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実践事例

「もしもし」はなぜ届くのか?携帯電話の謎に迫る!
テーマ名
「もしもし」はなぜ届くのか?携帯電話の謎に迫る!
実施学校情報
学校名 大阪府立春日丘高等学校
学年 高校2年生
生徒数 323名
実施日 2004年11/26(金)・11/29(月)
      11/30(火)
合計授業時間 400分
教科・単元 教科:情報A
単元:(2)情報機器の発達と生活の変化
   ア 情報機器の発達とその仕組み
   イ 情報化の進展が生活に及ぼす影響
   ウ 情報社会への参加と情報技術の活用
授業概要

本授業では、普通教科「情報A」の指導要領における「(4)情報機器の発達と生活の変化」の単元の中で、日々進歩を続ける携帯電話を中心としたモバイル通信メディアに焦点をあて、通信の仕組み、電子メールの仕組み、携帯電話がインターネット網につながる仕組みなど、情報通信ネットワークの仕組みの理解を基礎知識とした上で、社会生活の中でのネットワーク利用の利便性、新しい技術、活用の際の危険性について学習する。

またその中で、わたしたちは今後新しいメディアとどのような関係性を持ちうることができるのか、マナーやモラルについても考えさせたい。授業の中では最新のケータイ機器を、テレビ電話会議を利用して遠隔地から説明をうけ、さらに遠隔監視システムとして利用できるように設定されたAIBOを教室から操作した。4人で同時に接続できるテレビ電話会議システムも利用し、生徒たちが実際にテレビ電話会議の体験を行った。

授業のねらい ・ケータイ(モバイル機器)での通信(音声、電子メール)の仕組みを理解する。
・ケータイがどのように場所情報を認識し、つながるかを理解する。
・ケータイからは常に電波が出ており、禁止された場所では、電源を切るように
する必要があることを理解させる。
・一つの基地局で多くのケータイが使える仕組みを理解する。
・メールがどのように利用できるかを理解する。
・パケットがどんなものかを理解する。
・ ケータイがインターネットと繋がっており、インターネット網の一部として利用されていることを理解させる。


授業内容(1時限目)
実施単位 1時限目
テーマ ケータイ
実施場所 LAN教室
 教師用デスクトップパソコン1台
 生徒用デスクトップパソコン40台
 提示用モニタ20台
実施時間 50分
講師 株式会社NTTドコモ関西 小山雅司・原 知希
使用教材 (1)デジタルコンテンツ
(2)お財布ケータイ説明用プレゼン資料
(3)FOMA端末、テレビ電話会議用機器類、犬型ロボット
(4)i-モード端末

授業の進行・内容 授業の様子

■ 進行
(1)挨拶と導入
 自己紹介の後、事前授業で学習したケータイのつながる仕組みついての質問対応やクイズなどを、デジタルコンテンツを利用しながら行った。

(2)新しい「携帯端末」のこれから
 お財布ケータイの紹介を中心に、今後ケータイでどのようなことができるようになるのか、その利便性を感じさせた。

(3)<遠隔講義>
これからの「携帯端末」利用体験
 大阪梅田にある展示場と高校の教室を、FOMAのテレビ電話会議機能を利用して接続し、ケータイの新しい利活用方法についてのデモンストレーションを行った。その中のひとつである犬型ロボットを利用した遠隔監視システムについて、生徒が教室から梅田にあるロボットを、実際にケータイを使って遠隔操作する、という体験を行った。またその後、今度は4地点同時接続可能なテレビ電話会議システムを利用して、質問などを行いながらケータイの新しい技術を実感させた。

(4)利用とセキュリティについて
ケータイを利用した災害時サービスの利用法や、ケータイに関するトラブルについて、i-モード端末やドコモのwebサイト、またデジタルコンテンンツなどを見せながら説明をした。

