4.実施授業・交流



(C)ネットワーク構成図

ネットワーク構成は別紙【添付資料12】を参照のこと。


(D)教室レイアウト

レイアウト図は別紙【添付資料21】を参照のこと。

郷野小学校 児童全体と司会進行の2画面を相手に送信するため、2台のデジタルビデオカメラとビデオミキサーを用意した。また、木造の床のため、マイクスタンドの下に布をひき、雑音が入らないようにした。
可愛小学校 児童全体と司会進行の2画面を相手に送信するため、2台のデジタルビデオカメラとビデオミキサーを用意した。音声出力はテレビのスピーカーを使用した。

(E)サポート体制

事前テスト
郷野小学校 玉井基宏(郷野小学校:担当教員)
柴田賢史(内田洋行:機材設置)
可愛小学校 飯田直美(基町高校:担当教員)
武田考正(内田洋行:技術支援)
雑賀淳(内田洋行:機材設置)
交流本番
郷野小学校 玉井基宏(郷野小学校:担当教員)
柴田賢史(内田洋行:交流記録)
可愛小学校 飯田直美(基町高校:担当教員)
武田考正(内田洋行:技術支援)
雑賀淳(内田洋行:交流記録)

(F)児童の感想

郷野小学校
テレビ会議を使う授業の良い点
1 他の学校の人の意見が聞けるから。
2 ちがう学校の人の意見もきけるから。
3 他の学校の人の意見が分かるから。
4 ほかの学校の人の考えが分かるから。
5 いろいろな人の考えがきけるから。
6 ちがう学校の人と話ができるから。
7 他の学校の人と話ができるから。
8 いろんな人と話せるから。
9 ほかの学校の人たちとしゃべれるから。
10 ほかの学校の人と友達になれるから。
11 ふつうの授業より楽しいから。
12 楽しいから。
13 別にない。
14 テレビ会議の授業の方がほうが楽しくできるから。
テレビ会議を使う悪い点
1 ふだんの授業のほうがわかりやすいから。
自由感想
1 ディベートをして、可愛小は意見とか、すごく具体的に言っていて、とても強かったけど、一緒にディベートが出来て、楽しかったです。でも、一回目の時は、私は何とも言えなかったのでそこは、もっと意見を言えばよかったと思いました。次にやる時は、もっと大きい声でしゃべりたいと思います。
2 今日のディベートでよかったことは、みんなちゃんと発表をしたのでよかったと思います。今まで可愛小との交流をして一番楽しかったのはドッチボール大会です。なぜかとゆうと、ちょくせつ話ができるからです。
3 今日、可愛小の人と、テレビ会議(ディベート)をしました。初めて、パソコンを使ってディベートをしたので、ちょっときん張しました。あまり大きな声でいえなかったので、こんどからはもうちょっと大きな声でいいたいです。次は、ディベートいがいのものならなんでもいいです。
4 一月二十二日きょうは、可愛小学校とテレビ会議でディベートをした。可愛小学校の人の考えがよくわかった。今回は三回目なのでそんなにきん張はしなかったが、東京からも人がきていたので、きん張しなかったわけでもない。今度は、クイズ大会がしたいと思う。(テレビ会議)で。そしたらもっともり上がるとおもう。
5 わたしは可愛小とテレビ会議を三回しました。一回目ははいくの授業、二回目はドッチボール大会の学級会、そして三回目は今日のディベート。今日のディベートは楽しく授業をできました。可愛小の人とふれ合えたのでよかったです。言う時はすごく緊張しました。他の学校の人の意見が聞けたのでよかったです。私はテレビ会議で算数の授業をしたいです。
