5.調査・分析



5.5 教員(担当者)アンケート調査

5.5.1 実施概要

本プロジェクトの担当教員にシステムや授業構成に対するアンケートを実施した。アンケート数は13である。

実施日時・方法 各授業・交流実施後電子メールにて回答をして頂いた。
実施対象 遠隔ディベート 玉井教諭(郷野小学校)
  高大連携遠隔授業 I(理科) 平賀教諭(広島大学附属福山中・高等学校)
  高大連携遠隔授業 II(美術) 難波教諭(基町高等学校)
  隣接学校間交流 前田教諭(白島小学校)
難波教諭(基町高等学校)
  国際遠隔交流・授業 II(アメリカ) 杉浦教諭(井口明神小学校)
  国際遠隔交流・授業 II(タイ) 森保教諭(南観音小学校)
  遠隔合唱 I(3地点) 森保教諭(南観音小学校)
前田教諭(白島小学校)
難波教諭(基町高等学校)
  遠隔合唱 II(2地点) 森保教諭(南観音小学校)
  遠隔金管合奏 森保教諭(南観音小学校)
難波教諭(基町高等学校)
調査内容 教員(担当者)アンケート【添付資料46】

5.5.2 調査結果

<1.高品質映像・音声伝送システムを利用した教室環境についてお尋ねします。次の評価にてお答え下さい。>〔人〕

  よくできた どちらかといえばできた どちらかといえばできなかった できなった
1-1) 教室内の照度は適切に調整できましか。 13 0 0 0
1-2) 機材の位置は適切に設置できましたか。 11 2 0 0
1-3) 児童・生徒の位置は適切に配置できましたか。 9 4 0 0




<2.高品質映像・音声伝送システムどのようなセットアップを行いましたか。>


その他
1 事前にネットワークが通じているか確認した。
2 伝送映像カメラ操作、遠隔地のシステム操作。

<3.高品質映像・音声伝送システムのトラブル時の対応についてお尋ねします。>
3-1.交流・授業中にシステム的なトラブルが発生しましたか。〔人〕

はい           4
いいえ  9


3-2.3-1)で「はい」とお答えになった方にお尋ねします。どのようなトラブルが発生し、どのような対応を行いましたか。

高大連携遠隔授業 I(理科)
1 画像がしばしば止まった。:プロセスの再起動(オペレーター)音声が止まった。:MPEG2TSの音声とRATの音声をミキサーで切り替える。両方止まって聞こえなくなることはなかった。
隣接学校間交流
1 交流開始直前、白島小からの送信ができているのに、白島小から遠隔操作していた基町高等学校のシステムでの受信が不調で、その症状が自分の知らないパターンであった。それで大学からモニターするように依頼していたスタッフに説明をして、操作依頼したところ正常になった。
2 映像が送られない・前田教諭がリナックスのコマンドなどを打ち込み回避した。
遠隔合唱 II(2地点)
1 映像受信・送信がおちたため、復旧までに音声のみでやりとりする時間をとた。その後1度休憩をとった。また、映像の乱れが起こった時は、プロジェクターの先をさえぎり、授業の雰囲気をこわさないようにした。

