ネット社会の歩き方 実践研究報告書 |
本開発ソフトを利用して実践授業を行った教師からの感想、アンケート及び課題などについてまとめる。なお、実践授業を行った学校は以下のとおり。
○大津市立瀬田小学校(石原一彦教諭)
○山梨大学教育人間科学部付属中学校(鈴木昇教諭)
○清泉女学院中等高等学校(土屋至教諭)
○松坂市立中部中学校(長谷川元洋教諭)
○山梨大学教育人間科学部付属小学校(奥山賢一教諭、川原陽一教諭、徳江恵一教諭、茅野紫教諭、石川等教諭)
○慶應義塾幼稚舎(鈴木二正教諭)
○早稲田大学高等学院(杉村淳子教諭)
○広島市立鈴張小学校(玉井基宏教諭)
○千葉大学教育学部付属中学校(芳賀高洋教諭)
実施校 大津市立瀬田小学校(石原一彦教諭)
実施日 第1回 平成13年1月22日(月)6年生
実施内容
●個人情報の保護
●チャットの危険性
●なりすまし
●責任ある発信
●知的所有権の保護
●誹謗中傷
大津市立瀬田小学校では6年生の1クラスの児童が、学習ユニットを活用した授業を2回に分けて取り組んだ。
1回目は、各班ごとに基本の部分の学習ユニットを担当して、そこのアニメーションを見てどのように考えるのか発表する、いわゆるバズセッション形式で行った。
授業の導入部分では、インターネットを使って起こっている様々な社会問題や詐欺行為について話し合った。小学生なので具体的な事件や事例はそれほど詳しく知らなかったが、児童名簿を聞き出す電話などが実際によくかかってくるので個人情報の保護についてはどの子も関心が高かった。
次に、液晶プロジェクターに映るブラウザーを使って学習ユニットを簡単に紹介し、班ごとに担当するユニットを決めた。担当が決まると班ごとに3台程度のパソコンを使ってそれぞれのアニメーションを見て班ごとに話し合った。発表では、それぞれのアニメーションの持っている課題や問題について的確に発表できたと思う。また、班ごとの発表を聞いていた他の班の子どもたちも自分なりに色々な意見を出し合うことができた。
2回目の学習では、主に学習ユニットの応用のページを使うことにした。
子どもたちをプロジェクターの前に集めて教師がアニメーションを紹介しながら、適宜解説を加えて話し合う形式で学習を進めた。
ウイルスやマルチ・ネズミ講など、比較的理解するのが難しい学習ユニットでは、いきなりバズセッションのように子どもたちに話し合わせるよりも、教師が一つ一つ丹念に紹介していく方がより理解が深まるように思えた。
授業を終えて思ったことは、この種の学習は小学校でもすぐに取り入れるべき内容であることが分かった。それは、情報モラルの問題が将来の問題ではなく、今ここにある問題として考えていかなければならないと思えたからである。
家庭でのインターネットの利用が進み、今や学校以上に情報環境が整い、子どもたちは続々とネットワークに参加してきている。使い方を一歩間違えれば取り返しがつかないことになることを子どもたちに教えるのは教師としての責務だと思う。
今後の改善の方向としては、より現実に起きそうな事例を集めて学習内容の選択肢を増やすことが必要であるだろう。また、BGMや効果音、ナレーションなどを加えることができるとより洗練された教材になるだろう。
●チャットの危険性
漫画風に書いてあり大変分かりやすく、見やすかったです。今回学習したことは、これからのことにいかしていきたいです。
絵が色々と変わって分かりやすかった。
●責任ある発信
インタ−ネット上では、全国のたくさんの人がそのペ−ジを読んでいるので、個人的な悪口やウソや周りの人に迷惑になるようなことは、載せてはいかないことが、よくわかりました。
ホームページにのせるという事は『自分で責任。』を、持たなければ行けない事だと思いました。
文章だけではなくて、絵や実際にありそうなことをもとに物語として構成されているからです。子供から大人までたくさんの人が、理解できるので、とてもいいと思います。
●個人情報の保護
マンガは良かったけど中途半端で終わってたから最後までやったほうがいいとおもいました。
