産業界との協力授業
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実践事例
くらしの中のサインをデザインしよう!
実施した教育機関・生徒数・実施日
■宮城県仙台市立北六番丁小学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第4学年 2クラス 46名 平成14年11月7日、12日、15日、19日、20日、25日、12月5日 20時間

■宮城県仙台市立寺岡小学校
学年 クラス 生徒数 実施日 合計授業時間
第4学年 3クラス 100名 平成14年10月30日、11月7日、14日、
15日、18日、21日、26日、12月7日
21時間

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実施した教科・単元
学年 教科名 単元
第4学年 総合的な学習の時間 「くらしの中のサインをデザインしよう!」

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主催した教育機関
宮城県仙台市教育委員会
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授業概要
 本授業は、くらしの中にある身近な「サイン」を通じて、人とのコミュニケーションや地域社会における環境情報について、「サインとは何か?」から「学校のサインの企画・制作・設置」までを学校、地域社会の中で体験しながら学習する。
授業は、導入にグラフィックデザイナーの講師より「サインとは何か?」について、学校のサイン探しワークショップとサインの実例画像を用いたサインの広義のコンセプト(記号化、表現方法の重要性、文化やメッセージ性の違いなど)についての講義、事前学習として「くらしの中のサイン収集」を地域社会で実践、次に建築家の講師より「公共空間のサイン」について、地域教育施設を活用したサイン探検活動を行い、公共空間のサイン設計、バリアフリーなどについて学習する。最後に、「サインの制作現場から」というテーマで出版印刷産業の講師により、サインが実際に制作される過程(打合せ、材料、加工、制作、施工)をビデオとパワーポイントプレゼンテーションで説明し、その後これらプロのノウハウを実践する授業として「学校のサイン制作・設置」を行う。まとめとして、自分たちが作ったサインが目的にあったものであったかを振り返り、サインが人と人との関係を大切にするコミュニケーションの手段であることを学ぶ。
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授業のねらい
 くらしの中にある身近な「サイン」(標識や案内図、マーク等)の意味や役割について考え、理解を深める。また、社会に関心を持とうとする児童の育成、身の回りの事物・事象との新しい出会いの創造というねらいから、地域の公共施設や商業施設を利用したワークショップ型学習活動を実施し、産業界や地域の人々が協力して生活の向上や住みよい環境作りに努力していることに気付かせる。本授業を通じて、人の立場に立って考えること、公共とは何かということ、文化が表現方法に与える影響などについて、体験から総合的に学ぶことで、児童のコミュニケーション能力を高めることを目標としている。また、学習教材に、デジタル化した教材や電子メディアを活用することにより、情報活用能力の育成も目標とする。さらに、授業で得た知見を総動員し、実際にサインを制作することによって、自分の考えを抽象化して表現する力(デザイン力)の育成も目指している。
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授業内容
実施単位 テーマ
1時限目 情報リテラシー講座:デジカメの使い方

実施場所 仙台市立寺岡小学校 教室 実施時間 45分
講師 渡辺徹
(情報のあんこ(任意団体))
エルネット仙台(任意団体) 
使用教材 ・デジタルカメラ

授業の進行・内容 授業の様子
■ 進行
2時限目にデジカメを活用した学習活動を予定しているため、操作方法などの事前学習を行った。
1. デジカメの使い方を学習
2. 学校のバリアフリーを探し、デジカメで撮影
3. 気付いたこと・感想のまとめ
4. 感想を発表
※ 仙台市立寺岡小学校のみで行った活動
■内容
学校の中のバリアフリーを撮影する活動を通じて、デジカメの操作方法を学習するとともに、学校にあるバリアフリーが、だれのために、どのように工夫されているかについて考える。
デジカメの操作方法をビデオ撮影・スクリーン投影して指導する講師
デジカメの操作方法をビデオ撮影・スクリーン投影して指導する講師

実施単位 テーマ
2時限目 「サインって何?:サインを考える」

実施場所 仙台市立北六番丁小学校 教室
仙台市立寺岡小学校 教室
実施時間 ○分
講師 永原康史
グラフィックデザイナー
永原康史事務所 
使用教材 「サインって何?」(くらしの中のサイン実例画像)
JPEG ファイル