■ 内容
授業を実施した学校は公立高校であるが、校内へのケータイの持ち込みは禁止されていない。ほとんどの生徒がケータイを所有しているということであるが、導入場面でどこの電話を利用しているかという講師の問いへの答えでは、ドコモのケータイは少数派であった。また、事後のアンケート調査によると、ケータイを含むテレビ電話会議システムを、これまで学校、プライベート共に利用したことがないという生徒がほとんどであり、本授業中におけるテレビ電話会議の利用場面では、たいていの生徒が自分のところに回ってきたFOMA端末を、画面の確認もせずに「私(俺)はいいから!」「はずかしい!」といいながらすぐに隣の生徒へ渡してしまうことが多かった。しかし、アンケートの自由記述には、「テレビ電話が面白かった」「すぐにまわしてしまったから、今度はちゃんとやってみたい」「教室のみんなが積極的に参加しなかったから、お姉さん(テレビ電話会議の相手)に悪かった」といった回答も多かった。また、「ケータイ」電波はどこがいちばんつながりやすいか?という講師のクイズには正解者が少数派で、日々利用している大変身近な道具であるケータイだが、以外に仕組みは知らない、ということがうかがえた。



(1)もしもしのしくみクイズ解説

−授業映像−

(2)お財布ケータイの説明



(3)デモンストレーション見学


ロボットの遠隔操作


−授業映像−

4地点同時テレビ電話会議体験

−授業映像−


(4)デジタルコンテンツの利用

■改善点
1時限授業のため特になし



授業の成果

授業後のアンケート結果から、開発したコンテンツはイラストやアニメーションなど専門的なな技術を利用して、わかりやすく解説ができたことを理由に、公開授業のオブザーバー、生徒、教員総じて高い評価を得られた。産業界講師の授業についても同様に、総じて高い評価を得た。ただ、オブザーバーの自由記述の回答では、普段体験できないことが体験させることができたことは、産業界講師の授業として大変意味がある、といった内容の記載がある反面、専門家なのだから、もっと突っ込んだ詳しい内容を教えて欲しかった、もっとたくさん機器を持ち込んで欲しかった、などの意見もあった。

授業実施環境
H/W (既存)インターネットが利用でき、デジタルコンテンツを提示できる機器必要。
具体的には、インターネットが利用できるパソコン1台と、
拡大提示用の画面(プロジェクタ+スクリーン、プラズマディスプレイなど)または生徒から確認できる範囲内に設置された提示用モニタ数台
S/W (既存またはフリーウェアダウンロード)
Microsoft Internet Explorer 5
Apple QuickTimePlayer 5
Macromedia FlashPlayer 6
  テレビ会議のシステム構成については以下である。


図3.1-3 テレビ電話会議システム構成図(2地点間)


図3.1-4 テレビ電話会議システム構成図(4地点間)
使用機材
教材1 もしもしの仕組み
教材仕様 Webアニメーション教材
内容 授業実施企業の所有する機器(i-モード端末、FOMA端末、テレビ電話会議用機器、犬型ロボットなど)や、ケータイのつながる仕組み、テレビ電話会議のしくみなどについて、イラストやアニメーションを中心に説明するデジタルコンテンツなどを利用する。
授業協力メンバー
授業実施担当者 株式会社NTTドコモ関西
原 知希
授業実施担当者 株式会社NTTドコモ関西
小山雅司
コーディネーター 先進的教育情報環境整備推進協議会
教育用デジタルコンテンツ作成 株式会社イングラムジャパン
授業の感想 授業実施者
・大変だった

担任の先生
・産業界の生の声が聞けてよかった。授業で活用できるデジタルコンテンツが新しく開発されてよかった。

生徒
・ いつもとちがった雰囲気で新鮮だった。はじてめてテレビ会議を体験できて面白かった。

授業情報提供者
・学校の求めるもの、産業界の求めるものをうまく調整し、授業に活用できれば良いと思う。

オブザーバ
・産業界の専門的知識をもった人材から、生徒たちにどのように知識の伝達がなされていくかをみていくと、今後様々な場面に生かされる思う。