●カードの不正利用
分かりやすくてよかったけど、カードを不正利用しようとした人の事をもっと詳しく 書いてほしい
あんまり分からなかった。なんでああいうふうになったかもっとかいてほしい。
●ウイルス
なんだかこういう時についてくる添付ファイルは、めちゃ見たくなるけど今回の授業でとてもこわい事が分かった。
●全体に対する意見
内容が少ない
表示する速度が遅い
「へぇ。こんな事になってしまうんだ」と、ビックリしてしまうほど勉強になりまし た。インターネットは、いい事ばかりではなく、悪用されてしまう事もあるんだなぁと思いました。
「写真−1 大津市立瀬田小学校授業風景」
「写真−2 大津市立瀬田小学校授業風景」
実施校 山梨大学教育人間科学部附属中学校(鈴木昇教諭)
実施日 第1回 平成13年1月17日(水)9時から2単位時間
場所 第一コンピュータ室(マルチメディア教室PC20台)
生徒 第1学年1組 (37名)
第2回 平成13年1月18日(木)9時から2単位時間
場所 第一コンピュータ室(マルチメディア教室PC20台)
生徒 第2学年4組 (36名)
実施内容
指導案は公開指導案の一斉学習形式のものを利用。
電脳商店街を用いた電子ショッピングの体験
疑似体験により、主体的な生徒の活動時間があるので、授業しやすい。
学習プリントをみると、その半数ぐらいに、インターネット通販の注意点として、「よく条件や文章をみる」などの基本的な態度にかかわる記述があり、指導の工夫によって、より、効果的な学習材として発展する可能性がある。
カリキュラム上のどこで実施するかを決定する必要がある。本校の場合、次の可能性がある。
技術・家庭科の技術分野「情報とコンピュータ」で実施する。
ここには、学習指導要領の指導項目として含まれている。
総合学習の時間に配置した「コンピュータメディアリテラシー」の時間に配置する。
本校独自のカリキュラムである「生き方学習」の自己防衛にかかわる項目として配置する。
中学生の一年生と2年生で実施したが、1年生は「おもちゃ的」扱いが多く見られ、 2年生は、質的な理解に進んでいる生徒が多くいたように感じられる。このことから、この学習教材は、中学2年から指導するのが効果的かと感じた。もっとも、本校の生徒のように、小学校で電子メールやwebページを作っているスキルの生徒の集まりなので、公立中学の実態とは少し事情が異なるかもしれない。
1、2年と比較する意味で、3年での実践を行う機会をもってみたい。
疑似体験できるという導入の説明に、生徒が期待している反応が見られた。
サイバー調査官であるという想定によってか、かなり批判的にwebページの内容を分析する態度が見られた。
架空の個人情報を入力する場面では、いろいろと入力して楽しそうであるが、無駄に時間を費やす場面も見られたり、まさに「やりすまし」の問題も生まれたりした。
「よく問題に気が付きました」という画面表示に素直に喜ぶ女子生徒もいた。
中学1年生は、ありえない巨大な注文数を入力してみたり、文章を読まずに結果を急いだりする傾向が多かったが、このことを2年生に話したところ、慎重に条件や購入手続きの文章に目を通し、「まずだまされない」という態度で慎重に進めていた。
「やった、予想通りだ」と自分たちの分析が正しかったことを喜んでいる生徒も見られた。
現時点では、いくつかの問題点があることがわかった。
「着払い」を選んだのに、記入欄があると、すべての欄に記入してしまう。
→指導方法の工夫で解決できる
注文個数が、いたずらできる。巨大な数字をいれて、乗数表示になってしまう。
→上限設定をして、「そんなに在庫がございません」とか、「個人販売なので大量注文は扱っておりません」などの表示をだして制限する必要がある。
オープン価格の意味を知らないで、これがあやしいと思っている生徒がいた。
→教師の説明で解決するが、その程度の情報もどこかで用意すべきか。
●インターネット通信販売の問題点が分かった。