授業の進行・内容 授業の様子
■ 進行
以下のとおり、授業を進行した。
1. ワークショップ実施
学校の中の、めじるしや気になるマークを探そうし、デジカメでサインを収集する。
2. 講師による講評
撮影したサインを講師が講評する。
3. スライドショーレクチャー1
講師の家から駅までのサインを紹介する。
4. スライドショーレクチャー2
世界のサインを含んだ様々なサインを紹介する。

■ 内容
ワークショップでは、サインという言葉を使わず、児童の自由な発想でマークや目印を収集させ、まずサインを体感させる。
その後児童が撮影したサイン画像をパソコンに取り込み、それらの画像を例示しながら講評を行う。講評は、児童と質疑応答しながら進行する。
(質疑内容)
・ このマークは何ですか?
・ マークの意味はわかりますか?
・ なぜこのマークを撮影しましたか?
その後、講師が準備したスライドショーレクチャー1,2により、サインの種類、役割、それが自分たちとどう関わっているのかを考えさせ、サインの概念をつかむ。
・ 身の回りにあるたくさんのサインに気付き、サインの役割を明確にする。
・ サインの分類、工夫点、国や習慣の違いを知る。
・ なぜこんなにたくさんのサインがあるか考える。
・ サインは単純化された記号の組み合わせでできている。
・ 可視性を考えて、サインの形、色彩がデザインされている。
講師による授業(グラフィックデザインの仕事を説明する講師:仙台市立寺岡小学校)(グラフィックデザインの仕事を説明する講師:仙台市立寺岡小学校
講師による授業
(グラフィックデザインの仕事を説明する講師
:仙台市立寺岡小学校)

ワークショップの様子(学校のサインをデジカメで撮影中:仙台市立北六番丁小学校))
ワークショップの様子(学校のサインをデジカメで撮影中:仙台市立北六番丁小学校))

実施単位 テーマ
3時限目 「くらしの中のサイン探し」

実施場所 仙台市立北六番丁小学校
JR仙台駅
仙台市立寺岡小学校 ショッピングプラザ(寺岡・紫山地区)住宅展示場・ロイヤルパークホテル
実施時間 140分
講師 仙台市立北六番丁小学校:
永井教諭・岡本教諭
仙台市立寺岡小学校:
佐藤教諭・藤井教諭・高橋教諭・菅原教諭 
使用教材 デジタルカメラ

授業の進行・内容 授業の様子
■ 進行
以下のとおり、授業を進行した。
(仙台市立北六番丁小学校)
・ 4学年46名児童を12グループに分かれる。
・ 仙台駅のホーム内でサインを探す(30分)。
・ 改札口を出て,駅ビル内、駅周辺のサイン収集活動を行う。
(仙台市立寺岡小学校)
・ 4学年100名児童を1グループ4−5名に分け、24グループで活動する。
・ 学区内の商店街、住宅展示場、ホテルなどのサイン収集活動を行う。

■ 内容
 くらしの様々な場所において、どのようなサインがあるかを発見し、それらがどのような目的で設置されているかを考えさせる授業。
また、くらしの中のサインは、2時限目で学習した学校のサインと比較して、どのような点において異なっているかなどを学習する。   
デジタルカメラを片手にグループ毎に意欲的にサインの収集活動に取り組み、普段は余り気がつかないようなサインを含めたくさんのサインに気がついていた。
仙台駅でのサイン収集風景(仙台市立北六番丁小学校)
仙台駅でのサイン収集風景(仙台市立北六番丁小学校)

子どもたちの収集したサイン(仙台市立北六番丁小学校)j
子どもたちの収集したサイン(仙台市立北六番丁小学校)

ショッピングセンターで活動を記録している児童(仙台市立寺岡小学校)
ショッピングセンターで活動を記録している児童
(仙台市立寺岡小学校)

ホテルで活動をしている児童(仙台市立寺岡小学校)
ホテルで活動をしている児童(仙台市立寺岡小学校)

実施単位 テーマ
4時限目 学習支援ポータルを使って活動記録を残す・発信する

実施場所 仙台市立北六番丁小学校 コンピュータ室
仙台市立寺岡小学校 コンピュータ室
実施時間 140分
講師 仙台市立北六番丁小学校:
永井教諭・岡本教諭
仙台市立寺岡小学校:
佐藤教諭・藤井教諭・高橋教諭・菅原教諭 
使用教材 学習支援ポータル

