地域活動に関する実践研究の総括 |
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平成12年10月21日(土)9:00〜12:00 |
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旭川市立神楽中学校 (旭川市神楽6条12丁目) |
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上川教育マイコン研究会 |
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北海道教育ソフト開発協会 |
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北海道教育庁上川教育局 |
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小中学校教職員、教育行政機関、研究機関 |
上川教育マイコン研究会
理事長 森 正明
(緑が丘中学校)
平成10年7月に報告された教育課程審議会答申では、情報化への対応に関して、「コンピュータや情報通信ネットワーク等の情報手段を活用できる基礎的な資質や能力を培う必要がある」と述べており、ネットワークを利用した情報教育が重要であると位置づけている。一方、文部省(現:文部科学省)は平成10年度より自治省(現:総務省)との連携のもとに、平成13年度までに全国の小学校・中学校・高等学校・特殊教育諸学校のすべてをインターネットに接続するよう計画している。また、ミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」として、平成17年度までにすべての授業でコンピュータやインターネットを使えることを目標に、コンピュータ整備、インターネット接続、校内LAN整備、教員研修の実施などを進めており、これらから、早期に学校間のネットワーク化が進められていくこととなっている。
具体的には、「小学校、中学校及び高等学校を通じ、各教科等の学習においてコンピュータ等の積極的な活用を図ることとし、学校段階ごとには、小学校においては、「総合的な学習の時間」をはじめ各教科などの様々な時間でコンピュータ等を適切に活用することを通して、情報化に対応する教育を展開する。中学校においては、技術・家庭科の中でコンピュータの基礎的な活用技術の習得など情報に関する基礎的内容を必修とし、高等学校においては、情報手段の活用を図りながら情報を適切に判断・分析するための知識・技能を習得させ、情報化社会に主体的に対応する態度を育てることなどを内容とする教科「情報」を新設し必修とすることが適当である。なお、情報に関する教育の推進に当たっては、人間関係の希薄化や実体験の不足の招来など、情報化が児童生徒に与える「影」の部分に十分留意することが望まれる」とされ、また、専門教育としても「高度情報通信社会における情報関連の人材の養成の必要性に対応するための教科「情報」を新設することが適当である」とされている。
上川管内でも学校での情報化が進み始め各学校にパソコンが導入されている現在、得意な先生だけでなく職員全員がパソコンに慣れ、児童生徒に指導できるようになる必要がある。パソコンが使えるようになると、職員室でも公務処理に利用することができる。
加えて、パソコン室・職員室・個人の机上がLANで結ばれるとインターネット・プリンター共有・各種データの共有、蓄積などの活用ができるようになり、学校も情報教育のみでなく民間会社のように情報活用の現場となり始めている。
会員の多い旭川の現状として、平成12年度の小中学校におけるコンピュータ整備は、小学校18校、中学校10校である。同時に小・中学校ともにインターネットに接続することとなっている。
5カ年計画の最終年度である平成13年度は、小学校15校、中学校6校に導入されることにより、旭川市内全小中学校にパソコンが配備されインターネットも接続されることになる。
上川教育マイコン研究会は、
「教育におけるマイコンの活用を研究し、会員相互の親睦と技術の向上を計る。」
ことを会則の目的とし、現在91名が籍をおいている。
上川管内の学校へのパソコン導入やインターネット整備が進む中で、教員の人材育成やパソコンの活用、また市教委や研修センターで推進する研修会・講習会を支援することによって地域活性化をねらいとしている。またそれにとどまらず学校へのパソコン・インターネットなどの導入や整備の資料作成、助言なども行っている。
事業の内容は、
1. | コンピュータの教育上の効果的活用研究 |
2. | 研究大会の開催 |
3. | 各種研修会、講習会(上川教育研修センター・市教委主催等)への講師派遣 |
4. | 上川管内中学校CG(COMPUTER GRAPHIC)コンクールの開催 |
5. | 各種イベント事業(○○大会でのパソコン処理)への支援 |
を主な活動としている
本研究大会は、上記2の活動と位置づけた開催である。
7月にマイコン研究会の役員会を行い、研究大会の日時・内容等を検討した。