気をつけて買い物すれば、インターネット通信販売は、便利だとおもった。
●商品が届く画面などが出て本当に買い物をしているようだった。
どこを注意して買い物をすればいいか分かった。
やはりこういうことは学校で教えるべき問題なのだろうと思った。
いろいろなコースがあるので、そちらもやってみたくなり技術の時間が楽しみです。
このような疑似体験ができるホームページやソフトを開発していくことを望みます。
●問題があるところにはどんな問題があるかがわかった。
インターネットは便利だと思うが、問題点もたくさんあることがよくわかった。
数値でアンケートを取り、その平均点を示す。
a.内容のわかり易さ 3.97(5点満点)
b.良いと思った項目
操作性 50.0%
内容が豊富 45.9%
有効性 71.6%
デザイン 18.9%
表示する速度 17.6%
c.気になった点
操作性 26.5%
内容が少ない 23.5%
役立たない 5.9%
デザイン性 45.6%
表示速度 41.2%
実施校 清泉女学院中学高等学校(土屋至教諭)
実施日 第1回 平成13年1月22日(月)
生徒 高校第1学年(40名)
実施内容 指導案は公開指導案の一斉学習形式のものを利用。電脳商店街を用いた電子ショッピングの体験
高校1年生女子の「インターネットで情報発信」というゼミ(希望者40名によるクラス)で2回にわたり、この教材を使用して授業を試みた。
1回目の授業では、まず「学習ユニットのひとつ」を選び、それをプロジェクターに投影して、皆でそれを見ながら、ところどころ生徒に問いかけを発した。そこで話し合ったこと、考えたことをアンケートに記入した。
さらに残った時間で、他の「学習ユニット」から興味あるテーマを選び、それぞれ見て話し合いながら、アンケートに記入するという方法で試みた。
2回目の授業では「電脳商店街」を訪れ、それぞれ、「オンラインショッピング」を体験した。なぜこうなってしまったのかを結構にぎやかに話し合いながら進め、原因が分かったときや、うまくいったときには随所から歓声があがり、いわばゲーム感覚で楽しみつつ、進めることができた。
本校では2人で1台のコンピュータを使用しているので、二人で話し合いながら「アンケート」に記入している。
ただ、20台あまりが一斉にアクセスするかたちになるので、反応が遅くなる。反応を待っている間に「このようなオンラインショッピングを体験するときにはどういうことに注意したらいいか」を考え、二人で話し合うように指示した。
高校生には、ムービーの絵が少し幼いかなと思われたのだが、それでも結構楽しみつつ学習していたであろう。単に静止画で見せるのではなく、動きのあるムービーだったので、先ずそのことに興味を持ったようである。こういうアニメ風の絵はどのようにつくるのかということについても質問された。
擬似的にでも「体験できる」ことにやはり意味があると思う。スクリーン上で「痛い目に遭う」ということは特に無知によって何気なくしてしまうような行為の危険性に気づくためには効果があるといえよう。生徒の反応の中にも「こういうことが起こるのだということを改めて認識した」という声が結構多かった。
たとえば「マルチ・ネズミ講」のところで、これがどうして多くの人を巻き込み、またどうして非難のメールが殺到するのかということにぴんと来ない生徒もいた。このあたりは実際の勧誘メールを見せて、よりリアルな状況設定のもとに、これがメールとしてきたら、どうするのかを話し合うようなフォローが必要であろう。
問題なのは、その危険性を知りながら敢えて行うような「加害者的な行為」に走らせないための指導であろうか。このためにはさらに工夫が必要であると思われる。
そして、さらにいうならば、単に危険性を指摘する「負の安全教育」にとどまらずに、これをうまく利用するといままでできなかったこういう道が開けてくるという肯定的積極的な利用の仕方を示すことも大事なことだと思う。ここに担当者の力量が問われるような気がするがどうであろうか?