授業の進行・内容 授業の様子
■ 進行
(仙台市立北六番丁小学校)
本授業のために構築された学習支援ポータルに、これまでの学習活動を記録する。
(仙台市立寺岡小学校)
学習支援ポータルの掲示板に、これまでの活動をまとめる。

■ 内容
(仙台市立北六番丁小学校)
学習支援ポータルのノート機能を利用し、児童一人一人が自分たちの今までの活動の様子を記録する。
(仙台市立寺岡小学校)
学習支援ポータルの掲示板に、これまでの活動を通じて撮影したサインについて、わかったことや感想などを書き込み、仙台市立北六番丁小学校や講師に活動の報告をする。
学習支援ポータルのノートに活動を記録する様子(仙台市立北六番丁小学校)
学習支援ポータルのノートに活動を記録する様子
(仙台市立北六番丁小学校)

学習支援ポータル上の児童のノート
学習支援ポータル上の児童のノート

掲示板で自分たちの活動を発信
掲示板で自分たちの活動を発信

実施単位 テーマ
5時限目 「公共空間のサイン」

実施場所 せんだいメディアテーク 実施時間 140分
講師 鈴木明
建築家
(株)建築・都市ワークショップ 
使用教材 「公共空間のサイン」(公共空間のサイン実例画像)
JPEGファイル
「サイン探検」ワークショップ教材(サイン探検ワークシート、
(サイン探検キット)

授業の進行・内容 授業の様子

■ 進行
以下のとおり、授業を進行した。
1. サイン探検ワークショップの説明。
2. 「サイン探検」ワークショップ教材であるサイン探検ワークシート、サイン探検キットの説明。
3. 児童は、ワークシートのクイズを解きながら公共施設(せんだいメディアテーク)館内のサイン探検を行う。
4. 公共空間のサイン実例画像のスライドショーを用いて、公共空間のサイン設計、バリアフリーについて講義する。

■ 内容
公共空間のサイン設計に重要なポイントをクイズ形式にした「サイン探検」ワークショップを実施し、実際にサインがどのように使われているか体験しながら公共空間のサインについて学ぶ。
ワークショップ後の講義は、探検ワークシートの答え合わせをしながら、せんだいメディアテークのサイン企画、公共空間のサイン設計に重要な視点などについて、質問を交えながら講義を行う。
(主な質問)
・ このピクトグラムは何ですか?
・ なぜこのサインがあるか、わかりますか?
・ せんだいメディアテークのサインの特徴は何ですか?
(講義のポイント)
・ サインを計画することは、「サイン・システム」を計画すること。
・ 公共建築、公共施設に設置されるサインは全ての利用者に対して、わかりやすく、使い易いものでなくてはならないため、「サインそのもの」と「サイン・システム」に「簡潔さ」と「明解さ」が求められる。
・ サインやサイン・システムは建築物の特徴に合わせて考えられなくてはならない。
探検活動風景(チェックポイントの誘導ブロックを体験:仙台市立北六番丁小学校)
探検活動風景(チェックポイントの誘導ブロックを体験:仙台市立北六番丁小学校)

講師とワークシートの答え合わせをする児童(仙台市立北六番丁小学校)
講師とワークシートの答え合わせをする児童(仙台市立北六番丁小学校)

せんだいメディアテーク独特のサイン(歩くサイン:ベストを着ているスタッフ自身がサインとなっている)
せんだいメディアテーク独特のサイン(歩くサイン:ベストを着ているスタッフ自身がサインとなっている)

講師の授業風景(ピクトグラムについて説明する講師:仙台市立北六番丁小学校)
講師の授業風景(ピクトグラムについて説明する講師:仙台市立北六番丁小学校)

実施単位 テーマ
6時限目 学校のサイン企画

実施場所 仙台市立北六番丁小学校 教室
仙台市立寺岡小学校 教室
実施時間 140分
講師 仙台市立北六番丁小学校:
永井教諭・岡本教諭
仙台市立寺岡小学校:
佐藤教諭・藤井教諭・高橋教諭・菅原教諭 
使用教材 サイン制作キット

授業の進行・内容 授業の様子
■ 進行
以下のとおり、授業を進行した。
1. サイン制作キットを用いて、サイン制作に使用できる材料の説明を行う。
2. 自分たちの学校に設置するサインの構想を考えさせる。