<4.高品質映像・音声伝送システムでお気づきの利点・欠点をお書き下さい。>

利点
1 動画像の品質がよい
2 生徒にも満足のいく高画質である。講師の先生が目の前におられるのに近い臨場感がある。
3 時間・移動の手間・交通費などの削減につながる。
高品質な画像なので、詳細なこともよく分かる。
講師の先生の表情や話のちょっとしたニュアンスも分かった。
インタラクティブなので、すぐに質問し答えてもらえる。
4 普通のPCと学校にある機材でできる・遠隔操作可能(大学開発システムMPEG2TS)、機材配置が手軽にすむ。音質が良い(Polycom)音質がよい。遅延が少ない(MRAT)
5 VTR感覚でSetできる。
6 遠隔地との交流(外国)において、特に音声のやりとりの円滑なことは必要。
7 児童に特別な操作技能がいらない。普段やっていることを互いに評価したり交流したりできる。
8 従来出来なかった動きのある表現が可能になる。遅延が少ないことで意見交換が活発になる。
9 「音楽」ではCDなみの音質かが大切。学習内容を伝えあえるかどうかの基準になるため、授業で活用できるかどうかが決め手である。
欠点
1 セッティングがはんざつ
2 回線の影響を受けて、画像が止まる。システムの操作をオペレーターに依存しており手軽に実施できない。
3 スピーカやマイクの調整に慣れが必要。
プロジェクターが邪魔なので、教室の天井からぶら下がるタイプが欲しい。
4 音響・映像のセッティングにそれなりのレベルの知識が必要(共通)、遅延がある。unixの知識が必要(大学開発システムMPEG2TS))、価格が高い(Polycom)
5 価格が高い。設定に専門知識が必要である。
6 ポリコムのマイクは参加者の声の大きさに応じられないため、聞こえにくい場面があった。
7 機材の常設がないと設置に時間がかかる。

<5.高品質映像・音声伝送システムを利用した授業・交流の授業計画についてお尋ねします。次の評価にてお答え下さい。>〔人〕


よくできた
どちらかといえばできた
どちらかといえばできなかった
できなった
本交流・授業には該当しない

5-1 自ら調べる(調べ学習を要する)力を高めるための授業計画ができましたか。
5-2 考察する力を高めるための授業計画ができましたか。
5-3 物事をまとめるための力を高めるための授業計画ができましたか。
5-4 表現力(発表する場を設ける等)を高めるための授業計画ができましたか。
5-5 遠隔コミュニケーション(聞く・話す場を設ける等)を高めるための授業計画ができましたか。
5-6 異校種を意識させた交流・授業の授業計画ができましたか。
5-7 専門家の有効的な交流・授業の授業計画ができましたか。
5-8 相手校・相手国を知ることのできる交流・授業の授業計画ができましたか。
5-9 自国文化を再認識させる交流・授業の授業計画ができましたか。
5-10 児童・生徒の活発な発言を促す交流・授業の授業計画ができましたか。
5-11 その他交流・授業を授業計画する上、留意した点をお書き下さい。


5-11.その他交流・授業を授業計画する上、留意した点をお書き下さい。
1 単元の選択。討論会(ディベート)は表現力をきたえるのに最適な単元だと考えたが実際その通りだった。
また本校と可愛小は3回目のTV会議だが同じ相手とくりかえすことが大切であると思う。
2 講演者に対して質問をしやすい雰囲気を作るため、講演者の紹介のしかたを工夫した。また質問を含めた遠隔授業の意義について最初に簡単に説明するなど、生徒が質問をしようとする意欲を高めるための工夫をした。
3 自校の生徒が質問がしやすいように、生徒へ指示したり合図した。
遠隔で聞いている人にわかりやすいようにゆっくり話した。
スピーカーやマイクの調整を入念にした。
補助者である広島市立大のスタッフと事前に電子メールでよく打ち合わせをした。
今回の交流の意味を良く理解して計画するようにした。
コンピュータやネットワークを使用しての交流なので、交流の前に今回のコンピュータやネットワークの仕組みなどを簡単に生徒へ話して置いた。また、交流中にも今はネットワーク的にどんな状態になっているかなどを、話しようにした。
4 地理的条件を有効に活用して、直接交流とマルチメディア・コミュニケーションとの両方を活用を活用して、それぞれのよさを高めあう授業にする。
異年齢交流をすることで、それぞれのIT能力を高めるだけでなく、学ぶ意欲をたかめ、年少者への思いやり・年長者への敬意といった心情面の高まりを育てたい。また、表現に対して異なる集団からの評価をされることで、表現には客観性や物語性・説得力が必要であることを理解させたい。
5 映像の特徴を生かす演出を心がけた。インタラクティブになるように心がけた。
  <交流日まで>
タイについての情報を得るため、検索や調べ学習以外にタイの日本人学校の児童とメール交換を行った。(秦日協会学校)TV会議システムが初めての児童のために、TV会議システムの特徴を話したり、発声(話し方)練習をしたりした。
<交流日>
実際にタイと日本の郷土料理を作り、試食して感想を言う場面や、作り方の実技を行う場面を計画した。
6 3地点でのジョイントコンサートであるイメージを大切に、コンサートの曲目や構成についての本校の意見としては中野先生の意見を尊重した。
配慮したのは、中野先生が「技術面がまったくわからないので全面的にバックアップを」ということで連絡を密にしたこと。環境作りや接続テスト・リハーサルの部分を請け負ったことである。交流の音声だけでなく映像部分でも「3地点」のイメージを大切に構成してもらえるよう技術スタッフにお願いしたことは、全体への配慮かな?と思う。
7 多校間交流だったので、それぞれの持ち時間にあまり差がでないよう計画することを留意した。
小学生の高校生に対するあこがれや高校生の小学生をいとおしむ心情に配慮して計画した。
リアルタイム合唱が成功するように会の前に音量調整の時間を設け、環境条件を整備した。
8 実物の交流物がある方が、親近感がわくと考え、クラス写真と手紙を事前に送った。また、広島名物のもみじまんじゅうを送ったところ、TV会議後に佐賀名物まるぼうろといっしょに総合学習で学習した資料が送られてきた。交流会当日は日頃の成果発表とともに相手を和ませ、楽しませるような表現を考えさせた。
9 小学生がふだん練習している曲を演奏してもらい、違いを聴きとることができるように計画した。また、難しいところをとりだして演奏してもらい、手本となる演奏がきけるようにした。音が大きいので曲によって打楽器等の編成を変更した。