「写真−3 清泉女学院中等高等学校授業風景」
「写真−4 清泉女学院中等高等学校授業風景」
実施校 松坂市立中部中学校(長谷川元洋教諭)
実施日 第1回 平成13年1月25日(木)3時限目
実施対象学年 1年生
最初、簡単に全体の概要と操作方法を説明し、グループに分かれて、学習モジュールを見る形態で授業を行った。
最初、担当の「誹謗中傷」を使い、残りの時間で他のモジュールを学習した。
<有効性>
アニメーションでわかりやすく、短時間に一通りの知識について学ばせることが可能であった。
総合的な学習の時間のオリエンテーションの場面での利用、家庭での利用にも使えると感じた。
<要望・意見>
音を入れたバージョンも欲しい。
完全に自習用教材という位置づけにしてしまった方がいいと思う。
「写真−5 松坂市立中部中学校授業風景」
「写真−6 松坂市立中部中学校授業風景」
平成13年2月7日に松阪市内の小学校の教師を対象に行った研修会において、学習ユニットに関する感想19名分から一部を抜粋しました。
●ネットの歩き方の内容は、私自身の知りたいことです。小学校6年生になると自分専用のパソコンを持っている子がいます。メールもしているようですが、このような危険性はわかっていません。親も「パソコンがあれば、かしこくなるだろう」と与えていますので、この内容は親にも知らせていかなければならないと思います。カードの不正使用のところは、ほんとに驚きました。絵もわかりやすくよかったです。早くいつでものぞけるようにしてください。(Y先生)
●とても楽しく見せていただきました。吹き出しや絵もわかりやすかったです。でも、小学生にはちょっとわかりにくい言葉があったことや、だからどうしていけないのか、わかりにくいところもありました。それから、画面を次の画面にいく方法(木の絵をクリックすること)がわかりませんでした。(T先生)
●アニメもきれいで大きくてわかりやすかったです。
メールやインターネットをはじめたばかりの人には子どもだけでなく役に立つと思います。小学生でも使えると思います。 (M先生)
●やっぱり、インターネットではわからないことが蔓延していると思います。だから、このようなページはとても有効で活用する頻度が高いと思います。子どもにも大人にも基本的なことがわかってよかったと思います。しかし、はまればはまるだけもっと難しいところでわからないことが出てくると思うので、(自分がそうなんですが)さらに、詳しい内容を教えていただくことも必要かと思います。特に、コンピューター上の権利については最低限の知識しかありません。(M先生)
●インターネットになれていない私を含め、子どもたちにとってイラストでわかりやすく説明してあるのがいいと思います。便利だけど使い方を誤ると大変なことになるんだということがよくわかりました。これからますます普及するであろうその使い方について、子どもたちを教えている立場の一人である教師も、もっとしっかり勉強していく必要があると思いました。(M先生)
実施校 山梨大学教育人間科学部付属小学校(奥山賢一教諭、川原陽一教諭、徳江恵
一教諭、茅野紫教諭)
実施日 | 第1回 平成13年1月22日(月)6年生 個人情報の保護 第2回 平成13年1月22日(月)6年生 知的所有権の保護 第3回 平成13年1月22日(月)6年生 雲隠れ 第4回 平成13年1月23日(火)6年生 チャットの危険性 第5回 平成13年1月23日(火)5年生 誹謗中傷 第6回 平成13年1月29日(月)6年生 責任ある発信 第7回 平成13年2月3日(土)5年生 なりすまし 第8回 平成13年2月13日(火)5年生 入力ミスによる発注 第9回 平成13年2月19日(月)6年生 カードの不正利用 |
一斉授業・1単位時間で1学習ユニット毎に、教師が場を設定し、子どもたちが自分の経験や体験と学習モジュールでの疑似体験とを結びつけて考えさせていく。
それぞれの学習ユニット毎に述べる。
