5.実践授業等の実施内容



5.8 つくば市竹園東中学校の実践

生徒による調査活動の情報収集・蓄積の効率化と,保護者へのリアルタイム情報発信を同時に可能にしたモバイルコンピュータの活用


1 はじめに

 竹園東中学校は,筑波研究学園都市の中心に位置し,周りには大学や研究所などが数多く存在する。保護者の多くは,それらの施設勤務しており,教育に関する関心も高い。
また,この地域は,ケーブルテレビが整備されており,そのケーブルテレビを利用したインターネット接続サービスも整えられている。
 これらのことから,家庭で,インターネットに接続できる環境にある家庭数は多く,生徒の約9割は,家庭でインターネットを活用できる。
 これらの現状を生かして,本校では,ホームページによる情報発信の充実はもちろん,本中学校区の小学校2校と協力して,小学校児童・中学校生徒,両校教職員,両校保護者希望者でメーリングリストを開設し,学習や連絡に活用するなど,インターネットを学校と地域の融合した教育を推進するための重要な道具として考え,活用を推進している。
 今回のモバイルコンピュータの活用は,その利点を生かし,校外における体験・調査活動等をより充実させ,保護者への情報発信をよりスピーディにしようとしたものである。
その試みを,第2学年の社会体験学習を例に述べる。

2 ねらい

3 方 法

写真1 防災センターを訪問にした生徒がグループウェアを活用してまとめた例

 (3)のような手順でホームページの更新を行ったが,2日間に担当者宛に来たメールは,4台のモバイルコンピュータから70通にもなった。
 そのメールを受けた時点で,ホームページ更新をした。

4 保護者からの声

 校外学習の前日,保護者には,文書でリアルタイムWeb発信のことを知らせた。公開している2日間に,10通のメールを保護者の方々からいただいた。その代表的なものを報告する。

第1日目

メール1
 先生方ごくろうさまです。リアルタイムで様子がわかる今回の試み、大変画期的で、父兄としては、子供らの楽しそうな表情がよくわかりました。
 ありがとうございます。
メール2
 このように子供達の活動がすぐパソコンで観れて、感激しています。すばらしい企画です。今夜と明日の写真を観るのが楽しみです。
メール3
 子供達の様子を、たくさん見せてくださって感激しています。
 この後も、すごく楽しみです。
メール4
 竹園東中学校の社会体験学習の皆様
 娘から渡された情報発信の案内を見ながら、ホームページにアクセスしてみました。各組の生徒たちが生き生きと楽しそうに社会学習に取り組んでいる様子が手にとるように伝わって来て、家族皆で楽しく見させていただきました。今日は、天気もよく大分長距離を歩いたようで、夜の報告会では、少々眠そうな子達もいるようです。あと一日、充実した社会学習ができるとよいですね。
 先生方、ごくろうさまです。

第2日目

メール5
 日頃は大変お世話になっております。
 今回、ウェブサイトで2年生体験学習の様子を見ることができ,どの顔もニコニコとしていて楽しかったです。
 子どもが帰宅してから、話題にしたいと思います。
 先生方にはいろいろとお心遣いいただきありがとうございます。
メール6
 社会体験学習の活動の様子とても楽しく見させていただいています。
 あんなにたくさんの画像を時々刻々と見ることが出来とても感激しました。皆の楽しんでいる様子がよくわかり、とても良かったです。先生方、ご苦労様です。
 今頃、帰りのバスの中でどうしているのでしょうか・・・
 初の試みは、大成功だと思います。
 帰りつくまで先生方も気が抜けないと思いますが,どうぞ宜しくお願い致します。
メール7
 二日間、とても楽しく拝見いたしました。
 先生方も、お疲れになったと思います。
 どうぞ、ゆっくり疲れを癒してください。
 有難うございました。

 この他,生徒の帰校時に迎えに来た保護者の方々からも,「子ども達のそのときの活動がわかってよかった。」,「学校に着く時間までほぼ正確にわかり,安できしました。」,「行事のときには,またぜひ実施してください。」などの言葉をいただいた。

5 まとめ

 モバイルコンピュータを校外における学習で利用すると,生徒の活動を現地で手軽に写真やメモを一体化して残すことができるので,グループウェアとの連携がスムーズで,活動のまとめの報告書を作成する上で,大変効率的だった。また,道に迷った生徒は,地図ホームページや,施設のホームページを活用していた。生徒が自由に利用できるようにすると,より効果的な活用法を自分で探すのであろうと,確信した。
 リアルタイムWeb発信については,予想以上の反応であった。ほとんどの保護者が家庭や勤務先で見てくれていたようである。そのときの様子がわかるということは,保護者にとってとても大きな喜びであると同時に,先生方の苦労も理解されることになり,学校に対する信頼度をより一層高めるものである。
 今回の試みでは,モバイルコンピュータの台数が少なく,生徒が十分生かせるまでには至らなかったが,生徒に利用させることによって,当日やその後の活動に大きな効果をもたらす可能性は探れたように思う。今後も研究を深めていきたい。



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