6.実験システムの構成と仕様




 本実験において,ハードウェアの選定を行うにあたり,最も重要なウェイトを占めるのが,ICタグおよびICタグのリーダライターの機器選定であった。重要な用件として,まずICタグにおいては,デジタルマップ上に展開することからなるべく小さいものを選定することとした。またICタグのリーダ/ライタにおいても,児童が閲覧するにおいて不便に感じることのないよう,なるべく携帯性・操作性に優れたものを選定した。
 また,その他のIT機器においては,実証の流れにおいて,児童がコンテンツ登録に使用するデータの収集,収集したデータをまとめてコンテンツを作成し,サーバに保存しICタグに書き込む,デジタルマップ上で児童がパソコンとICタグリーダを操作し登録されているコンテンツを閲覧する,という3つの流れから成り立っている。それぞれの実証シーンに対して必要なハードウェアの選定を行った結果,には,データ収集用の簡易型デジタルビデオカメラ,には,コンテンツ登録用のサーバ,には,コンテンツ閲覧用の携帯パソコンを用意することとした。

6.1 コンテンツの登録およびICタグへの書き込みにおけるシステム構成

6.2 ハード構成

6.2.1 ICタグ

 ICタグを選定するにあたり,もっとも重要な選定基準として「なるべく小さい」という基準が挙げられた。これは,マップ上にICタグを貼る場合において,ICタグが大きすぎると,マップが見えにくくなったり,異なるコンテンツ情報のタグが同一上に重なったりといった不都合が出てくるためである。また,今後普及を想定した場合に,あまりに高価であったり,耐久性に弱いものであったりした場合も今後に影響が出てくることから,なるべく安価で,丈夫なものというものも選定項目として挙げることとした。その結果,タカヤ製のプラスチックタグ『Tag-it HF-I』が最も選定基準をクリアしているという結論に達し,採用することとした。

6.2.2 ICタグ リーダ/ライタ

  ICタグのリーダ/ライタの選定は,ICタグをタカヤ製のものを選定していることから,タカヤ製のものの中から選定することとなった。リーダ/ライタは今回の実証には
  ICタグにコンテンツ情報を書き込む登録用 
  マップ上に展開されているICタグを検索する検索用
 の2種類のリーダ/ライタを用意する必要があり,それぞれに選定基準を設けることとした。まず登録用のリーダ/ライタは登録者がICタグを用意し,登録するため,定置型のリーダ/ライタにすることとした。また,検索用の場合においては,マップ上の様々なところにリーダ/ライタをかざすことで,ICタグを認識させる必要があることから,移動型のリーダ/ライタを用意することとした。ただ移動型のリーダ/ライタは,規格品に適当なものがなかったため読込先であるアンテナ部分に手を加えることで対応を行った。

6.2.3 データ登録用サーバ

 サーバを選定するにおいては,特別な基準はなかったものの,専任の技術者が不在な学校でも,最低限のバックアップを可能にするためにRAID機能が付加された機種を選定することとした。

6.2.4 データ収集用簡易デジタルビデオカメラ

  児童がコンテンツ収集のために使用する映像機器の選定条件として,
ビデオ(映像)の撮影が簡単にできるもの
児童が簡単に扱える,操作性に優れたもの
今後の普及も想定して,安価で学校単位でも台数が揃えやすいもの
これら3点を基準に機器の選定を行った。

6.2.5 コンテンツ閲覧用タブレットパソコン

 今回のタブレットパソコンの主な利用用途としては,マップ上に展開されたICタグを閲覧するために使用することがメインである。それによる選定条件として
児童がICタグを探すときに持ち歩くので,なるべく軽量なもの
なるべく配線が少なくなるように,無線LANに対応しているもの
バッテリ駆動時間がなるべく長いもの
以上の3点を基準に機器の選定を行った。

6.2.6 コンテンツ閲覧用PDA

 前項と同様のケースで使用するコンテンツ閲覧用のPDAに関しては,OSや性能も多種多様で,選定するのも困難であったが,児童が使用することを念頭に置いた形での選定条件として,
なるべく軽量なもの
ワイヤレスLANに対応しているもの
児童が簡単に操作できるように,通常のパソコンと大差のないOSのもの
以上の3点を基準に機器の選定を行った。

6.2.7 閲覧用デジタルマップ

 閲覧用のデジタルマップを作成するにあたり,選定条件として,
なるべく大きいもの(ただし壁掛けで使用する場合もあるので,壁掛けできる範囲内であること)
児童が持ち運びすることを想定し,なるべく軽量でコンパクトに畳める形状であること
汚れや水に強い素材であること
以上の3点を基準に作成することとした。しかし大きな課題として,今回の実証フィールドである伊島学区と福谷学区の大きさがあまりに違いすぎるため,作成する地図の大きさを基準とし,それぞれのマップのスケールを変えることとした。

 



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