■ 内容
まず実際のサイン制作キットを見せながら、サイン制作に使用できる材料について説明する。
次に、以下のポイントについて考えながら、学校に設置するサインを企画し、サインのデザイン画を完成させる。
・ 誰に
・ 何を伝えるサインか
・ デザイン
・ 材料
・ 設置場所
サイン制作の材料の説明(仙台市立北六番丁小学校)
サイン制作の材料の説明(仙台市立北六番丁小学校)

サインを企画している児童(仙台市立北六番丁小学校)
サインを企画している児童(仙台市立北六番丁小学校)

児童の書いたサイン構想(仙台市立北六番丁小学校)
児童の書いたサイン構想(仙台市立北六番丁小学校)

児童の書いたサイン構想(仙台市立寺岡小学校)
児童の書いたサイン構想(仙台市立寺岡小学校)

実施単位 テーマ
7時限目 「サイン制作現場から」
「学校のサイン制作・設置」

実施場所 仙台市立北六番丁小学校 教室
仙台市立寺岡小学校 教室
実施時間 140分
講師 菊地淳
取締役 企画部部長
ハリウコミュニケーションズ(株)
永原康史
グラフィックデザイナー
永原康史事務所 
使用教材 「サインの制作現場から」
Microsoft(R)PowerPoint(R)ファイル(一部VHSビデオ映像15分)
サイン制作キット

授業の進行・内容 授業の様子
■ 進行
以下のとおり、授業を進行した。
1. 印刷出版産業からの講師による「サイン制作の現場から」教材を使った講義を行う。
2. グラフィックデザイナーの講師による、サイン制作キットを使ったサインの制作、設置を行う。

■ 内容
@菊地講師授業「サイン制作の現場から」(50分)
本授業では、まず、講師の自己紹介を兼ねながら、出版印刷業とはどんな仕事であるか、児童に馴染みのある自社の出版物など紹介しながら説明する。次に、サインを制作するプロセス、重要な視点などについて講義をする。講義には、実際の駐輪場のサイン工事の打合せ、材料、加工、施工の過程を説明したプレゼンテーション資料を使用し、制作や工事現場の臨場感を伝えるために一部ビデオ映像を用い、リアルなプロの制作現場を紹介する。
(講義のポイント)
打合せ:どんな人達がサイン制作に携わっているか。打合せするべき大切な項目。図面の大切さ。
材 料:鉄、アルミ、アクリル、発砲スチロールなど目的に応じて使い分ける。
加 工:材料を切断する方法、曲げる処理法、カッティングティングシートを使った文字の加工などについて説明する。
施 工:施工の際のポイント、施工時にプロが使用する道具などについて説明する。
A永原講師授業「学校のサイン制作・設置」(90分)
本授業では、まず講師より制作キットの説明があり、その後児童は、自分たちで企画した学校のサインを制作、施工する。制作の過程では、菊地講師も加わり、両講師が児童の間を巡回し、用意された制作キットでどのように子どものデザインしたサインを創ることができるか、制作のヒント(材料の組み合わせ、色の使い方など)を与えたり、制作の注意点(カッティングシートの貼り方、粘土のつめかたなど)を指導する。完成後施工する際にも、講師は児童と一緒に施工場所に同行し、設置の際の留意点(高さ、向きなど)をアドバイスする。
サインの制作工程について説明する菊地講師(仙台市立寺岡小学校)
サインの制作工程について説明する菊地講師(仙台市立寺岡小学校)

永原講師より制作キットの説明(仙台市立寺岡小学校)
永原講師より制作キットの説明(仙台市立寺岡小学校)

制作キットの一部(穴あき合板ボードと粘土)
制作キットの一部(穴あき合板ボードと粘土)

 サイン制作風景(仙台市立北六番丁小学校)
サイン制作風景(仙台市立北六番丁小学校)

サイン制作風景(仙台市立寺岡小学校)
サイン制作風景(仙台市立寺岡小学校)

 自分で作ったサインを施工する様子(仙台市立寺岡小学校)
自分で作ったサインを施工する様子(仙台市立寺岡小学校)

完成したサイン(仙台市立北六番丁小学校)
完成したサイン(仙台市立北六番丁小学校)

