1.概要と進行



1.2 プロジェクトの進行と経過

 本プロジェクトは,ワールドスクールネットワークが蓄積してきた経験,ノウハウ,人的資源などを提供し,それに参加する学校の教育関係者らで構成する「デザインチーム」が企画,立案,運営での中核的な役割を果たしつつ,展開された。
 4校の実践校も,このワールドスクールネットワークに参加してきた経験を持ち,細切れの単発的な活動ではなく,数カ月,あるいは年度に渡る長い視野で,参加型オンラインデータベースシステムを使った体験学習を継続的に実施し,大学関係者を含む学識経験者が,その分析・評価を行った。


1.2.1 実施体制

本プロジェクトの実施体制は次の通りである。


 実践授業にあたっては,当初は岡本北小学校,上通小学校,樫邑小学校の3校で行うこととしていたが,桃山中学校での総合的な学習の時間の活動が,国内外の学校との情報共有しながら活発になり,同時に学校内での理解を得ることもできたために,実践校として参加することとなった。担当の廣川伸一教諭には,実践授業全体を見渡すまとめ役をしていただきながら,自校での活動にも時間を割いていただく大きな協力を得た。

 藤村裕一鳴門教育大学大学院助教授には,国によるタイ国への環境教育での支援事業で,現地への出張や,現地の要員を日本へ招へいして行う訓練プログラムの責任業務が加わる中,週末と休暇を含む時間を捻出して,評価作業のまとめをいただいた。


1.2.2 実施スケジュール

 本プロジェクトは,9月の契約締結以前より,ワールドスクールネットワークと実践校を含む各学校との共同プログラムとして事実上稼働していた。
 CECのプロジェクトとしての位置づけを得られたことで,システムを根底から見直して,柔軟性と拡張性を図るための構造を再構築することが出来,また実践校においてのアンケート調査,デザインチームメンバーの教員らを交えた検討会議など,大きな作業を重ねることが可能となった。


【システム構築の進行状況】
9月 データベース構造,実現機能を確定し,システムの基本設計実施
10月 システムの開発,インターフェースの基本形完成
11月 試験運用を開始。独自ジャンル設定などの新機能を実践校担当教員らと確認
12月 新システムを中旬より本格稼働。旧システムをバックアップ用に並行稼働。
1月 新システムに完全移行。バグ修正のほか,柔軟性,拡張性を高めるためにスクリプトを再度,全面書き換え。
2月 システムを新スクリプト群に置き換えし稼働。

 システム構築に当たっては,すでに試験的に稼働していたワールドスクールネットワークの参加型オンラインデータベースシステム「子ども知恵図鑑」を,全面的に再構築する形で作業を進めた。備えるべき機能を洗い出した後に,柔軟にジャンル設定が出来ることと,データベースとウェブサーバソフトの連動のためのCPU負荷を減らして拡張性が高まることを考慮して,PHP言語で記述するスクリプト群を作成し,2003年1月には新システムに完全移行した。
 この新システムで独自ジャンルの運営などの実践授業を行った中で,さらにシステム開発に余力を見いだしたために,再度スクリプト群を評価し,基本部分のスクリプトを全面的に書き換えることとした。実現する機能はまったく同じであるが,PHPファイル群は別途詳述するように,機能を設定するスクリプト群と,各ジャンルやユーザなどの属性を設定するスクリプト群に完全に区別し,利用者から読み出されるPHPファイルは,その各スクリプト群を記述するという極めてシンプルな構造とすることが出来た。

 これによって,ウェブブラウザ上での見栄えを定義したり,個別ユーザの権限を定義したりする作業が極めて柔軟に行えるようになった。UNIXの基本的知識を持つエンジニアなら,この一連のスクリプト群をもとに,容易に独自の見栄え,構成を持つ参加型オンラインデータベースシステムを構築できるレベルに達した。


【実践授業の進行状況】

 実践各校は,いずれもワールドスクールネットワークの熱心な活動校でもあり,単発のイベントとしてではなく,通年,あるいは数カ月に渡る学習過程の一環として,参加型オンラインデータベースシステムを活用した体験学習プログラムへの取り組みを展開している。 このため,特に子ども知恵図鑑を積極的に使う場面などを選んで,実践授業としてもらった。

9月 実践授業の効果的な運用などについてデザインチームらで議論し,企画・立案・助言を行う。
10月 実践各校で,どれを実践授業として設定し,授業展開するかなど実践案作成。岡本北小学校で,屋外での体験学習やそれを素材とした子ども知恵図鑑への登録作業などを実践授業として実施。
11月 上通小学校,京都教育大学附属桃山中学校で実践授業。
12月 樫邑小学校,桃山中学校で実践授業。1回目のアンケートを実施。
1月 樫邑小学校で実践授業。他校でも,独自ジャンルを使った学習活動を実施。2回目のアンケートを実施。


【各種会議の進行】
9月15日 プロジェクト連絡会議。全体の方向性,課題,実践授業の目標時期,内容などを議論・整理。
10月23日 インターフェース部を含むシステム担当者会議。システムの骨格部分について確定。
11月17日 デザインチームによる実践授業の内容,システムの使い勝手などに関する討議。
11月22日 システム担当者会議。システム機能面の開発状況確認。報告書に向けた文書化の枠組みの議論。
1月25日 評価に向けた集中討議。アンケート状況,評価の方向性の議論など。
2月9日 プロジェクト連絡会議。全体の総括,報告書並びに発表会に向けた方向性の最終確認。

 この他にも,システムや実践授業に関しての担当者会議が,随時開催された。また関係者をつなぐメーリングリスト(dbpro@wschool.net)も開設し,交換された情報は2003年1月末までに378本となった。



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