■進行
第一線の研究者である瀬崎氏が講師となって、「わたしたちの体のしくみ」と「生命の進化」のふたつのテーマで授業を行った。
まず瀬崎氏から、SPring-8が世界一の放射光施設であり、それが自分たちの町にあることへの誇りについて説明を含めた授業の概要を聞いた。
続いて、「わたしたちの体のしくみ」を主題として、スライドや図鑑を使いながら生命や人間について科学的に解説し、児童にその不思議と大切さを考えさせた。
次に、身の回りにある環境の中に生きる目に見えない微生物を、実際に体感するために、校内のビオトープから採取した水の中にいる生物を科学顕微鏡放射線で見てみる実験を行った。これで、微細な世界を見るという興味と、目に見えないさまざまなものが自然界に生きているということを実体験によって児童に学ばせた。
質問をうけた後、授業実施用教材マルチメディアライブラリCD-ROMから資料をスクリーンに提示しながら、SPring-8がどのような装置なのかについて放射光施設の概要を解説し、その役割を児童に知らせた。
続いて、「生命の進化」を主題として、スライドや図鑑を使いながら、地球の長い歴史の中で進化してきた生命の進化の流れやメカニズム、どのようにして人間が生まれ現在に至ったのか、またそれが地球の歴史から見るとどのくらいのものかということについて科学的に解説し、児童に生命の不思議について、科学的に理解させた。また四つ足歩行から、直立二足歩行への変化がもたらしたことを体感し、進化という変化を知るための実験を行った。
まとめとして、次回学習するDNAを始めとする生命科学の話題やSPring-8の研究につながるキーワードを提示し、また科学できる目を育てる大切さを児童に語った。
■内容
授業進行のポイントとして、理解させるより、いかに興味を持たせるかに重点をおいて進めた。
・ わたしたちはどこから来たか?
・ この宇宙は150億歳。私たちの地球は46億歳。
・ 地球の生命は40億年の進化をたどって、いま私たちは生きている。
・ 生命のみなもとは、どのようにしてできたのか?
・ 原子の生命は、いまでも微生物として生き続けている。
・ SPring-8は世界最大の装置
・ 世界中から研究をするために研究者がやってきている
・ SPring-8は、新しい科学の知識を生み出して、世界の人びとに貢献している
・ 上郡町にSPring-8が作られたのには理由がある
・ 科学とは自然の仕組みを理解すること
・ 自然体験から考えることが大切
・ 科学するこころを持とう
・ 科学の研究で知ることが出来た自然の仕組みについて知る
・ 微生物が進化して、地球上の生命は多様化した。
・ エネルギーの作り方のちがいから、植物と動物に分かれた。
・ 地球環境の変化にあわせて生命は進化してきた。
・ 5億年前、カンブリア期に多様な生命体のデザインが爆発的に生まれた。
・ 恐竜は2億年も生き続け、巨大いん石の衝突で、突然、絶滅した。
・ 寒冷化した地球を、ほ乳類は生き永らえることができた。
・ わたしたちの祖先は、サルから分かれて進化した。
実験は、児童に直接携わらせることで、より体験的な学習効果が得られるように実施された。
普段は何気なく見ているビオトープの中では、生物の食物連鎖のシステムが成り立っていることや、目に見えない世界の中にたくさんの生き物が存在し、それらと人間がともに生きていること。人間の体の中の防衛システムやその変化・進化についての解説を通して、児童に科学的な考え方を実感させた。
次の授業までに質問があれば、インターネットに設置された「Q&A掲示板」に書き込むように指導し、書き込みには直接講師が回答をしている。
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授業は大型スクリーンを3枚使って、PC教室で行った

授業では適時、図鑑の中から適切な資料をとりだし、OHC等で児童に提示し理解を深めた

身近な環境から、学習素材を入手して、科学する興味を引き出した

ビオトープの中の微生物の実験に使用した科学顕微鏡

検体の様子は、スクリーンに映し出されて、児童に提示された

児童は、講師が適時組み入れるクイズ形式の質問などに、積極的に応えていた
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