実施単位 テーマ
8時限目 「サインを考える」

実施場所 仙台市立北六番丁小学校 コンピュータ室
仙台市立寺岡小学校 教室
実施時間 140分
講師 仙台市立北六番丁小学校:
永井教諭・岡本教諭
仙台市立寺岡小学校:
佐藤教諭・藤井教諭・高橋教諭・菅原教諭 
使用教材 学習支援ポータル

授業の進行・内容 授業の様子
■ 進行
・ 本授業は学級担任が行った。
(仙台市立北六番丁小学校)
ポータルサイトを活用して、自分たちが作ったサインを振り返る。
(仙台市立寺岡小学校)
これまでの学習を振り返るため、友達にサインを紹介する活動、友達にメッセージを送る活動を行った。

■ 内容
(仙台市立北六番丁小学校)
以下のポイントについて、自分たちの作ったサインについて振り返る。
(ポイント)
作り方や設置場所は適切だったか。
伝えたいことは伝わったか。
色や大きさは適当だったか。そのサインを見て他の人はどう感じたか?など
その後、学習支援ポータルのノート機能や掲示板を活用し、サインについて、授業から学んだ知識や考え方をまとめる。
(仙台市立寺岡小学校)
授業参観日に「作ったサインを紹介しよう」という活動を行った。
・ サインを紹介する(1人ずつ発表)
・ 人の発表を聞いて、感想カードを書く。
・ 作ったサインをみんなに見てもらう。グループに分かれて、学校内に設置したサインを見て回る。
(仙台市立寺岡小学校)
すでに仙台市立寺岡小学校が独自に導入しているグループウエアソフトを使用して、児童が作ったサインの紹介カードを作成し、そのカードに対して、メッセージを送る活動を行う。
学習支援ポータルの掲示板にサイン制作の感想を記録(仙台市立北六番丁小学校)
学習支援ポータルの掲示板にサイン制作の感想を記録(仙台市立北六番丁小学校)

作品について発表する様子(仙台市立寺岡小学校)
作品について発表する様子(仙台市立寺岡小学校)

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授業の成果
本授業で扱ったサインは学習テーマとしてあまり他に類がなく、児童がどこまでサインについて理解できるか手探りの部分が多かった。そこで、サインに携わる3つの産業界(グラフィックデザイン、建築、出版印刷)から講師を招いて、身近であるがこれまであまり意識したことがないサインについて、考え、理解し、学校のサインの企画・制作・設置という一連の授業を計画した。特に、授業形態や実施場所などには工夫を凝らした。例えば、授業形態は産業界講師の新鮮な発想で、体験中心のワークショップ形式を取る授業やクイズ形式のワークショップを取り入れた。これにより、自ら気付き、考え、体験する、あるいは体験しながら考える機会を提供することができ、子どもたちの学習効果を高めることができたと思われる。また授業の実施場所についても、学校の教室に留まらず、地域の商業施設(ショッピングモールやホテルなど)や教育施設(せんだいメディアテーク)など実際児童たちが暮らす地域を学習フィールドとすることで、サインの特性(公共のサイン、私的なサイン)を効果的に学習することができたと思われる。
制作活動では、プロのサイン制作プロセスを紹介するビデオ教材と児童自身の制作・設置活動を組み合わせた。「プロの制作現場から」ビデオ教材では、実際に子供たちに身近な仙台市の駐輪場のサイン施工の打合せ〜施工までを教材にしていただき、子どもたちは関心を持って授業を聞くことができた。また、このビデオ教材から、子どもたちは制作のヒントや道具の使い方などを多くのことを学び、自身の制作活動に活かしていた。制作活動では、「誰のために、どんなサインを作り、設置すればよいのか」見えない利用者を想定し、サインの構想を具現化するために一生懸命取り組んでいた。しかし、3時間で行われたこの制作活動は、詰め込みすぎという印象が否めない。時間的余裕のある授業計画を立て、プロの制作プロセス学習と制作・設置活動は別に時間を確保できるとなおよいプログラムになると思う。
全体的には、もっと時間をかけることができればという印象が残るが、サインの意味や役割を理解し、その制作過程には様々な人々の工夫と努力があることを理解するという目標は概ね達成できたのではないかと思われる。また、普段小学生にはあまり馴染みのない、グラフィックデザインや建築家など新しい産業との関わりを持つことで、子どもたちの職業選択の幅の広がりに貢献できたのではないかと思われる。
ステップバイステップを使った音声ガイドサイン 赤いボタンを押すと、仙台市立北六番丁小学校2階の主な説明が流れる
カッティングシートを上手く利用したサイン
ステップバイステップを使った音声ガイドサイン
赤いボタンを押すと、仙台市立北六番丁小学校2階の主な説明が流れる
カッティングシートを上手く利用したサイン