前述のような現在の管内の小中学校(特に旭川市)の現状を考えると、特に職員室内でのインターネット・プリンター共有・各種データの共有、蓄積などが望まれている。行政の予算不足を補いながら、職員室LANを構築するためには、ケーブル作成や、ハブとの接続・パソコンの各種設定を研修することが有用との話し合いで、今回の内容となった。
また発売予定のWindows用新OSのWindows MEも内容とした。
会員のいない学校もあるため、会員以外の参加者を増やすことを考えた。
上川教育マイコン研究会役員が第11回上川教育マイコン研究大会役員として、それぞれ役割を分担しながら今研究大会を開催した。
運営も役員が中心となり、理事にも協力していただきながら研究大会を行った。
後援・共催は、例年 上川教育局・市教委とお願いしており今回もお願いできた。
加えて、(財)コンピュータ教育開発センター(CEC)の共催を得ることができた。
期日については、昨年までは休業日の1日日程で開催していたが、会員以外が少しでも参加しやすいように課業土曜日の午前中と勤務時間内の開催とした。
情報教育の研修は、管理職にも理解を得やすかったようだ。
開催計画の話し合いに従い、Windows MEのデモをマイクロソフト(株)札幌営業所に森理事長からお願いし、快く引き受けていただいた。
また、職員室内LANの設定・ケーブル作成は、会員内の経験者として、森理事長・大阪事務局次長にお願いした。実習時には、諸岡支援部長他3人の会員も指導にあたった。
旭川市のパソコン導入及びネットに関する実態と今後の見通しなどを森理事長から説明。会場は、40台のパソコンと既設LAN設備が整い、駐車場の確保ができ市内から近く校内に会員のいる場所として神楽中学校を選んだ。
マイコン研会員は会費の中からと考え無料、会員外参加者にはできるだけ少額の参加費で参加していただけるように当初計画していた。
その後CECとの共催が決まり、また(株)内田洋行からのイベント開催費用補助という形で今回の研究大会が開催できるめどがついた。
そこで参加費は会員以外の参加者も無料という好条件で開催することが可能となった。
CEC・内田洋行 ならびに関係機関に厚く感謝する。
後援団体は、北海道教育庁上川教育局・旭川市教育委員会の2団体である。
両団体共に、これまでの上川教育マイコン研の活動を評価していただいており、特に旭川市教育委員会については、「上川教育センター講座」「旭川市情報教育研修会」への講師派遣などでつながりが深く、藪指導主事も会員となっている。
そのため、後援依頼文書の提出のみで快く名義の貸与を得ている。
学校関係者の研修会と考えているため、案内文書は会員のみでなく上川管内の小中学校全てに9月初めに配布した。
旭川市内は、全学校校長宛に直接配送を行った。
上川管内は、市町村教育委員会に各学校分の参加案内状を郵送し教育委員会から、各小中学校に配布していただいた。
また、会員については学校の案内とは別に、10月初めに本人宛でFAXにて送付した。
「上川教育研修センター」にも案内状を置いていただき、研修会・会議などで集まる先生方の目に触れるようにした。
来賓・会員32名 一般参加者21名 計53名の参加があった。
当日は、課業土曜日で生徒の授業の邪魔にならないように配慮した。
40台ギチギチのパソコン室は、五十数名の参加者に対しては少し狭かった。
開会式後、マイクロソフト(株)札幌営業所の浅野秀昭氏より1時間弱の「学校内におけるWindows活用とメリット」と題した講演をいただいた。
と、 内容が豊富で時間が不足してしまった。浅野氏は、早口で時間内に終えようと苦労していたので、もう少し時間に余裕を持たせておくべきだったと反省している。
「LANの基礎・設定方法 及び LANケーブルの作成・接続の実習」として大阪講師よりLANのメリットやTCP/IP設定、NetBeuiなど基礎的な解説の後、森講師を中心に実際のケーブル作成の実習に移った。
被覆の剥き方、ケーブルの色の確認、ソケットへのケーブル接続のコツや要領などを受講者も体験しながら製作した。ストリッパーや圧着ペンチ等数に限りがあったため全員が経験することはできなかったが、じかに見ることができたので製作方法は理解してもらえたと思う。自分たちで安価なケーブル作成ができることがわかり、作ってみようと言う気持ちを持ってもらえたようだ。
研究大会後、旭川市内の2校も職員室LAN工事を自分たちの手で終えることができた。
森講師により「旭川市立学校の最新ネット利用についての実際」が説明された。
今年度『文部省・郵政省のマルチメディア活用学校間連携推進事業』の指定による専用回線によるインターネット関連整備として、小学校5校中学校5校の計10校がケーブルテレビ専用回線を使用して、2M〜6Mというスピードにより40台がストレス無しでインターネットを利用でき、しかも電話料が関係ないため時数を心配することがない常時接続の整備が9月に行われた。具体的な機器の種類・スペックなどの説明に、受講者は羨望の眼差しであった。
3月導入の小学校15校中学校6校、合計21校の具体的導入内容が説明された。中学校はマイコン研も満足できる整備計画となっているが、小学校はサーバやLAN整備での予算制約上から不満がある結果も報告された。