6 一月二十二日に、パソコンを通して、可愛小学校の六年生とテレビ会議(ディベート)をしました。いままでも、何回かテレビ会議をしていたけどディベートは今回が初めてでした。けど、一番よかったと思います。何がよかったかたというと、一つ目は、発表をする人は、一人だったけど、みんな(一人一人)が考えたことを発表していたからです。二つ目は、ふだんは、クラスでしかしないから、ほかの学校の人の意見、考えがちがうからいろいろな考えが分かるからです。そして、こんどまたするなら、今日みたいにディベートをしたいです。ほかの人の意見をたくさん聞いて、それを参考にして、考えたり、発表したりしたいです。できればまた意見のやりとりをしたいと思います。
7 わたしがこのテレビ会議でよかったと思うのは、ふだんしている討論会よりはんいがひろまり、可愛と討論会ができたことです。可愛小の人は、声もよく出ていて、わかりやすかったです。郷野もいつもはあまり発表しない人もせっきょくてきにいっていました。次はクイズなどをしてみたいです。
8 今日は、テレビを使って可愛小の六年生と討論会をしました。その時、一番楽しかったことは、郷野小で、でてない意見を可愛小の人が、発表したからです。よかったことは、時間が守れた事や、言葉づかいです。もっとこうしたらよかったというのは、声を大きくし、はっきりしゃべればよかったです。こんごは、手紙こうかんをやってみたらいいと思いました。
9 ディベートをして、可愛は強かったけど楽しかったです。みんな一回はしゃべれたし声がよく出ていました。一回目のディベートはむずかしかったけど、がんばってやっていました。二回目のときわたしは、否定がわにいました。ちょっときんちょうしたけど、自分が言うことは、ちゃんと言えたのでよかったです。次にするなら、音楽の勉強とかでいっしょに歌をうたったりしたいです。
10 可愛小学校の六年生と、討論会をしました。可愛小学校の人とやって、私はもうちょっと声を大きくすればよかったと思いました。可愛小学校の方では、しゃべってない人がいたので、もし、今度やるならしゃべってほしいと思っています。今度やる時は、違うのがいいなと思っています。
11 今日可愛小とディベートをした。可愛小の人は言葉はっきりと分かりやすくしゃべっていたので聞きとりやすかったです。郷野も可愛もみんなそれぞれ主張していたのでよかったです。ぼくは両方とも聞きてなのであまり主張はできなかったけどこんどまた機会があれば主張していきたいです。またテレビ会議をしたいです。
12 今日、可愛小学校の六年生と、郷野小学校の六年生で、ディベートをしました。私は、大きな声で意見が言えたのでよかったです。可愛小学校の六年生も、大きな声で意見を言っていました。ちょっときん張したけど、なかなかおもしろかったです。次にやる時は、もう少し分りやすく説明をしたいと思います。
13 今日のテレビ会議では可愛小の人たちの意見のうまさにおどろきました。言い方がよかったです。あと聞き手の人の言い方が郷野と可愛で違ったので最初から決めおけばよかったです。なんとなくもうディベートはやりたくない。
14 ディベートでみんな発表していたのがよかった。でも聞き手の人のやり方がちがっていてこまった。今度やるならやり方を合わした方がいいと思った。今まで一番よかったテレビ会議は、人の俳句のいいところを言ったテレビ会議。なぜよかったかというと、みんな発表できて、いいところだけをいいあえあたから。
15 今日のディベートでよかったことは、映像が固まることがなかったことです。前までは映像が固まってやりづらかったけど、今日は映像固まらなかったからやりやすかったです。もっとこうしたよかった点は、やる前に、ドッチボール大会同様、打ち合わせをして、ルールを決めていればよかったと思います。次にとうろん会をするなら、郷野と可愛でよく話し合い、テーマやルールをきちんと決めてやればいいと思います。こんな授業をすればいいは、希望はありません。
