9.評価




1)教師に対して
教師に対しては次のような成果が上がったと考えられる。

字と書字の基礎的な力を培う指導方法をタブレットPCで検討し、教師の指導技術の向上を図れた。
その過程で、書字障害を示す子どもの典型的な学習パターンを踏まえ、それを改善する教材を開発し教育現場での指導実践に生かせた。
その成果や知見を特別支援教室や養護学校などで応用する方策を検討できた。
教師間の研修でこうした教材の活用法や指導方法を紹介できた。
校内の研究活動の一環として書字、読字学習に取り組めた。

2)児童生徒に対して

3)参加企業に対して

今後の大学との共同での研究の進め方の知見を得ることができた。
学校現場の教育や子どもの学習ニーズを把握でき、その知見を商品開発につなげる見通しができた。
度発達障害児への教材などの商品開発にあたって、勘どころやノウハウが得られた。
軽度発達障害児への教材開発への参入で、学校とのパイプができた。
障害児教育関連学会での発表などを通して、現場の課題や要求を把握できた。
関連企業の教材に関する商品開発に関する情報が得られた。

4)プロジェクト達成状況

 本プロジェクト推進においては当初は教材開発の時間が充分にとれなく、学校での授業実践の許諾にも時間を要した。担当する教師への教材活用方法やタブレットPCの特徴などを理解してもらうのにも日数を要した。小学校や養護学校にまたがる研究分担者間の研究協議の時間や場所の困難さもあったが、ネット上での音声と教材提示による会議方式の採用は、その後の協議を円滑なものとした。 

 音声会議の開催方法は、兵庫教育大学で使用している物をベースにした。使用したTalking Communitiesというツールは、音声とテキスト、webページと資料を混ぜて討議するというインターフェイスとなっている。参加者は各自最近の話題を持って入ると話し合いが活発なものとなった。

 こうしたネット上での協議は14回に及んだ。教材開発や授業実践も研究期間の後半になって進行した。

 更に、授業実践の事例をとおして、教材とタブレットPCを用いた学習と指導方法において、子どもに成長が見られるということが判明したからである。障害児の漢字に対する姿勢が変わってきたこと、字を丁寧に書こうとする場面が多く見られるようになったこと、書き順を意識して書くようになったことが報告されている。教師の側も軽度発達障害児の指導方法に新しい知見を得ており、こうした教材の有用性が確認されている。

 なお兵庫県立教育研修所からは、本プロジェクトに対する改良点として次のことが指摘されている。

分担者が他の学校を訪ねて、それぞれの指導実践を参観したり意見を交換することが大事であるという点。
タブレットPCの製造業者からその特徴や使い方の制約や課題などについて説明を受けておくべきであったという点。

 



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