水道の場所を示すサイン
トイレのサイン(仙台市立北六番丁小学校)
水道の場所を示すサイン

トイレのサイン(仙台市立北六番丁小学校)
パソコンのスクリーンにさわらないで!
写真コメント(alt入れる)
パソコンのスクリーンにさわらないで!
階段を歩きましょう
写真コメント(alt入れる)
スロープがあります。(仙台市立寺岡小学校)
矢印と「コトバ」を組み合わせた「言葉の部屋」のサイン
スロープがあります。(仙台市立寺岡小学校)

掲示板でサイン制作活動をみんなに報告
掲示板でサイン制作活動をみんなに報告
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実施環境
実施場所 ・ 仙台市立北六番丁小学校 教室 JR仙台駅
・ 仙台市立仙台市立寺岡小学校 教室、ショッピングプラザ(寺岡・紫山地区)住宅展示場・ロイヤルパークホテル
・ せんだいメディアテーク
使用した機器 ノートPC、プロジェクター、デジタルカメラ、スクリーン、ビデオデッキ(あるいはデジタルビデオカメラ)、デスクトップパソコン
その他 インターネット接続、インターネットブラウザー

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使用教材
教材タイトル 「サインって何?」(くらしの中のサイン実例画像)
教材仕様 JPEG 画像(30枚)
教材概要 記号化、表現方法の重要性、文化やメッセージ性の違いなどについてわかりやすく説明するためのサインの実例画像。

教材タイトル 「公共空間のサイン」(公共空間のサイン実例画像)
教材仕様 JPEG 画像(30枚)
教材概要 バリアフリー、公共空間のサインをデザインするということ等についてわかりやすく説明するための実例画像。

教材タイトル 「サイン探検」ワークショップ教材
教材仕様 サイン探検ワークシート:B5判 ケント紙 
サイン探検キット:単眼双眼鏡、鏡、ルーペ、キット袋
教材概要 公共空間のサイン設計に重要なポイントをクイズ形式にしたワークシートとクイズを解くためのツールとしての探検キット。グループ毎にワークシートのクイズを解きながら、公共施設(せんだいメディアテーク)を回り、実際にサインがどのように使われているか体験学習することができる。

教材タイトル 「サインの制作現場から」
教材仕様 Microsoft(R)PowerPoint(R) ファイルドキュメント(うちVHSビデオ映像15分)
教材概要 実際の駐輪場のサイン工事の打合せ、材料、加工、施工の過程を説明したプレゼンテーション資料に制作や工事現場の臨場感を伝えるために一部ビデオ映像を用いてリアルなプロの制作現場を紹介する教材。サインを制作するプロセス、重要な視点などについて説明する

教材タイトル 「サイン制作キット」
教材仕様 ・ 点字ブロック(誘導ブロック・停止ブロック)
・ サインパーツ及びカラーペーパー用スチレンボード
・ アイコンキット(穴あき合板・カラー粘土)
・ 手書きキット(アクリルボード)
・ 音声ベル
・ センサーキット
・ カラーペーパー
・ カッティングシートサインパーツ
・ マジック
・ 取り付けキット(両面テープ、ガムテープ)
教材概要 学校に設置するサインを制作するための材料

教材タイトル 学習支援ポータル
教材仕様 HTML62ページ
サインに関する知識を解説した教材片126ページ(HTML)
IE.5.5環境下で稼動
教材概要 サインに関する知識(教材片)を集積したポータル。
ポータルの機能は:
・ 児童の自発的な疑問に対応できるような検索機能
・ 体系的に学習するための構造化された情報提供機能
・ 掲示板
・ 自分の学習記録を残すことができるノート機能
教材片のボリュームは126片。
検索方法は、6つのメインカテゴリー、26のサブカテゴリー、キーワードで検索できる。
児童はひとりひとりに付与されたログイン名でログインし、ノートの記入やその他の機能を利用することができる。
教師は、児童のノート活用状況を一覧で閲覧することができる。

