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手をあげた児童が答えた。 ・主にごはんを食べている。 ・17人の児童が、朝食にごはんを食べている。(全23人) |
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10:29 | 代表者の児童が意見を述べた。 ・パンの方が気軽に食べることができ、調理が早い。 ・アレンジが豊富で、お菓子やごはんにもなる。 ・パンは種類が多い。 ・和食風にも洋食風にも料理できる。 |
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10:30 -10:32 |
【話し合い】 | ||
10:32 -10:36 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・気軽に食べることができるのは、買ったパンに限定される。家で気軽に作ることはできない。 ・ごはんにもいろいろな調理方法がある。 ・パンばかり食べていると栄養が偏る。 |
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代表者の児童が答えた。 ・グラタンにするなど、パンの方が調理方法はたくさんある。 ・ごはんは炊かなければ食べられず、食器も必要になるが、パンはそのまま食べることができる。 |
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10:36 -10:38 |
【話し合い】 | ||
10:39 -10:40 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・パンは気軽に食べることができるが、栄養が偏る。 ・パンを作るより、ごはんを炊く方が手軽にでき、栄養も摂ることができる。 ・よく噛むと脳の働きも良くなる。 ⇒やはりごはんの方が良いと思う。 |
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10:40 -10:41 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・ごはんばかりでも栄養が偏る。 ・フランスパンなど固いパンを食べることであごが強くなる。 ・パンはラスクなどのお菓子にもなる。 |
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10:42 -10:45 |
手をあげた児童が意見を述べた。 ・味噌汁や魚を食べ合わせれば、栄養は偏らない。 ・声は大きくはっきりしていたし、ごはん肯定グループの方が、説得力があった。 ⇒ごはん肯定グループ、パン肯定グループへの各賛成意見は、3対2です。 |
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10:45 -10:48 |
代表者の児童が意見を述べた。 ・ごはん肯定グループは説得力があり、言葉使いが良かった。 ・パン肯定グループは大きな声でゆっくり話し、分かりやすかった。 ・ごはん肯定グループは、最後の主張の際に笑いながら話していたので、パン肯定グループの方が良かったと思います。 ・ごはん肯定グループは、質問に答える際に声が小さかった。 ⇒パン肯定グループ、ごはん肯定グループへの各賛成意見は、5対0です。 |
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10:50 | 司会進行役の児童が、最終結果としてパン肯定グループ、ごはん肯定グループへの賛成意見が、7対3であることを確認した。 また、2つ目の討論が終了したことを確認し、全員で礼をした。 |
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10:50 | 玉井教諭が授業の感想・お礼の挨拶を述べた。 | ||
飯田教諭が授業の感想・お礼の挨拶を述べた。 代表者の児童が授業終了の挨拶を行った。 |
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10:50 | 授業終了 |