<有効性>安易に住所・電話番号を入力してはいけない学習として有効である。ダイレクトメールがたくさん来た場面で特に個人情報が漏れると大変なことになると意識できた。(基本)
<要望・意見>リカコがどうして姉の携帯電話番号をホームページにのせたか、疑問を抱く子どもがいた。趣味とか、学校名とかを書く場合が多いのではないか。(応用)
しかし、この学習をしたあとアンケート入力画面で氏名などを実名にするかどうか、かなり、子どもたちが考えたことから、個人情報は自分で保護しなければならない意識が高まったと感じた。
<有効性> タレントの写真をスキャナで取り込み、自分のホームページに黙って入れてはいけないことは、よくわかった。(基本)
応用の音楽のダウンロードは小学生では経験が少なかった。(中学生向きである。) 小学生には、知的所有権保護を学習するのが無理かも知れない。
<要望・意見>知的所有権の保護の立場からすると、出版物の方がわかりやすいが、現実的にはホームページの写真やアニメキャラクタをコピー&ペーストする場合が多い。また、図工などで他人の作品の良い部分を真似したりすることが結構あるので、知的所有権の概念はなかなか子どもたちの頭では理解しにくい概念のようだった。
小学生にとって分かり易いが、果たしてこのままの設定で良いか、悩むところである。(学校でホームページを作る場合、自分が調べたことをのせる例が多い。その調べた内容が本のコピーだったり、ほかのホームページのコピーだったりする場合があるのでそんな内容でも良いのかも知れない。)
<有効性>お金を払ってしまうと、商品の取り替えができない学習ができた。特に学習後「電脳商店街」の体験をし、何人かが「雲隠れ」を疑似体験できたので、効果的だった。前払い、代引き、クレジットカード利用など、いろいろな入金方法があることを合わせて学習した。(小学生では入金の経験がなかったので、全くの予備学習となった。)
<要望・意見>電脳商店街のように、入金方法の選択画面が合った方がよいだろう。また壊れている場合や商品が届かない場合に、消費生活センターなどの公的な機関があることも知らせたい。
<有効性>大学生と名乗るサトルの登場前にカオルとくみこが写真や住所のやり取りをしているところに問題があったと、まず、子どもたちが気づくことができた。(基本)
たけしとけんたのチャットの場合では、安易に人のものをもらおうとすると大変なことに巻き込まれる可能性があることがチャットだけでなく、現実の学校生活でもあったことを振り返りながら学習できた。
<要望・意見>子どもたちのうち、チャットの経験をしたのが、8人いた。約2割である。その子たちは、ニックネームでチャットをしているが、怖い思いはしていなかった。しかし、話題が楽しい話題になると、つい羽目を外す場合があるという。場合によったら、住所や電話番号は教えていたかも知れないと言っていた。
事前に学習ができて良かったと語っていた。教師の感想としても、基本と応用を両方学習し、角度の違う場面を学習できてよかったと感じている。
<有効性>人の悪口を言うのは日常的にあることだが、ネット上で行うことは大変いけないことになることを学べた。ちょっとしたいたずら心で悪口を言い始めることが日常でもあり、悔しければすぐにそうした言動になりやすい子どもたちのふだんの生活を律することにも有効である。(基本)
基本だけでなく、応用も見ることによって、誹謗中傷の例示が増え、いろいろな場面があることに気づくことができた。
<要望・意見>ラーメン屋の情報をホームページに記載した部分は、あまり現実的ではないことだと意見が出た。しかし、悔しければ何でもしそうだという子どもの声がでて、具体的な場面設定をして、モラルの学習をする必要性を特に感じた。
<有効性> 誹謗中傷と同様、日常生活でも悪口を言う場面があるので、具体的な場面として例示され、改善を図ろうとすることに役立った。(基本)
母親と近所のおばさんから得た情報を聞くままホームページにスーパーの情報を載せたことを学習したことで、自分たちがホームページづくりをしているときに気をつけなければならないこと(自分の目や足で確認した情報、裏付けのある情報を掲載する)を学習できた。これまで自分たちが作ってきたホームページについても責任ある情報だったか振り返る良い機会となった。(応用)