5.5.3 分析結果

 教室環境について、照度の調整、機材の設置、児童・生徒の適切な配置は全担当教員ができたと回答している。これは主に送信用デジタルビデオカメラの位置やプロジェクターの位置を適切に設置し、暗幕等で照度を調整できたと判断できる。これにより、相手校へ児童・生徒の顔ははっきり送信できたと思われる。この照度やカメラ位置の調整を怠ってしてまうと、児童・生徒の顔が明るすぎたり暗くなりすぎてしまい相手校から表情の確認ができなくなってしまう。。
 問2のシステムのセットアップで現段階では、問1からも分かるように機材の設置は全担当教員が行うことができ、映像・音声がきれいに送受信できているか等の動作確認もほとんどの担当教員が行うことができるが、システムの操作は1名しか行えなかった。これは利用OSがLinuxで、Linuxの操作が出来る教員が少ないことも要因の1つして挙げられる。また、コマンドを打つことだけならば映像、音声の送受信の操作も可能である担当教員もいるが、ネットワークの状態を確認や、トラブル時における対応ができない。その為、操作に関しては隣接学校間交流以外の全ての授業・交流で現地技術サポートがシステムの操作は行った。
 授業・交流中のトラブルは映像が止まるということが特に多く起きた。対処は主に技術スタッフが行い、担当教員は授業の集中力を切らさないような配慮ができた。
 このシステム利点として「動画像の品質がよい」「従来出来なかった動きのある表現が可能になる」といった映像の品質のよさが多く挙げられている。この品質のよさにより、児童・生徒にも説明が可能な映像であり、詳細な部分まで分かると評価が高かった。また、遠隔地とのテレビ会議ということで、移動の時間・手間、交通費の削減も可能にしている。逆に欠点としては、設置、操作に対して煩雑で、操作に専門的な知識が必要であること挙げている。操作の簡易化が今後の課題とも言える。しかし、徐々にだがコマンドを入力、また積極的に操作方法を聞く担当教員が多くみうけられた。
 各授業・交流の授業計画では、該当する目標に対しては、実行することができた。本システムは、問5のような目標を達成できるシステムであることがわかる。特に、異校種交流を意識させ、専門家からの有効な授業、自国(自地域)を再認識させる計画ができた。特に遠隔地との触れ合うため、「会話をする」という場を設けた。また、この会話の時に、児童・生徒がより積極的に行えるように、今回のシステムを事前の説明や事前に児童・生徒どうしのメールや手紙の交換を行った。また、事前に技術サポートも含めたテストや打ち合わせにより、スムーズな授業・交流を計画できた。



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