1.実践テーマ: |
「eラーニングを活用した不登校生徒への学習支援」 |
2.執筆者: |
茨城県つくば市立手代木中学校 教諭 杉田 慶也 |
3.キーワード: |
不登校,自習室登校,学習支援(環境),基礎・基本の習得,eラーニング |
4.IT活用の意図
不登校児童生徒数は年々増加し,平成13年度の国公私立の小中学校の不登校児童生徒数が13万9千人と過去最高を更新するなど,憂慮すべき状況にあることから,文部科学省では,平成14年9月に「不登校問題に関する調査研究協力者会議」を設置し,平成15年3月に「今後の不登校への対応の在り方について(報告)」を取りまとめた。
本校生徒の中にも,不登校,自習室登校の生徒がいる。その生徒の多くは,家庭や自習室で自学自習しているのが現状である。そこで,そうした生徒に対し継続した学習環境を提供し,基礎・基本の学習内容を楽しく,効果的に学習させたいと考えた。それには,つくば市内の公立学校に昨年導入された,Web環境の利点を活かした新しい教科型学習支援システムであるeラーニング「つくばオンラインスタディ」を活用することである。
eラーニング「つくばオンラインスタディ」には,不登校,自習室登校の生徒にとって,次のような利点がある。
以上のことから,eラーニング「つくばオンラインスタディ」を活用した不登校生徒への学習支援について探ってみたい。
5.単元名:小学校・中学校の全学習内容(国語,社会,算数・数学,理科,社会)
(1) ねらい
不登校生徒への学習環境の一つとして,eラーニング「つくばオンラインスタディ」を用意し,学習支援について探る。
(2) 指導目標
国語,社会,算数・数学,理科,英語の基礎・基本の学習内容を復習する。
(3) 利用場面
自習室に登校し,自学自習を続けているので,その学習の一部にeラーニング「つくばオンラインスタディ」を行う。
(4) 利用環境
生徒用コンピュータ1台(写真),eラーニング「つくばオンラインスタディ」の問題:基礎コース(教科書の基礎・基本問題程度) |
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6.成果と課題
(1) 学習意欲の向上等
eラーニング「つくばオンラインスタディ」による学習は,自習室で問題集やプリントなどの取り組んでいるのと比べ,生徒の学習意欲は高まった。その理由として,eラーニング「つくばオンラインスタディ」は,個別学習に対応できるシステムであることが挙げられる。
つまり,回答に応じたメッセージが表示されるように工夫されている。生徒はこれによって励まされながら学習を続けることができた。なお,生徒の希望により,コンピュータを1台にしたところ,生徒どうしの触れ合い,助け合いが高まった。
(2) 今後の課題
eラーニング「つくばオンラインスタディ」に取り組んでいるときに生じる疑問については,ノートにメモをさせておき,授業の空いている時間を利用して,まとめて援助・指導してきた。今後は,学級担任や各教科担任に直接問い合わせができるよう,電子メールでの問い合わせのシステムを作りたい。
7.ワンポイント・アドバイス
主体的な学習になるようにするためには,学習計画(教材ソフトウェアのコース一覧)と反省のプリントを用意しておくとよい。
1.実践テーマ: |
「不登校や病気等で登校できない児童生徒へのeラーニングを活用した学習支援」 |
2.執筆者: |
つくば市教育委員会 指導主事 毛利靖 |
3.キーワード: |
不登校,病院,eラーニング |
4.IT活用の意図
つくば市には,不登校など学校に関して悩みを持ち登校できない児童生徒のために「つくば市教育相談センター」を設置している。つくば市教育相談センターでは,電話相談の他,児童生徒がつくば市教育相談センターに登校する児童生徒も受け入れている。そこでの学習支援の1つとして,eラーニングシステムである「つくばオンラインスタディ」を活用することを考えた。また,病院に入院し登校できない児童生徒のために「つくばオンラインスタディ」を活用することを考えた。 |
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5.内容
学習室にノートパソコンを3台設置し,登校した児童生徒がいつでも自由に利用できるような環境作りを行った。生徒たちは,コンピュータを使った学習に非常に興味を示し,積極的に利用する姿が見られた。 |
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さらに,この「つくばオンラインスタディ」は,つくば市内の小中学生の他,つくば市内の病院に入院している児童生徒なら誰でも利用できるようになっている。現在,ある病院と利用について前向きに検討中である。ただ,他の病院については,患者がインターネット回線を利用できる施設がなく,eラーニングそのものが利用できるようになっていないのが現状である。