<要望・意見>基本は、誹謗中傷と内容が似ていたと思う。応用は、かなり考える部分があり、2〜3回学習ユニットを視聴した。最後は、やはり電話より苦情メールが来た方が自然だと思う。また、「買っちゃダメ!」という表記がモニタにあるが、分かりやすいようであり、そこまで書くのか(ホームページに書くか)疑問が残った。
<有効性>本校でもメールのIDとパスワードは個人カードで子どもたちが持っており、いつでも起こりうる内容であり、子どもの関心が高かった。内容的にもだいすけの行動に似た手紙を出した例もあり、適切であった。
<要望・意見>どうしてだいすけが行ったのか、先生にわかったのかを問う場面で、最初に自分宛にテストメールを出したところだと気づくのに時間がかかったが、わかったあとの「なるほど!」という歓声があったことから大変、有効であったと思う。
<有効性>入力ミスを行っても確認メールで再度確認できる場面があったのに、それをしなかっただいすけの不注意が大変なことになったと学習できた。しかし私たちもそのようなミスを犯しやすいことを普段のテストのことや、電話のかけ間違い、パスワードの入力ミスによる事例経験に結びつけて学習することができた。フィルム1本の値段を400円として1020本買うと、消費税を入れて428400円となる計算をしたことで、ことの重大性がはっきりわかった。
<要望・意見>確認メールに個数だけでなく請求額もあるとリアルになる。
この授業も学習ユニット後に電脳商店街を疑似体験させた。意図的に数値が違う商店があり、入力者が各画面で注意深くしていないと大変になることを学習できた。
それぞれの学習ユニットにおいて、一斉学習したあと、疑似体験コーナーを設置すると効果が高まると感じた。
<有効性>基本のみ学習した。「友だちから聞いた秘密の番号」という設定が始めよくわからない子どもが多かった。だいすけがお母さんには「友だちから借りた」と嘘をついたことが一番いけないという意見が出た。あとでクレジットカードの番号だとわかったが、だいすけ自身がクレジット番号だと知らなかったのではないかという意見も出された。(だからうそをついたことが一番いけないという意見になった)いずれにしてもクレジット番号やキャッシュカードの番号を悪用してはいけないことを学ぶことができた。
<要望・意見>キャッシュカードを落として、預金を盗まれた例がある。この場合は、暗証番号に誕生日や電話番号など本人の覚えやすい番号がしるされている。本人が覚えやすい番号は、周囲の人にも知られやすい。このユニットだとキャッシュカード的な感じがする。しかしクレジット番号の場合は、カードに書かれているので、お父さんのキャッシュカードを勝手に使った例にしたらどうだろうか。
「写真−7 山梨大学教育人間科学部付属小学校授業風景」
実施校 慶應義塾幼稚舎(鈴木二正教諭)
実施日 第1回 平成13年2月2日(金)5年O組1回目
第2回 平成13年2月7日(水)5年K組1回目
第3回 平成13年2月8日(木)5年E組1回目
第4回 平成13年2月9日(金)5年O組2回目
第5回 平成13年2月14日(水)5年K組2回目
第6回 平成13年2月15日(木)5年E組2回目
実施内容
<1回目の授業内容>
<2回目の授業内容>
それぞれのグループがパワーポイントで発表内容をまとめ、第2回目の授業では、それぞれのグループが先ず学習ユニットをクラス全員に見せ、続いてまとめの発表をした。 補足して説明が必要な部分では教師が具体的な例やデータを見せ、より理解度を増すようにした。特に誰が、誰にメールを送ったかはログ情報で確認できることを実際に見せた。このように、解説文やアニメだけでなく、実際にそのデータを見せることが重要である。
「写真−8 慶應義塾幼稚舎授業風景」
実施校 早稲田大学高等学院(杉村淳子教諭)
授業対象:高校1年生 4クラス(クラス48名程度)50分×2