様々な学校の先生が不満な部分を理解できたことにより、12月に森理事長が委員会と小学校のLANについて折衝を行った後、各現場からも直接委員会に要望をあげる下準備の機会ともなった。その結果、委員会は追加として小学校にもソフトウエアによるLAN整備や、サーバ設置を認めた。
また、旭川市以外の市町村からの参加者にとっても最新のネット整備情報を得る機会となった。
センターや市教委主催の研修会講師として参加している中で、受講生(先生方)との話の中から一般の先生方の現状・考え・意見等を聞いている。また、マイコン研会員中心の研究大会と考えているので、様々な会議や研修会で会員同士の情報交換の中で現状や課題を出している。こういった意見交換の各種会議を常に開いており、現場や会員の声がすぐに反映させるからこそ、研修内容も変更されることが多々ある。
会員同士のメーリングリストも設置しており、そこで出されている課題もある。様々な課題の中から役員会で内容を検討して大会の内容を決定しており、また研究大会終了後もその内容を含め様々な意見交換がなされている。
今まで組織が拡大してきた、即ち放送関係、視聴覚関係、教科研究会各教科部会などのコンピュータ部隊を吸収してきたのは、全ての意見に耳を傾けセクタ化することなく、協力を惜しまなかったからだ、と考えている。
ネットワークを中心とした今回の研修会であったが、これから実際の現場においては、様々な問題点が出てくると考えられる。
パソコン未整備の学校では、パソコンの操作を全くできない(触ったことのない)教師が多くみられる。ネットワークを考える以前の問題である。
(自分から習得するという気持ちより、講習などで教えてもらえると考えている)
これらの教師にパソコンに慣れさせると共に、児童生徒への最低限の指導法も教えなければならない。と同時に、パソコンの経験がある教師を中心にネットワーク関係の維持・整備をしていく必要がある。
研修などの時間的保証・教師の意欲向上のための工夫など考えていかなければならない。
子ども達は、全く抵抗感なくパソコンに慣れ、技術を習得していく。
あっという間に教師より、操作的には上達していく。ある中学校では、フィルタリングソフトが入っているにもかかわらずアダルトなどのホームページに入り込み印刷していたという事例が出てきている。
教師によるLog管理も必要となってくる。
また、個人の特定が容易な自宅からではないという気持ちから悪戯メールの発信・ネット上で違法な物品を注文したり、プライバシー侵害的な行為も見られる現状がある。
単に、パソコン操作を指導する時代ではなく、
など生徒指導上からの問題を考えさせながらの指導が必要となってきているのではないだろうか。
*(注1)*
旭川市教育委員会では、上川教育マイコン研究会・旭川市教育用コンピュータ利用研究会・市教研情報視聴覚部などの関係機関と協議しながら「情報教育に関するガイドライン」を作成し、全学校に配布済みである。
パソコンに精通している教育委員会職員がいる場合には、理解も早く導入などにも協力的である。逆に担当者が得手でない場合等情報教育に対する認識にかなりの差が見られ、対応に違いがある。
64Kの回線1本で、パソコン室で全員が同時にインターネットを利用できると考えている場合もある。公民館などでの初心者講座でのんびり待っているインターネットと違い、学校では、より速く・たくさんの情報を欲しいのであるが・・・。
行政の担当者・管理者のパソコンに対する認識や意識を変えることが大切である。
年次計画に従って導入しているため、学校毎に環境が違う。
(5年計画であれば5年の違いであるが、パソコンの世界では時代が全く変わっている)
前述の、小学校2校のLAN工事の時も、同一機器を用意して工事にあたったが、一校はInternet Explorerのバージョン2という環境のため、そのままではLANを組んでもインターネットは利用できなかった。
各学校の環境に合わせた機器の準備なども考えていかなければならない。
会員のみの研究会から始まり、公開の研究大会が今年で12回目を迎える。
旭川市・他町村のパソコン導入も本格的になり、パソコン室のみの導入でなく各教室配備の校内LAN・超高速インターネットも始まっており、これからはパソコンやソフトの使い方だけでなくLANの構築・保守などより専門的な知識が必要となってきている。
また、パソコンの価格も下がり家庭に広く普及してきており子どもたちのパソコン操作力も目を見張るものがあり、これからますますパソコンに関する問題点が出されてくるとともに先生方のパソコンスキルを付けるための講習会や研究会が必要になってくる。
センターや市教委の講師としての質を上げると共に、自校でのパソコン管理などパソコン教育の中心的責任を果たし、また上川全体の推進役としての役割を果たすためにも、研究会を継続開催する必要が望まれている。
今後もパソコンの今日的課題をつかみながら、会員・一般教員の必要とする内容にした研究会を開催していこうと考えている。
今回は(財)コンピュータ教育開発センター(CEC)殿 の共催が実現できたこと、並びに(株)内田洋行殿の並々ならぬご協力があったことに心より感謝する。
上川教育マイコン研究会は、これからも上川管内の児童生徒のパソコンを中心にした情報教育推進のため、会員一丸となって活動していく考えである。