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授業協力メンバー
所 属 氏 名 授業での説明
永原事務所 永原康史
グラフィックデザイナーの立場から、導入「サインって何?サインを考える」の授業を担当する。授業では、サインの広義のコンセプトについて講義し、記号化、表現方法の重要性、文化やメッセージの違いなどについて説明する。また、実践「学校のサイン制作・設置」の授業では、サインのデザイン方法や制作、設置についてアドバイスする。
(株)建築都市ワークショップ 鈴木明
建築家そして、せんだいメディアテークのサイン企画担当としての立場から、「公共空間のサイン」の授業を担当する。授業では、「サイン探検ワークショップ」を実施し、公共空間のサイン設計について講義する。
ハリウコミュニケーションズ(株)  菊地淳
出版印刷業界からの講師として、「サインの制作現場から」の授業を担当する。サインを制作するプロセス、重要な視点などについて、実際の駐輪場のサイン工事の打合せ、材料、加工、制作、施工風景などを撮影したビデオとパワーポイント資料でリアルなプロの制作現場を紹介する。また、実践「学校のサイン制作・設置」の授業では、制作、設置についてアドバイスする。
情報のあんこ 渡辺徹
プロカメラマンとして、「情報リテラシー講座:デジカメの使い方」の授業を担当する。デジカメの操作法、撮影の方法などについて指導する。
エルネット仙台 スタッフ
「情報リテラシー講座:デジカメの使い方」における補助的個別指導や、校外フィールドトリップなどにおける安全確保を担当する。

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授業の感想
■授業実施者
(産業界講師)
・ サインは概念的なテーマであり、図工、社会、道徳、など教科の枠には留まらないという難しさがあったが、我々大人の仕事もどの教科にもあてはまらない横断的なものであることを考えると実社会の仕組みを反映したテーマに関して授業を実施できたことは評価できると思う。
・ サインは様々な切り口で授業を展開できる可能性を持っているテーマであると感じている。例えば、学校に本当に必要なサインは何かというテーマで議論を重ね、実際サインを制作する授業や、サインはプロが作るべきという立場から、プロにサインを発注するまでのプロセスを体験する授業など、対象とする児童生徒の学年に応じた様々な授業展開を考えてみたい。
・ このプロジェクトを機会に、学習支援をしたボランティアが、現在でも学校と連携しながら現在も活動を継続している。地域における人的ネットワークが新たに構築できたのも成果であると思う。
■担任の先生 ・ 小学校の教師だけで計画された学習は、型にはまったものになりやすく、専門的分野では限界があるものが出てくると思われる。これからの社会を担い、貢献していく子どもたちには、様々な職業があり社会に貢献していることを伝えたいと思うので、今後もこのような授業を行いたいと思う。
・ 学校内では体験できない学習内容を、自由な発想で企画されて新鮮であった。学習に楽しく取り組む道具を用意してもらうことができた。しかし、計画から実施まで時間的余裕がなかった。もっと時間をかけて産業界と連携しながら教材開発や授業計画を立てることができれば、もっとよいプログラムになったと思う。
■生 徒 ・ 「よく見てみると、なにげなく暮らしている町にもこんなに記号、目印がなどがあることがわかった」
・ 「色々なサイン(目印)やサインの意味を知ることができた」
・ 「絵も上手くなったし、サインの意味がどんな風に、誰のためにあるかがわかってとてもうれしいです」
・ 「自分で考え、自分で作り、色をよく使い分け、板の大きさ、色を選び、どこに貼るかを考えて見やすくシンプルに書く事がよく頭に思い浮かばせることができました」
・ 「点字ブロックやクリスマスツリーなどサインだとわかったので、今度はサインの世界が広がっていると思う」
・ 「サインを作ってちゃんと自分の考えを生かせるようになりました」
■教育関係の立場から 教育の立場から
フィールドトリップなど学校外に学習の場を設けることで、昼間働いている人々の姿を見ることができるメリットもあったと思う。学校の年間計画を考慮すれば、さらに素晴らしいプログラムになると思う。

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授業情報 実践事例 教材紹介

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