教科:生活一般「消費経済」
授業テーマ:ネット社会の歩き方
使用教材:「ネット社会の歩き方」学習ユニット全テーマ
「ネット社会の歩き方」電脳商店街
2名グループで、自由に学習させ、以下の点に関してレポートを提出させた。
授業や参考資料での予備知識はほとんど与えていなかったが、正解率98%であった。
実際、買い物をしている生徒も多いので、学習に対して戸惑いはなかった。
被害に遭ったときの具体的な対応策を考えることに重点を置いて、指導を行った。
各自、自由に学習させた。
内容に関しての不備や改良点を指摘する生徒も多く、アンケートに反映させるように指導した。
中高校生を対象にした応用編では、もっとリアルな事例が知りたいとの要望が多かった。
生徒:現実には、もっとシビアな被害例もあるので、被害例と具体的な対策をわかりやすく解説してほしい。
教員:現実的に被害に遭っている生徒もいるので、被害拡大を防ぐ、新たな犯罪の発生を防止する意味で、実際、学校での生徒達の最新の被害例を収集していくしくみ、それを公開するしくみがあっても良い。
実施校:広島市立鈴張小学校(玉井基宏教諭)
授業対象:小学校5年生,6年生(パソコンクラブ 18人)
教科:クラブ(クラブは教科ではなくて特別活動という領域である。)
授業テーマ:個人情報のあつかいに気をつけよう
使用教材:「ネット社会の歩き方」学習ユニット「個人情報の保護(基本)」
指導資料の展開例に基づいて指導をした。
教材は,指導者がPCを操作し,画面を液晶プロジェクターで提示し,その後,いくつかの質問をしながら、気を付けるべき事柄を学習した。
Q1:ダイスケ君の行動で何が問題だったのでしょう。
A11:住所を書いたこと。
A12:カードをもらうためには,住所を書くのはしかたがないけど,それがよくなかった。
Q2:ダイスケ君と同じような経験をしたことはありませんか。
A21:知らないうちに,広告の手紙がきて不思議に思った事がある。
A22:学校の返り道でアンケートをもらったことがある。そのアンケートは,自分の住所や電話番号を書くようになっていた。
Q3:このようなことにならないために,何に気をつけたらよいでしょう。
A31:アンケートには住所を書かないように気をつける。
実施校:千葉大学教育学部付属中学校(芳賀高洋教諭)
授業対象:中学校2年生 2クラス(43名/クラス)45分
教科:技術・家庭科「情報とコンピュータ」
授業テーマ:ネット社会の歩き方
使用教材:「ネット社会の歩き方」学習ユニット全テーマ
「ネット社会の歩き方」電脳商店街
事前に知識やポイントは事前に知らせずに、この中の商店で、「信頼できるお店を探してみよう」という課題を与え、すべての商店街で買い物をさせてみました。実際に買い物した感覚が味わえるので、生徒は楽しく利用できたようです。最後に、信頼のおけるお店はどのお店であるか、という質問に、天王星が信頼おける、その他はどれも信頼がおけないのではないか、との感想が、生徒から発表されました。
なぜ、天王星以外は、信頼がおけないのか、という理由を生徒に聞くと、振込先だけが表示されている、クーリングオフの表示がおかしい、前払いしかない、身元が不明確である、などの感想があげられました。
家庭科の「家族と家庭生活」の中でも取り扱う内容で、中学校2年生程度だと予備知識があるようでした。ネットワークに特化した問題について、深く取り上げると、学習が広がるでしょう。
事前に知識やポイントは知らせずに、すべてのアニメーションを生徒は見ました。
チャットなど、彼らの生活にとって、身近な話題については、わかりやすかったようですが、カードの利用、マルチ商法や、違法行為など、ある程度の年齢に達しないと利用しないものや、法律にかかわるテーマについては、アニメを見ただけでは、何がいけないことなのか、よくわからないようです。
難しそうなテーマについては、先生のほうから法律などさまざまな例をあげたり、生徒に法律や事件の記録などを調べさせてみたりすると学習の幅が広がるでしょう。