可愛小学校
テレビ会議を使う授業の良い点
1 たくさんの人の考えが聞けるから。
2 自分とは違う意見もたくさん聞けるから。
3 他の学校の人と話したり、表情も分かるから。
4 他校の意見を聞くことができる。
5 いつも同じ仲間で授業をするより、他の学校の人とやると仲もよくなったりする。
6 いろんな学校とのふれあいが高まると思う。
7 いろいろな人と交わりを持てる。
8 テレビ会議だと、相手の顔を見て話せるし、いろんな意見などいえるから。
9 他の学校の人と勉強をするのは楽しい。
10 他の学校とテレビ会議をすると、楽しく勉強できる。
11 仲よくなれる。
12 テレビ会議を使うと、いろいろなことができる。
13 普通の電話だと顔が見えないけれど、テレビを使うと顔が見れる。
テレビ会議を使う悪い点
1 テレビ会議だと、音がたまに変になったり、相手の言うことや考え方がよく分からないから。それならば、面と向かって討論会をしたほうがよいと思う。
2 テレビを使わず、実際に会ってやったら、声が小さくない限り聞こえるし、ちゃんと顔だってはっきり見れるから、覚えられる。
自由感想
1 郷野小の人と、身近で話をしているように思えてきた。
2 郷野小の人と仲よくなって、いっしょに中学校に行きたい。
3 テレビ会議を通して、人の前で堂々と言うことができるようになりました。
4 これからもこういう会議で、交流を深めていきたいです。そして、中学生になって仲よくやっていきたいです。
5 思ってもいなかった返事が聞けたので、こんな考え方もあったんだなあ〜と思いました。
6 テレビ会議は、相手の様子も見れるし、ちがう学校の人の声をみんなと一緒に聞くことができます。
7 相手の態度だってよく分かるから、やって楽しいと思いました。
8 郷野小とテレビ会議をするのは3回目だし、ドッジボールもしたので、まえよりなれていてやりやすかったです。
9 たくさん発表できてよかったです。でも、1つ残念なことがありました。それは、自分の言った言葉がどのくらいの大きさか分からないことです。今回のディベートは、たくさんの人の意見を聞けてよかったです。今度やるなら、もっと時間があったらいいな。またやりたいです。
10 また他の題で、郷野小とテレビ会議ができたらいいなと思いました。次にディベートをする時は、 声が遅れて聞こえないようになったらいいと思います。
11 今日のテレビ会議は、たくさんの意見を出していました。私達はとても言い返せないようなのを言ったのに、郷野小の人はどんどん言い返してきました。わたしはびっくりしました。もっと時間があれば、もっと続いてすごいことになったと思います。私は、もっとディベートをやりたかったです。すごく楽しかったです。
12 今回の討論会は、声が小さくてなんて答えたら良いのか、分からなかった。
13 わざわざ大阪と東京からきてもらってまでやったテレビ会議なのに、あんだけで終わらせてしまったのが無念です。もう少し時間を気にせずに伸ばしていきたかったなあと、あとあと思いました。でも、次にディベートをやるときは、実際に会ってやりたいです。
14 自分が言葉を言うと、山彦のように返ってくるので、意見を言うのに言いにくかったです。例えば「なんで・・・。」と言うと、郷野のほうから「なんで・・・・」と聞こえてくるので、とても難しかったです。

(G)成果・課題

(a)教員の感想・評価

 授業後のアンケートを見ると、すべての児童が授業に対して好意的な感情を持っている。その理由として、他校(学級)の児童の意見や考えを聞くことができるかとか、話ができるということを挙げている児童が多い。これらの意見より、児童は他校の児童と関わりを持つことを望んでいること、そして、使用した高品質画像伝送システムは両校児童のコミュニケーションを十分に成立させたと考えられる。また、児童の意見交換を中心に授業が進む討論会(ディベート)形式を採用したことで多様な意見を相互に交換でき、児童の学習意欲を喚起するために有効であったと考えられる。


(b)課題

(1)教室

 ビデオカメラに自動露出の家庭用の製品を使うため、逆光になって児童の顔が暗く写らないようなレイアウトにすることを一番配慮した。今回は、3回目のテレビ会議になるため、前回までの経験を活かして理想的な教室レイアウトを実現することができた。
 テレビ会議では、一般家庭用として販売されているビデオカメラを利用することが多い。家庭用ビデオカメラの多くは、撮影範囲の輝度を平均することで自動的に露出を決定している。このため被写体と背景の輝度の差が大きく異なる場合、被写体が暗くなったり、明るくなり過ぎたりする。すべての教室は文部科学省の学校環境衛生の基準に示されている基準照度(200ルクス以上)を満たすため、教室の両側面に窓ガラスが設けられている場合が多い。そのため、液晶プロジェクターを使用する場合、教室が明るいと、映像をはっきりと投影することができない。将来的には、高輝度の液晶プロジェクターや露出調整機能をもつビデオカメラが導入されることが予想されるが、現状では、既存の液晶プロジェクターやビデオカメラを活用するために、教室の照度を暗幕でコントロールしている。
 今回の授業は国語の授業であり、児童はノートへのメモを取る必要があった。特に、郷野小学校では、コンピュータ教室が狭いため、児童用机を授業会場に搬入することができなかった。テレビ会議システムを活用した授業はいろいろな教科・領域等に取り入れられる可能性があるので、学校のあらゆる教室(普通教室、特別教室、体育館等)で広帯域ネットワークが活用できる設備が整備されることが望ましい。


(2)ネットワーク

 今回の授業の準備段階で、一番時間をとったのが、サーバ間通信の実現であった。昨年からの経験で、サーバのNICとハブとその対向の通信機器とのネゴシエーションに問題が起こりやすいことがわかっている。機器を移動するたびにこの問題が発生しており、技術的な面からの解決が望まれる。


(3)設備及び機材

<ビデオカメラ>
 前述で述べたように、家庭用のビデオカメラを教室内で使うと児童の顔が逆光になり相手に見え難いという問題がある。露出調整が可能なビデオカメラを試してみたい。
<マイク>
 郷野小学校の音声レベルが低く可愛小学校で聞きづらかった。マイクに入力感度調整のためのスイッチ(パッドスイッチ)がありこれが-8dBに設定してあったことが原因かもしれない。初めて使う機材(マイク)であったため設定に慣れていなかった。今回の授業で使用したマイクは、高機能であるが、音質切り替えフィルター(2種類)、指向性、感度調整のスイッチがある。いろいろな環境に対応可能である反面、設定が煩雑である。

4.サポート体制

 本プロジェクトでは、大学や内田洋行から人的支援を受けていることで実験がスムーズに進んでいる。
 例えば、2002年6月12日には、郷野小学校と可愛小学校との最初のテレビ会議システムを活用した授業を実施したが、この準備には3日間もかかった。具体的には、平常の学校の業務が終わったあとテレビ会議の準備をしたため、連日夜遅くまでの作業になった。授業は日中に行うが、準備は夜しかできなかったため、準備段階(夜)には問題なかったカメラの位置が、実際の授業時には、子どもの姿が逆光になってしまうという問題が発生した。教室のセッティングは、まずカメラの位置、次にスクリーンの位置、最後にマイクと児童の配置を決め、機器のセッティングを固めていくという順番で行うのが効率的であるが、これを授業担当者(教諭)だけで行うことは難しい。テレビ会議システムを常設した部屋がない現状では、外部からの支援があることで授業準備をスムーズに進めることができる。なお、MPEG2TSサーバは、開発段階にあるため操作にはUNIXの基礎知識が必要である。サポート人員は、UNIXの基本操作に習熟した人員がいることが望ましい。今回の授業では、内田洋行から3名のサポートが得られため、昼間のうちに教室セッティングを行うことができ逆光を配慮した教室セッティングを行うことができた。また、UNIXの基本操作ができる人員が2名いたためネットワークサーバの調整も効率よく進めることができた。




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